【2023.2.27】ラファウ・ブレハッチ 公演感想 @ミューザ川崎シンフォニーホール

コンサート日記
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こんにちは。いりこです。
2月27日(月)ミューザ川崎シンフォニーホール(神奈川)にて行われたラファウ・ブレハッチのピアノソロ公演に行ってきました。
2023年冬の日本ツアーは、25日のサントリーホールと本公演の2日のみ!

公演に行かれた方とも、行かれてない方とも、この感動を共有できたら嬉しいです。

JR川崎駅から徒歩5分くらい。ミューザ川崎4階
変わった座席配置。4階まである?

2005年ショパンコンクール第1位 ラファウ・ブレハッチ

2005年、第15回ショパン国際コンクールで第1位を獲得したポーランド人ピアニスト。そしてなんと同時に「マズルカ賞」、「ポロネーズ賞」、「コンチェルト賞」、「ソナタ賞」を総なめにしています!すごい!

2000年のユンディ・リ、2010年のアヴデーエワ、2015年のチョ・ソンジン、2021年のブルース・リウでも、特別賞をすべて受賞した方はいません。

▼公式HP
https://blechacz.net/en-home

▼公式FB
https://www.facebook.com/rafalblechacz

シュッとしたお顔立ちから「ショパンの生まれ変わり」と噂されているとかいないとか。

演奏に関しても、まずテクニックがピカイチなのはもちろん、要所で繰り出される力強さ(ポロネーズ集なんて圧巻!)、そして甘過ぎない絶妙なロマンチシズム。一言でいうと「センスがいい」(笑)。そんな卓越したバランス感覚に鑑みると、「ショパンの生まれ変わり」はあながち嘘じゃないかもと思ってしまいます。

今回は東京・神奈川の2公演のみの来日。これは何としても!
一度は聴いてみたかったピアニストの一人、こんなに早く実現できて何よりです。

繊細そうな感じとか似てなくもない??

プログラム/チケット情報

▼ジャパン・アーツ
https://www.japanarts.co.jp/concert/p2004/

2023年2月27日(月) 19:00 開演  ミューザ川崎シンフォニーホール 

プログラム

  • ショパン:ノクターン ヘ短調 Op.55-1
  • ショパン:4つのマズルカ Op.6
  • ショパン:ポロネーズ 第7番 変イ長調「幻想」 Op.61
  • ショパン:2つのポロネーズ イ長調・ハ短調 Op.40
  • ショパン:ポロネーズ第6番 変イ長調「英雄」 Op.53
  • ドビュッシー:ベルガマスク組曲 (1.前奏曲 2.メヌエット 3.月の光 4.パスピエ)
  • モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調「トルコ行進曲付」K.331
  • シマノフスキ:12の変奏曲 Op.3

ショパンはマズルカありノクターンあり、そしてポロネーズ多め!

彼はドビュッシーもたくさん録音しておりステキですのでこちらも楽しみ。モーツァルトもどうせ素敵なんでしょう。分かります。

シマノフスキはポーランド人作曲家。ツィマーマンも大事にしているレパートリーです。私ははじめましてでしたが、せっかくのポーランド人ピアニストの演奏ですので予習してみました。繊細なニュアンスで展開される変奏曲は、ブレハッチのいろんな音色を楽しめそうです。

チケット

S席:9,000円
A席:7,500円
B席:6,500円
C席:5,000円

全体を通してのブレハッチの魅力

エレガントな弾き姿

まずは1曲目のノクターン。背筋をピンと伸ばし、腰から頭の先まできれいに連動して動く演奏姿は非常に絵になりました。所作ひとつひとつがダイナミックに見えます。こんな曖昧な言葉は使いたくないですが、「オーラ」があるというか、音以外の「圧」をものすごく感じました。

精巧な作り込みとダイナミックな解釈

一音一音どのような音を出そうとしているのかが所作からも伝わってくる、非常な細かい弾き分けをしているのが視覚情報としても聴衆に伝わってきます。
一転、テンポに関しては基本的に走りがちで、それゆえ独特の切迫感が醸造されていると感じます。そして何より音量がすごい。。。波動というか風圧というか、そんなものを終始感じるリサイタルでした。ものすごい体験。。。

盤石なテクニック

そしてこれらを支えているのが完璧なテクニック!速いテンポでも崩壊しないどころか、曲の美しさが保たれているのは、彼のの高いテクニックレベルがあってこそ成せる技だと感じます。

ショパン:ノクターン ヘ短調 Op.55-1

ノクターンと言えばショパン、ショパンといえばノクターンというイメージでしたが、調べてびっくり、「ノクターン」の創始者はジョン・フィールドさんという方で、ショパンはこの影響を受けているそうです(Wikipedia情報)。そうはいっても、質・そして量(全21曲)ともにこのジャンルの人気をここまで押し上げたのはショパンの功績は大きいのでしょう。

このノクターンヘ短調(15番)は、ヘ短調で静かに始まり、変イ長調と行ったり来たりしながら穏やかに進みます。中間部から、ユニゾンの激しい句に主導され緊迫感を高め、ラストでは短調が来るのか長調が来るのかドキドキしながら、結局ヘ長調の滑らかなアルペジオ4連打で優しく終わります。

ブレハッチの演奏ですが、先に書いたとおり、まず一つ一つの所作がエレガントでダイナミック。実は映像を見たことなかったのですが、非常に絵になるピアニストだなあと思いました。

そして、先が心配になるくらいの弱音スタート(笑、この音量の幅でマネジメントできる??)。打鍵音が聞こえたくらい。それでも芯のある硬めの音色が心地よかったです。

中間部、再現部の3連符などはボルテージが瞬時に上がり、そしてまた冷ます。そのコントロールが絶妙でした。恐るべしブレハッチ!

ショパン:4つのマズルカ Op.6

マズルカは、ショパンの故郷ポーランドの民族舞踊で、3拍子。
1拍目にアクセントが来るワルツと違って2・3拍目にアクセントが置かれるため、より民族的・土着的といいますか、躍動的なダンスが目に浮かびます。
ショパンは生涯50曲以上書いていて、生前とうとう帰国が叶わなかった祖国の音楽を発信し続けると同時に、日記のような作品だと言われています。
ショパンコンクールでも課題曲に指定され、特別賞「マズルカ賞」が設置されていることから、ショパンの音楽を語るうえで不可欠なジャンルです。

このマズルカOp.6は、最初に出版された、4曲組のマズルカです。

ブレハッチの演奏姿はダンサブル。祖国の舞曲ということで、舞踏姿がしっかりイメージされているんだなという印象です。「マズルカ」に馴染みがない私にも、「ここでこういう風に身体が動くんだ」ということを教えてくれる演奏でした。

えぐみを感じるほど土臭いリズム感と、洗練された音色というギャップ、これまた新しい体験でした。一生聴いていられるなー。

ショパン:ポロネーズ 第7番 変イ長調「幻想」 Op.61

ポロネーズは、ポーランド起源の舞曲でゆっくりめの堂々とした3拍子、マズルカと並んでショパンの作品の中で重要な位置を占めます。

有名な「英雄ポロネーズ」の「英雄」という呼称はショパンがつけたタイトルではありませんが、この「幻想ポロネーズ」はショパンの楽譜にもそう書いてあり、ポロネーズであり幻想曲でもある曲です。

そして演奏は、、、えぐい。。。。今日初めての大曲。
比較的ポロネーズ感が薄く、幻想曲の側面が大きいこの曲は、複雑なニュアンスが入り組み、自由な形式で展開される難解な曲(聴き始めて間もない頃は、何をしている曲なのかよく分かりませんでした笑)。

ずっと素晴らしかったのですが、最後のコーダにかけて爆走笑。しかしコントロールの効いた爆走。こちらの昂揚感もMAXに。

そして、何か矢でも打たれたような、「スコーン」と抜ける最後の変イ音。ブレハッチも大きく両手を上げてのフィニッシュとなり、視覚的にもパッと明るくなりました。

緻密な作り込みから説得力から迫力から、とにかく圧巻。。。拍手のとき手汗がすごいことに気が付くほどでした。

ショパン:2つのポロネーズ イ長調・ハ短調 Op.40

ここからポロネーズ色が強めの曲が続きます。

3番イ長調は「軍隊」という愛称がついています。
基本的には単純な繰り返しが多い曲なのですが、2回目のリピート部分でほぼ全て弱音という、おちゃめな演奏。

そして勇ましいポロネーズのリズムは圧巻!この曲こんなにかっこいい曲だったんだと再認識させられました。それにしても音がデカい!

そして4番ハ短調は対照的。ポロネーズ形式に仮託して、心の内を吐露するような曲です。
深ーい黒ーい低音の旋律から始まり、2回目で爆発。とにかくデュナーミク(音量)の幅がすごい、、、わざとらしくないのでそれだけ表現の幅に直結しているように感じます。

単純明快で朗々とした3番「軍隊」と、複雑な和声が陰鬱に絡み合うこの4番の対照性が、ブレハッチの演奏でより効果的に引き出されていました。

ショパン:ポロネーズ第6番 変イ長調「英雄」 Op.53

みなさんお待ちかねだったであろう、英雄ポロネーズ。
ここまでの興奮が冷めやらぬ中、ほんとに圧巻のポーランド賛歌を聞かせてくれました。

音源よりも思い切った演奏をしていたな、ということは覚えていますが、正直こまかい記憶がありません笑。ただ素晴らしかったです。

これでショパンは終わり、同時に前半戦終了です。

やばい、演奏に打ちのめされて体力がほぼ残っていません。。。。

ドビュッシー:ベルガマスク組曲 (1.前奏曲 2.メヌエット 3.月の光 4.パスピエ)

後半はライトめで、疲れた(聴いてただけなのに笑。)心身にやさしく響くプログラムでした。

ドビュッシーも早め。夢想的というより、透明で色の少ない水晶みたいなガラス質な演奏という印象でした。特にパスピエなんて聴いたことない超スピード笑。それで一音一音の質を保ち、全体としても統制のとれた演奏をされるのですから、もうひれ伏すしかありません。心配になってすみませんでした。

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モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調「トルコ行進曲付」K.331

モーツァルトは初見。第1楽章は、電話の保留音でよく耳にするメロディーの変奏曲。第3楽章が有名な「トルコ行進曲」です。

変奏曲は、ブレハッチの超多彩な音・表現を楽しめるのでいいなと思いました。ほんとに1音1音が真珠のような、粒のそろったきれいな色をした音たちです。ステキ!

そして、細かいところまで意識が回っているのだなと。いわゆる「ため息」の音型を、スピードのある中で丁寧に処理してありました。それは弾き姿を見て分かったことでもあります。ほんとに絵になる。。。

余談ですが、1楽章でミスタッチがあったことに気付きました。逆に今までミスらしいミスをしていなかったんだということに気付きました。

シマノフスキ:12の変奏曲 Op.3

この曲はプログラムを知ってから聴き始めたのですが、勝手に「人生」を感じました。

ユニゾンで静かに提示される憂鬱なテーマ。落ち込んだり道に迷ったり、時には激高したりと様々な変奏を経て、第9変奏のワルツがミソですね。突如目の前を照らす光が軽快に出現、絢爛な最終変奏に向かい劇的に幕を閉じます。

始めて生で演奏を聴いて、変奏に入ってからもずっと主題が聞こえてきたのが印象に残っています。はじめから最後まで、同一人物の物語として筋が通っていたのだと意識できました。いい曲ですね。

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アンコール曲

  • ショパン:ワルツ第7番 嬰ハ短調 Op.64-2

最後にもう一回ショパンが聴きたいなー

と思っていたところにワルツ!最高!

Aメロの短調で感傷的なマズルカなのに、何だか楽しそうでかわいい。
Bメロ?は再低音の半音下降に重きが置かれた面白い演奏。そして早い笑。

そんなこんなで珠玉の主題を繰り返し、スパっと演奏が終わってしまいました。

さいごに

最後までお読みいただきありがとうございました。

公演から本日の更新まで時間が経ってしまいました。

それは、演奏が衝撃的過ぎて、細かいことを覚えていなかったから笑。
そしてこの感動をうまく文章化できないというのもありました。

個人的には、生で演奏を聴いた衝撃は今までで一番大きく、リピートしたいピアニストの一人となりました。

今回のプログラムはほとんどブレハッチの録音がありますので、みなさんもまずCDで聴いてみていただきたいなと思います!

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