こんにちは。いりこです。
2月18日(土)上野学園ホール(広島)にて行われたブルース・リウのピアノソロ公演に行ってきました。
本公演がブルース・リウ 2023年日本ツアー初日になるようです!
公演に行かれた方とも、行かれてない方とも、この感動を共有できたら嬉しいです。
2021年ショパンコンクール第1位 ブルース(シャオユー)・リウ
2021年、第18回ショパン国際コンクールで第1位を獲得、ただいま激アツのピアニスト。中国系フランス生まれカナダ育ちということで、今どき「○○人」という括りは機能しなくなっているのかもしれませんね。
▼公式HP
https://www.bruce-liu.com/
▼公式FB
https://www.instagram.com/bruceliupiano/
最近投稿されたブルース・リウ meet ブルース・リーの銅像。なんでも「ブルース」は最近つけたファーストネームで、ブルース・リーから取られたとのこと。
コンクールを見ていると、正統派でありながら独特の味がある演奏スタイル。何となくですが(しっかり前置き)、これまでのショパンコンクール優勝者とは違う印象。明るい音色が特徴的です。
パンデミックの中、コンクールも1年延期されて、彼のような明るい音色のピアニストを、社会が求めていたということなのかもしれません。
コンクールの選曲でも、明るい趣の「スケルツォ4番」「マズルカ風ロンド」「アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ」「ワルツ5番」などがよく似合っていました。
そして何より!!!
「ラ・チ・ダレム(モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニの『お手をどうぞ』による変奏曲)」が素晴らしかったですね!
私が初対面だったのはもちろん(笑)、録音もそこまで多くないのでおそらくマイナー曲、それを大事な3次予選のフィナーレにぶっ込んでくるあたり、やっぱりスターピアニストだなという感じです。
あれだけの説得力と演奏技術でバリバリ弾かれると、我々庶民はひれ伏すしかありません笑。
歴史的にも、名ピアニストによって知名度を上げる「隠れた名曲」はたくさんありましたからね。
それを目の当たりにした感覚になりました。
今回の日本ツアーはどうも都合がつきそうになかったのですが、ラ・チ・ダレムは1回生で聴いてみたいなと思い、参加することにしました。
プログラム/チケット情報
▼広島 公式HP
https://www.home-tv.co.jp/event/2023_bruceliu-2-2-2/
2023年2月18日(土) 14:00 開演 上野学園ホール(広島)
プログラム
- ラモー:クラヴサンのための小品(クラヴサン曲集、新クラヴサン組曲集より)
優しい嘆き/一つ目の巨人/2つのメヌエット/未開人/雌鶏/ガヴォットと6つの変奏 - ショパン:モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」の”お手をどうぞ”の主題による変奏曲 変ロ長調 Op.2
- ショパン:ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35 「葬送」
- ショパン:3つの新練習曲
- リスト:ドン・ジョヴァンニの回想 S.418
ショパンコンクール出身者ってだけでショパン弾かされそうですが、ショパン以外の作品も弾いてくれるようでうれしい。リストの「ドン・ジョバンニ」パラフレーズまで!
ラモーはクープランの後輩(?)、バッハとタメくらいのバロック時代のフランス人音楽家。リウはシングル第2弾としてラモーの優しい嘆きをリリースしています。
チケット
S席:7,000円
A席:6,000円
ラモー:クラヴサンのための小品(クラヴサン曲集、新クラヴサン組曲集より)
優しい嘆き/一つ目の巨人/2つのメヌエット/未開人/雌鶏/ガヴォットと6つの変奏
リウの「優しい嘆き」は予習していきましたが、一音目から、え、音が近い!私は2階で聴いていたのですが、もうすぐ目の前で演奏してくれているかのような感覚。もちろん、大きな音で演奏しているわけではないんですけどね。生演奏はいつも新しい発見がありおもしろいです。
フレンチバロックには全く明るくないのですが、古風な中にも斬新な色彩を宿す曲がリウの演奏とよく合っている気がしました。
「めんどり」はそのまま「めんどり」でした笑。標題音楽×バロック音楽というのも個人的には新鮮。
最後のガヴォットと6つの変奏なんかはものすごくかっこいい曲で、バリバリと演奏する姿と音色に釘付けでした。
ショパン:モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」の”お手をどうぞ”の主題による変奏曲 変ロ長調 Op.2
本日のいりこ的メインイベント。すっかりリウの代名詞として認識しています。
ショパン青年17歳、オリジナルはピアノとオーケストラのための作品で、こちらも違った趣があります。とくに各変奏の間奏(リトルネッロというらしい)がオケで演奏されるため、メリハリが効いて聴きやすいのと、最後の第6変奏ポロネーズではオケと堂々とした雰囲気がとても魅力的です。ぜひこちらも聴いてみてください。
話をリウの演奏に戻しますと、2曲目にして最高でした!
コンペティションの音源以来はじめて聴く演奏でしたが、そのときよりものびのびと、遊び心を持った演奏でした。そして演奏もパワーアップというか、どんどんテンポが上がっていき、第4変奏の跳躍、コーダの高速パッセージは聴いてるこっちがヒヤヒヤ、、、そんな心配はよそに華麗に弾いてくれました。
会場からは歓声が上がり(ほんとはまだダメなんですが)、みなさんがこの曲を待ち望んでいたことが伝わってきました!いい瞬間でしたね。
ショパン:ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35 「葬送」
こちらもコンペティションのときに演奏された曲。ただ、この後に演奏されたラ・チ・ダレム変奏曲に全部持っていかれた感じがあり、正直印象に残っていませんでしたが笑、やはり素晴らしい演奏でした。
1.2楽章は割と楽勝に弾いており、やはり彼のメカニックレベルの高さを痛感しました。
ただお疲れなのか若干集中力が切れ気味?、、、もともとミスタッチの多いピアノストではありますが。
3楽章は葬送行進曲、最初に「正統派」という形容をしましたが、そうそう、結構独特なパッセージ処理をするんだった、と思い出しました。緩徐楽章は人によって違いが出ておもしろいですね。
ショパン:3つの新練習曲
マズルカやワルツ、この曲もしかり、小曲にこそショパンの魅力が詰まっていると感じるオイラです()。それを魅力的に演奏してくれるピアニストはやっぱり「センスがいいんだなあ」と思います(感想薄い)。
コンサート直後のプライズウィナーズコンサートで、優勝者は協奏曲を演奏するのですが、そのアンコールでのワルツ5番がとてもステキだったのをよく覚えています。技巧派の彼はとても簡単そうに弾くのでびっくり。
過去の話が長くなりましたが、哀愁深い1番、繊細な移ろいを見せる2番、そして快活な3拍子3番、切れ目なく、どれもステキに弾いてくれました。
そして再び切れ目なく、リストへ続きました。
リスト:ドン・ジョヴァンニの回想 S.418
こちらはリストによるドン・ジョヴァンニのパラフレーズ(アレンジ)で、「お手をどうぞ」以外の旋律も引用されています。曲想はというと、リスト全開で跳躍・オクターブ・重音に高速パッセージと、超絶技巧のオンパレード。非常に演奏会向きで華やかな曲です。ひそかにリウのリストは1番の楽しみでした。
いやもう、すごかったです!ショパンの楽曲では物足りなかったのではないかと思うばかりの、ものすごい指の動き、ものすごい音量。どの音源よりも鬼気迫る圧巻のパフォーマンス!
彼のヴィルトゥオーゾ・アクセル全開でものすごくスリリングでした。音楽性や音色だけでも素晴らしいピアニストなんですが、こういった超絶技巧全開の演奏をもっと聴いてみたいなあと思います。
そして今日から彼のあだ名は「ドン・ジョバンニのお兄さん」です。
アンコール曲
- バッハ:フランス組曲第5番アルマンド
- ショパン:練習曲「黒鍵」 Op.10-5
- ショパン:3つのエコセーズ Op.72-3
鳴りやまないカーテンコールでの拍手に、贅沢に3曲もアンコールに応えてくれました!バッハのフランス組曲の音源はリリースされています。
3曲目になると、「何を弾こうか」と頭をポリポリ笑、そして弾き終えると、「飛行機(?)があるからもう寝る💤」というジェスチャーを笑。お茶目な一面を見せてくれました。
それもそのはず、調べると2日前(2/16)には香港公演、そして翌日(2/19)には北海道で公演、その後も日本各地でツアーと、鬼のようなスケジュールを送っています。売れっ子は大変です。。。少しのミスは大目に見るべきですね、それ以上の経験を与えてくれたのですから。
ということで、アンコールまで華麗に舞い続けてくれたのでした。
さいごに
リウさながら、私いりこも弾丸スケジュールで参加しましたが、久々のピアノソロ公演ということで、興奮冷めやらぬブログ執筆となりました。
知ってる曲ばかりで、またしても長々と書いてしまいました。お読みいただきありがとうございます。
ところで、みなさんは、どうやってクラシックのコンサート情報を集めてらっしゃいますか?
自分で調べてみて、情報集めるのに一苦労でした。お知恵があればお教えいただきたいです!
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