【2024.10.9】トロント交響楽団 公演感想 @ロイ・トムソン・ホール(トロント)~ブラームス「交響曲第3番」/モーツァルト「レクイエム」~

コンサート日記
https://www.tso.ca/concerts-and-events/events/saraste-conducts-mozarts-requiem/
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こんにちは。いりこです。

2024年10月9日(水)ロイ・トムソン・ホール(トロント)にて行われた、グスターボ・ヒメノ(指揮)×トロント交響楽団の公演に行ってきました。

▼TTC地下鉄セント・アンドリュー (St Andrew) 駅直結で、CNタワーのすぐ近く

会場にはカナダ出身のピアニスト、グレン・グールドのピアノが置いてあります。
晩年の「ゴルトベルク変奏曲」の収録に使用したそうです!


演奏者

グスターボ・ヒメノ(指揮)×トロント交響楽団

トロント交響楽団と音楽監督グスターボ・ヒメノさん。

ヒメノは名門コンセルトヘボウの首席打楽器奏者の出身で、
指揮者に転向後はオランダを中心に活躍、2020年からトロント交響楽団の音楽監督を務めています。

トロント交響楽団は、かつて小澤征爾さんが指揮したこともある、100年以上の歴史をもつオーケストラ。
トロントという街を体現するかのような、多様な音を持ちながらまとまりのいい音を出す素敵なオケです。

プログラム/チケット情報

2024年10月9日(木) 20:00開演 ロイ・トムソン・ホール(トロント)

プログラム 

  • ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 Op.90
  • モーツァルト:レクイエム K.626

シンプルに2曲。

まずは、ブラームス「交響曲第3番
もっぱらピアノ曲+ピアノ協奏曲にしか興味がなかった筆者が、初めて本格的に好きになった思い出深い交響曲です。公演的にはレクイエムの前座のような扱いかもしれませんが笑、なんとも贅沢な前座ということで筆者得のプログラムです。

そして本公演のメインは、モーツァルト「レクイエム」
下は公演後の写真ですが、舞台裏のクワイヤに合唱団のみなさんが並ぶ景色がすでに圧巻!

通して1時間、合唱団の方を伴って聴ける貴重な機会です。楽しみたいと思います。

ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 Op.90

さて、筆者お気に入りの交響曲。かれこれ3回目となりました。
この曲を聴くと、演奏者がどうとかよりもブラームスのすごさを感じずにはいられません。4楽章通して統一感がありながら、各楽章のキャラクターも際立ってとても聴きやすい曲です。

ブラームスの親友(より深い仲かも)であるクララ・シューマンは「すべての楽章が1つの作品として繋がり、まるで心臓の鼓動のように一体となっています。どの楽章も宝石のように輝いています」と書き送ったそう。まさにそのとおり、筆者が言ったことにできないかな。

またアントニン・ドヴォルザークが次のように評しています。
「私は誇張なしに、この作品が彼の最初の2つの交響曲を超えるものであると言えます。たとえ壮大さや力強さではなくとも、確実にその美しさにおいて。」

・・・

「ヘ長調」交響曲なのに、冒頭2音目からラ♭を投げつけられる。これは「Frei aber froh(自由だが幸福、F-A-F/ファ-ラ(♭)-ファ」という曲全体を通貫しているモットーで、これにより全楽章がまとまっています。

ラ♭で緊張感が一気に高まり、3音目で無事にヘ長調に解放されるですが、この短調の響きが全体に影響し、なんとも複雑な顔をもつ曲になっています。

3・4楽章にいたってはずっと短調。

3楽章は耳に残りますよね、とても郷愁的で訴求力のあるメロディー。

4楽章は打って変わって激情的、焦燥感に駆られるあのフレーズは涙なしには聴けません。しかーし最後の最後、1楽章のメインである穏やかな下降モチーフが登場し、達観すら感じさせるラストを迎えます。あ、同じ曲を聴いてたんだなと理解するわけです。こういう仕掛けも粋です。

▼過去2回のブラームス交響曲3番を聴いた公演はこちら
特にティーレマン×シュターツカペレ・ベルリンの演奏は忘れられません。

▼こちらは、ティレーマンと首席指揮者を務めていたシュターツカペレ・ドレスデンとのライブ音源、おすすめです!


モーツァルト:レクイエム K.626

モーツァルトの作品には、音楽学者ケッヘルさんが、モーツァルト作品を時系列に並べた「ケッヘル番号 (K) 」というものがついており、K.1からK.626までありました(2024年に改訂されました)。

長年その最後: K 626を飾っていたのが、モーツァルトの死によって未完に終わったこの「レクイエム」です。

「レクイエム」は死者の魂の安息を祈るための特別な「ミサ」。。。キリスト教になじみがないと何のこっちゃという感じですが、宗教的な意味を超え芸術作品としてもすばらしく、今回はとても貴重な経験になりました。

同じ写真ですが、まずステージ上の合唱団が整列した姿に圧倒されます。

有名な「怒りの日」の迫力は鳥肌が立ちましたし、「涙の日」での悲痛な響きや、たびたび登場するフーガの荘厳さが特に印象に残っています。

非常に貴重な経験でした。

▼第3曲 ディエス・イレ/怒りの日

▼第8曲 ラクリモーサ/涙の日

さいごに

長々と書いてしまいましたが、お読みいただきありがとうございました。昨年10月のコンサートを、年をまたいで記事に起こすという体たらくぶり(笑)

前回の「展覧会の絵」公演でコンサートの魅力を思い出し、大好きなブラームスにつられてチケットを購入。ブラームスが素晴らしかったのはもちろん、モーツァルトのレクイエムという新たな経験はとても有意義でした。宗教的なパワー、人の声が持つパワーによって充電されて気がします。

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