こんにちは。いりこです。10月9日(金)すみだトリフォニーホールにて行われた、ケヴィン・チェンのピアノリサイタルに行ってきました!
先日の協奏曲に続いて、今度はソロ!ショパン国際コンクールで鳥肌が立った、あのエチュードOp.10を、ついに生で♪
公演に行かれた方とも、行かれてない方とも、この感動を共有できたら嬉しいです♪


2025年ショパンコンクール第2位:ケヴィン・チェン
2005年カナダ・エドモントン生まれ、カルガリー育ちのピアニスト。2021年ブダペスト(リスト)国際、2022年ジュネーブ国際、2023年ルービンシュタイン国際で立て続けに優勝、鳴り物入りで2025年の第19回ショパン国際ピアノコンクールに出場しました。
当時20歳、「どんな若造か、お手並み拝見」と意地悪な目線でみていた筆者でしたが(笑)、前評判に違わぬ圧巻の演奏で終始大会をけん引する姿に、気づけばすっかりファンになっていました。結果は見事、第2位入賞!
なかでも衝撃だったのが、第2ステージで弾いたエチュードOp.10全曲。Op.10-1&2と、Op.25を合わせても上位に入る難曲から始まる鬼畜曲集ですが、これが鮮やか、、、でちょっと、いやかなり速い、、、でも美しい。旋律を浮かばせる余裕があります。いわゆる派手で大衆受けする超絶技巧ではなく、音楽を表現するためというか、弾けちゃうから弾いてるというか、、、楽しいから弾いてるというか笑、本物だなという感じ。個人的には隠れた難曲Op.10-7が鮮やかで、最後の「ドー」で鳥肌が立ちました。
▼ショパンコンクールでのケヴィン・チェンの演奏の感想はこちら(全ステージ)
【2025.10.4】第19回ショパン国際ピアノコンクール 第1ステージ2日目
【2025.10.9】第19回ショパン国際ピアノコンクール 第2ステージ1日目
【2025.10.16】第19回ショパン国際ピアノコンクール 第3ステージ3日目/結果
【2025.10.20】第19回ショパン国際ピアノコンクール ファイナル3日目/最終結果
人柄も魅力的で、Xに流れている告知動画では、日本語の発音もきれいな一面と、何度も撮り直したというおちゃめな一面もあり、愛され属性のピアニストです。
なんでも天才的なケヴィン、実は苦手なものがあります。
— 合同会社ノヴェレッテ(Novellette Artists Management) (@Novellette_Arts) 2026年9月17日
メッセージ動画となると、とても緊張してしまうようで、なんと5回の失敗を経て、やっと成功!
実はこんなNGテイクもありました😂⁰本編とはまた違う、ケヴィンの素顔をどうぞ。… https://t.co/MEcmoB4g0q pic.twitter.com/QWbhqweMyw
▼公式HP
https://www.kevinchenpiano.com/
プログラム/チケット情報

公演情報:すみだトリフォニーホール
2026年10月9日(金) 19:00開演 @すみだトリフォニーホール 大ホール(東京都)
プログラム
- ショパン:3つの新しいエチュード
- ショパン:12のエチュード Op.10
- スクリャービン:24の前奏曲 Op.11 より 第11番 ロ長調
- スクリャービン:幻想曲 ロ短調 Op.28
- スクリャービン:詩曲 Op.72 「焔に向かって」
- リスト:「巡礼の年 第3年」 より 「エステ荘の噴水」
- リスト:交響詩「レ・プレリュード」(ケヴィン・チェンによるピアノソロ版)
ショパンのエチュードで始まり、スクリャービンの3曲、そしてリストの「エステ荘の噴水」と、ケヴィン・チェン自身がピアノソロに編曲した「レ・プレリュード」で締めくくるプログラム。
お目当てはやはりエチュードOp.10!コンクールでのあの鮮やかなエチュードが、生でどう響くのか、楽しみでなりません。それから「エステ荘の噴水」は個人的にあこがれの曲、ケヴィン君のあの極上の音での演奏は合うだろうなぁ。。。
チケット
S席:6,500円
A席:5,500円
B席:4,500円
※すみだトリフォニーホール大ホールは、1階29列目から後ろが上の2階席と被るので、音響を気にされる方はご参考に。
ショパン:3つの新しいエチュード
相変わらず大スターとは思えないほど照れくさそうに登壇、笑
椅子に着いてからは(意外と)時間を取るタイプ。えらいもので会場のみなさん引き込まれて、ぎゅっとなる時間。
そして遺作のエチュード、Op.10/25とは打って変わって静かでシンプルな小品。これがね、、、メロディラインだけ別撮りってくらいくっきり聞こえてくるんですね。左手の伴奏もどうやったらあんな抑えた音を続けられるんだろうか。
ショパン:12のエチュード Op.10
そしてお目当て、エチュードOp.10。
第1番ハ長調。右手が鍵盤の端から端まで広いアルペジオで駆けまわる曲集屈指の難曲ですが、これが爽やかでしたね!単にショパンのハ長調が好きってのもありますけど。風が吹いてくる感じではないんですけど(それでもかなり速いんだけど)、どちらかというと流体とか布のような連綿としたつながりを感じる演奏!相変わらずお見事!!
そしてコンクールで一際衝撃だった第2番、これ、、、楽譜を見たことない人は、右手は半音階だけ弾いてると思うんじゃないかな笑。右手の弱い指(3・4・5の指)で半音階を弾きながら、残りの指で和音も押さえるという右手フル稼働の鬼の練習曲なんですけどね。この曲に関してはとにかく速いだけであっぱれなんですが、すごいのがその余裕、無理がない。一音一音が細かくコントロールされてて、半音階は優しくつながりのある音、右手と左手のスタッカートは優しく軽やかに、それをあのスピードで体現してる、、、人間離れとはこのことかと。。。
超難曲が続いたあとの第3番「別れの曲」は、シンプルに美しい。余計な味付けはなし。メロディの感傷を通り越して、音色と曲の美しさに、芸術作品として感心してしまうような演奏でした。全ピアノ学習者がまずここを目指すべきだと感じるほど。
「黒鍵」は彼にしてはテンポを揺らして、洒脱な左手のメロディラインを楽しんでるのが伝わってきて、こういう幅もあるんだと、、、
第7番、これが筆者のお気に入り。冒頭で「隠れた難曲」と書いた1曲で、これも右手は絶えず同音連打してる鬼のような曲なんですけどね。おしゃれな半音階なりでハ長調とは思えない曲を楽しそうに弾いていてこちらまで心が揺さぶられました。ポリーニ盤ですら「速いのに完璧!」と思ったのに、、、
第8番、これは特にコンクールでよく聞く曲ですが、数々の猛者たちを軽々と超えるような爆速、笑。そんな高速の右手は“おまけ”とばかりに、左手のアーティキュレーションがかなりはっきりと弾き分けられていたのがこの人のすごいところ。かなり高い視座から全体が見えてるんだろうな、そして全体見渡して「ここにちょっと差し色いれたら締まるんじゃない?」みたいな感覚があるんじゃないかな。同じ音形が続きやすいエチュードでも新鮮にきけるトリックの一つなのかなと思ったり。
ヘ短調の第9番。最後の右手オクターブ、低い方で鳴らしたりで一気に暗闇が濃くなり、そして最後の音、今日イチの吸い込まれる漆黒の弱音、、、
第10番、主題の2巡目に入るところのミ♭で、「こっから下メロディ行くよー」というさりげないけど強いサインを感じて印象的でした。
両手でハープのような幅広い分散和音を鳴らし続ける第11番。チャンネルの切り替えがすごいですね、どこがメロディかがほんとに目に見えてはっきりわかる、でも悪目立ちしない。あの大量で広範の分散和音のなかで、二重唱が浮かび上がるなんて、、、どうやってんの?
そしてラスト「革命」、これは、笑、笑いが出るくらい速い笑。体感1分未満笑。もうすごいが続きすぎて笑っちゃいます。タイムアタックしてるのか笑笑
全12曲を通して、速弾きだけど聴いてて疲れない。「ほんとはこれが作曲家がイメージしてた指定速度ですよ?」と言わんばかり、自然なんですよね。いや、それだけで特徴と言えるくらい速いんですけどね???本人が楽しそうだし鳴ってる音も美しいし、いっか!と丸く収めちゃうケヴィンくん。
不思議というか形容し難いのが、庶民的でもあり上品でもある、そのバランスも聴きやすい要因ですよね。
あとは、誰も真似できない芸当なのに、誰もがここを目指すべき終着点のような気さえしてくる、王道の極致のようなとこにいますね。(テンション上がってるのでこれくらい書かせてください、笑)
このエチュードOp.10全曲は、コンクールのライブ盤で聴けます(おすすめ音源で紹介しています)。
スクリャービン:24の前奏曲 Op.11 より 第11番 ロ長調/幻想曲 ロ短調 Op.28/詩曲 Op.72 「焔に向かって」
- 24の前奏曲 Op.11 より 第11番 ロ長調
- 幻想曲 ロ短調 Op.28
- 詩曲 Op.72 「焔に向かって」
休憩を挟んで、後半はスクリャービンとリスト。まずはスクリャービンの3曲。
スクリャービンの「幻想曲」。コンクールでよく聴きますけど、こんなに立体的な曲だったかと。結構横に流れる、それこそ“幻想”的な演奏が多いイメージですけども。彼の演奏はすごくすんなり入ってきました。そしてショパンでは見せなかったスケール感!彼に唯一ケチをつけるとしたらダイナミックさかなあ、なんて思っていた矢先にでした。ほんとに手のひらで転がされています笑。
そしてスクリャービン最晩年の「焔に向かって」。暗く静かな和音のうごめきから、曲全体がひとつの長い盛り上がりになっていく曲です。印象的な動機から、細かいゆらゆらしたトレモロで大きな炎になっていく、その盛り上がりが見事でした。リストの「鬼火」とかも聴いてみたいな。
リスト:「巡礼の年 第3年」 より 「エステ荘の噴水」/交響詩「レ・プレリュード」(ケヴィン・チェンによるピアノソロ版)
- 「巡礼の年 第3年」 より 「エステ荘の噴水」
- 交響詩「レ・プレリュード」(ケヴィン・チェンによるピアノソロ版)
さてさてリスト。彼はリストコンクールの覇者でもありますからね。まず、筆者のあこがれの曲「エステ荘の噴水」から。
実は運良くエステ荘に足を運んだことがありますので、そのうち記事にもしたいところです。
そしてこれが、、、今日イチの興奮でした!!!噴水通り越して大海原の水量を感じる時間、水族館で四方八方水に囲まれる時間。ピアノって一音一音「打鍵」しないといけないので途切れるのが当たり前なんですけども、本当に彼の音は流体。そして何ですか、あの高音の極上の弱音は、、、終始鳥肌立ちっぱなしですごい体験でした。
炎からの水、正反対の2曲でしたが、どちらも映像力がすごいというか、自然に近い表現力というか。
締めくくりは、ケヴィン・チェン自身がピアノソロに編曲した交響詩「レ・プレリュード」。これもなんか目の錯覚が起きるくらい、手の動きと耳に入る音が全く合わない時間がたくさんありました。一体楽譜は何段あるんだ。
アンコール
- ショパン:華麗なる大円舞曲 Op.18
- ショパン(リスト編):6つのポーランドの歌 S.480 より 第2番「春」
- リスト:忘れられたワルツ 第1番
なんとアンコールは3曲!
一曲目は華麗なる大円舞曲。これね、コンクールでも弾いてましたけども、上手な人のワルツっていいんですよね。同音連打も多かったり地味に忙しい曲ですがまったく余裕を持って、ダンスミュージックというよりは上品な小品、デザートのような口触り。すばらしい。
ケヴィン・チェンのおすすめ音源
ショパン:エチュードOp.10・ピアノ協奏曲第1番(2025年ショパンコンクール・ライブ盤)
今回弾いたエチュードOp.10全曲は、2025年ショパンコンクール第2ステージのライブ録音で聴けます。ショパン研究所のレーベルから出ている2枚組で、ファイナルのピアノ協奏曲第1番も入っています。
配信でも聴けます。Amazon Musicならここからそのまま試聴できます。
このライブ盤は、Amazon Music Unlimitedなら2枚組まるごと聴き放題。1億曲以上が聴けて、無料体験から始められます。
新規登録なら最初の30日間が無料で、そのあとは月額1,080円(プライム会員)/1,180円(通常)です。
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Spotify・Apple Musicでも配信されています 👉 Spotifyで聴く/Apple Musicで聴く
※Amazon Musicをはじめ各音楽配信サービスの料金・音質の比較はこちらの記事でまとめています。
リスト:ノルマの回想(2023年ルービンシュタイン・コンクール)
2023年のルービンシュタイン国際ピアノコンクール第1ステージの映像が、コンクール公式のYouTubeチャンネルで見られます。下の動画は、ノルマの回想の始まり(23分22秒)から再生されます。
さいごに
最後までお読みいただきありがとうございました。
改めて「やっぱり本物だ」と。
これはほんとに、この人の演奏を生で聴いときながら優勝させなかったショパンコンクール、これでよかったのか?次回からその権威を疑ってしまいそうですよ??
まず技術面だけ取り出しても、最近は技術面が上がってきたという声も聞く中で「超絶技巧」売りのピアニストが霞むくらいの技術力ですよ。
それに加えて音楽性も深い。確かにドラマチック性とか、「人生観」みたいな凄みを感じるタイプではないですけれども(まだお若いですし)、シンプルな味付けで作品そのものの美しさをダイレクトに伝えてくれる、昨今珍しい古き良きアプローチだと思います。
そしてシンプル故に無限の可能性も感じ、前回の協奏曲含め、よりのびのびと演奏してくれる機会がどんどん増えて行くんじゃないかなと思います。
今は録音はまだないようですが、バロックから近代ものまで、きっと何を弾いても決定盤になるんだろうな!
▼10月3日の東京交響楽団との協奏曲の感想はこちら
▼ケヴィン・チェンの来日公演の日程は、こちらにまとめています。
【2026年10月時点】おすすめ中のおすすめ!注目のクラシックコンサート(ケヴィン・チェン)
▼今回のプログラムを予習したり、いろんなピアニストの演奏を聴き比べたいときは、音楽サブスクがとっても便利。料金・音質・使い勝手を比較しました。
▼当ブログでは「お金と時間さえあれば漏れなく行きたい!」と思うコンサートをまとめています。






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