こんにちは。いりこです。
1月8日(日)東京芸術劇場にて行われた、イーヴォ・ポゴレリチ(ピアノ)、山田和樹(指揮)読響の公演に行ってきました。
イーヴォ・ポゴレリチ
お目当ては、ポゴレリチです。
話題に事欠かない方ですが、まず、彼が有名になったエピソードは、ショパンコンクールで落選したこと。
1980年、ポーランド、第10回ショパン国際ピアノコンクールの本選落選、審査員特別賞受賞。これまでのショパン解釈からは到底考えられない彼の演奏は奇抜すぎるとする他審査員に対し、審査員の一人マルタ・アルゲリッチが「彼こそ天才よ」といい、その場から立ち去り抗議。審査員を辞任する騒ぎとなった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%82%B4%E3%83%AC%E3%83%AA%E3%83%81
極端・異端な解釈が繰り広げられますし、 当時はかなり粗削りだ審査員の方も大変ですね。「審査されているのは審査員の方」という感覚だったのかも。「ポゴレリチ事件」とよばれてるそう。
そして2022年、御年60歳を超えてのショパンアルバムでは、若い時の破天荒さとは一味違う、「諦観」のようなものが根底に流れる演奏でした。
今のポゴレリチが、王道中の王道、ラフマニノフの2番をどんな風に演奏するのか、とても楽しみです。
プログラム/チケット情報
▼読響(読売日本交響楽団) 公式HP
https://yomikyo.or.jp/concert/2022/01/254-1.php
2023年1月8日(日) 14:00 開演 東京芸術劇場 コンサートホール
プログラム
- チャイコフスキー:「眠りの森の美女」から ワルツ
- ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 Op.18
- チャイコフスキー:マンフレッド交響曲 Op.58
チケット
S席 7,600円
A席 5,600円
B席 4,600円
C席 4,100円
※団体割引(10人以上)あり。
※学生の方は、開演15分前に残席がある場合のみ¥2000(25歳以下/要学生証)。
チャイコフスキー:「眠りの森の美女」から ワルツ
クリスマスにご紹介した「くるみ割り人形」と並ぶ、チャイコフスキーの3大ワルツの一つ、「眠れる森の美女」から終曲「ワルツ」。
なんといっても、ディズニーアニメでオーロラ姫がそのまま歌っている曲と言ったらお分かりでしょうか。
♪あーなーたーをいつもゆーめにーみてー♪
わくわくする序奏のあと、この甘美なメロディが登場します。
歌曲として作られたようなメロディ、さすがチャイコフスキーといったところです。
演奏会用組曲としては終曲ですが、「これから何か始まる感じ」がすごい出ています。
本日の公演でも、指揮者山田さんが新年の挨拶を一言おっしゃったあと、間髪入れずに「ワルツ」が鳴り始めました。
個人的「新年に聴きたい曲第1位」になりそうです。
なるほど、演奏会の1曲目の重要性がだんだんわかってきました。
そして読響の音なのか、ホールの特性なのか、とてもよく音が飛んできました。今日はいつもに増していい経験ができそう。
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 Op.18
本日のいりこ的メインイベントは、ポゴレリチによる協奏曲です。
ラフマニノフのピアノ協奏曲2番は、日本で最も人気の協奏曲といっていいのではないでしょうか。私のピアノ協奏曲と始めて出会った曲でした。
自信喪失のラフマニノフが返り咲いた、大出世作です。
圧倒的なドラマチック性、特に3楽章の大サビは、クラシックに馴染みのない方にも聴きやすいのではないかと思います。
人気曲だけに、古今東西たくさんのピアニスト・オーケストラによる録音が残っています。
王道中の王道といった曲ですが、円熟の鬼才ポゴレリチがどんな演奏をするのか楽しみです。
ゆっくりとした歩調で登場。御年64歳。すぐさま重苦しい鐘のような序奏が始まります。
序奏で早くも鬼才ポイントその1笑。楽譜では、最弱音からはじまりクレッシェンド(だんだん大きく)する指示があり、ほとんどのピアニストがそれに従っています。
ところがポゴレリチは、クレッシェンド中に減衰し、最後の和音で突然復活。なるほど、やっぱりタダモノじゃない。。。
その後も、一般的にはサラりと弾かれるパッセージを、ポゴレリチは全体的に遅めのテンポで1音1音解体するかのように弾いていきます。
かと思いきや、緩徐楽章の2楽章はスピードアップ。。。いやふつう逆ですやん笑。指揮者もオケも合わせるの大変そう。
この楽章は、ラフマニノフらしい甘美で郷愁ただようメロディが満載なのですが、
「こんなただでさえ甘ったるいメロディを、甘ったるく弾くなんてことできるか」
「人生こんな甘い夢みたいなことは断じて起こらんのだ」
そんな昭和おやじの説教が聞こえてきそうな気分になりました。
しかし説得力が半端なく、ピアノがソロで演奏するカデンツァは圧倒的でした。
(ああ、ソロの公演も聴きたかったなあ。。。と頭をよぎる)
この楽章は柔らかい音色を楽しむ時間だと思っていたのですが、ポゴレリチはメロディラインを乾燥した破裂的な音で強調し、テンポも速いので、とても緊張を強いられました。初めての感覚です。
そして3楽章はまた遅めのテンポですが、ここまで聴いた私は、むしろこのテンポが正解なんじゃないかとすら思って聴いていました。
そして1楽章からずっと、オケがメインで全開のところはピアノの音量を下げているように見えました。調和を意図したものなのか?いちいち気になって仕方がありません笑。
感情移入するというより、ハッとさせられる新発見の連続でした。
破天荒→諦観 からもう一歩進化して、何というか、形容は無理ですね。。ポゴレリチがポゴレリチに向かっていってるって感じです(適当)。
チャイコフスキー:マンフレッド交響曲 Op.58
オケ素人にとっては初対面の曲です。シューマンも「マンフレッド」と名の付く曲を書いていたような?
チャイコフスキーは交響曲第1~6番まで書いていますが、こちらは番号がついていない標題交響曲。映画やRPGのサントラのようなダイナミックな曲です。演奏時間は1時間くらいでしたでしょうか。
サントラだけでも楽しいですが、やはり実際に映画を見たり、RPGをプレイしたりすると何倍も楽しくなるはず!ということでさらっとストーリーを読み、復習しながら書いています。
イングランドの詩人バイロン卿が書いた劇詩『マンフレッド』に基づいており、そのあらすじは
アルプス山脈のユングフラウの城郭を舞台にマンフレッドと魔女、聖霊たちの形而上学的対話が展開される。人間でありながら、神ほどの万能感を獲得したマンフレッドは、愛する人を失うという過去を持つ。その悲痛な記憶を失いたくて、精霊を呼び出して、「忘却」をくれ、と要求する。精霊たちは、それはできないと言う。「獲得」は自由なのに「喪失」は思いのままにならぬと悟ったマンフレッドは、「喪失」の最高形態である「死」の問題に立ち向かうのであった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%89
これハ、私が知ってる日本語と同じ日本語でスカ?マンフレッドさん、頭良すぎるのも生きづらそうですね、、、
苦悩してアルプスをさまようマンフレッドを描く第1楽章、アルプスの妖精があらわれる第2楽章、牧歌の第3楽章、黄泉の国の宴でアスタルテの霊が呼び出され、マンフレッドが死ぬ第4楽章、の全4楽章から構成されます。
https://www.kawasaki-sym-hall.jp/blog/?p=11524
これを読むと少しイメージができるでしょうか。なるほどファンタジー要素も大いに含みます。
初見では、2楽章の終わり、3楽章の穏やかな旋律と、4楽章の劇的なフィナーレが印象的でした。
2楽章は、上の説明では妖精が現れるシーンですが、最後はバイオリン群のピチカートのうえに、不安なバイオリンソロの音が乗っていました。とてもぞわぞわする音でした。。。
3楽章牧歌。この曲中ではやっと一息つけるところです。途中、文字通り、どこからともなく鐘の音が鳴っていました。鐘が止んだ後「あれ、お手洗いから戻ってきたのかな」というパーカッション奏者が舞台袖から入ってきましたので、舞台袖で鳴らしていたのかもしれません。(わかる方教えてください)
4楽章は、とにかくパーカッション群に釘付けでした。とにかくリズムに推進される曲。シンバル+銅鑼でブワぁぁんと鳴らす気合いの入れよう。大太鼓・ティンパニも加わり最大音量!!タンバリン?奏者が槍でも投げているかのような奏法をされていてとてもかっこよかったです。熱演でした。
さいごに
アンコールなんて弾いてくれないだろうなーと思っていましたが、案の定弾いてくれませんでした笑。
挨拶のときも、ピアノの椅子を足で片付けて道を作り笑、なんだか指揮者にも一緒にお辞儀をするように求めていたようにも見えました笑。ポゴレリチはもちろん、山田さんも読響もよくこの怪演に伴走できたなあと思います。あるいはお手の物なのかな?
ワルツもマンフレッド交響曲もとてもいい演奏が聴けました。そういえばオールロシアンでしたね。
長々と書いてしまいましたが、お読みいただきありがとうございました。
ところで、みなさんは、どうやってクラシックのコンサート情報を集めてらっしゃいますか?
自分で調べてみて、情報集めるのに一苦労でした。お知恵があればお教えいただきたいです!
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