こんにちは。いりこです。
5月30日から、ゲザ・アンダ国際ピアノコンクールが開催されています。
モントリオール国際音楽コンクールに続いて、早くも今月2つめのコンクール。の予定でしたが、記事公開が開催期間に間に合いませんでした、、、ライブ感は味わえませんが、細々と更新していきますので、気長にお付き合いいただけると嬉しく思います。
とうとうファイナル。36名でスタートした今大会も、残すは3名でのファイナルとなります。今ラウンドでは、指定の協奏曲から2曲選択し、審査員から指定された方を演奏するという相変わらずタフな要求ですが、指揮者にパーヴォ・ヤルヴィ、オーケストラにはチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団と共演する贅沢な機会です。また細川氏作曲の指定アンコールを作曲家の目の前で演奏することになります。
個人的にはDmitry Yudin(バルトーク2番)、Ilya Shmukler(グリーグ)が推しですが、Daumants Liepinsもベートーヴェン4番は合うだろうなあと思ったり、つまり全員応援しています!笑
コンクール概要
公式HP(英語・フランス語・ドイツ語):https://geza-anda.ch/concours-2024/
公式YouTube:https://www.youtube.com/c/ConcoursGezaAndaZurich
開催地 チューリッヒ(スイス)
開催期間 2025年5月30日(木)~ 6月8日(土)
20世紀を代表するピアニスト、アンダ・ゲーザの名を冠した国際ピアノコンクール。筆者が見てきた中でも、課題曲が細かく指定されているのが印象的。そのためモーツァルト、ベートーヴェン、リスト・バルトークなど作曲家ごとに特別賞が設けられています。ファイナルの協奏曲の選択肢も7曲のみ、さらに指定のアンコール曲が課され、さらにさらに、そのアンコール曲の作曲者、細川氏が審査員に名を連ねるなどの特徴があります。審査員にはアルゲリッチ、また協奏曲では指揮者としてプレトニョフ、ヤルヴィ、オケにはトーンハレ管弦楽団を迎えるなど、コンテスタントにとって貴重な機会になること間違いなしです。
スケジュール
第1ラウンド(36名):2024年5月30日(木)~ 6月1日(土)
第2ラウンド(12名):2024年6月3日(月)~ 4日(火)
モーツァルト・セミファイナル(6名):2024年6月5日(水)~ 6日(木)
ファイナル(3名):2024年6月8日(水)
6月8日(土)18:30(翌1:30)
プログラム
ファイナル(3名)
Tonhalle Orchestra Zurich conducted by Paavo Järvi
/指揮者:パーヴォ・ヤルヴィ、チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
- 参加者は、以下から作曲者が異なる2つの協奏曲と、必須アンコール曲を用意する
- 審査員がいずれか1つの協奏曲を選択し、ファイナリストに通知される
Ludwig van Beethoven/ベートーヴェン
Piano Concerto No. 3 in C minor, Op. 37
Piano Concerto No. 4 in G major, Op. 58
Camille Saint-Saëns/サン=サーンス
Piano Concerto No. 2 in G minor, Op. 22
Edvard Grieg/グリーグ
Piano Concerto in A minor, Op. 16
Béla Bartók/バルトーク
Piano Concerto No. 1 (Sz 83 / BB 91)
Piano Concerto No. 2 (Sz 95 / BB 101)
Piano Concerto No. 3 (Sz 119 / BB 127)
Compulsory encore
Toshio Hosokawa: Etude I-VI (2011): No. 1 “2 Lines”
/必須アンコール
細川 俊夫:エチュードⅠ「2つの線」
6月8日(土)18:30(日本時間 翌1:30)~
Daumants Liepins, 29 (LV) ※第1ラウンド[5.30] ※第2ラウンド[6.3] ※セミファイナル[6.5]
Ludwig van Beethoven: Piano Concerto No. 4 in G major, Op. 58
/ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調
Toshio Hosokawa: Etude I-VI (2011): No. 1 “2 Lines”
/細川 俊夫:エチュードⅠ「2つの線」
いい勉強になりました。予選では技巧的な完成度がいまいち私の感性に引っかからなかったので、特段意識していませんでしたが、モーツァルトとベートーヴェン2つの協奏曲は品があって美しかったです。そこを見抜いて彼を残す審査員はやはりすごいなあと、勉強になりました。ただ技術的な要求が高くなると厳しいところも見えます。
Dmitry Yudin, 23 (RU) ※第1ラウンド[5.30] ※第2ラウンド[6.3] ※セミファイナル[6.5]
Béla Bartók: Piano Concerto No. 2 (Sz 95 / BB 101)
/バルトーク:ピアノ協奏曲第2番
Toshio Hosokawa: Etude I-VI (2011): No. 1 “2 Lines”
/細川 俊夫:エチュードⅠ「2つの線」
ピアニストの技巧・器量が試される協奏曲のなかでも、特に難しいとされるこのバルトーク2番。(録音のアレもあるかと思いますが)予選ではもっと音が鳴っていてスケールの大きさが魅力の一つだったと思いますが、ここではやや丸く、音の塊が飛んでくるこの曲にはやや物足りない印象がありました。それでもあれだけの音数をよく弾きこなしていたと思います。
Ilya Shmukler, 29 (RU) ※第1ラウンド[6.1] ※第2ラウンド[6.4] ※セミファイナル[6.6]
Edvard Grieg: Piano Concerto in A minor, Op. 16
/グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調
Toshio Hosokawa: Etude I-VI (2011): No. 1 “2 Lines”
/細川 俊夫:エチュードⅠ「2つの線」
まず改めて、グリーグのピアノ協奏曲はすごいですね!大自然を感じるあの冒頭から圧巻のカデンツァ、随所に現れる土着的なリズムと、神々しく壮大かつ現実的なメロディー。それらを見事に再現し、ストレスなく曲を楽しめました。大トリに相応しい演奏で締めてくれました。
最終結果
賞終順位
1位:Ilya Shmukler, 29 (RU)
2位(同率):Daumants Liepins, 29 (LV)/Dmitry Yudin, 23 (RU)
賞金
1位:40,000 CHF(約700万円)
2位:30,000 CHF
3位:20,000 CHF
特別賞
・ゲーザ・アンダ聴衆賞:Ilya Shmukler
・モーツァルト賞:Ilya Shmukler
・リスト・バルトーク賞:Wataru Hisasue
・ベートーヴェン賞:Wataru Hisasue
・ジュニア審査員賞:Ilya Shmukler
・ジュニア審査員奨励賞:Aristo Sham
・ハンガリー放送芸術団体賞:Ilya Shmukler
・ハンガリー特別賞パフォーマンス:Laura Mota Pello
・ティボー・フレイ財団賞(3,000 CHF 相当):Daumants Liepins
・ブルガリア国立放送交響楽団特別賞:Dmitry Yudin
・ホルテンス・アンダ特別賞:Laura Mota Pello/Valentin Malinin
優勝・入賞者のみなさん、おめでとうございます!ロシア勢の活躍が目立つ大会になりました。
ロシア出身、29歳のIlya Shmuklerさんが優勝という結果になりました。終始安定した演奏を披露してくれました。
2位は同率で、Daumants LiepinsさんとDmitry Yudinが分け合う形となりました。
Yudinさんはモーツァルト2次・セミファイナルのモーツァルトがずっと印象に残っています。フランスものもバルトークの協奏曲も、終始いい演奏でした。
Liepinsさんがここまで評価されているというのが、個人的には勉強になります。
日本から久末航さんが、主要と思われる特別賞:リスト・バルトーク賞、そしてベートーヴェン賞を見事受賞!!!めちゃくちゃ私服で登壇されていました笑。おめでたい限りです。
その他、特別賞がたくさん設けられており、若手育成に注力している大会なんだと感じました。
さて、開催期間後にぼちぼち更新していく形でしたが、お付き合いいただきありがとうございました。どうしても優勝者などは耳に入ってしまっていたので、先入観を排除するためにもライブで付いていきたいですね。
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