【2022.11.6】マルティン・ガルシア・ガルシア ピアノ協奏曲ほか 公演感想 @サントリーホール(東京)

コンサート日記
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はじめまして!いりこです。はじめて文章を書いてみています。
11月6日(日)サントリーホールにて行われたマルティン・ガルシア・ガルシア(ピアノ)、佐藤俊太郎(指揮)東京フィルの公演に行ってきました。

思い返すとコンサートにあまり行ったことがなく、これからチャレンジしてみようと行ってみたのですが、これがまた素晴らしい体験だったので、これは文章で残さなければ、と思い、もう一つチャレンジしてブログを書いてみました。

公演に行かれた方とも、行かれてない方とも、この感動を共有できたら嬉しいです。

ショパンコンクール第3位 マルティン・ガルシア・ガルシア

お目当てはもちろんこのお方、スペイン出身のピアニスト、マルティン・ガルシア・ガルシア。私が初めて知ったのは、2021年のショパンコンクールでした。他の参加者とは一線を画す、汗だくで楽しそうにピアノと向き合う姿に一目ぼれ。見事3位入賞とコンチェルト賞を獲得されました。

前回日本でツアーをされてたのは知ってたんですけどね、、、行けなかったので、またすぐに日本に来てくれてよかったです!!!楽しみ!!!

▼公式HP
https://martingarciagarcia.com/

プログラム/チケット情報

▼サントリーホール 公式HP
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20221106_M_2.html

2022年11月6日(日) 14:00 開演  サントリーホール 大ホール 

プログラム 

  • モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲
  • ショパン:ピアノ協奏曲2番ヘ短調 Op.21
  • ベートーヴェン:ピアノ協奏曲5番変ホ長調「皇帝」 Op.73

協奏曲2本。豪華なプログラムです。特に、コンペで演奏されたショパンのコンチェルトに注目。

そして個人的には、サントリーホールが初めて、ガルシアの生演奏も初めて、そしてこんな場所から演奏を聴くのも初めてです。どんな音で聞こえるのかドキドキ

サントリーホール左上の方でした。
なんとファツィオリがあるではないですか!もちろん初めて。

チケット 

S席 8,500円
A席 7,500円
B製 5,000円

モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲

まずはモーツァルト。モーツァルト感全開、何かが始まる感全開でいいですよね。サントリーホールのブリリアントな雰囲気にもピッタリ。これから迎える2つのピアノ協奏曲に向けて、とても会場が暖まりました。

そして、この位置演奏を聴くのもいいですね。正面とは違った、オケの中で聴くような音もおもしろかったです。いつもよく見えない楽器が一番近くに見えました。

ショパン:ピアノ協奏曲2番ヘ短調 Op.21

ここからガルシアの登場。ショパンのピアノ協奏曲ヘ短調。2021年コンペティションでも演奏した曲です。

この曲は、ホ短調と比べるといくらか「個人的」なイメージ。ところどころで恋のお悩みが見え隠れ、そして終楽章の民族的な響きがすてきな曲ですよね。

ショパンの協奏曲は、2曲ともツィマーマンの音源を好んで聴いていますが、ヘ短調に関しては、コンペでの若い演奏が楽しみだったりします。ただ弾く人が圧倒的に少ない。。。

その意味で、ガルシアのような演奏家がこの曲を演奏してくれるのはとても印象的でしたね。YouTubeで見たときは、今年こそ2番で優勝するのでは、、、と思いましたが、やはり難しさがあるのでしょうか。しかしコンチェルト賞は獲得されましたので、素晴らしい演奏だったのは間違いないですね。

ここでガルシアの魅力

協奏曲の感想ついでに、初めて生で聴いたガルシアの魅力を書いてみます。

多彩な音・表現

まずこれ。表現というかデュナーミクの幅、音の多彩さがえぐい。ほとんど聞こえないようでいてくっきりと聞こえてくる弱音から、観客(私)の意識を吹き飛ばすほどの瞬間風速を伴う強音まで。しかもこの最強音を全く多用しないんですね、彼は。今回の協奏曲でも、終楽章最後の最後の和音が上昇していくところ(伝われ)の連続和音で、初めてこの音が炸裂しました。一瞬頭が真っ白になり、身震い&鳥肌が立ちました。え?何今の?音???今までそんな音一回も出さなかったじゃない!?演奏時間30分、最後の最後にこんな攻撃が繰り出されるなんて。。。完敗ですm(_ _)m 改めてファンになりました。

鼻歌(ハミング)

そして、話題になった鼻歌ですが、ほんとうに歌っているのが、よく聞こえました笑。今回は舞台そばの席でしたので、いいときにいい席がとれたなと思いました。

 おや、おじさんが公演中に歌ってる?迷惑だなあ… なんだ、マルティンか。
 おや、いま会場の外から悲鳴が!?…. なんだ、マルティンか。

コンペでもこんなに歌ってたんだろうかと想像すると、笑ってしまいます。

のだめ?風間塵?

鼻歌も含めてですが、とても楽しそうに演奏されます。この曲って底抜けに明るい曲ではないんですけどね。しんみりパートも多いし。

今回ずっと後ろ姿を見ていられたわけですが、大きく体を揺らしたり、細かく首で拍を取ったり、椅子の上で跳ねたりと、とにかく体がよく動くこと。特に3楽章は聴いてるこちらが踊りだしそうになりました。踊ったことないんですけど。全体的に「のだめ」ってイメージでしょうか、「蜜蜂と遠雷」の「風間塵」もこんな感じなのかも知れません。

真摯な音楽家

「パッション」「ユーモア」が目に付きやすいですが、非常に真摯な演奏ですよね。そのギャップもまたたまりません。
「どこからそんなメロディーライン見つけてきたん」という仕掛けがあったり、同じパッセージにもバリエーションを持たせたり、オクターブで弾くメロディの上下のバランスが移り変わったり(伝われ)、、、楽譜を読み込んであるんだなあという工夫に満ちた演奏で楽しませてくれます。
インタビュー記事でも、非常に研究熱心で作曲家ファーストな姿勢が書かれていました。ただ感覚に任せた演奏ではないからこそ、これほどユニークな演奏でありながら多くの人を魅了するのも納得ですね。

単純に、とても人が良さそう、愛らしい

そしてほんとに人がよさそう。とにかくニコニコとあいさつをしてくれましたし、最後にも書きますがサービス精神が旺盛!なにより笑顔が最高!笑

本人インスタグラムから。クシャクシャのスタバの紙にアンコール考えてくれたみたい笑

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲5番変ホ長調「皇帝」 Op.73

正直ショパンで大満足でお腹いっぱいでしたが笑、こちらもとてもおもしろい演奏でした。「皇帝」というより、「老若男女から大人気、気さくな若インテリ国王」という演奏(違う)。本人の演奏姿も相まって、非常にダンサブルな皇帝でした。そんなノリノリの曲じゃないんですけどね笑。彼の、音楽へのまっすぐな愛情を後ろ姿から感じ、ひとりニヤニヤしながら演奏を聴いていました。そしてショパンのときより鼻歌が聞こえるというプレミア付き。個人的には2楽章アダージョの高音トリルが好きです。どうやったらあんなに音量抑えて響き渡る音になるのでしょう。

さて、プログラムが終わってしまいました。「ブラボー禁止」なのが惜しいですが、スタンディングオベーション。そりゃそうですよね、会場の誰もがより一層ファンになったことでしょう。 アンコール、一曲でも弾いてくれたらいいな、、、

アンコール・・・なんと5曲!!

アンコールはなんと5曲!!時間が許せばいつまでも弾いてくれそうな感じで、プログラムでは触れられなかったロマン派以降のロマンティックでヴィルトゥオージティ溢れる演奏!!これだけでもプログラムが成り立つほどの充実度でした。

まず、英雄ポロネーズ。

会場全体の「きたー!」感が伝わってきました。そしてこのコーダでも炸裂しました最強音。コーダで最後に和音5つ上がっていくところがあるじゃないですか(伝われ)、そこだけギアが上がったんですね、一瞬で。平易な言葉で表現すると「びっくり」するんですよ。だってそれまでそんな音それまで一切使わないんですから。

続いては、スクリャービンのワルツとエチュード、リストの即興ワルツ。シロウトの私には馴染みのない曲たちでしたが、いいんです、今は、マルティンの音さえ聴ければ。帰って復習しよう。。。

マルティンの弾くスクリャービンのエチュードは印象的でした。ショパンの曲ではなかなかヴィルトゥオージティは分からない気がしますが、こんなバリバリ弾けるピアニストなんだと知ることができました。そしてワルツ2曲は絶品。Romanticが止まらない。

そしてバッハ

その時はこんなにアンコール弾いてくれることは知らなかったので、「ああ、この曲で今日は最後か」という物寂しくも幸せな気持ちで、英雄ポロネーズを噛み締めていました。

再びアンコールに応えてくれると湧き上がる喜び、曲が始まると感じる「ああ、この曲で今日は最後か」という寂しさ・幸福感、そんな揺さぶり攻撃が5回も続くと心はぐちゃぐちゃでした。

4曲目のアンコール、リストの即興ワルツが終わった後は、観客の方が折れて、さすがにもう終わりだろうという雰囲気に。席を立ち会場を出ようとする人がいる中(私は爽やかな疲労感でぐったりしていましたが笑)、マルちゃん5回目のアンコール登場。そしてまたニコニコとピアノの椅子に座ってくれました!

「声出し禁止」の会場からは驚きと喜びの声があふれました。おそらく半分近くの観客がドアに向かっていたため笑、わちゃわちゃと席に座ることに。。。徐々に収まるザワザワ、それが収まるのを静かに待ってくれているマルちゃん、そして徐に弾き始めたのは、、、

バッハの平均律クラヴィーア曲集第1集第1番。

これがもう最高、天才、神。これだけロマンチックを繰り出し続け、最後の最後になんて憎い選曲をするんだ。。。そう考えただけで涙の準備が整い、2小節目にはもう号泣。。。隣にいらっしゃったお姉様もハンカチを取り出し。。。なんだか、形容するを放棄したくなるくらいの、なんというか、カタルシスというか(安直)。

これまでと打って変わって理知的で、それでいてやはり情感豊かなバッハ。

こんな表現もできたのねマルちゃん。。。罪なヤツです。これはもう完全に風間塵。帰って読み返そ。

アンコール曲(サントリーホールHPから)

  • ショパン:英雄ポロネーズ Op. 53
  • スクリャービン:ワルツ 変イ長調 Op. 38
  • スクリャービン:練習曲 Op.8-10
  • リスト:即興ワルツ S.213
  • J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第1プレリュードとフーガ BWV846 ハ長調

さいごに

総じて生演奏の楽しさを教えてくれるコンサートでした。ガルシアはこれからも追いかけようと思いましたし、可能な限り生の音楽を聴きに行こうと決意したのでした。

長々と書いてしまいましたが、お読みいただきありがとうございました。

ところで、みなさんは、どうやってクラシックのコンサート情報を集めてらっしゃいますか?
自分で調べてみて、情報集めるのに一苦労でした。お知恵があればお教えいただきたいです!

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