こんにちは。いりこです。
5月19日(金)東京芸術劇場にて行われた、ミシェル・カミロ(ピアノ)、鈴木優人(指揮)読響の公演に行ってきました。
公演に行かれた方とも、行かれてない方とも、この感動を共有できたら嬉しいです。
ミシェル・カミロ
ドミニカ出身のジャズピアニスト。
・・・
正直ジャズには明るくない筆者です。お名前だけは微かに。。。
この方は、清塚さんがYouTubeでおすすめピアニストとして紹介されていました。
実は2年前に来日し「テネリフェ」を日本初演する予定だったようですが、
くだんの入国制限により中止となっていたもの。
自作曲もかなり持っているようで、ピアノ協奏曲をいくつか聴いてみましたが、とてもかっこいい!
ひとつは、ジャズ一色!というより映画音楽的というか、ラヴェルの左手のための協奏曲のような、現代的でスケールが大きく、親しみやすい作品でした。
もうひとつは、「ジャズトリオのための協奏曲」で、ピアノ・バス・ドラムが主役のジャズ色全開の曲でした。
今回の2番「テネリフェ」(日本初演)はどんな作品なんでしょうか。わくわく。
プログラム/チケット情報
2023年5月19日(金) 19:00開演 サントリーホール
プログラム
- モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
- カミロ:ピアノ協奏曲第2番「テネリフェ」
- モーツァルト:交響曲第28番 ハ長調 K. 200
- ラヴェル:ボレロ
注目曲「テネリフェ」ほか、「ドン・ジョバンニ」「ボレロ」と見どころ盛りだくさん。
古典と近現代を行ったり来たりするプログラム。
チケット
S席 8,000円
A席 7,000円
B席 6,000円
C席 4,500円
※団体割引(10人以上)あり。
※学生の方は、開演15分前に残席がある場合のみ¥2000(25歳以下/要学生証)。
モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
開幕は「ドン・ジョヴァンニ」序曲。
短調の暗く重々しいイントロから一変、モーツァルトらしい華やかなアレグロになり、幕開けを飾ります。
モーツァルトは詳しくない方ですが、やっぱりいいですね!
空気が一気に明るく華やぎます。豪華絢爛なオペラハウスに来たような優雅な気分になります。
実際にオペラの前に演奏される「序曲」は、静かに終わりオペラ本体にスムーズの接続しますが
今回のように単体で演奏される用に、華々しい終結部が別で書かれています。
カミロ:ピアノ協奏曲第2番「テネリフェ」
大目玉!カミロ自作自演!!日本初演!!!
私は主に「クラシック音楽」とよばれる曲ばかり好んで聴いていますので、カミロさん情報には疎いのですが、日本プレミアときくと期待が高まります。
先にも書きましたが、カミロはピアノ協奏曲を(見つけられた限り)3曲は書いています。
1番は、映画音楽のようにスケールが大きくも親しみやすい曲、
3番は、ジャズトリオ(ピアノ、バス、ドラム)が全面に出るジャズ色の曲、
どちらもかっこいい曲です。
今回の2番はというと、一言で「エネルギー」。
何かに対する怒りのエネルギーなのか、はたまた人類を襲う天災的な自然エネルギーなのか、、、
想像もつきませんが、とにかく巨大なエネルギーに終始襲われている感覚でした。
なるほどパンフレットの解説を読んでみると、1楽章は火山に抱くイメージだそう。
破壊が目的かと思うくらいのティンパニの強打に、耳をつんざく金管、
そしてカミロの、これまたピアノが壊れんばかりの
「クラシック」ではまず体験できません。
保養地として有名なスペインのテネリフェ島にあるアウディトリオ・デ・テネリフェからの委嘱で、
テネリフェに訪れた際の印象を基に作曲したとのことですが、
これを聴いて「テネリフェに行ってみたい!」と思う人がどれくらいいるのかと、余計な心配をしてしまうほどです。
とにかく音の塊を浴び続け、曲に対する細かい記憶は残っていないのですが笑、
カミロの演奏自体への感動は鮮明に覚えています。
まずは何といっても超絶技巧とほとばしるパッション!
とにかく音数が多く、壊れんばかりの連続オクターブに、止まらない超高速パッセージ。
粋をするのを忘れてしまうほどでした。
しかし一番は繊細さが印象的でした。
特に2楽章では息の長い旋律が多めに登場しましたが、それがもう美しい音。
弱音ながら芯の通った音で美しく歌っていました。
また左手で複雑なリズムを取りながら、右手で美しく歌い、さらに内声部も際立たせるなど器用なことも難なく演奏していました。
ただの超絶技巧見せびらかし自己顕示欲丸出しピアニストではなく、
きっとクラシックを弾いても素晴らしいんだろうなと感じます。
アンコール(サントリーホールHPより)
- カミロ:カリブ
アンコールはこれまた自作曲「カリブ」。
これはジャズというか、ラテンというか、もう舞踏というか笑。
足のタップでリズムを取りながら、カミロの超絶技巧が縦横無尽に駆け回ります。
初見だったのでどれくらい即興だったのかは分かりませんが、
曲を弾いているというより、カミロの中にある音楽がピアノを通じて鳴っているような、
ちょっと言語化がへたくそですが。。。
まあとにかくいい体験でした。
演奏とは裏腹に丁寧に拍手に応えていて、すてきなオジサマでした!
モーツァルト:交響曲第28番 ハ長調 K. 200
再びモーツァルト。
モーツァルトは番号がついてるだけで41もの交響曲を書いています。。。
ということでこちらは初見です。
モーツァルト研究家のアルフレート・アインシュタインが
「初期の段階において、狭い枠のなかのものであるが、
1788年の最後の3大シンフォニー(39~41番)と同等の完成度を示す」
と評しているくらい、モーツァルトの同ジャンルの中で完成度の高い曲みたいです。
曲としては曲を通してハ長調~ヘ長調を基調とした古典的でサッパリとした印象。
1楽章は、呼びかけるような「ド⤵ソ⤵ ミ⤵ド」というトゥッティ(総奏)が印象的。
その後も優雅で品のいい音楽が続きます。
2楽章は、ひらひら降りてくるようなモチーフが特徴的で、転調を繰り返しながら様々な表情をみせます。ちょっと長いかも。。。
3楽章は、メヌエット。少し緊張感のある最初の動機が面白い。ホルンも印象的ですね。
4楽章は快活なプレストでとにかく忙しない。
「ドーソードーソー」というサイレンと、ヴァイオリンとトゥッティが交互に登場する強弱のメリハリで、細かいパッセージの切迫感が強調されているように感じました。
切迫感といっても終始明るい曲調で、楽しそうな追いかけっこです。
お気に入りの交響曲がまた一つ増えてうれしい収穫です!
ラヴェル:ボレロ
最後はラヴェルのボレロ。
誰もが聴いたことのある、ハ長調のシンプルなメロディ2つだけ、15分間続きます笑。
とても尖った特徴を持つ実験的な曲ですが、これを音楽にしてしまうのが「オーケストラの魔術師」ことラヴェルです。
この曲で一番大変なのはスネアドラム(小太鼓)の方だと音楽の授業で言っていました。
・唯一最初から最後まで一度も休まず
・一定のリズムを刻み続け(早くなっても遅くなってもダメ)
・曲全体を通してクレッシェンド(だんだん大きく)するという表情をつける
という修行のようなことを15分間も続ける必要があります笑。ものすごく目立ちますしね。
ほんとうにお疲れ様ですm(_ _)m
曲をライブで聴いたのは初めてでしたが、
印象的だったのはチェレスタが登場するオルガン的な倍音が響く箇所。
パッと聴くと不協和音というか、気持ち悪い音が鳴り続けているような、新鮮な変奏です。
またいろんな楽器が各々のことをしていて、視覚的にも刺激的でした。
はじめの方はヴァイオリンやヴィオラをギターみたいに斜めに持ってピチカート(弦を指ではじく奏法)してるんですね。
そしてやはり曲全体のクレッシェンドは臨場感があり、
クライマックスに向けて会場全体で入っていく没入感はタマりません!
最後の「大太鼓→シンバル→銅鑼」で3拍子を刻むところなんて、とても豪勢で爽快です。
さいごに
東京は雨で肌寒かったのですが、そんなことも忘れるほど熱狂的な演奏でした。
モーツァルトの2曲も極上の箸休めでした。
長々と書いてしまいましたが、お読みいただきありがとうございました。
ところで、みなさんは、どうやってクラシックのコンサート情報を集めてらっしゃいますか?
自分で調べてみて、情報集めるのに一苦労でした。お知恵があればお教えいただきたいです!
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