こんにちは。いりこです。
4月12日(土)広島文化学園HBGホールにて行われた、ルーカス・ゲニューシャス(ピアノ)×クリスティアン・アルミンク(指揮) 広島交響楽団の定期公演に行ってきました。
久々の&帰国後第1弾のコンサートで、テンションMAXです♪
公演に行かれた方とも、行かれてない方とも、この感動を共有できたら嬉しいです。


2010年ショパンコンクール第2位:ルーカス・ゲニューシャス
【公式HP】https://geniusas.com/
2010年ショパン国際コンクール、若干20歳で第2位に輝いた逸材。
このピアニストに出会ったきっかけは、ほんとうにたまたま。
友人の勧めでユリアンナ・アヴデーエワのファンになり、トロントでダニール・トリフォノフの演奏に圧倒され、この2人の共通点である2010年ショパンコンクールにたどり着きました。
ご存じのとおり、アヴデーエワは45年ぶりの女性優勝、トリフォノフも19歳にして3位に輝き、なんとレベルの高い贅沢な大会だと思ったわけですが、「ところでアヴデーエワ(優勝)、トリフォノフ(3位)の間に食い込んでいる演奏とはどんなもんか見てやろう」と、けんか腰で聴き始めたのがきっかけでした笑。
結果、めちゃくちゃファンになりました!
落ち着いた響き、かっちりした構成力、時折若いパッションが入り混じる演奏で、上位陣の中で最も「正統派」な演奏(アヴデーエワもトリフォノフも独特過ぎますからね)、「ショパン弾き発見」を掲げるこのコンクールの方向性にもピッタリだったと感じます。
エチュードOp.10-2/Op.25-6などの難曲でも余裕をみせる技術レベル(両方弾いちゃう度胸)、舟歌やポロネーズ、ソナタや協奏曲などの大曲でも隅々まで神経が行き届いた成熟ぶり。
これまであまりフォローしておらず、活躍ぶりが筆者の耳には届いていなかったのですが、今回来日公演があるということで、行くことにしました!
プログラム/チケット情報
公演情報:広島交響楽団HP
2025年4月12日(土) 15:00開演 広島文化学園HBGホール
プログラム
- ヴォルフガング・リーム:オーケストラのための「厳粛な歌」
- ヤナーチェク:シンフォニエッタ
- ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 作品15
お目当てはやはりピアノ協奏曲、しかもブラームスの1番!
懊悩すらにじむ激しい情熱と、交響的で構造的、根底には理知的な二面性を併せ持つこの作品。そんな若き日のブラームスを、ゲニューシャスがどのように表現するのか、今から楽しみでなりません。
チケット
S席:5,800円
A席:5,200円
B席:4,500円
(学生:1,500円)
ヴォルフガング・リーム:オーケストラのための「厳粛な歌」
1曲目、見た目にもすごい編成。指揮者の右側に弦が寄っていて、左側には木管4人くらいしかいませんでした。
リームはドイツの現代音楽家で、2024年までご存命でした。1997年に没後100年を迎えたブラームスの「4つの厳粛な歌」からインスピレーションを得て書き上げられました。
ヤナーチェク:シンフォニエッタ
ドヴォルザークの少し後輩、チェコ出身のヤナーチェク。その最晩年の傑作として知られるのがこのシンフォニエッタ。
やはり別働の金管隊が印象的で圧倒的。別動隊はなんと13人、そのうちトランペット9!第1楽章はこの金管隊とティンパニのみで演奏。メロディーも癖になります。
そして5楽章制という構成も独特で、2~4楽章はそれぞれ個性的なメロディ。最終5楽章の後半には金管隊も合流し、ド派手に曲を締めます。
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 作品15
さて、ゲニューシャス登場。ゲニューシャスは2010年の映像を見たっきり、楽しみにとっていました。
#第450回定期演奏会 のリハーサル2日目。今日からピアノ #ルーカス・ゲニューシャス さんも参加いただきました。#ブラームス の協奏曲第1番をゲニューシャスさんの卓越した技術と解釈で余すところなく表現します。チケットご予約は広響事務局まで。当日券も販売いたします。https://t.co/6RK8uWlhCC pic.twitter.com/tPs4lWfcCG
— 広島交響楽団 (@hirokyo_info) April 10, 2025
まあ15年も経てば体も成長します笑、大きくなっていて髭も蓄えていました。
演奏は、「こんな難曲をずいぶん軽々と演奏するなあ」というレベル感です。流して音をさらっているのかなと感じるほど。
しかし時々炸裂するffはすごい威力。1楽章15分くらいの「タタタタン(オケ)→ジャン!(ピアノ)」のとこ(伝わってほしい)、椅子から飛び上がりながら1回1回鳴らしており、太い音がドスンと飛んできました。
しかしまあどうも会場の音響はそこまで良くない印象。。。弱音や低音が飛んでこないし音がもやっとする感じ、、、久々の生演奏だから筆者の感覚が狂っているんだと思いますが。
そしてゲニューシャス自身もどうも、暗譜が飛んでいる箇所が散見。1楽章は静かでほぼピアノソロみたいな見せ場で2回くらい飛んで、3楽章では2回目の主題を弾き忘れそうで慌てて弾き戻したのはちょっと笑ってしまいました笑(確かにピアノが弾いたりオケが弾いたり、途中で交代したり複雑です。今はラフマニノフのソナタ1番が頭を占めてるのかな、なんて邪推したり)。
と、15年前の動画をもとに筆者の期待値も狂っていたと思うのですが(好きな曲だし)、振り返ってみると素晴らしい演奏。余裕を感じる演奏で、情熱的な曲ですが割とクール、要所でエネルギーが爆発するような演奏でした。
そしてとても好青年!笑。まず登壇時に観客はもちろん、オケに向かって丁寧にお辞儀していました。1楽章長ーいオケの序奏を待っているときは、もぞもぞしたり腕を組んでみたり、難所を弾き終えた後には足を伸ばしてみたりと、なんとも自然体でした笑。
さいごに
残念ながらアンコールはありませんでしたが、6回くらいカーテンコールに応えてくれていましたね。最後は指揮者アルミンク先輩が「もうバイバイだよ~」と守ってくれていました。
ほんとに礼儀正しく、かつ自然体で、コメント動画なんかを見てても落ち着いていて、丸っこいフォルムとかも含めてかわいらしい方だなという印象です。
協奏曲の東京公演は残念ながら完売となっていますが、ソロ公演、ラフマニノフのソナタ1番〈未出版手稿譜〉公演に行きたくなってきました。
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