こんにちは。いりこです。
GWもあっという間に終わってしまいましたね。
行動制限が撤廃され、海外旅行を楽しむ方も増えていることでしょう!
しかしいざ海外旅行となると、それなりに日程を確保したいところですし、予算も掛かりがち、、、
ということで大きな旅行はせずひっそり過ごしている筆者、
せめて音楽で旅行気分を味わいたいと思って書き始めた次第です。
(北)アフリカ編
記念すべき()第3回はアフリカから!
カミーユ・サン=サーンス作曲の「幻想曲『アフリカ』」「ピアノ協奏曲第5番『エジプト風』」「アルジェリア組曲」の3曲をご紹介します。
サン=サーンスは、クラシック音楽のど真ん中・パリで生まれ育ちますが、大の旅行家で、非西洋文化に大きな関心を示し、自身の音楽に積極的に取り入れていました。特に北アフリカへの関心が強かったようです。19世紀当時、フランスの北アフリカ出兵などの背景もあったのでしょうか。
そして人生の最後はアルジェリアで息を引き取りました。
サン=サーンスは皮肉屋で敵を作りやすい性格だったそうで、、、そのせいか(?)作品の知名度は全体的に低いようです。
しかし、特に今回ご紹介する曲たちは、旅行家だったサン=サーンスのわくわく感が伝わってくるとても聴きやすい曲ですので、ぜひトライしてみてください!
どんな曲?
幻想曲「アフリカ」 Op.89
1891年にエジプト・カイロで書き上げられた、北アフリカを題材にした作品。
演奏時間は10分程度。ピアノとオーケストラ版、ピアノ独奏版があります。
アラビアンで不穏なイントロから、独特のリズムに引っ張られる主題を基盤に、時にサバンナやら砂漠やらの広大な自然を感じ、時にはオアシスを見つけひと休み。
後半は同音連打の軽快なパッセージと、チュニジア民謡から取られたという幻想的・アラビアンな主題を中心に展開され、華々しいフィナーレを迎えます。
体が突き上げられるようなリズム、色彩豊かなメロディーの数々、そして当時のサン=サーンスが感じたであろう「異国情緒」がこれでもかとばかりに散りばめられており、1度聴けば多くの人が虜になると思います!
特に後半で登場する、長調ながらエキゾチックで、某アラビアンナイト系の映画音楽にもなりそうな民謡風パッセージはやみつきになること間違いなしです。
ちなみに、「蜜蜂と遠雷」で風間塵が3次予選の最終曲で演奏していました。
ピアノ協奏曲第5番 ヘ長調 「エジプト風」 Op.103
1896年、11歳からピアニストとして活躍するサン=サーンスの、演奏活動50周年公演で初演されました。ピアニストとしてももちろん名手だったんですね。
避寒地のエジプト・カイロで書き上げられたようで、大胆な和声づかいで異国情緒が非常に色濃く表現されています!
演奏時間は通して40分ほど。
爽やかな地中海の朝を思わせる(行ったことないけど)第1楽章、
航海の楽しみがいかんなく表現された第3楽章も大好きなんですが、
中でも衝撃的なのが第2楽章。特に冒頭。
「エジプト風」の愛称の由来になった楽章で、爽やか通り越して「スパイシー」なほどの情緒があります。それこそアラ○ジンの映画音楽と言われても違和感がないほど!
中間部では一転して、ナイル川のゆったりした流れ、そしてコオロギとカエルも登場します笑。ほんとです。見つけてみてね。
とはいえ、やはり全楽章ともキャッチーでおすすめです。
通常2楽章には緩徐(ゆったりした)楽章が置かれるのですが、この「エジプト風」は各楽章のキャラクターがはっきりしていて、飽きる暇がありません。
アルジェリア組曲 Op.60
1880年、こちらはフランス本国にて作曲されました。
それ以前のアルジェリア往訪経験を基に書かれたんだと思いますが、それだけでこれほどビビッドな曲がかけるほど印象が強かったんでしょう!
- 1.前奏曲―アルジェをめざして/Prelude. En vue d’Alger
タイトルの通り、地中海を航海する船の様子をチェロが奏で、金管のファンファーレから、アルジェ(アルジェリアの首都)を臨む高揚感が伝わってきます。やがてゆっくりとアルジェに入港します。(筆者の個人的妄想です。) - 2.ムーア風狂詩曲/Rhapsodie mauresque
ムーアは、アフリカ北西部の住民のことだそうです。暖かい3拍子の舞、鋭く民族色の強めの2拍子の舞、続けて2拍子の闊達な舞と、異国情緒がマックスです。 - 3.夕べの夢想―ブリダにて/Rêverie du soir. À Blidah
ヴィオラ・ソロにより提示される、なんとも言えない夢見心地の旋律が延々と奏でられます。途中不穏な影が見えますが、すぐに長調で回収されます。
ほんとに、とても性格が悪い作曲家が書いたとは思えないほど、美しくアンニュイなメロディーです。 - 4.フランス軍隊行進曲/Marche militaire française
ハ長調、2拍子というパッキリした行進曲です。
戦争に向かう、というより市中をパレードしている感じでしょうか。
金管のファンファーレも登場、終始華やかに展開し、最後も金管によってクライマックスを迎えます。
おすすめの聴き方
- 親しみやすい曲6選
非常に親しみやすい曲ばかりですが、あえて順番をつけるとしたら
・1位:ピアノ協奏曲第5番「エジプト風」第2楽章(約11分)
・2位:ピアノ協奏曲第5番「エジプト風」第3楽章(約5分)
・3位:ピアノ協奏曲第5番「エジプト風」第1楽章(約10分)
・4位:幻想曲「アフリカ」 Op.89(約10分)
・5位:アルジェリア組曲 Op.60 1.前奏曲―アルジェをめざして(約4分)
・6位:アルジェリア組曲 Op.60 4.フランス軍隊行進曲(約4分)
- BGMとして聴く
全部聴いても1時間ちょっと。
ぜひプレイリストなんか作って流してみてください。
日常にエキゾチックなアクセントが加わって、新しい風が吹くこと間違いなし!
おすすめの音源
「幻想曲『アフリカ』」「ピアノ協奏曲『エジプト風』」をどちらも録音しているピアニストを紹介します。
ルイ・ロルティ
サン=サーンスと同郷フランス出身のピアニスト。
なんともクリアな録音で、この曲が持つ多彩な音やにおいなんかがビビッドに伝わってきます。
ジャン=フィリップ・コラール
こちらもフランス出身のピアニスト。
ひと昔前のパリッとした音質の録音で、素材(曲)そのものの味がよくわかります。
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