【2023.3.15】井上道義×九州交響楽団 定期公演感想 @福岡シンフォニーホール

コンサート日記
https://www.acros.or.jp/events/13234.html
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こんにちは。いりこです。
3月15日(水)アクロス福岡シンフォニーホールにて行われた、井上道義(指揮)、九州交響楽団の公演に行ってきました。

公演に行かれた方とも、行かれてない方とも、感動を共有できたら嬉しいです。

シンフォニーホールが入る「アクロス福岡」。天神駅直結で徒歩5分。

プログラム、チケット情報

▼九州交響楽団 公式HP
https://www.acros.or.jp/events/13234.html

2023年3月15日(水) 19:00 開演  アクロス福岡シンフォニーホール 

プログラム 

ショスタコーヴィチ:

  • ロシアとキルギスの主題による序曲 Op.15
  • ジャズ組曲第1番
  • 交響曲第12番 ニ短調「1917年」 Op.112

急遽参戦。予習する余裕がなかった私にはハードルの高いプログラム。
後述しますが、指揮者の井上さんも「珍しいプログラムを集めた、今日来たみなさんは得をした」とおっしゃってました。なので楽しみ方としては正解でした。

チケット 

S席:5,300円
A席:4,400円
B席:3,300円

ロシアとキルギスの主題による序曲 Op.15

オープニングにふさわしい壮大・スペクタクルな序曲でした。

この後の漫談で井上さんがおっしゃっていたことで、本日のプログラムは演奏会で取り上げられることの少ない曲目ばかりだそうですが、それが不思議なくらい求心力のある曲だったなという印象です。

タイトルのとおり、ロシアとキルギスの民謡3つの旋律がもとになっているそうです。
いわゆる民族的な響きをもちながら、舞曲のリズム感に引っ張られながら展開し、そしてなんといってもロシア音楽は「宇宙」が頭をよぎるほどの広大さを感じます。映画音楽と言われても違和感がありません。

ショスタコーヴィチ(1906-1975)と言えば、時期的も場所的にも政治と切り離せないところがありますが、この作品は晩年(1963)の作品ということもあり、純粋に「音楽」を楽しめる作品なんじゃないかなと思います。ヘビロテ確定です。

ジャズ組曲第1番

この曲は大規模なオーケストラ演奏ではなく、ピアノにコントラバス、少数の弦楽器や管楽器隊と、お酒を片手に聴きたくなる編成。
なかでもバンジョーやハワイアンギターなど、クラシックではめったに登場しない楽器もありました。

この配置換えの間を、指揮者井上さんが漫談でつないでくれました笑。
御年76歳とは思えないお元気なお声で(もちろん指揮姿も)面白かったです。

第1番、おしゃれというより哀愁漂うゆったりしたワルツ。ただ軽快さは一貫して流れており、自然と体が動いてしまいました。有名な「ワルツ第2番(舞台管弦楽のための組曲第1番)」に若干似ています。が、少人数編成のためか哀愁強めでいい曲でした。

第2番、ニューイヤーコンサートにでも出てきそうな軽快なポルカ。ただこれも少人数でジャズバンド風で洒脱というか、やはりお酒を手に持ちたくなりました笑。

第3番、フォックストロットという社交ダンスの舞曲だそうです。組曲中最も大規模(といっても4分ほど)で、しっかりと4拍子が刻まれる、なんとも妖艶な曲です。お待ちかねのハワイアンギターも登場し、初めて聴きましたが「あ、絶対これがハワイアンギターだ!」と分かりました。

交響曲第12番 ニ短調「1917年」 Op.112

先ほどの漫談(漫談なのか?)で、井上さんがこの交響曲にも言及されていました。具体的に1917年「十月革命」を扱った標題音楽。今日では、ショスタコーヴィチの交響曲のなかでも演奏機会の少ない曲になったそうです。

各楽章にもタイトルがついています。
第1楽章:革命のペテログラード
第2楽章:ラズリフ(ロシア語で「氾濫・洪水」の意で、ペテログラード北部の湖の名前で、レーニンはラズリフ湖のほとりで革命の計画を練ったとされる)
第3楽章:アヴローラ(巡洋艦アヴローラの砲撃を合図に革命が始まったとされる)
第4楽章:人類の夜明け

第1楽章冒頭に低音で提示されるほの暗い【第1主題】と、その後これまた低音で提示されるが穏やかな【第2主題】が全楽章を通じて登場し、物語の一貫性が保たれています。また各楽章間は切れ目なく演奏されます。そして1楽章最後の最後、【ミ♭シ♭ド】というモチーフが、ピチカートで不気味にそろっと出てきます。これも全楽章通して登場する重要なモチーフです。

曲想は重たいばかりでなく「英雄譚」的なかっこよさもあり、特に最終楽章にて、1楽章からずっとながれる【第1・第2主題】、【ミ♭シ♭ド】の3音モチーフが複雑に入り組み展開・炸裂していく様子には圧巻で、瞬きするのを忘れていました。

世界史には明るくないのですが、この革命は「成功」したんでしょうね。少なくともショスタコーヴィチはそのように描いているように感じます。

さいごに

井上道義さんは、映像も含めて初めて拝見しましたが、こんなマイナープログラムを持ってくる人とは思えないほど(笑)、聴衆の熱狂がすごく、とても大人気指揮者なんだと感じました。

そして、音楽界でも時にロシア音楽が特別扱いを受ける中、オールロシアンプログラムはとても興味深いものとなりました。

またショスタコーヴィチという作曲家を理解するうえでも、政治的側面とは切り離せないことを再認識しました。少しずつお勉強です。「ロシア」という国を理解するのにいい契機としなければならないと感じています。

とはいえ、音楽は音楽。裏にどれだけのメッセージが詰まっていようとも、予備知識がない中で楽しめる音楽を生み出してくれたショスタコーヴィチの才能には驚くばかりです。単純に音楽だけで楽しめた公演となりました。

ところで、みなさんは、どうやってクラシックのコンサート情報を集めてらっしゃいますか?
自分で調べてみて、情報集めるのに一苦労でした。お知恵があればお教えいただきたいです!

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