こんにちは。いりこです。
5年に一度開催される、世界一の知名度と権威を誇るショパン国際コンクールが2025年に開催されます。
2025年は大コンクールイヤー!
こちらの記事でまとめた15のコンクールのうち7つが開催されました。
ショパン国際と同じく「世界三大コンクール」と称されるエリザベート王妃国際に加え、バッハ国際、ロン=ティボー国際、クライバーン国際(特集なし)、ブゾーニ国際、クララ・ハスキル国際とみてきました。
そしていよいよ最高峰ショパン国際コンクール!84名でスタートした1次ラウンドから、今日からの3次ラウンドでは20名まで絞られました。
さていよいよ3次ラウンドも最終3日目、牛田 智大、Zitong Wang、Piotr AlexewiczにKevin Chenと優勝候補多数!昨日から急遽演奏順が変更となったEric Luさんも体調が間に合えばいいですが。。。
ショパン国際ピアノコンクール概要
公式HP(英語・ポーランド語):https://konkursy.nifc.pl/en/miedzynarodowy/konkurs
公式YouTube:https://www.youtube.com/@chopininstitute
知名度も権威も世界一と言っていい超名門ピアノコンクール。
大作曲家ショパンの名を冠し、祖国ポーランドが国を挙げて開催しているコンクールです。
演奏されるのはショパンの曲のみ!もちろんピアノ部門のみ!という独特なコンクールでもあります。5年に1度と開催間隔もかなり長く、歴史も長いです。
2020年はコロナで延期、満を持して開催された2021年大会は、反田と小林がW入賞して話題になりました。優勝者のブルース・リウ、ガジェヴやガルシアなど、タレント揃いで見ごたえのある大会でした。
- 概要
開催地:ワルシャワ(ポーランド)
開催期間:2025年10月2日(木)~ 10月23日(木)
開催間隔:5年に1度(第18回:2021年10月(2020年から延期)、次回:2025年)
歴史:第1回1927年

ちなみに過去の優勝者・入賞者は、クラシック界をけん引する錚々たるメンツ。名前を眺めるだけで鳥肌が立ちます!(笑)
- 主な優勝者・入賞者
優勝者:マウリツィオ・ポリーニ(1960)、マルタ・アルゲリッチ(1965)、ギャリック・オールソン(1970)、クリスティアン・ツィメルマン(1975)、ダン・タイ・ソン(1980)、スタニスラフ・ブーニン(1985)、ユンディ・リ(2000)、ラファウ・ブレハッチ(2005)、ユリアンナ・アヴデーエワ(2010)、チョ・ソンジン(2015)、ブルース・リウ(2021)
入賞者:ウラディミール・アシュケナージ(1955年第2位)、アルトゥール・モレイラ・リマ(1965年第2位)、内田 光子(1970年第2位)、横山 幸雄(1990年第3位)、ダニール・トリフォノフ(2010年第3位)、反田 恭平(2021年第2位)、マルティン・ガルシア・ガルシア(2021年第3位)、小林 愛実(2021年第4位)
▼過去大会の振り返り記事も併せてご覧ください!
2010年ショパンコンクールに耽る~アヴデーエワ/ゲニューシャス/トリフォノフ/デュモン~
2015年ショパンコンクールを振り返る~チョ・ソンジン/アムラン/ケイト・リウ/エリック・ルー/(トニー)・ヤン/シシュキン~
2021年ショパンコンクールを振り返る~ブルース・リウ/反田恭平/ガルシア・ガルシア/小林愛実/クシュリク/アルメリーニ/ラオ・ハオ~
スケジュール
予備予選(160名):2025年4月23日(水)~ 5月4日(日)
1次ラウンド(84名):2025年10月3日(金)~ 7日(火)
2次ラウンド(40名):2025年10月9日(木)~ 12日(日)
3次ラウンド(20名):2025年10月14日(火)~ 16日(木)10月14日(火)10:00(日本時間17:00)、17:00(翌0:00)
10月15日(水)10:00(日本時間17:00)、17:00(翌0:00)
10月16日(木)10:00(日本時間17:00)、17:00(翌0:00)
10月17日(金):ショパン没後176年目の命日
ファイナル(10名):2025年10月18日(土)~ 20日(月)
20日近くに及ぶ長丁場です。
プログラム
レパートリー:
参加者は、ビデオ審査で演奏した曲を本大会で演奏できる。
また、予備予選で演奏した曲も本大会で演奏できる(ただし練習曲を除く)。
本大会においては、同じ曲を異なるラウンドで演奏することはできない。
▼前回大会からの変更点を詳しく解説
【課題曲に大幅変更!】第19回(2025年)ショパン国際コンクール募集要項発表
3次ラウンド(20名)
• Sonata in B flat minor, Op. 35 or Sonata in B minor, Op. 58
/ソナタ第2番 変ロ短調 または ソナタ第3番 ロ短調
The exposition in the first movement of both Sonatas should not be repeated.
/いずれのソナタも、第1楽章提示部はリピートしないこと
• a full set of Mazurkas from the following opuses:/以下の作品番号のマズルカから1セット全曲
17, 24, 30, 33, 41, 50, 56, 59
The Mazurkas must be played in the order in which they are numbered in the opus. In the case of Opuses 33 and 41, the following numbering applies:
/マズルカは作品番号で付けられた順番で演奏しなければならない。作品33、41の場合は、以下の番号が適応される。
Op. 33
No. 1 in G sharp minor
No. 2 in C major
No. 3 in D major
No. 4 in B minor
Op. 41
No. 1 in E minor
No. 2 in B major
No. 3 in A flat major
No. 4 in C sharp minor
• any other solo piece or pieces by Fryderyk Chopin (if the hitherto performed repertoire does not achieve the minimum performance time indicated below).
/ショパン作曲のソロ作品(それまでに演奏されたレパートリーが、以下に示す最小演奏時間に達しない場合)
Performance time in the third round: 45–55 minutes.
/演奏時間は45~55分
The pieces may be performed in any order (except the Mazurkas).
/演奏順は問わない(マズルカを除く)
10月16日(木)10:00(日本時間17:00)
▼全体版:今大会も休憩中に「ショパン・トーク」が開催されるようです!他の大会にはないエンタメ性、魅力を発信しつづける素晴らしい姿勢ですね。
Tomoharu Ushida (Japan, 1999) ※1次ラウンド ※2次ラウンド
piano: Steinway & Sons
Prelude in C sharp minor Op. 45
/前奏曲 嬰ハ短調 Op. 45
Mazurka in B major Op. 56 No. 1
/マズルカ ロ長調 Op. 56 No. 1
Mazurka in C major Op. 56 No. 2
/マズルカ ハ長調 Op. 56 No. 2
Mazurka in C minor Op. 56 No. 3
/マズルカ ハ短調 Op. 56 No. 3
Fantasy in F minor Op. 49
/幻想曲 ヘ短調 Op. 49
Piano Sonata in B minor Op. 58
/ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op. 58
これはマズルカ賞とか狙えんじゃないか??幻想曲は、前回2021年の一次の演奏が強く印象に残っていますね。かなり繊細な音色、ともするとバラバラになりそうなものですがまとまりがあり、よく統制されていますね。フォルテに関してはかなりよくなったと思いますが、物足りない場面もありそう。
Zitong Wang (China, 1999) ※1次ラウンド ※2次ラウンド
piano: Shigeru Kawai
Mazurka in G major Op. 50 No. 1
/マズルカ ト長調 Op. 50 No. 1
Mazurka in A flat major Op. 50 No. 2
/マズルカ 変イ長調 Op. 50 No. 2
Mazurka in C sharp minor Op. 50 No. 3
/マズルカ 嬰ハ短調 Op. 50 No. 3
Piano Sonata in B flat minor Op. 35
/ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op. 35
Waltz in E major (WN 18)
/ワルツ ホ長調 (WN 18)
Variations in B flat major on a theme from ‘Ludovic’ by Hérold/Halévy (‘Je vends des scapulaires’) Op. 12
/華麗なる変奏曲 変ロ長調 Op. 12(エロルド「リュドヴィク」の「私は聖衣を売る」の主題による変奏曲)
Scherzo in B minor Op. 20
/スケルツォ第1番 ロ短調 Op. 20
丁寧なマズルカ、それからソナタ一つとってもニュアンスの違いをよく描き分けられています。フォルテもガツンとくるし打鍵も深い、でも4楽章は実体がないような音色、ほんとに風が吹くように砂埃でもやがかったような情景になり驚きました。課題を早々に終わらせて、ここから独自のプログラム。遺作のホ長調ワルツ(15番)、これ1~2回くらいしか聴いたことないですね笑、とても頭に残ります。主部の半音下降にしても装飾音がきれいに入るの羨ましいなあ。そして華麗なる変奏曲。個人的にあまり好きな曲ではないのですが、彼女の長調は上品です。それから衝撃のスケルツォ1番!!危機を感じるほど鋭利な音色、こんな音も出せるのか。。。スタッカート1つ1つが切れ味抜群で芸が細かい。女性からすると苦労しそうなほど豊かな音で、割と死角がない印象。これは順位も楽しみになってきます!(この方まで落ちたらこのコンクール見るのやめそう笑。)
Yifan Wu (China, 2008) ※1次ラウンド ※2次ラウンド
piano: Steinway & Sons
Berceuse in D flat major Op. 57
/子守歌 変ニ長調 Op. 57
Ballade in F major Op. 38
/バラード第2番 ヘ長調 Op. 38
Mazurka in B major Op. 56 No. 1
/マズルカ ロ長調 Op. 56 No. 1
Mazurka in C major Op. 56 No. 2
/マズルカ ハ長調 Op. 56 No. 2
Mazurka in C minor Op. 56 No. 3
/マズルカ ハ短調 Op. 56 No. 3
Piano Sonata in B minor Op. 58
/ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op. 58
バラード、ソナタではちょっとドラマ過ぎるというか、間延びを感じる部分もありますが、単純そうで複雑な子守歌や、マズルカなんかもなかなかよかったと思います。
10月16日(木)17:00(日本時間 翌0:00)
▼全体版:休憩中の「ショパン・トーク」にも注目!
William Yang (USA, 2001) ※1次ラウンド ※2次ラウンド
piano: Steinway & Sons
Scherzo in E major Op. 54
/スケルツォ第4番 ホ長調 Op. 54
Mazurka in G sharp minor Op. 33 No. 1
/マズルカ 嬰ト短調 Op. 33 No. 1
Mazurka in C major Op. 33 No. 2
/マズルカ ハ長調 Op. 33 No. 2
Mazurka in D major Op. 33 No. 3
/マズルカ ニ長調 Op. 33 No. 3
Mazurka in B minor Op. 33 No. 4
/マズルカ ロ短調 Op. 33 No. 4
Piano Sonata in B minor Op. 58
/ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op. 58
技術面ではケヴィン・チェンさんが目立っていますが、この方もなかなかの超絶技巧の持ち主。スケルツォ4番含め、オーソドックスながらレベルの高い演奏でしたが、ソナタ3番の終楽章で大爆発!超高速でハラハラしましたが完璧に乗りこなしており、非常に印象に残りました。
Piotr Alexewicz (Poland, 2000) ※1次ラウンド ※2次ラウンド
piano: Shigeru Kawai
Prelude in C sharp minor Op. 45
/前奏曲 嬰ハ短調 Op. 45
Piano Sonata in B flat minor Op. 35
/ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op. 35
Mazurka in E minor Op. 41 No. 1
/マズルカ ホ短調 Op. 41 No. 1
Mazurka in B major Op. 41 No. 2
/マズルカ ロ長調 Op. 41 No. 2
Mazurka in A flat major Op. 41 No. 3
/マズルカ 変イ長調 Op. 41 No. 3
Mazurka in C sharp minor Op. 41 No. 4
/マズルカ 嬰ハ短調 Op. 41 No. 4
Andante spianato and Grande Polonaise Brillante in E flat major Op. 22
/アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 Op. 22
これまでのラウンド以上に印象に残ったこの方。2次ラウンドでは前奏曲全曲演奏していましたが、このラウンドでも前奏曲Op.45を最初に持ってくるちょっとした工夫。そして特にソナタ1楽章コーダ、そしてマズルカと、音が束になって襲い掛かってくるようでぞくぞくしました。このマズルカOp.41は比較的感情的になりやすそうという印象がありますが、音楽と一定の距離感を保っている感じがします。華麗なるポロネーズもおもしろい、特に和音がズシンと来る感じは新鮮ですし、華やかなパッセージも軽々処理しています。Piotr Pawlak推しだったんですが、調子の上がり方を見ると、この方が今回の地元のエースになるのかな。
Kevin Chen (Canada, 2005) ※1次ラウンド ※2次ラウンド
piano: Shigeru Kawai
Mazurka in E minor Op. 41 No. 1
/マズルカ ホ短調 Op. 41 No. 1
Mazurka in B major Op. 41 No. 2
/マズルカ ロ長調 Op. 41 No. 2
Mazurka in A flat major Op. 41 No. 3
/マズルカ 変イ長調 Op. 41 No. 3
Mazurka in C sharp minor Op. 41 No. 4
/マズルカ 嬰ハ短調 Op. 41 No. 4
Ballade in F minor Op. 52
/バラード第4番 ヘ短調 Op. 52
Piano Sonata in B minor Op. 58
/ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op. 58
Eric Lu (USA, 1997) ※1次ラウンド ※2次ラウンド
piano: Fazioli
Barcarolle in F sharp major Op. 60
/舟歌 嬰ヘ長調 Op. 60
Polonaise in B flat major [Op. 71 No. 2] (WN 17)
/ポロネーズ 変ロ長調 [Op. 71 No. 2] (WN 17)
Mazurka in B major Op. 56 No. 1
/マズルカ ロ長調 Op. 56 No. 1
Mazurka in C major Op. 56 No. 2
/マズルカ ハ長調 Op. 56 No. 2
Mazurka in C minor Op. 56 No. 3
/マズルカ ハ短調 Op. 56 No. 3
Piano Sonata in B minor Op. 58
/ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op. 58
3日目/3次ラウンドまとめ
3日間お疲れさまでした🙇
1日目:今大会初めてお見かけしたDavid Khrikuliさんですが、その存在感は健在です。すごい。Tianyou Liさんはどうかな、とってもいいマズルカでしたが。桑原詩織もずっと安定感を保っていますね!
2日目:Tianyao Lyuはこれまでほどの衝撃はないもののかなり完成度が高いですね、推しの一人。地元ポーランド勢のPiotr Pawlakさん、ロンドクラコヴィアク→マズルカの流れは圧巻でしたが、ソナタ、それからファイナルに行った場合の協奏曲はやや不安。これまた独特なVincent Ongさんに安定感が光った進藤 実優さんと、昨日に引き続き見ごたえのある一日でした!
結果~3次ラウンド~
発表は 1:05:10辺り~
3次ラウンド進出者(1011名)[演奏日]
1. Piotr Alexewicz, Poland
2. Kevin Chen, Canada
3. David Khrikuli, Georgia
4. Shiori Kuwahara, Japan
5. Tianyou Li, China
6. Eric Lu, USA
7. Tianyao Lyu, China
8. Vincent Ong, Malaysia
9. Miyu Shindo, Japan
10. Zitong Wang, China
11. William Yang, USA






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