【2024.6.1】第16回ゲザ・アンダ国際ピアノコンクール 第1ラウンド 3日目/結果

geza-anda-concours-2024 ゲザ・アンダ
https://geza-anda.ch/concours-2024/
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こんにちは。いりこです。

5月30日、ゲザ・アンダ国際ピアノコンクールが開催されます。

モントリオール国際音楽コンクールに続いて、早くも今月2つめのコンクール。の予定でしたが、記事公開が開催期間に間に合いませんでした、、、ライブ感は味わえませんが、細々と更新していきますので、気長にお付き合いいただけると嬉しく思います。

第1ラウンド最終日は、ケイト・リウ(Kate Liu, アメリカ)イ・ヒョク(Lee Hyuk、韓国)ミハイル・ブジン(Mikhail Bouzine、ロシア)に注目したいと思います。

コンクール概要

公式HP(英語・フランス語・ドイツ語):https://geza-anda.ch/concours-2024/
公式YouTube:https://www.youtube.com/c/ConcoursGezaAndaZurich

開催地 チューリッヒ(スイス)

開催期間 2025年5月30日(木)~ 6月8日(土)

20世紀を代表するピアニスト、アンダ・ゲーザの名を冠した国際ピアノコンクール。筆者が見てきた中でも、課題曲が細かく指定されているのが印象的。そのためモーツァルト、ベートーヴェン、リスト・バルトークなど作曲家ごとに特別賞が設けられています。ファイナルの協奏曲の選択肢も7曲のみ、さらに指定のアンコール曲が課され、さらにさらに、そのアンコール曲の作曲者、細川氏が審査員に名を連ねるなどの特徴があります。審査員にはアルゲリッチ、また協奏曲では指揮者としてプレトニョフヤルヴィ、オケにはトーンハレ管弦楽団を迎えるなど、コンテスタントにとって貴重な機会になること間違いなしです。

スケジュール

第1ラウンド(36名):2024年5月30日(木)~ 6月1日(土)
5月30日(木)11:00(日本時間 18:00), 14:30(21:30), 17:15(翌0:15)
5月31日(金)11:00(日本時間 18:00), 14:30(21:30), 17:15(翌0:15)
6月1日(土)11:00(日本時間 18:00), 14:30(21:30), 17:15(翌0:15)

第2ラウンド(12名):2024年6月3日(月)~ 4日(火)

モーツァルト・セミファイナル(6名):2024年6月5日(水)~ 6日(木)

ファイナル(3名):2024年6月8日(水)

プログラム

第1ラウンド(36名)

演奏時間25分程度、以下のリストから順番に演奏すること

パート1:以下のソナタ1つまたは平均律クラヴィーア曲集第2巻の前奏曲とフーガから1つのいずれか
Domenico Scarlatti/スカルラッティ
Sonata in D minor, K 1 (L.366)
Sonata in D minor, K 9 (L.413)
Sonata in E major, K 20 (L.375)
Sonata in B minor, K 87 (L.33)
Sonata in D major, K 214 (L.165)
Sonata in E major, K 380 (L.23)
Sonata in F minor, K 519 (L.475)

パート2:以下のソナタから3つ(→当日演奏するのは1つ)
Ludwig van Beethoven/ベートーヴェン
Sonata No. 1 in F minor, Op. 2,1
Sonata No. 5 in C minor, Op. 10,1
Sonata No. 8 in C minor „Pathéthique“, Op. 13/「悲愴」
Sonata No. 12 in A-flat major „Marcia funebre“, Op. 26/「葬送」
Sonata No. 13 in E-flat major, Op. 27,1
Sonata No. 14 in C-sharp minor „Mondschein“, Op. 27,2/「月光」
Sonata No. 22 in F major, Op. 54
Sonata No. 24 in F-sharp major „A Thérèse“, Op. 78/「テレーゼ」
Sonata No. 26 in E-flat major „Das Lebewohl“, Op. 81a/「告別」
Sonata No. 28 in A major, Op. 101
Sonata No. 30 in E major, Op. 109

パート3:以下の練習曲から3つ(→当日演奏するのは1つ)
Frédéric Chopin: Études Op. 10
/ショパン:練習曲 Op.10(第1~12番)
Frédéric Chopin: Études Op. 25
/ショパン:練習曲 Op.25(第1~12番)
Franz Liszt: “Grandes études de Paganini”, S. 141
/リスト:パガニーニによる大練習曲 S.141(第1~6番)
Franz Liszt: “Douze études d’exécution transcendante”, S. 139
/リスト:超絶技巧練習曲 S.139(第1~12番)

The candidate will be informed 90 minutes before his audition, which three pieces (one of each part) he has to play, in each case chosen from candidates’ chosen in his online application.
/参加者はオーディションの90分前に、オンライン応募で選択した作品の中から各部分ごとに1曲ずつ、演奏する3曲が通知される。
The concert order of the pieces is not free.
/演奏順は自由ではない(パート1→3の順)

6月1日(土)11:00(日本時間 18:00)~

CGA-2024-1st-Round_3

Hyuk Lee, 24 (KR)
Domenico Scarlatti: Sonata in D minor, K 9 (L.413)
/スカルラッティ:ソナタ ニ短調
Ludwig van Beethoven: Sonata No. 30 in E major, Op. 109
/ベートーヴェン:ピアノソナタ第30番 ヘ長調
Franz Liszt: “Douze études d’exécution transcendante”, S. 139 No. 10 “Appassionata” in F minor
/リスト:超絶技巧練習曲 第10番 ヘ短調 (「熱情」)

さすがの安定感でした。このスカルラッティのニ短調のやつは、これまでに弾いた人も弾き滑っていた記憶があるけどそういうヤツなんでしょうか?ベートーヴェンもリストも完成度が高かったと感じます。

Yilan Zhao, 29 (CN)
Johann Sebastian Bach: The Well-Tempered Clavier, Book II No. 16 Prelude and Fugue in G minor, BWV 885
/バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2巻 第16番 前奏曲とフーガ ト短調
Ludwig van Beethoven: Sonata No. 26 in E-flat major „Das Lebewohl“, Op. 81a
/ベートーヴェン:ピアノソナタ第26番 変ホ長調 「告別」
Frédéric Chopin: Études Op. 25 No. 11 in A minor
/ショパン:練習曲 イ短調 Op.25-11 「木枯らし」

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休憩20分
・・・

Mikhaïl Bouzine, 29 (RU)
Johann Sebastian Bach: The Well-Tempered Clavier, Book II No. 11 Prelude and Fugue in F major, BWV 880
/バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2巻 第11番 前奏曲とフーガ ヘ長調
Ludwig van Beethoven: Sonata No. 22 in F major, Op. 54
/ベートーヴェン:ピアノソナタ第22番 ヘ長調
Franz Liszt: “Douze études d’exécution transcendante”, S. 139 No. 4 “Mazeppa” in D minor
/リスト:超絶技巧練習曲 第4番 ニ短調 「マゼッパ」

すごかったです笑。レパートリーはブゾーニ国際で聴きましたが、マゼッパはもっともっとアレンジされて、体いっぱいの表現というか笑「練習しすぎておかしくなった人みたい」というコメントが的を射ています。ベートーヴェン2楽章は比較的ふつうに弾いていて、速弾きでもないし音もしっかりしてるので、もっとふつうに弾けばいいのにと思ったり思わなかったり。

Denis Linnik, 28 (BY) (第2ラウンド進出)
Johann Sebastian Bach: The Well-Tempered Clavier, Book II No. 4 Prelude and Fugue in C-sharp minor, BWV 873
/バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2巻 第4番 前奏曲とフーガ 嬰ハ短調
Ludwig van Beethoven: Sonata No. 13 in E-flat minor, Op. 27,1
/ベートーヴェン:ピアノソナタ第13番 変ホ長調
Franz Liszt: “Douze études d’exécution transcendante”, S. 139 No. 12 “Chasse neige” in B-flat minor
/リスト:超絶技巧練習曲 第12番 変ロ短調 「雪あらし」

(演奏順の妙もあってか)非常に心地よく沁み入るバッハでした。その後ベートーヴェンは明朗で、リストの不気味なニュアンスもよく再現されていたと思います。

6月1日(土)14:30(日本時間 21:30)~

Federico Gad Crema, 25 (IT)
Johann Sebastian Bach: The Well-Tempered Clavier, Book II No. 2 Prelude and Fugue in C minor, BWV 871
/バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2巻 第2番 前奏曲とフーガ ハ短調
Ludwig van Beethoven: Sonata No. 5 in C minor, Op. 10,1
/ベートーヴェン:ピアノソナタ第5番 ハ短調
Frédéric Chopin: Études Op. 25 No. 10 in B minor
/ショパン:練習曲 ロ短調 Op.25-10

大らかな音色で安心して聴けるピアニストでした。

Kate Liu, 30 (US) (第2ラウンド進出)
Domenico Scarlatti: Sonata in D major, K 1 (L.366)
/スカルラッティ:ソナタ ニ短調
Ludwig van Beethoven: Sonata No. 13 in E-flat minor, Op. 27,1
/ベートーヴェン:ピアノソナタ第13番 変ホ長調
Franz Liszt: “Douze études d’exécution transcendante”, S. 139 No. 10 “Appassionata” in F minor
/リスト:超絶技巧練習曲 第10番 ヘ短調 (「熱情」)

ネームバリューによる先入観があることを考慮しても、素晴らしかったです!どこかレベル的に物足りなく感じていたところ、ピリッと引き締めてくれました。とにかく明るい音色のバッハから、ベートーヴェンやリストは音圧がすごかったですね。「弾けてる弾けてない」を考えずに聴くことができました笑。リストではミスも目立ちましたが、ショパン国際のときからミスタッチ多めの人だったしなあと思ったり。この曲は彼女で3人目でしたが、リストのような華やかな曲が似合うなあという印象。期待やプレッシャーも大きいと思いますが、優勝候補だと思います。

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休憩20分
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Ilya Shmukler, 29 (RU) (第2ラウンド進出)
Johann Sebastian Bach: The Well-Tempered Clavier, Book II No. 22 Prelude and Fugue in B-flat minor, BWV 891
/バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2巻 第22番 前奏曲とフーガ 変ロ短調
Ludwig van Beethoven: Sonata No. 1 in F minor, Op. 2,1
/ベートーヴェン:ピアノソナタ第1番 ヘ短調
Frédéric Chopin: Études Op. 10 No. 1 in C major
/ショパン:練習曲 ハ長調 Op.10-1

黒い丸首Tシャツでのそっと登場した青年。ケイト・リウに筆者の耳が起こされたのもあるかもしれませんが、いやしかし、彼にとってはその空気とプレッシャーの後に、よくこれだけご自分の演奏ができたなあと思います。彼のフォルテも随分と鳴っていましたが、より太く芯のある音で、ピアニストによって異なるのもおもしろいです。そしてショパンOp.10-1。3曲目で集中が切れるコンテスタントが多い中、この超難曲をよく滑らかに弾きこなしていました。

Nikolai Kuznetsov, 29 (RU)
Domenico Scarlatti: Sonata in E major, K 380 (L.23)
/スカルラッティ:ソナタ ホ長調
Ludwig van Beethoven: Sonata No. 8 in C minor „Pathéthique“, Op. 13
/ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番 ハ短調 「悲愴」
Franz Liszt: “Douze études d’exécution transcendante”, S. 139 No. 4 “Mazeppa” in D minor
/リスト:超絶技巧練習曲 第4番 ニ短調 「マゼッパ」

意外と選択する人が多かった「悲愴」も彼で4人目ですが、技術的な余裕も見え、若干不自然な箇所もありましたが(録音のせいかもしれませんし)メロディーラインや内声にまで気を回しているのを感じました。※悲愴第2楽章という一番いいところでYouTube音声が大変乱れております、涙。マゼッパは疲れが見えました、し聴いてて疲れました。

6月1日(土)17:15(日本時間 翌0:15)~

Ádám Balogh, 26 (HU)
Domenico Scarlatti: Sonata in E major, K 20 (L.375)
/スカルラッティ:ソナタ ホ長調
Ludwig van Beethoven: Sonata No. 12 in A-flat major „Marcia funebre“, Op. 26
/ベートーヴェン:ピアノソナタ第12番 変イ長調 「葬送」
Frédéric Chopin: Études Op. 25 No. 5 in E minor
/ショパン:練習曲 ホ短調 Op.25-5

ロックなスカルラッティでした笑。ベートーヴェンはおとなしめで端正な演奏でしたがショパンはおもしろい音が聴けました。

Zhora Sargsyan, 29 (AM)
Johann Sebastian Bach: The Well-Tempered Clavier, Book II No. 22 Prelude and Fugue in B-flat minor, BWV 891
/バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2巻 第22番 前奏曲とフーガ 変ロ短調
Ludwig van Beethoven: Sonata No. 24 in F-sharp major „A Thérèse“, Op. 78
/ベートーヴェン:ピアノソナタ第24番 嬰ヘ長調 「テレーゼ」
Franz Liszt: “Douze études d’exécution transcendante”, S. 139 No. 8 “Wilde Jagd” in C minor
/リスト:超絶技巧練習曲 第8番 ハ短調 「荒々しき狩」

安定感がありました。このコンクールで好きになった「テレーゼ」と、「荒々しき狩」は結構好きな曲ですが、まずまず楽しめました。

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休憩20分
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Seunghyun Lee, 30 (KR)
Domenico Scarlatti: Sonata in D major, K 214 (L.165)
/スカルラッティ:ソナタ ニ長調
Ludwig van Beethoven: Sonata No. 5 in C minor, Op. 10,1
/ベートーヴェン:ピアノソナタ第5番 ハ短調
Franz Liszt: “Grandes études de Paganini”, S. 141 No. 2 in E-flat major
/リスト:パガニーニによる大練習曲 第2番 変ホ長調

この方の演奏もスパイスが効いていておもしろかったですね。あと久々にパガニー二練習曲のオクターブを聴きました笑。

Arseny Tarasevich-Nikolaev, 31 (RU) (第2ラウンド進出)
Johann Sebastian Bach: The Well-Tempered Clavier, Book II No. 9 Prelude and Fugue in E major, BWV 878
/バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2巻 第9番 前奏曲とフーガ ホ長調
Ludwig van Beethoven: Sonata No. 14 in C-sharp minor „Mondschein“, Op. 27,2
/ベートーヴェン:ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 「月光」
Franz Liszt: “Douze études d’exécution transcendante”, S. 139 No. 12 “Chasse neige” in B-flat minor
/リスト:超絶技巧練習曲 第12番 変ロ短調 「雪あらし」

最後に端正な演奏が聴けてホッとしました。こちらもなかなか多かった「月光」は4人目でしたが、王道で聴きやすかったです。おそらく鬼門である3曲目のエチュードはリスト。こちら「雪あらし」も3人目ですが、細かな雪の感じとか、不気味な雰囲気がよく出ていました。

・・・
全体的に、速弾きして崩れる人が多かった印象。レベル感に対して第1ラウンドの人数が多すぎる気もしなくもないというか。。。「弾けないうちはテンポを上げちゃだめ」って私でも言われてたのに。。それを無視して弾きたくなるものですが笑。

結果発表~第1ラウンド~

gezaanda-2nd
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第2ラウンド進出者(12名)[演奏日]
Daumants Liepins, 29 (LV) [5.30]
Wataru Hisasue, 29 (JP) [5.30]
Dmitry Yudin, 23 (RU) [5.30]
Jinhyung Park, 28 (KR) [5.30]
Luca Buratto, 31 (IT) [5.31]
Liang Dai (A Bu), 24 (CN) [5.31]
Aristo Sham, 28 (CN-HK) [5.31]
Laura Mota Pello, 21 (ES) [5.31]
Denis Linnik, 28 (BY) [6.1]
Kate Liu, 30 (US) [6.1]
Ilya Shmukler, 29 (RU) [6.1]
Arseny Tarasevich-Nikolaev, 31 (RU) [6.1]

日本人からは久末航さんが第2ラウンドに進出!Dmitry Yudin、最終日はもっと聴きたいピアニストがいらっしゃいましたが、Kate LiuIlya ShmuklerArseny Tarasevich-Nikolaevさんらが順当に進出。またイ・ヒョクさんも落ちるような演奏じゃなかったと思いますが、残念です。36名から12名に絞られる厳しいラウンドでした。

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