【音楽旅気分】スペイン編~アルベニス「組曲:イベリア」

音楽旅行
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こんにちは。いりこです。

みなさん海外旅行はお好きですか?
いざ海外旅行となると、それなりに日程を確保したいところですし、予算も掛かりがち、、、

ということで日本でひっそり過ごしている筆者が、せめて音楽で旅行気分を味わいたい!ということで、異国情緒を味わえる作品を紹介したいと思います。

音楽旅:スペイン編

記念すべき第1回は情熱の国:スペインから!
イサーク・アルベニス作曲の組曲「イベリア」をご紹介します。

アルベニスはスペイン、カタルーニャ地方出身で、この組曲「イベリア」もカタルーニャ地方の民族音楽に関連する曲想なんだそうです。スペイン人のお友達に教えてもらったのですが、「スペインでも人気」と折り紙つき!

ちなみに「イベリア」半島とは。主にスペイン・ポルトガルからなる西ヨーロッパの半島のこと。

▼とりあえず再生しながら読んでみてください^^

どんな曲?

3曲×4巻、全12曲からなり、1905~1908年にかけて作曲されたアルベニス最晩年のピアノ曲集です。
「12の新しい印象(12 nouvelles “impressions”)」という副題がつけられています。

ラヴェルやドビュッシーと同時期の作曲家なだけあって、1曲1曲にタイトルがつけられており非常に写実的な作品です。演奏時間は80分ほど。

技術的に高度で聴きごたえがあるだけでなく、フランス・ドイツ・ロシア音楽とはまた一味違った、スペイン独特の情緒とリズムを感じます。(スペイン情緒を理解しきれないのが残念、、、いつか行ってみたい!)

下線を引いているのは、最後に紹介する「個人的に聴きやすいと思う4曲」です。

第1巻

  • 1. エヴォカシオン/Evocacion
    タイトルは、スペイン語で「魂を呼び戻す」の意。
    曲集の初っ端から暗く理解が難しい曲ですが、これ以降は闊達な曲が続くので、はじめは飛ばしてもいいかも、、、笑。
    聴いてみると荘厳で、中間部の伸びやかな旋律が心地いい曲です。
  • 2. 港/El Puerto
    一転して「港で踊る足音」「コロコロと歌う声」が聞こえてくるほどのリズミカルで、「スペイン」て感じの曲です。
  • 3. セビリヤの聖体祭/El Corpus en Sevilla
    大太鼓の伴奏とともに、聖体祭の行列が近づいてきて、通り過ぎていく。そんな一幕が目に浮かびます(聖体祭がよくわかっていませんが。。。)。
    厳かな行進曲がド派手に変奏されていき、最後は一転、別世界になったように神秘的な静謐に包まれて幕を閉じます。
    第1巻の終曲にふさわしいドラマチックな曲です。

第2巻

  • 4. ロンデーニャ/Rondena
    前曲「セビリヤの聖体祭」での、宗教的な余韻から一転、新たな日常が始まります。この「朝のスタート」の切り替わりの感じがとても爽やかでステキです。
    そして相変わらず、挿入される民謡的旋律がエモいです。最後もキリっと締まります。
    総じてこの曲集でもかなり好きな曲です。タイトルは、アンダルシア地方の民謡の一種とのこと。
  • 5. アルメリア/Almeria
    タイトルは、グラナダ南東に位置する港。
    基本的に穏やか、哀愁漂う旋律で抒情的に進められていきます。規模も大きく、成熟した印象を受けます。
    中間部で何の変哲もないハ長調~を経ていくのですが、ここがもうナウシカとかの世界観。幻想的というか空想的というか、とにかくただただ美しい。
    その後、一番最初の主題が劇的に再現され、またナウシカ。。。
    最後はやや現実的な和音で幕引きですが、それまでの幻想的な余韻が相まって清々しく幕を閉じます。
  • 6. トゥリアーナ/Triana
    タイトルは、セビリヤにあるジプシーの居住地。
    舞踏色が強い3拍子。軽やかな主題と扇情的な主題が交互に現れる、色彩豊かな曲です。中間部では細かい音符が盛りだくさん、魅力的な旋律に終始引っ張られ華やかです。

第3巻

  • 7. エル・アルバイシン/El Albaicin
    さて折り返しの第3巻。タイトルは、古都グラナダの地区。
    少ない音と独特のリズムで作られる緊張感。
    中間部のユニゾンがなんとも言えない哀愁を醸し出しています。ラヴェルの道化師の朝の歌のよう。
    クライマックスはスペイン的な旋律で盛り上がり、かと思えばユニゾンで物悲しい旋律を歌い、最後は力強いフィナーレに突っ走ります。
  • 8. エル・ポーロ/El Polo
    タイトルは、アンダルシアの民謡舞曲。
    単調ながらクセになる3拍子のリズムに乗っかる旋律が、複雑な和声と転調によって展開していく、なんだかクセになる(2回目)曲。
  • 9. ラヴァピエス/Lavapies
    タイトルは、マドリッドにある下町。
    緊張続きだった3巻の終曲にして、解放的で明るい踊りが描かれています。しかし和声的には非常に複雑で、一聴では今何が行われているのか見失うこともしばしば。演奏大変そう。。。
    とはいえ親しみやすい主題に推進され、躍動感もあり非常に華やかな曲です。

第4巻

  • 10.マラガ/Malaga
    さてスペイン旅行も大詰め!
    タイトルは、アンダルシア随一のリゾート都市。暗く忙しない主題に始まりますが、伸びやかな主題が登場し、リゾート感が顔を見せてきます。2つの主題は交互に登場し展開していき、煌びやかに幕を閉じます。
  • 11.ヘレス/Jerez
    タイトルはフラメンコとシェリー酒(めっちゃ甘いワイン)で有名なスペイン南部の街。
    ここにきて民族色というか、土のにおいが強い曲。そして長大な曲。そして内容的にも充実。これは一聴では理解できない。。。大人になったら聴きなおそう。。。
  • 12.エリターニャ/Eritana
    あのドビュッシーが「あまりに数多くちりばめられた映像に目もくらむばかりだ」と賞賛したとな。
    聴いてみると、終始鳴り響く快活なリズムの上に、喜怒哀楽・悲喜交々、ほんとにたくさんの感情や情景が展開される非常にドラマチックで華やかな曲です。

    聴き手がどんな精神状態で準備すればよいのやら、情報量が多く忙しい。とにかくこの曲の推進力に体を持っていかれます。

    それでいてもちろんスペイン情緒豊かな響き。
    傑作揃いの組曲「イベリア」のエンディングにふさわしい堂々たる終曲です。

    そして曲名は、セヴィーリャ城門の外にあるオーベルジュ(食事処兼宿泊施設)の名前とのこと。旅行の最後にお酒なんかを飲みながら語らい、旅行を締める。アルベニスも粋ですね!!

おすすめの聴き方

親しみやすい曲4選

非常に本格的な曲集ですが、親しみやすいリズムやメロディーも多用されていますので、まずはお好きな曲を見つけて単体で聴いてみてください!

個人的に聴きやすいなと思う曲はこちら
1位:12. エリターニャ/Eritana(第4巻、約5分)
2位:2. 港/El Puerto(第1巻、約4分)
3位:4. ロンデーニャ/Rondena(第2巻、約7分)
4位:9. ラヴァピエス/Lavapies(第3巻、約6分)

BGMとして聴く

全曲通して約80分と長いので、最初から最後まで流してしまいましょう。
スペイン情緒が根底にありつつ、様々な景色が現れてきますので、列車に揺られながら車窓を眺めているような体験ができます!
1曲1曲が自立していますので、慣れてきたらシャッフルで流してみるのもおもしろいですね。

おすすめの音源

おすすめと言いつつ、知っている音源がこれですべてなのですが笑。一応ご紹介しておきます。

アリシア・デ・ラローチャ

ページ冒頭でもご紹介しているラローチャ。スペイン出身で20世紀を代表するピアニストです。
彼女はこの「イベリア」をなんと4回も全曲収録しているという気合の入りようです。
その中でも3回目の録音がバランスよく、評価が高いです。

この盤の魅力は何といってもその「切れ味」!
この曲集を難しくしているのは、非常に独特なリズム感・間合いが必要とされることだと思いますが、ラローチャはそれを絶妙なバランス感覚とその切れ味で、鮮明な映像を描き出しています。


ネルソン・ゲルナー

こちらはアルゼンチン出身のピアニスト。
自身もスペイン語話者ということで、この曲集には思い入れがおありのようです。2021年に収録と新しい音源です。ラローチャよりはまろやかで繊細な印象です。

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