【2026.1.25】ラファウ・ブレハッチ 公演感想 @所沢市民文化センター ミューズ アークホール

コンサート日記
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こんにちは。いりこです。
1月25日(日)所沢市民文化センター ミューズ アークホール(埼玉県)にて行われたラファウ・ブレハッチのピアノソロ公演に行ってきました。

公演に行かれた方とも、行かれてない方とも、この感動を共有できたら嬉しいです。

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2005年ショパンコンクール第1位 ラファウ・ブレハッチ

2005年、第15回ショパン国際コンクールで第1位を獲得したポーランド人ピアニスト。そして同時に「マズルカ賞」、「ポロネーズ賞」、「コンチェルト賞」、「ソナタ賞」を総なめ!

2000年のユンディ・リ、2010年のアヴデーエワ、2015年のチョ・ソンジン、2021年のブルース・リウでも、特別賞をすべて受賞した方はいません。

演奏は、まずテクニックがピカイチなのはもちろん、要所で繰り出される力強さ(ポロネーズ集なんて圧巻!)、そして甘々過ぎない絶妙なロマンチシズム。一言でいうと“完璧”

ハードル爆上げで臨んだ2023年の川崎公演では、その期待を軽々超えたものすごい体験。
まず姿勢がよくて見た目にエレガント!これ意外と大事で、圧倒的な余裕と貫禄を感じます。
そしてポーンとすごい速度で飛んでくる音、体を貫かれたような体感でした。そして音源顔負けの正確度。筆者のなかではツィメルマンの次の世代の「王道」ピアニストです。

▼前回の公演記事はこちら
【2023.2.27】ラファウ・ブレハッチ 公演感想 @ミューザ川崎シンフォニーホール

▼公式HP
https://blechacz.net/en-home
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https://www.facebook.com/rafalblechacz

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その他、ショパンに限らずハズレのない録音が並びます。

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プログラム/チケット情報

公演情報:所沢市民文化センター ミューズ

2026年1月25日(日) 14:00開演
所沢市民文化センター ミューズ アークホール(埼玉県)

プログラム

  • ベートーヴェン:ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 Op.27-2「月光」
  • シューベルト:4つの即興曲 Op.90 D 899
    第1番 ハ短調/第2番 変ホ長調/第3番変ト長調/第4番 変イ長調
  • ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
  • ショパン:バラード 第3番 変イ長調 Op.47
  • ショパン:3つのマズルカ Op.50
    第1番 ト長調/第2番 変イ長調/第3番 嬰ハ短調
  • ショパン:スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39

彼の好きなところの一つ、こんなに経歴キラキラで本格的なピアニストなのに、誰もが知っている「月光ソナタ」を組み入れてくれるなど、かなり接しやすいプログラムを組んでくれています。

2023年川崎公演ではトルコ行進曲や英雄ポロネーズから、マズルカやシマノフスキなど、バランスが最高でしたね。

今回も、最新譜で取り組んでいるマズルカを入れてくれましたし、ショパンも多めで嬉しいです。穏やかなバラード3番と劇的なスケルツォ3番の聴き比べも楽しみです。

そしてシューベルトの即興曲!奇しくも2025年11月ツィマーマンとの新旧(最大限の尊敬をもって)筆者の憧れ王道ピアニストの贅沢な聴き比べが叶います。

チケット

S席:4,700円
A席:3,800円

なんだか毎回所沢公演だけ破格ですよね。ありがたい。

ベートーヴェン:ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 Op.27-2「月光」

さてさて、ピアノ学習者であれば一度は憧れるであろう、そして8番「悲愴」、23番「熱情」と並べられることもある超々有名ソナタです。

第1楽章、例えば8小節目のメロディーの「シ」を鳴らしていたのがはじめのファーストびっくり笑、たしかに右手が9度だし、親指を連続で押さなきゃいけないからナイスアイディア。第2楽章メヌエットも相変わらずの気品。ここまではブレハッチらしい、暗闇に浮かび上がるような佇まいの美しさが際立っていましたし、優しく軽やかな音色は健在だなあと感じました。

一方で、第3楽章は少し意外な印象。柔らかい音(会場のせいもあるのか?)が、ぼやけて聞こえました。この楽章は、個人的にはもう少しパキッとしたタッチの方が好み。それに加えて、テンポの揺らし方やトリルの扱いも独特で、音価よりやや短くつんのめりに聴こえる場面もあり、もう少し端正なイメージだったけどなあと少し驚きのある演奏でした。

シューベルト:4つの即興曲 Op.90 D 899第1番 ハ短調/第2番 変ホ長調/第3番変ト長調/第4番 変イ長調

すこーしだけ拍子抜けした「月光」から一変、
こちらはねー、改めて天才だなと思いましたねー。

シューベルト特有の、息の長い歌のような旋律。その下で音数の多いパッセージが続く曲が多いこの4曲。

まずはその伴奏。羽毛のように柔らかい音の塊が、ブレハッチの音を吸い込みながら、どんどん体積を増していき、じわーっと耳の中で膨らんで沁みてくるような感覚。

そして伴奏が膨張していき、旋律が控えめな場面でも、旋律だけは真っ先にくっきりと飛んでくるんですよねー。ほんとうにどういう仕組みなのか分からない

更に言うなら旋律が別立てで鳴っているように聴こえるんですよね。「後から別で収録して合成した」と言われても納得しそうなくらい(もちろん良い意味で)。

第1番の最後、ハ長調の静かな和音3つ。これが3つとも「正解」すぎるんですよねえ。さすがの再現度。

全体的にテンポはかなり速め。特に第2番は速い速い笑。
速めな印象は以前からありましたが、今回は全体通してかなり顕著でした。それでも破綻なく弾けてしまうのが凄いんですけど。
主部のスケールは本当に一面のシルクの布のように滑らかで柔らかい、ずっと触っていたい笑。一方中間部など、劇的な部分では一転してアグレッシブ。この振れ幅の広さは、やはりブレハッチならでは。

そして第3番、冒頭で書いた羽毛のような柔らかい塊が体の中で膨張していくような、、、ついでに中から涙腺も刺激されるような。。。。。ただただ美しい

第4番、こちらも結構容赦ない圧迫感でしたが、その中に浮かび上がる歌謡のような旋律の安息、そして細かい伴奏パッセージの膨張とのバランスが絶妙。アルペジオの頭を強調して、手も大きく振りかざしていたのが、なんだかかわいかったです(「月光」3楽章でも見られました)。

とっても大雑把に見るとツィメルマンに近い系統を改めて感じました。
ロマンティックさをテンポの揺れで表現するのではなく、むしろ無駄を削ぎ落とし、とっとと終わらせたいのかというくらいさっぱりと、しかし音色や素材そのもので表現するアプローチ。このアプローチで勝負できるピアニストは、やっぱりかっこいいですね。

ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 Op.60ショパン:バラード 第3番 変イ長調 Op.47

休憩をはさみ、後半はショパン一色。

舟歌のコーダ、そしてバラード第3番のコーダ直前の盛り上がる激しい部分〜コーダ。一部、少しおざなりというか、どうにも走りがちな印象がありました。

が、気になったのはここくらい、それ以外は、完璧以上

舟唄の録音は全体的にそこまでハマらなかったのですが、今回の実演は、冒頭から映像作品を見ているような心地よさ。左手のゴンドラ・波がもう本当に体が揺られているような威力でしたし、主部の終わりで天に向かって消えていくような上昇する和音。。。あれ、どうしたらあんな優しい和音が鳴らせるのだろう。。。

んー、あと中間部は少しもやもやっとしてたかな。

バラード3番は初めて聴きましたが、やはり素敵。弱音がねー、やっぱり一流のピアニストは違いますよねー。

ただこちらも後半がテンション上がりすぎなような気も。

ショパン:3つのマズルカ Op.50第1番 ト長調/第2番 変イ長調/第3番 嬰ハ短調

こちらがねーー。個人的には本日2つ目のハイライトでした。

マズルカは、ショパンの故郷ポーランドの民族舞踊で、3拍子。
1拍目にアクセントが来るワルツと違って2・3拍目にアクセントが置かれるため、より民族的・土着的といいますか、躍動的なダンスが目に浮かびます。
ショパンは生涯50曲以上書いていて、生前とうとう帰国が叶わなかった祖国の音楽を発信し続けると同時に、日記のような作品だと言われています。
ショパンコンクールでも課題曲に指定され、特別賞「マズルカ賞」が設置されていることから、ショパンの音楽を語るうえで不可欠なジャンルです。

このOp.50もいいですよねー。過渡期らしく、終わり方が曖昧だし、期待される音に着地しない感じも、不気味な浮遊感につながります。

ブレハッチの佇まいのエレガントさは繰り返し書いているところですが、結構腕を振りかざすんですよね。ただ、その振りかぶったところと、音の密度や強さが一致しないことも多々あって、そこがまた不気味さを演出しているように感じます。特にマズルカでそれが印象的でした。

どういう原理・ルールで腕が動いているんだろう、、、謎めいた雰囲気に引き込まれます。

それからペダルを踏むときの足音も、マズルカでは特徴的に響いていました。

そういった演奏姿や足音が楽しめるのも、生コンサートの醍醐味ですよね。

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ショパン:スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39

さて本日最後の締め。

これを聴いて、ここまでのつんのめり感も、あくまで意図的なんだと感じました。

ここまでに反して、基本的にはゆったりめのテンポ。

しかし、例えばA部の締めの部分、左手がオクターブで上がってくる前後の部分、「ここまで一息でいってしまいたい」という感じ。左手オクターブのまさに直前の休符、一般的にはそこで溜めて次の小説から一気に上がってくる演奏が多いイメージですが、息をつく暇もない切迫感がありました(ピアノ学習者が同じことしたら怒られそうです)。

しかしあの連続オクターブをしっかり繰り出せるのは単純にすごいですし、コーダでの落差のあるデュナーミク、つんざくような高音は印象的でした。

アンコール曲

  • ベートーヴェン:ピアノソナタ第2番 イ長調 Op.2-2 より 第3楽章
  • ショパン:24の前奏曲 Op.28 より 第7曲 イ長調

アンコールは2曲。1曲目は思い出すのにすごく苦労した、ベートーヴェン初期のピアノソナタ、しかも3楽章。とっても軽やかでしたし音色も澄んでいて、これこそ腕が飛んだり跳ねたりで視覚的にも楽しい時間でした。

超高速だったのですが、音の粒だちがよく、ピリオドピアノ(古いやつ)かもはらチェンバロのような響きを感じたのが新鮮でした。

個人的には、やっぱりこういう古典的でピュアな音が楽しめるレパートリーが好きだなあ。。。月光もショパンの大曲もいいんだけどね。

そして帰りたそうにしながら応えてくれた「太田胃散」笑、会場からも笑いが起こり、にこやかに締まりましたとさ。

▼録音もしてました。ハイドンとモーツァルトだけ覚えてました笑

ブレハッチのおすすめ音源

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それからこのあたりは、ずっとルービンシュタイン盤やポリーニ盤の全集を順繰り聴いていた筆者の、習慣の中に入ってきた【最新決定盤】です。世界が広がったのをよく覚えています。

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さいごに

最後までお読みいただきありがとうございましたm(_ _)m

個人的にはシューベルト「即興曲」と「マズルカ」、そしてアンコールのベートーヴェンがもう絶品でした!お腹いっぱい!!

マズルカでも書きましたが、佇まい・演奏姿がエレガントというだけで推せます。
コンクールを見てると、結構のめり込んだり、顔の表情で表現するピアニストも多いと感じます。

また腕の振りかざしがかっこよかったりかわいらしかったり笑。振りかぶったところと、音の密度や強さが一致しないことも多々あって、そこがまた不気味さを演出しているように感じます。それからペダルを踏むときの足音も、マズルカでは特徴的に響いていました。そういった演奏姿や足音が楽しめるのも、生コンサートの醍醐味です。

演奏は手放しで浸れたわけではない時間もありましたが、やっぱりハマったときの満足感が一際高いのでね、今後も積極的に追いかけて行きたいピアニストです。

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