【2023.7.23】角野 隼斗×シルヴァン・カンブルラン×ハンブルク交響楽団 公演感想 @高崎芸術劇場(群馬)

コンサート日記
この記事は約8分で読めます。
本サイトで紹介している商品等の外部リンクには、アフィリエイト広告を利用しているものがあります

こんにちは。いりこです。
7月23日(日)高崎芸術劇場(群馬)にて行われた、角野 隼斗(ピアノ)、シルヴァン・カンブルラン(指揮)、ハンブルク交響楽団の公演に行ってきました。

公演に行かれた方とも、行かれてない方とも、感動を共有できたら嬉しいです。

角野 隼斗×シルヴァン・カンブルラン×ハンブルク交響楽団

角野 隼斗(ピアノ)

本日のソリスト。
東京大学大学院在学中に(!)、
2018年に国内コンクール;ピティナピアノコンペティション特級
でグランプリを受賞(!!)、
さらには2021年ショパン国際ピアノコンクールで第3次予選進出(!!!)、
でもって大人気YouTuberかてぃん(!!!!)。

いくつ才能もらってるんでしょうか。

筆者はユーチューバーとやらに疎いのですが、
2021年のショパンコンクールを見て、
「こんなにクラシックをちゃんと弾くんだ」
と衝撃を受けたのをよく覚えています。
尻上がりに調子が出て、第3次予選の演奏は特に好きでした。

公式HP HAYATO SUMINO

YouTube – Cateen かてぃん

シルヴァン・カンブルラン(指揮)×ハンブルク交響楽団

にわかにつき、今回はじめてお名前を覚えました指揮者とオーケストラ。

カンブルランはフランス生まれ、御年75歳のベテラン指揮者。
ベルリンフィル、ウィーンフィルなど数々の楽団と共演されてきており、
2010~2019年には読売日本交響楽団の首席指揮者、
現在はハンブルク交響楽団の首席指揮者を務めています。

そのハンブルク交響楽団は1957年に設立し、名門オケひしめくドイツの中でもレベルの高いオーケストラのようです。

プログラム/チケット情報

高崎芸術劇場HP

2023年7月23日(日) 15:00開演 高崎芸術劇場 大劇場(群馬県)

プログラム 

  • ベートーヴェン:劇音楽「エグモント」序曲 Op.84
  • バルトーク:ピアノ協奏曲第3番 Sz.119
  • チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 Op.36

プログラムには記載ありませんでしたが、
他公演で披露されている「エグモント」序曲が1曲目でした。

今回の個人的なお目当てはバルトークのピアノ協奏曲3番

小説「蜜蜂と遠雷」で、風間塵が本選で演奏した曲です。
バルトークにしては毒っ気が抜けて爽やかな風を感じるような、
しかし特有の野性味も残るような、やみつきになる曲です。

これもっと人気になっていい曲だと思いますけどね、
あまり演奏機会がないので是非聴きたいと思いました。

チャイコフスキーの交響曲はいずれ聞いてみたいと思っていました(聞いてない)。
特にこの4番以降の人気が高そうですし、チャイコフスキー自身の波乱万丈な晩年と重なる時期の作品です。

チケット 

SS席:15,000円
S席:13,000円
A席:11,000円
B席:9,000円

海外オケだとお値段が張ります。。。

ベートーヴェン:劇音楽「エグモント」序曲 Op.84

会場に来てみてびっくり。
ピアノが端の方に追いやられてる。。。

プログラムをみてまたびっくり。
エグモント序曲が追加になってます。

うれしいよね。
ドイツのオケだもん、ドイツ物もやってほしいよね。

重々しい序奏から、
山あり谷ありの英雄譚が雄弁に語られ、
最後は感動的なクライマックスを迎えます。

指揮者カンブルランは年齢を感じさせない
足腰の強い(?)指揮姿を見せてくれ、大きい音楽を感じました。

音もよく飛んできて大迫力オケだなあという感じ。
この後も楽しみ♪

バルトーク:ピアノ協奏曲第3番 Sz.119

本日の目玉。
小説「蜜蜂と遠来」で、風間塵くんが本選で演奏した曲です。

バルトーク独特の野性味を、安定した調性で楽しめる、
舗装された登山道トラッキングみたいな気軽さがあります。
空気のおいしい曲です(?)。

バルトークが最晩年、入院中にまで何とか執筆を続けましたが
あとわずかのところで亡くなったそうです。
とはいえほぼほぼ完成していたそうで、バルトーク最後の作品。

第1楽章、
弦楽器のそよ風がなびく中、
ピアノがユニゾンで爽やかな旋律で幕開け。

筆者はここを聴きながら
日向ぼっこお昼寝🌞💤するのが大好きです。

独特の和声・リズムは健在!
しかも基本的に明るい響きで安定しているため、
バルトーク初心者にも耳なじみがいい。

最後は、森の奥の方へ足を踏み入れる場面でフェードアウト。
鳥の鳴き声にピアノが呼応し、静かに第2楽章へ。

第2楽章、
あれれ、ちょっと奥まで来すぎちゃって迷子っぽい。
神々しいような張り詰めた空気が充満しています。

鳥たちが騒ぎ始め、なんだか不穏な空気が高まってきました。
つられて鼓動が早まるのを感じます。

第3楽章、
無事に森を抜けると、
目の前が一気に開け、日光が燦々と降り注ぎます。

ピアノがユニソンで上昇し、喜びの旋律がはじけます。
祝祭感に満ちた清々しい雰囲気です。

中間部はピアノの左手・右手・そしてオケのさまざまな楽器で、
壮大な追いかけっこを展開します、フーガ感がかっこいい。

そして後半は、2拍子と3拍子のクロスリズム!
思わずノリノリになっちゃいます。

最後はリストの半音階で一気に駆け上がりフィニッシュ!
チャイコ1番と同じ手法ですね。これもかっこよくて好き。

演奏を聴いておもったのは、
掛け合いが多く、単純に合わせるのが難しそうな曲だということです。

角野さんは都会的で洗練された音色で、
2楽章の神秘的感じはすてきだなと感じました。

ワイルドさ抑えめな割には、ミスタッチが多く、
アンサンブルやテンポが不安定で、ちぐはぐな印象は受けました。

演奏が終わると1階はスタンディングオベーション。
みなさん「かてぃん」がお目当てなんでしょうね。

ライト層にクラシック音楽を聴いてもらうためにも
ぜひ今後もクラシック作品も弾いていってほしいです。

アンコール(ピアノソロ)

  • カプスーチン:8つの演奏会用練習曲 Op.40 第7曲「間奏曲」
  • カプスーチン:8つの演奏会用練習曲 Op.40 第8曲「終曲」

アンコールは軽妙洒脱な2曲。

こっちがメインと言わんばかりの、
なめらかで超絶技巧満載の演奏でした。

会場からは熱狂的な大歓声。単純に人気があるのはすごい。

チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 Op.36

ロシアの大作曲家、チャイコフスキーの交響曲。

メック夫人という、
長年チャイコフスキーを援助することになる
パトロンとの交際が始まったころに作曲されたため、
独自性が高い交響曲になっているようです。

第1楽章、衝撃的な金管のファンファーレがで幕開け。
従わざるを得ない「宿命」を突き付けられます。

楽章中随所に登場するファンファーレは、
20分もある第1楽章において引き締め効果があり、
終盤では緊迫感を高めます。

なんなら4楽章もこの「宿命」モチーフでガシッと締まります。

素朴な第2主題のメロディーはチャイコフスキーならでは。
下降音型を木管楽器でかわりばんこに演奏する場面がほっこりします。

なんやかんやでコーダになだれ込み、
金管で劇的に突き付けられる宿命モチーフのファンファーレは
なんとも悲劇的というか、
人間が到底太刀打ちできない大きな存在を感じます。

第2楽章、
オーボエにより郷愁に満ちた主題が提示されます。
続く弦楽器によるメロディーもなんだか物悲しい。

しかし悲しくも美しく、時に笑顔を見せてくれるがチャイコフスキー。

ここでも木管が交代交代で演奏する箇所が印象的でした。

第3楽章
弦楽器が終始ピチカート(弦をはじく)で演奏する印象的なスケルツォ。

それが終わると木管だけのゆったりした合奏、
その後金管だけの行進曲合奏があり、
各楽器が合わさっていくのも視覚的に印象深かったです。

そして打楽器は登場せず、しずかに最終楽章へつながります。

第4楽章、
第3楽章の不思議な時間の間にどんな心境の変化があったのか、
かなり勝利感に満ちたトゥッティ(全奏)から行進曲が展開されます。

チャイコフスキーはメック夫人への書簡で
「この世は暗黒だけではなく、この楽章で示されているように多くの素朴な人間の喜びがある。たとえ我々は馴染めずとも、その喜びの存在を認め、悲しみを克服するために生き続けることができる」と説明したそうです。(Wikipedia)

終盤ではやや雲行き怪しく、
宿命モチーフまで登場して悲劇性が高まります。

よもやここまでか、と思われますが
序盤の行進曲が救いに来てくれて宿命を跳ね返し、
あとは勝利に向かって進みます。ここドラマチックですよね。

その後の何ともいえない祝祭感・勝利感に満ち満ちたコーダは圧巻です。

指揮者カンブルランは、エグモントの時にも触れましたが
とても御年75歳と思えぬしっかりとした足腰と軽やかな身振りで、
ハンブルク響も、疾走感のある4楽章なんかは圧巻の音圧でした。

また1つ素晴らしい曲と演奏に出会えてよかったです♪

アンコール(オーケストラ)

  • ドヴォルザーク:スラブ舞曲 Op.72-2

胸が苦しくなるような切ないメロディーが有名なスラブ舞曲10番ホ短調。

お疲れのところ笑、アンコールに応えてくれました。

海外オケあるあるなのですが、
出番のない、ここではパーカッションの団員たちが
暇そうに足を組んだり頬杖ついて、終わるのを待っている光景が好きです笑。

さいごに

長々と書いてしまいましたが、お読みいただきありがとうございました。

高崎芸術劇場は2019年オープンの新しい劇場で、
照明もプラネタリウムみたいですてきでした。

また高崎駅からなんと高架の歩道がつながっており、
徒歩10分くらいでアクセスもとても便利です。

ところで、みなさんは
どうやってクラシックのコンサート情報を集めてらっしゃいますか?

自分で調べてみて、情報集めるのに一苦労でした。
お知恵があればお教えいただきたいです!

コメント

  1. nanashi より:

    「角野隼人」ではなく、「角野隼斗」が正しいです><

    • いりこ より:

      nanashi様

      こんにちは。ご指摘ありがとうございます。
      ほとんど全て間違えていたので修正しましたm(_ _)m

タイトルとURLをコピーしました