こんにちは。いりこです。
6月23日(金)熊本県立劇場にて行われた、樫本 大進(ヴァイオリン)、山田 和樹(指揮)、バーミンガム市交響楽団の公演に行ってきました。
公演に行かれた方とも、行かれてない方とも、感動を共有できたら嬉しいです。
樫本 大進×山田 和樹×バーミンガム市交響楽団
樫本 大進(ヴァイオリン)
本日のソリスト。
世界一のオーケストラ;ベルリンフィルでコンサートマスターを務めており、数々のコンサート優勝歴をお持ちです。
▼ベルリンフィルHP – メンバー
https://www.berliner-philharmoniker.de/en/about-us/orchestra/musicians/
山田 和樹(指揮)×バーミンガム市交響楽団
指揮者ヤマカズさんも、日本を代表する指揮者。
先日は読売日本交響楽団で指揮されているのを見に行きました。
2023年4月から、このバーミンガム市交響楽団の首席指揮者に就任したということで、今回の来日ツアーなんだと思います。
1920年の発足時の初演では、プログラムにもあるエルガーが指揮し、またかつてはサー・サイモン・ラトルが首席指揮者を務めるなど、イギリスを代表するオーケストラのようです。
↓山田 和樹×読売交響楽団(pf: ポゴレリチ)の感想はこちら。
プログラム/チケット情報
2023年6月23日(金) 19:00開演 熊本県立劇場コンサートホール
プログラム
- ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77
- エルガー:交響曲第1番 変イ長調 Op.55
ヴァイオリン協奏曲には一時期ハマったことがあり、
またブラームスがマイブームだったこともあり、
このブラームスのヴァイオリン協奏曲がお目当てです。
エルガーの2番は、
同じくイギリスの名士;ラトルとロンドン響の公演で「はじめまして」しました。
1番の方が有名みたいですね(今回も初見)。
なお数日後にチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲も見に行く予定です♪
↓こちらもよかったらご覧くださいませ。
↓エルガー:交響曲第2番(ラトル×ロンドン響)はこちら
チケット
SS席:12,000円
S席 :10,000円
A席 :8,000円
B席 :6,000円
地方公演だと若干安くなるのがありがたいところ。
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77
この曲は私が、ブラームス、そしてヴァイオリン協奏曲というジャンルに興味を持つきっかけとなった曲です。
ヴァイオリンを弾いたことがなく、細部まで理解できないのが悔しいですが、特に3楽章の熱情的なヴァイオリンソロには痺れるばかりです。
第1楽章、
ニ長調の穏やかなユニゾンから、この楽章で繰り返される主題が提示されます。
うん、もうオケが上手でした!チェロ、ヴィオラの低音が温かい。
突如力強い短調の挿入、すぐニ長調に戻り華々しい幕開け。
開始1分でもうかっこいい!ずっと語れます。
ピアノ協奏曲もそうですが、
ブラームスの協奏曲はオーケストラだけで完結しそうな重厚感があります。
このオーケストラに埋もれないためには、
ソリストにもかなりの度量が求められることは想像に難くありません。
そしてもちろん、心をえぐるようなロマンチックも満載!
ヴァイオリンの音色っていいですよね。
ピアノのような鍵盤楽器と比べて不安定さを内包し、ビブラートの揺れや弦と弓の摩擦音など、より人間臭いというか、心がダイレクトに震える感じ。
特に高音の擦り切れそうな、絞り出すような音には官能すら覚えます。
この楽章は伸びやかな旋律も多いので、ヴァイオリンの魅力を存分に味わえます。
そして初めて生でヴァイオリン協奏曲を聴いたのですが、よくあんな小さな楽器で渡り合えるなあと、感心してしまいました。
第2楽章、
出だしのオーボエがやっぱりよかったですね。
ヴァイオリニストのサラサーテが「オーボエが旋律を奏でて聴衆を魅了しているというのに、自分がヴァイオリンを持ってぼんやりそれを眺めていることに我慢がならない」と語ったと言われる魅惑的な旋律(Wikipedia)だそうです。
美しい中にも、特に中間部などは物憂げな切なさも感じます。
第3楽章、この曲を初めて聴いたときに印象に残ったのはこの楽章です。
まず出だしから、
熱情的な3度重音のソロヴァイオリンに、
下から突き上げたりトレモロしたりトリルしたりと奔放なオケの伴奏。
「どんな伴奏!?」と千鳥ばりにツッコミたくなります、
笑いすら起こるほど独特、でもめちゃくちゃかっこいい不思議。
終始駆け巡る付点のリズムやら細かい音符の上に、情熱的で、やはり時に切ないメロディが歌われます。
コーダ(終結部)は一転、行進曲風のがっちりとしたリズムの上に、
ヴァイオリンが第1主題を変奏して歌い、次第に高潮、力強く華々しく幕を閉じます。
「のだめ」の映画では、水川あさみさん演じる三木清良がコンクールで演奏していましたね。
情熱的な赤のドレス姿が美しく、ストーリーもこの曲ともマッチしていて好きなシーンでした。
エルガー:交響曲第1番 変イ長調 Op.55
バーミンガム響の故郷イギリスを代表するクラシック作曲家、エルガーの交響曲です。
以前聴いた第2番が、初演の反応がイマイチだったのに対し、
この1番は概ね好評だったようで、演奏機会も多いとのことです。
一言でいうと「気品」「気高さ」をまとったステキな曲でした。ちょっと長いけど。
第1楽章から、のっそりとした足音が印象的。
その上に、全楽章通して重要な主題が真っ先に提示されます。そして大合奏。
いきなり「大サビ」をどかんと持ってくるあたり、ものすごい自信と風格を感じます。
どこか儚げなメロディーラインもポイントです。
(4楽章クライマックスでも登場し、これがまた鳥肌モノなので、
今日はここだけでも覚えて帰ってください笑。)
第2番のときも感じたのですが、「イギリス」って感じ笑。
「宮殿的」というか「ロイヤル」というか「ドラクエのお城が目に浮かぶ」というか(?)
そういえばエルガーの代表作に「威風堂々」がありましたね。
交響曲2つにも全く同じ趣を感じます。
一転して不思議な空間へ連れ出されます。
時折挿入される、魔法のような映画音楽のような響きも特徴的です。
これもホグワーツが目に浮かぶというか(?)
この2つ世界を行ったり来たり、最後は風雅な第1主題が静かに流れ終わります。
第2楽章、
早めのアレグロで、
短調で好戦的な行進曲テーマと、長調で伸びやかなテーマが入り混じる楽章。
聴き手もどちらに身をゆだねていいものか分からないうちに、切れ目なく3楽章へ突入。
2~3楽章がアタッカ(切れ目なし)というのも珍しい気がします。
生で見て気付いたのですが、2・3楽章では時折コンサートマスター(コンマス)がソロを奏でます。
彼の音のなんと艶やかなこと!協奏曲とか聴いてみたいですね。
↓彼かな?
CBSO HP – ABOUT US
https://cbso.co.uk/profile/eugene-tzikindelean
第3楽章、これがもう珠玉のバラード(アダージョ)。
不穏さが解決されない2楽章から引き継いだ悶々とした気持ちを抱えながらも
ただひたすらに美しい楽章。
どこかで寂しげなのは、衰退しつつあるイギリスにあって、
かつて誇った栄華に想いを馳せてるのでしょうか。
勝手にカズオイシグロさんの本を思い出していました。
コンマスのヴァイオリンソロも多めに出てきて感動。
チェロソロのパートも登場しました。
弦楽器は合奏と独奏で、全く音色が変わるのが面白い発見でした。
ビブラートの揺れの感じとか。
第4楽章、
またまた不穏な立ち上がり、この曲はどこに向かうんでしょうか。
そんな心配をよそに加速していき、
「ラッ ソッ ファッ ミファミッ レッ ミッ ファッ ソッ ラッ シ♭ッ ラソラー」
という元気な主題が。ちょっとださかっこいい笑。
これが大合奏にまで発展し、激上します。
そしてこの楽章のコーダ(終結部)では、
第1楽章初っ端に登場した、あの堂々たるモチーフが盛大に回帰。
この楽章に入ってからもちょこちょこ顔は見せていたんですけどね。
50分近い時間を経て、大手を振って圧巻の再登場です。
こういった、楽章をまたいで統一を図ろうという手法を「循環形式」というそうです。
とくにロマン派以降の交響曲ではよく使われているとか。ブラームスとかフランクとか。
改めてこの手法の良さは、
「大冒険の末、世界を一周し、ようやく出発地まで戻ってきた」
という達成感を、楽団そして会場のみなさんで味わえることでしょうか。
とくに長いですからねこの曲は笑。達成感がハンパなかったです。
アンコール
- ウォルトン:映画「スピットファイア」より 前奏曲
オケのアンコールは初体験でした。
知らない曲だったのですが、前曲同様の風格を感じましたので、エルガーのピースなのかなと思いきや、イギリスの作曲家ウォルトンによる映画音楽。
迫力あり気品あり!もうこれ以上食べられないの満足感!感動した!!
映画音楽と並んでも遜色ないエルガーのスケールの大きさを改めて感じた瞬間でもありました。
さいごに
長々と書いてしまいましたが、お読みいただきありがとうございました。
初めてのヴァイオリン協奏曲でしたが想像より良かったです。
あんな小さな楽器でオケと渡り合う姿はとてもかっこよかったです。
エルガーもよかったですね。少し勉強して聴いた甲斐がありました。
ところで、みなさんは、どうやってクラシックのコンサート情報を集めてらっしゃいますか?
自分で調べてみて、情報集めるのに一苦労でした。お知恵があればお教えいただきたいです!
なお数日後にチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲も見に行く予定です♪
↓こちらもよかったらご覧くださいませ。
↓エルガー;交響曲第2番(ラトル×ロンドン響)の感想はこちら
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