こんにちは。いりこです。
５年に一度開催される、世界一の知名度と権威を誇るショパン国際コンクールが2025年に開催されます。
2025年は大コンクールイヤー！
こちらの記事でまとめた15のコンクールのうち７つが開催されました。
ショパン国際と同じく「世界三大コンクール」と称されるエリザベート王妃国際に加え、バッハ国際、ロン＝ティボー国際、クライバーン国際（特集なし）、ブゾーニ国際、クララ・ハスキル国際とみてきました。
そしていよいよ最高峰ショパン国際コンクールもファイナル！３日間にわたって開催されます。
規定では10名が進出予定だったところ、今回も11名が進出（前回は12名）。そして何より協奏曲の前に演奏される「幻想ポロネーズ」。各ピアニストがどんな演奏をするのかはもちろん、協奏曲への橋渡しとしてどのように聞こえるのか楽しみです。
１日目、2015年大会に引き続きファイナルに進出したEric Lu、筆者注目のTianyou Li、Tianyao Lyu、Vincent Ongさんが登場！
ショパン国際ピアノコンクール概要
公式HP（英語・ポーランド語）：https://konkursy.nifc.pl/en/miedzynarodowy/konkurs
公式YouTube：https://www.youtube.com/@chopininstitute
知名度も権威も世界一と言っていい超名門ピアノコンクール。
大作曲家ショパンの名を冠し、祖国ポーランドが国を挙げて開催しているコンクールです。
演奏されるのはショパンの曲のみ！もちろんピアノ部門のみ！という独特なコンクールでもあります。５年に１度と開催間隔もかなり長く、歴史も長いです。
2020年はコロナで延期、満を持して開催された2021年大会は、反田と小林がW入賞して話題になりました。優勝者のブルース・リウ、ガジェヴやガルシアなど、タレント揃いで見ごたえのある大会でした。
- 概要
開催地：ワルシャワ（ポーランド）
開催期間：2025年10月2日（木）～ 10月23日（木）
開催間隔：５年に１度（第18回：2021年10月（2020年から延期）、次回：2025年）
歴史：第１回1927年
ちなみに過去の優勝者・入賞者は、クラシック界をけん引する錚々たるメンツ。名前を眺めるだけで鳥肌が立ちます！（笑）
- 主な優勝者・入賞者
優勝者：マウリツィオ・ポリーニ（1960）、マルタ・アルゲリッチ（1965）、ギャリック・オールソン（1970）、クリスティアン・ツィメルマン（1975）、ダン・タイ・ソン（1980）、スタニスラフ・ブーニン（1985）、ユンディ・リ（2000）、ラファウ・ブレハッチ（2005）、ユリアンナ・アヴデーエワ（2010）、チョ・ソンジン（2015）、ブルース・リウ（2021）
入賞者：ウラディミール・アシュケナージ（1955年第２位）、アルトゥール・モレイラ・リマ（1965年第２位）、内田 光子（1970年第２位）、横山 幸雄（1990年第３位）、ダニール・トリフォノフ（2010年第３位）、反田 恭平（2021年第２位）、マルティン・ガルシア・ガルシア（2021年第３位）、小林 愛実（2021年第４位）
▼過去大会の振り返り記事も併せてご覧ください！
2010年ショパンコンクールに耽る～アヴデーエワ／ゲニューシャス／トリフォノフ／デュモン～
2015年ショパンコンクールを振り返る～チョ・ソンジン／アムラン／ケイト・リウ／エリック・ルー／（トニー）・ヤン／シシュキン～
2021年ショパンコンクールを振り返る～ブルース・リウ／反田恭平／ガルシア・ガルシア／小林愛実／クシュリク／アルメリーニ／ラオ・ハオ～
スケジュール
予備予選（160名）：2025年4月23日（水）～ 5月4日（日）
１次ラウンド（84名）：2025年10月3日（金）～ 7日（火）
２次ラウンド（40名）：2025年10月9日（木）～ 12日（日）
３次ラウンド（20名）：2025年10月14日（火）～ 16日（木）
10月17日（金）：ショパン没後176年目の命日
ファイナル（10名）：2025年10月18日（土）～ 20日（月）
10月18日（土）18:00（日本時間翌1:00）
10月19日（日）18:00（日本時間翌1:00）
10月20日（月）18:00（日本時間翌1:00）
20日近くに及ぶ長丁場です。
プログラム
レパートリー：
参加者は、ビデオ審査で演奏した曲を本大会で演奏できる。
また、予備予選で演奏した曲も本大会で演奏できる（ただし練習曲を除く）。
本大会においては、同じ曲を異なるラウンドで演奏することはできない。
▼前回大会からの変更点を詳しく解説
【課題曲に大幅変更！】第19回（2025年）ショパン国際コンクール募集要項発表
ファイナル（11名）
• Polonaise-Fantasy, Op. 61／幻想ポロネーズ
• One of the Piano Concertos: in E minor, Op. 11 or in F minor, Op. 21
／ピアノ協奏曲から１曲：ホ短調（１番） または ヘ短調（２番）
10月18日（土）18:00（日本時間翌1:00）
▼全体版：今大会も休憩中に「ショパン・トーク」が開催されるようです！他の大会にはないエンタメ性、魅力を発信しつづける素晴らしい姿勢ですね。
Tianyou Li (China, 2004) ※１次ラウンド ※２次ラウンド ※３次ラウンド
piano: Steinway & Sons
Polonaise-Fantasy in A flat major Op. 61
／幻想ポロネーズ 変イ長調 Op. 61
Piano Concerto in E minor Op. 11
／ピアノ協奏曲 ホ短調 Op. 11
彼のこれまでの演奏はよく覚えているのですが、幻想ポロはよいところもたくさんあったものの、やはりちょっと音がぼんやり聞こえてくることが多かったですし、技術的にももしかしたら準備不足だったのかもしれません。一人目としては十分な演奏でした。
Eric Lu (USA, 1997) ※１次ラウンド ※２次ラウンド ※３次ラウンド
piano: Fazioli
Polonaise-Fantasy in A flat major Op. 61
／幻想ポロネーズ 変イ長調 Op. 61
Piano Concerto in F minor Op. 21
／ピアノ協奏曲 ヘ短調 Op. 21
幻想ポロ、何が違うのか、柔らかい音ながら輪郭がはっきり聞こえます。協奏曲は2015年大会とは違うヘ短調を選択。おもしろいのは２楽章、この緩徐楽章で最大音が出ていた気がします。そして３楽章はピアノ変えた？てくらい全く別の音色。土着的で躍動的。正直１楽章は、テンポが不安定でアンサンブルが合わなかったり、要所で音が当たらなかったりと散漫な印象（体調不良もまだあるのかも）。後で聴きに帰ってくることはないだろうなと思ってましてが、２楽章以降は彼の世界に引き込まれました。また改めて聴きたいと思うレベルの演奏だったと思います。
Tianyao Lyu (China, 2008) ※１次ラウンド ※２次ラウンド ※３次ラウンド
piano: Fazioli
Polonaise-Fantasy in A flat major Op. 61
／幻想ポロネーズ 変イ長調 Op. 61
Piano Concerto in E minor Op. 11
／ピアノ協奏曲 ホ短調 Op. 11
２次ラウンドをはじめ、これまでいい演奏が続いていましたが、協奏曲は経験が出たのかな？これまでよりも技術的な苦労も見えましたし、オケの音を聴けていないのかもしれません。
Vincent Ong (Malaysia, 2001) ※１次ラウンド ※２次ラウンド ※３次ラウンド
piano: Shigeru Kawai
Polonaise-Fantasy in A flat major Op. 61
／幻想ポロネーズ 変イ長調 Op. 61
Piano Concerto in E minor Op. 11
／ピアノ協奏曲 ホ短調 Op. 11
幻想ポロはすごい。どんな名曲でも４人も連続で聴くと少しマンネリしてきますが、すごくリフレッシング！奇をてらったいやらしい感じもなく、この曲の幻想的で自由な構成という魅力にも合致しています。そして協奏曲、ここまできて、またすごい自由律。とはいえちぐはぐ感はなく、オケとも融和しているのが不思議です。３楽章って、もっと硬質でキラキラして、スピーディな曲じゃなかったっけ？？？なんならヘ短調協奏曲に近いイメージで弾き進めます。全く別の曲のようですし、オケも別オケのように響いてくるから不思議。。。とにかく唯一無二の音楽性。
１日目まとめ
１日目お疲れさまでした🙇
若いファイナリストが多い今大会、指揮者のアンドレイ・ボレイコさんは、ピアニストと積極的に交流していて、緊張をほぐすいい役割をされているなとほっこり。
ファイナリストはほぼ全員記憶に残っているピアニストではありましたが、ファイナルで協奏曲ともなると少し経験の差が出たように思います。その中でも今日はEric Luが圧巻、そしてVincent Ongさんは相変わらず強烈な印象を残しましたね。
注目だったファイナルでの「幻想ポロネーズ」は、ピアニスト一人で登壇して演奏、一旦下がって間をおいて、指揮者と再登壇という形。「オケとの共演経験が少ないピアニストの緊張をほぐす」というのも変更意図の一つだったようですけど、同じ壇上であんなに近くでオケの人たちに見られている中で、演奏しづらくないのかな、笑。そして、ただでさえ２つしかない、しかもオケパートの弱さを指摘されがちなショパンの協奏曲、さらに実質ホ短調ばかりと負担が大きいとされているショパンコンクールのオーケストラ。今大会はそれにプラスで12分くらい壇上で待たされることに。。。
そしてそんなことよりオーケストラ、話題になっていますが「版」問題。ホ短調は特に盛り上がる３楽章でオケが息をひそめちゃう。そしてヘ短調では、特にエリック・ルーの冒頭のエコーみたいなダブりはみす？それから金管木管で音が出てなかったり？ハーモニーが濁っていたり？全部新版のせい？？このショパンコンクールでオケが気になることも珍しいのでちょっと雑音でした。
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