1.14 アンコール情報更新
こんにちは。いりこです。
1月11日(木)ロイ・トムソン・ホール(トロント)にて行われた、ダニール・トリフォノフ(ピアノ)×グスターボ・ヒメノ(指揮)×トロント交響楽団の公演に行ってきました。
トロントに着いて初めてのコンサート♪
しかも大注目のピアニストですので気合が入ります。
▼TTC地下鉄セント・アンドリュー駅 (St Andrew) 直結で、トロントタワーのすぐ近く
会場にはカナダ出身のピアニスト、グレン・グールドのピアノが置いてありました。
晩年の「ゴルトベルク変奏曲」の収録に使用したそうです!
ダニール・トリフォノフ×グスターボ・ヒメノ×トロント交響楽団
ダニール・トリフォノフ(ピアノ)
弱冠19歳で2010年ショパン国際コンクール第3位、翌2011年にはルービンシュタイン国際コンクールとチャイコフスキー国際コンクールを立て続けに優勝するという偉業を成し遂げたピアニスト。
偉大なロシアのピアニズムを継承する超絶技巧と、どこか型破りで独創性が光る演奏で、若手~中堅の中で圧倒的な存在感を放っています。
個人的にリストやラフマニノフのイメージが強く、独特な音作りをするイメージですが、ブラームスの若いスケール感をどのように表現するのか楽しみです。
グスターボ・ヒメノ(指揮)×トロント交響楽団
これからお世話になるであろう、
トロント交響楽団と音楽監督グスターボ・ヒメノさん。
ヒメノは名門コンセルトヘボウの首席打楽器奏者の出身で、
指揮者に転向後はオランダを中心に活躍、2020年からトロント交響楽団の音楽監督を務めています。
トロント交響楽団は、かつて小澤征爾さんが指揮したこともある、100年以上の歴史をもつオーケストラ。
プログラム/チケット情報
2024年1月11日(木) 20:00開演 ロイ・トムソン・ホール(トロント)
プログラム
- ウォーカー:シンフォニア 第2番
- ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲
- ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 Op.15
初めの2曲は作曲家すら聞いたことないですね。。。
ウォーカーは、アメリカ出身の作曲家。
ルトスワフスキは、ポーランドの作曲家。
どちらも20世紀後半と比較的新しい作品です。
お目当てはブラームス、ピアノ協奏曲1番。
トリフォノフはどちらかというと冷たい音色のイメージがあり、
この熱のこもった作品がどのように演奏されるのか楽しみです。
チケット
Main Floor(1階): $91 ~ 128(カナダドル、約9,800円~13,800円)
Mezzanine(2階): $111 ~ 141(約12,000円~15,200円)
Balcony(バルコニー): $45 ~ 82(約4,800円~8,800円)
Choir Loft(クワイヤ、ステージ後ろ): $65 ~ 121(約7,000円~13,000円)
資本主義がしっかりしてるので、
席ごとに細かく、また平日/休日でも値段が変わります。
ウォーカー:シンフォニア 第2番
初めてのトロントでのコンサート、初めての会場、初めての指揮者とオケ、そして初めての曲。
わくわくしながら迎えた1曲目は、アメリカの作曲家ウォーカーのシンフォニア。
トロント響は、会場の大きさもあってか、音も丸く収まりが良い音で、
「トロント」って感じでいいオケだなと思いました。
終始落ち着かない現代っぽい曲で、映画音楽のようなドキドキ感。
ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲
ルトスワフスキはポーランドの作曲家。
強烈な個性のぶつかり合い、「管弦楽のための協奏曲」という意味が理解できました。
あれだけ丸くて収まりのいい音を出すオケだと思っていましたが、
すごくとんがってバチバチでした。
とくにパーカッション勢の印象が強く、
3人がかりで小太鼓を連打するという常軌を逸した場面も。
1楽章終盤、混沌とした中ほっこりした民族的な旋律が流れているのが気味悪かったです。怖いシーンほど子供の声とか聞こえてくるみたいに。
3楽章でも、シンプルなメロディがカオスの中鳴り続ける、次第に小さくなり、ノンビブラートのヴァイオリンが絞り出すように奏でているのがゾクゾクしました。
オケの良さが十二分に出ていたいい選曲&演奏だったなと思います。
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 Op.15
さて大好きなブラームスのピアノ協奏曲。
トリフォノフが満を持して登壇。
相変わらず髪型とおひげが安定しておらず笑、今回はややひげ×長髪スタイル。
第1楽章、
最初からティンパニ全開でニ短調、かと思いきやいきなり変ロ長調で印象的な第1主題。
ただし明るさは長く続かず、ニ短調に落ち着きます。
交響曲として構想されていたようで、めちゃくちゃスケールも大きいです。
また若い作品らしいエネルギー、猛々しい印象を受けます。
恥ずかしいほどのドラマチック、それでいて古典・バロック的な響きも残る不思議な空間。
3拍子(4分の6拍子)的な軽快さがありながら、終始重苦しい雰囲気で展開され、特に冒頭から繰り出されるトリルが印象的です。ピアノではオクターブでトリルという強烈な再現されようです。とても小指が疲れそう、、、
長大なオケの序奏のあと、満を持してピアノの登場。
静かな入りですが、弱音にスピード感というか広がりを感じました。
イメージ通りの冷たく硬い音は健在!好みです。
こんなにバシバシ当ててくれると気持ちがいい。
そして第2主題では、当然のように持ち合わせる歌心。
ブラームスの真骨頂であり、ストレスなく再現するトリフォノフ。
第2楽章、
もちろん美しい旋律が続くが、迷い・悲しみの色が拭い切れない曲想。恩師シューマンの死が影響しているとかしていないとか。
なんでしょうね、冒頭のこの穏やかな下降音型。
曇りない光なんだけど手放しで喜べない、落ち着けない。
トリフォノフの音は、決して人情味がないわけではないが、依然硬質で冷ため。
かといって完全に俯瞰している冷たさでもない。。かなり形容し難い時間でした。
逆にこれが王道・中道なのかもと思ったり。
この10分は特に密度が高くてあっという間でした。
オケの木管も素晴らしい音色でした。
間髪いれずに第3楽章、
このロンドはバロック的というか、
ポリフォニックでギャロップ的な主題が印象的で、テンポも速くかっこいい曲です。
曲は激しさを増し、左手のパッセージも最後にはオクターブで演奏させられ、音の厚みが増します。ブラームスはこれを弾けてたってことですね、、、、、
トリフォノフもインテンポでバリバリ弾き進めます。
こちらの緊張感も順調に上がっていきます。
冒頭の主題提示しかり、ピアノソロで演奏する時間も多いのが魅力。
そして、45分も経過しようかという終盤も終盤に、2回もカデンツァがあるんですね。鬼畜です。
1回目のカデンツァで、徐々にニ長調の光が差し始めます。
そしてここでトリフォノフ選手、加速!!笑
ここで個性出してきました笑。
50分近い終盤で、どこに体力と気力が残っているのか。。。
トリフォノフもオケもボルテージ最大に到達。
コーダでは焦りや悲しみを吹っ切って、
曲全体を通して覆いかぶさっていた暗澹たる雲も去り、
未来への希望とともに晴れやかに曲を終えます。
もう終始完璧!
久々にストレスなくずっと体温が上がっていました。
オケとのアンサンブルもバッチリ、ヒメノ×トロント響もファンになりました。
トリフォノフのブラームスソナタも聴いてみたいですね。
アンコール(ピアノソロ)
すみません、何の曲なのか見つけられませんでした。。。
日本の癖で、どうせHPにアップされるだろうと思い込んでいました。。。
静かで、美しいメロディアスな曲だったからおそらく新しめの曲。
1.14更新
- モンポウ:ショパンの主題による変奏曲 より
最近のアンコール情報を見つけて片っ端から聴いてみましたが、十中八九これ。
最初が第3変奏から始まったのは覚えています。
その後も激しい変奏はなく、穏やかな変奏が並んでいました。
これがもう絶品。
彼のこの弱音こそ、スピードや広がりを感じる。
宇宙的な広がりすら感じました。光の速度でパーンとはじけるような硬質な弱音。
皆が静まり返って眺めている夜空に、満を持して流れた星のような。
全員に待ち望まれた音。
ほんとに空間それ自体がトリフォノフに制御されているような感覚でした。
さいごに
長々と書いてしまいましたが、お読みいただきありがとうございました。
トロント響×ヒメノも素晴らしいオケだということが分かりましたし、
私の中で、トリフォノフへのLOVEが高まるいい機会でした。
ここトロントでも、ロシア音楽が楽しめそうでひとまず安心しました。
トロントのクラシック情報もいまいちまとまっていなそうなので、
できる限り情報集めていきたいなと思っています。
引き続き、日本の方も続けたいとは思っています。。。
ところで、みなさんは
どうやってクラシックのコンサート情報を集めてらっしゃいますか?
自分で調べてみて、情報集めるのに一苦労でした。
お知恵があればお教えいただきたいです!
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