こんにちは。いりこです。
1月14日(土)すみだトリフォニーホール(東京)にて行われたネルソン・ゲルナー(ピアノ)、高関健(指揮)新日本フィルの公演に行ってきました。
公演に行かれた方とも、行かれてない方とも、感動を共有できたら嬉しいです。
プログラム、チケット情報
▼新日本フィル 公式HP
https://www.njp.or.jp/concerts/230114
2023年1月14日(土) 14:00 開演 すみだトリフォニーホール 大ホール
プログラム
- ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 Op.83
- ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 Op.90
今回の公演は、まずこのプログラムにときめきました。
私いりこ的ブラームスランキングで1・2位を争う2曲で構成された、つまりベストオブベストな、わたし得のプログラムです。
「これは演奏者が誰であれ聴きに行こう!」とも思っていましたが、ゲルナーと高関健さんのコンビ。期待が高まります。
チケット
一般:S席4,500円/A席2,000円
シルバー(65歳以上):S席3,500円/A席 –
学生:S席2,000円/A席1,000円
墨田区在住・勤および賛助会員:S席3,000円/A席1,500円
ネルソン・ゲルナー
アルゼンチン出身で、アルゼンチンといえばアルゲリッチですが、彼女から奨学金を授かり、ジュネーブへ留学、名門ジュネーヴ国際コンクールで優勝という経歴の持ち主です。
ゲルナーを初めて認識したのは、昨年コンサート情報を探していた際に、「あれ、ショパンコンクールの審査員でこんな名前を聞いた気がする、、、」と思い出したのが最初でした。それからちょこちょこ聴き始めました。
ショパン、ベートーヴェン、リスト、ブラームス、ドビュッシーほか、レパートリーは多岐に渡ります。
タイミングがいいことに、スペイン出身の知人からアルベニスの「イベリア」をおすすめされ、何かよさげな録音はないかと探していたところ、ゲルナーの2021年録音を見つけ、運命を感じたことを覚えています。
彼自身スペイン語話者で、スペイン出身アルベニス最晩年の、スペインを題材にしたピアノ曲集には強い関心があったようです。この話は別の機会に。
ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 Op.83
「”クラシック音楽”だなぁ」
というのが、この曲を初めて聴いたときの感想です。
変ロ長調のオシャレな響き、ブラームス全開の重厚感・格調、そして温かくロマンチックなメロディの数々。ベートーヴェンの5番「皇帝」を受け継ぐ「”新”皇帝」のような立ち居振る舞いが目に浮かびます。
という訳で大好きな曲です。生で演奏を聴くのは初めてでした。
まず、出だしのホルンのなんと温かいこと。もう鳥肌モノです。
ゲルナーの演奏は、1楽章、イメージよりも硬派でかっちりとした演奏。楽章が進むにつれて彼の魅力が大きくなり、2楽章スケルツォでの獰猛さ、3楽章の牧歌的な温かさ、終楽章の軽妙洒脱さと、曲の良さを無理なく拡張して届けてくれていたなという印象です。終楽章はノンペダルでコロコロ鳴らすところがたくさんあるのですが、粒揃いで軽やかで、洒脱な音を連発してくれました。
この曲はとにかく難しいそうで、技術的に苦労が見える演奏も少なくないですが、ゲルナーはその辺りの小事は意に介さない次元で演奏されていました。
またこの曲の特徴で、オケとソロ(ピアノ)がほとんど同列で、合いの手を入れ合ったり一緒に前進したりするのですが、どちらかの音量が浮かないバランス感覚で、デリカシーが行き届いてました。
そしていつも思うが、弱音の鳴り方がすごい。。。ネルソンの場合は、すぐそこで人知れず音が鳴ってるような感覚でした。
「え、いま脳に直接語り掛けられている??」みたいな(分かりづらい)
個人的に生で聴く醍醐味だなあと学習してきました。
録音のイメージとも割と違っていたので、そこも生で聴くおもしろさです。
、、、それにしても、難しそうな曲です。
楽譜・演奏姿を見て初めて気付くような、パッと一聴しただけでは聞き流しそうなところに、技術的な難所が溢れています。いちいち重音だったりオクターブだったり跳躍だったり。。。しかしそれらテクニカルな面が浮いておらず、その効果がすべて楽曲の重層性を強化することだけに寄与している感じがして、だからこそこれほどスケールの大きな作品になっているんだなあと感じます。
そしてそうした難所をさらりとなぎ倒し、かつ音色や豊かなニュアンスで曲の良さを表現しているゲルナーはやっぱりすごいなあと思いました(小並感)。あっという間の50分間でした。
アンコール曲
- ショパン:ノクターン第20番 嬰ハ短調 遺作
すごい!序奏が終わって1音目「♪ソ#~」がすごかった!以上(笑)
スコーンと撃ち抜かれました。
ゲルナーはたしかノクターン集も録音されていたので、聴いてみよう。
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 Op.90
ヘ長調なのに冒頭からヘ短調を投げつけられる、でお馴染みの交響曲3番。
第1・第2楽章はどこか翳りを抱えたまま進み、第3・第4楽章にいたっては基本的に短調。第4楽章では激烈なクライマックスを2度突きつけられることになります。そして最後に1楽章の主題(穏やかバージョン)が登場、回想シーンで幕を引くという、輪廻転生とか還暦とかが連想される循環形式の曲です。
先月のティーレマンの爆速演奏が頭から離れていなかったため、「普通の」テンポがものすごく重々しく感じられました。「そうそうこれこれ!」と思ったり、なんだか物足りなく感じたり笑。。。
そして協奏曲もそうでしたが、ブラームスの曲を聴くと、演奏者がどうとかよりもブラームスのすごさを感じずにはいられません。
非常の統一感のある曲ですが、演奏時間も比較的短く、各楽章のキャラクターも際立ってとても聴きやすい曲です。また聴けてよかったです。
さいごに
東京は雨でしたが、そんな重たい空気を蹴散らすわけでなく、寄り添ってくれるプログラムとなり、いつも以上に曲が身に沁みました。
長々と書いてしまいましたが、お読みいただきありがとうございました。
この4カ月できる限り買いあさったチケットがなくなってきました。寂しい。。。もっといろんなホールでいろんな演奏者のいろんな曲を聴いてみたいです。
ところで、みなさんは、どうやってクラシックのコンサート情報を集めてらっしゃいますか?
自分で調べてみて、情報集めるのに一苦労でした。お知恵があればお教えいただきたいです!
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