こんにちは。いりこです。
9月16日(火)東京オペラシティ コンサートホールにて行われた、イェフィム・ブロンフマン(ピアノ)のソロ公演に行ってきました!
公演に行かれた方とも、行かれてない方とも、この感動を共有できたら嬉しいです。
イェフィム・ブロンフマン(ピアノ)
【公式HP】https://yefim-bronfman.com/
圧倒的なスケール、ピアノの限界を引き出すような強靭なタッチで数々の名録音を残してきた大巨匠!そんな大巨匠をソロで楽しめる贅沢な機会!!日本では10年ぶりとのこと!!!
最初に知ったのは、ラフマニノフのピアノ協奏曲3番の「大カデンツァ」の動画。ピアノが割れんばかりに鳴っているのが動画越しにも伝わってきて、鳥肌モノです。(公式動画ではないのでご紹介は控えます、、、ぜひ検索してみてください)
一方で筆者のお気に入りの演奏は、ショスタコーヴィチが息子マクシムの誕生日(と言っても19歳)に作曲した「ピアノ協奏曲第2番」。おもちゃ箱のように底抜けに明るい両端楽章で、余裕しゃくしゃくで圧倒的な精密度を誇る演奏で、こちらも別角度で圧巻!
プログラム/チケット情報
公演情報:ジャパン・アーツ
2025年9月16日(火) 19:00開演 東京オペラシティ コンサートホール
プログラム
- シューマン:アラベスク ハ長調 Op. 18
- ブラームス:ピアノソナタ第3番 ヘ短調 Op. 5
- ドビュッシー:映像 第2集
第1曲「葉陰をもれる鐘の音」
第2曲「しかも月は廃寺に落ちる」
第3曲「金色の魚」 - プロコフィエフ:ピアノソナタ第7番 「戦争ソナタ」変ロ長調 Op.83
10年ぶりとなる日本でのソロ公演!
シューマン、ドビュッシーの色彩豊かな小品から、ブラームス、プロコフィエフの重量級ソナタまで、ブロンフマンのピアニズムを隅から隅まで楽しめる贅沢なプログラム!
チケット
正面席:7,000円
バルコニー席:5,000円
シューマン:アラベスク ハ長調 Op. 18
「なめらかプリン」最初に浮かんだ印象はそんな感じ。
ピアノって打鍵楽器なので、基本的に音と音の間には隙間ができてしまいますし、逆に音が重なると濁ってしまうか、ですね。
ところがこの「アラベスク」では、それらを感じさせないほどのレガートが徹底されていました。ピアノではあまり耳にしないなめらかさに鳥肌が立っていました。
ブラームス:ピアノソナタ第3番 ヘ短調 Op. 5
まあさすがに、昔の映像の印象で、この演奏にもド迫力な構造物を期待していた筆者がお門違いでした、笑。
しかし!アラベスクで聴かせてくれた抒情性こそ巨匠たるゆえん!!
特に2楽章で聴かせたカンタービレはとにかく優しい、、、包み込むような大きな音楽性を感じました。もちろん、筆者が聴き方を間違えていただけで、全体を通しても満足度の高いブラームスでした。
ドビュッシー:映像 第2集
第1曲「葉陰をもれる鐘の音」
第2曲「しかも月は廃寺に落ちる」
第3曲「金色の魚」
このコンサートで最も印象に残ったのがドビュッシー。
弱音で和音を積み上げるのってとても難しいですよね。ほんのわずかな粗さが目立ちやすいものですが、冒頭のシューマンで見せたあの滑らかさをそのまま生かしていました。
なんというか、1つの鍵盤を押すだけで、音量バランスが完璧に調節された和音が出力される仕組みみたいな、あるいは、筆やスポンジで鍵盤をポンポン叩いているような、なんとも一体感のある音。結果として音が一体化し、いい意味で平面的なまでに滑らか、まさに音による「絵画」「映像」的な美しさを感じました。
実は後半のプログラム、予定されていたチャイコフスキーのソナタから演目が変わりました。プロコフィエフはもちろん、「この曲を演奏したかったんじゃないか」と思わせるほど圧倒的な完成度でした。
ブロンフマンにはドビュッシーなんかの印象が全くなかったのですが、これを聴くと「前奏曲集」なんかを弾いたら素晴らしいんだろうなと妄想。
プロコフィエフ:ピアノソナタ第7番 「戦争ソナタ」変ロ長調 Op.83
さてプロコフィエフ、ブラームスの時点で「少し聴き方を変えなきゃな」と思っていたろころ、これがすごかった!
コンクールでもよくチャレンジされることの多いですが、鋭い和声とリズムはくせ者で、特に3楽章はテンポやリズムが崩壊してしまう演奏も少なくない難曲です。
ところがどっこい、ブラームスから、そしてドビュッシーから人が変わったような生命力。鋭いタッチと抜群のリズム感に推進され、密かに期待していた豪音もズシンとホールに響き、「これでこそブロンフマン」と言える堂々たる演奏でした。日本でこの瞬間に立ち会えたのは、本当に貴重な経験です!
アンコール:贅沢に3曲も!
- チャイコフスキー:「四季」より10月
- ラフマニノフ:10の前奏曲 Op.23-5
- リスト:パガニーニ大練習曲 第2曲「オクターブ」
そしてアンコールは3曲。大巨匠でありながら、惜しみなく披露してくれました。
まずはチャイコフスキー。プロコフィエフで会場が最高潮に達した後にこれを弾かれては、もう敵いません。。。一気に引き込まれました。
続くラフマニノフは、筆者がよく聴いていた曲!生で聴くのは初めてでしたが、かっこよかったですね!でもやっぱり高音が浮いている感じがするのは席が悪いのかな?
そしてリスト。パガニーニ大練習曲は、3番「ラ・カンパネラ」や6番「主題と変奏」がよく取り上げられますが、今日は2番!CD以外で聴いたのは初めてで(コンクールなどでもほぼ聴かない)、個人的には子供の頃「超絶技巧練習曲」に夢中になっていた思い出も蘇り、胸熱でした。高速パッセージが鮮やか過ぎて、鍵盤表面の埃をスッと払っているだけのように見えました笑。
さいごに
シューマンの繊細なレガートに始まり、ブラームスの抒情、ドビュッシーの映像美、プロコフィエフの迫力へと至る構成。最後に華やかなアンコールで締めくくられた、まさに贅沢な時間でした。
こんな時間を過ごせたのも、日本では10年ぶり、しかもこの1公演のみと、めちゃくちゃ貴重な経験ができました。
空席が目立っていたのが少し残念、平日だし連休明けですしね。。。
ソロでも協奏曲でも、次の機会を逃したくないピアニストとなりました。
コメント