2021年ショパンコンクールを振り返る(更新中)~ブルース・リウ/ガジェヴ/反田恭平/ガルシア・ガルシア/小林愛実/クシュリク/アルメリーニ/ジュン・リ・ブイ/ラオ・ハオ~

ショパン国際ピアノコンクール
©︎W. Grzędziński / The Fryderyk Chopin Institute
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こんにちは。いりこです。

2025年、いよいよ第19回ショパン国際コンクールが動き始めました!
4月23日からはワルシャワで予備予選が開始、応募総数642名から、書類・音源審査を通過した164名が参加し、80名程度まで絞られます。

そんな世界最高峰のピアノコンクール、2025年本大会が待ちきれませんので、過去の大会を振り返ってみたいと思います。

前回というか初回は「2010年、第16回大会がどれだけ贅沢だったのかを改めて実感しよう」という趣旨で入賞者の演奏を聞いてみました。上位陣にはアヴデーエワゲニューシャストリフォノフらが名を連ねるハイレベルな大会でした。

今回は、直近2021年、第18回大会を振り返っていきます。
未曽有のパンデミックによる1年の延期を経て、世界中のピアノファン待望のなか開催された大会です。

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2021年ショパンコンクールを振り返る

ポーランド、ワルシャワで5年に1度行われる「ショパン国際ピアノコンクール」
言わずと知れた世界一のピアノコンクールですが、2021年はコロナにより1年延期されての開催でした。

入賞者は以下のとおり。

第1位:ブルース・(シャオユー)・リウ(24歳、カナダ)
第2位:反田 恭平(27歳、日本)
    アレクサンダー・ガジェヴ(26歳、イタリア/スロベニア)【ソナタ賞】
第3位:マルティン・ガルシア・ガルシア(24歳、スペイン)【コンチェルト賞】
第4位:小林 愛実(26歳、日本)
    ヤクブ・クシュリク(24歳、ポーランド)【マズルカ賞】
第5位:レオノーラ・アルメリーニ(29歳、イタリア)
第6位:J J ジュン・リ・ブイ(17歳、カナダ)
番外編(ファイナリスト):ラオ・ハオ(17歳、中国)

なんといっても日本から反田・小林が2人も入賞!
そして反田は、内田光子以来の日本人最高位タイとなり、
さらにその後、反田小林はご結婚され話題となりました。

コロナ禍の鬱憤もあってか、優勝したブルース・リウ、2位反田、3位のガルシア、5位のアルメリーニと、明るい音楽性をもつピアニストが多い印象。

キャリア・年齢的にも中堅というか、安定していてレベルの高い大会でしたね、こうみると。また他のコンクールを見ていると、やはりこの大会のレベルの高さに着地するようになった気がします。

第4位:ヤクブ・クシュリク(24歳、ポーランド)

この記事を書くにあたって6位から聴いているのですが、ダントツでひじょ~に安定しています。特別賞の【マズルカ最優秀演奏賞】を受賞しています。

柔らかい包容力のある音色、安定した技術、クセも少なく安心して聴ける感じです。

地元ポーランドの大声援もありましたが、それを抜きにしても、音色の美しさ、安定した技術、大曲や舞曲で見せる深い音楽性、すべてが武器になるピアニストだと感じました。ほんとにただただCD録音を聴いているみたい。ピアノソナタ3番、協奏曲まで乗りこなしており、器の大きさも感じます。

その分やや引っ掛かりがない印象もありますが、補って余りある安定感だと思います。

その後、2024年モントリオール国際音楽コンクールでも演奏を聴く機会があり、入賞こそ逃しましたがファイナリスト6名に残りました。個人的には上位4人には入っていたと思います。

ショパンコンクールの入賞者でさえ、他のコンクールで予選落ちすることが多いなか、コンスタントに演奏の質を保てている安定感を感じます。

クシュリクのおすすめ曲

  • ポロネーズ第5番

割と全部の演奏が好きだったので迷いますが。

この男性的で悲劇的な大曲を、繊細かつ明瞭な音色で弾きこなしている感じが、ショパンの二面性をドンピシャで表現しているように思います。そして中間部のマズルカでは、マズルカ賞受賞の実力が遺憾なく発揮されていて、涙なしでは聴けません。。。

▼2021年ショパンコンクール録音 – クシュリク:ポロネーズ第5番

▼YouTubeプレイリスト – 2021年ショパンコンクール全曲(クシュリク)
※第2ラウンド:「ワルツOp34-3」と「バラード2番」が入れ替わってるので注意!

第5位:レオノーラ・アルメリーニ(29歳、イタリア)

全体的におおらか、豊かな歌心で、細部や粗さなんかも包み込んでしまう演奏スタイル。

最初に印象に残ったのが第1ラウンドの「エチュードOp.10-4」、めちゃ速くてびっくりしましたけど、破綻なく焦燥感が全面に出た演奏でおもしろいです。

第2ラウンドのワルツもよかった。
1曲目知らない!と思ったら、1840年に作曲されてなんと115年後の1955年に出版された遺作「ソステヌート」、2分ちょっとのかわいらしい曲でした。その後の「ワルツ2番」はツヤッツヤ!

そして大曲でも妙に説得力があります。音が飛んだり濁ったりしますが、それ以上に、一瞬一瞬の音楽の喜びみたいなものが伝わってきます。技術的にもしっかりしているからこそでしょうね。とはいえ、大雑把感は否めないところも。

アルメリーニのおすすめ曲

  • マズルカ Op.41

第3ラウンドの「マズルカOp.41」の選曲は大正解だったんじゃないでしょうか。

比較的聴くことの少ない作品だと思いますが、明暗入り混じる、うねりのある曲が並ぶ作品です。舞踏性よりも感情面で、こちらの感情も一緒に連れて行かてしまうような、彼女の表現力がいかんなく乗り移っていたと思います。

▼2021年ショパンコンクール録音 – アルメリーニ:マズルカ Op.41-4

▼YouTubeプレイリスト – 2021年ショパンコンクール全曲(アルメリーニ)

ピアノコンクールを観てみよう

と、上位入賞者だけを見てみてもおもしろいピアノコンクール。

これほど数多くのピアニストが一堂に会し、プログラム規定により同じ曲が演奏されることも多いので聴き比べができるのがコンクールの楽しみ方だと感じます。いわば日本酒飲み比べみたいな感じですね。

また、これまで聴いたことのない若い才能に惚れ込み、そのピアニストが上位入賞でもしたときには、こちらの喜びもひとしおというわけです。そして5年に1度というオリンピックをも凌ぐ開催間隔の広さに、期待も一挙に高まった状態で開催されるのもおもしろいです。

時差の関係で、あと単純に全て追いかけるのは時間的に厳しいですが、本選からでもぜひ一緒にトライしてみましょう!

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