【2023.6.28】チョ・ソンジン×山田 和樹×バーミンガム市交響楽団 公演感想 @文京シビックホール(東京)

コンサート日記
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こんにちは。いりこです。
6月28日(水)文京シビックホール(東京)にて行われた、チョ・ソンジン(ピアノ)、山田和樹(指揮)、バーミンガム市交響楽団の公演に行ってきました。

公演に行かれた方とも、行かれてない方とも、感動を共有できたら嬉しいです。

チョ・ソンジン×山田 和樹×バーミンガム市交響楽団

チョ・ソンジン(ピアノ)

本日のソリスト。
韓国出身、1994年生まれのピアニスト、チョ・ソンジン。
浜松国際、そしてショパン国際コンクールで優勝、
一躍時の人ととなるも、堅実な研鑽で早くも巨匠のような貫禄があります。

↓チョ・ソンジン(pf: ラトル×ロンドン響)の感想はこちら。

山田 和樹(指揮)×バーミンガム市交響楽団

指揮者のヤマカズさんも、日本を代表する指揮者。
先日は読売日本交響楽団で指揮されているのを見に行きました。

2023年4月から、このバーミンガム市交響楽団の首席指揮者に就任したということでの来日公演だと思います。

1920年の発足時の初演ではプログラムにもあるエルガーが指揮し、またかつてはサー・サイモン・ラトルが首席指揮者を務めるなど、イギリスを代表するオーケストラのようです。

↓山田和樹×読売交響楽団(pf: ポゴレリチ)の感想はこちら。

↓山田和樹×バーミンガム市響 ヴァイオリン(樫本大進)公演はこちら。

プログラム/チケット情報

文京アカデミーHP

2023年6月28日(水) 19:00開演 文京シビックホール(東京)

プログラム 

  • ショパン:ピアノ協奏曲 ヘ短調 Op.21
  • ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 Op.27

チョ・ソンジンのショパンを生で聴くのはこれが初めてです。
今回はヘ短調協奏曲(2番)
録音も聴いた記憶ないかも。
どんな素晴らしい演奏になるのか、楽しみです!

ラフマニノフは交響曲も書いていたんですね、笑。しろうと丸出し。
今回は2番ですが、
交響曲1番は初演で大コケ、
作曲の筆が取れないほど精神的にダメージを受けるも、
ピアノ協奏曲2番で華麗に返り咲いたというエピソードが有名です。

挫折を味わったジャンルでの2作目は、かなり気合のこめられた作品なんでしょう。

↓ガルシアによるショパン2番の感想はこちら。

チケット 

S席:12,000円
A席:10,000円
B席:8,000円
C席:6,000円
D席:4,000円

ショパン:ピアノ協・・・の前に

開演10-15分前だったかな。
なんと、指揮者のヤマカズさんか登場し、贅沢にも前説をしてくれました笑!

バーミンガム響ツアーで、本公演が初めての「満員御礼」だったそうです!祝

そして、チョ・ソンジンとヤマカズさんのお顔が似ていて親子説が囁かれてるとかいないとか笑。
言われてみれば優しそうな丸顔で、強く主張されたら信じそう。

ちなみに発端は、
ピアニストの藤田真央さんとチョ・ソンジンさんが似てると噂になったようで、
加えて藤田さんとヤマカズさんが似てると噂されるようで、

間接的に、
「チョ・ソンジンと私(ヤマカズさん)も似てるんですかねー。
私が言ってるわけではないですよ!」
という話でした。

その後は、現在主席指揮者で活躍されてるバーミンガム響のお話、バーミンガムのお話、本日のプログラムとチョ・ソンジンさんの魅力についてお話しいただきました。

ショパン:ピアノ協奏曲 ヘ短調 Op.21

気を取り直して、ショパンのピアノ協奏曲ヘ短調。
「2番」として知られていますが、実はホ短調よりも先に作曲された曲。

若き日のショパンが初めて手がけた本格的な協奏曲で少々荒削り。
故に素材の味が存分に味わえます。照れてしまうほどのロマンティック。

ホ短調と比べるといくらか「個人的」なイメージで、
ところどころで恋のお悩みが見え隠れします。
そして終楽章の民族的な響きがすてきな曲です。

第1楽章、
硬く鋭くも、どこか儚いピアノソロの入りの一音目から完璧。

前説でヤマカズさんも、
彼の演奏は常に自然だとおっしゃっていました。

ややもするとピアノの独壇場になり、オケと合わせづらい曲なのだそうですが、
「こう来てほしい」てとこでバシッと「来る」っていうイメージですかね。

強固な技術基盤の上に、息をするように自然に溢れるロマンティシズム。あっという間の15分。

第2楽章、
やっぱりこの楽章が衝撃の連続でした。

改めて、チョ・ソンジンの表現の幅が広いこと!

わかりやすいのが強弱で、
オーケストラが静かな(つまりピアノの音がよく聞こえる)場面での弱音も、
全く打鍵の感じがしない、当然の摂理として鳴っている音みたいでした。

そして中間部、ユニゾンによる独白タイム。
まず曲としても、こんなにもダイレクトに心情を吐露する手法があるのかという斬新な場面です。

あまりコッテリさせ過ぎない匙加減も絶妙です。

その後の、天から降ってくる下降音のなんと美しいこと。。。

第3楽章、
三拍子の民族舞曲らしく、左手のリズム感や独特の旋律がよく聞こえてきます。

細かく動き回る右手の存在が全く邪魔にならない。
しかし意識して聴いてみると寸分の狂いのない粒揃いの音。

これほど隅々まで手入れを行き届かせるために、
どれくらい練習されたのでしょう。想像しただけで気が遠くなります。

意外とというか、結構飛ばすところは早めのテンポで飛ばしていくことが多いですね。
ここぞというところで大きい「タメ」を引き立たせる作戦なのでしょうか。

アンコール(ピアノソロ)

  • ヘンデル:調子の良い鍛冶屋

これですね!ロマンティックの後のバロック。
サウナの後の外気浴みたいな清々しさ。 ※個人の見解

今までと同じピアノとは思えない軽いタッチで、
装飾もふんだんに施した華々しいアレンジ。

早めのテンポで弾き進められますので、なんともスリリングで聴き応えがありました!

ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 Op.27

ロシアの大作曲家、ラフマニノフの交響曲。

冒頭で少し触れましたが、ラフマニノフを語る上で必ず取り上げられるのが「交響曲」。

若い頃から意欲を見せていた「交響曲」第1番の初演が大失敗に終わり、
数年間作曲の筆が止まるほどの精神的ダメージを受けたというエピソードです。

その後、かの「ピアノ協奏曲第2番」の成功で名声を確固たるものにしますが、
この「交響曲」というジャンルでの新作には勇気が必要だったことでしょう。

曲は全部で1時間ほどの超大作で、メロディのスケール感も大きいです。

憂鬱な序奏から開けた主題、後半で爆発するドラマチックな第1楽章
コンマスによるヴァイオリンソロも楽しめます。
(前回公演とても印象的だったのでまた聴けてよかった!)

第2楽章、
快活で金管のファンファーレが鳴り響く好戦的なスケルツォ。めちゃくちゃかっこいい。

対比をなす主題もこれまた美しい。

第3楽章が最も有名みたい。
聴いてみると驚き。
耳馴染みがいいというか、実際にどこかで聴いたことがあるような。
(実際にドラマやCMで用いられていたようです。
「妹よ(1994年 和久井映見主演)」
「私たちの教科書(2007年 菅野美穂主演)」
「サキ(2013年 仲間由紀恵主演)」
あとは「ジョージア」のCMなど)

とにかく美しい主題が繰り広げられ、自然と体が熱くなります。あと目頭も、、、

またまたヴァイオリンソロ。最高のシチュエーションですね。

第4楽章、祝祭的で華やかなアレグロ。
長いこと時間を共にした大イベントも終わりに近づいてきたようです。

先の楽章で出会った主題達が回想的に続々と登場し発展していきます。

ボルテージが上がったところで大サビ、
大らかな主題をゆっくり感動的に歌ったあと、
コーダ(終結部)で加速し上昇下降を繰り返し、
「タッタタタン」で終わる。

これぞラフマニノフ!といったところ。

他の交響曲に漏れず、全楽章を通して統一感を図る工夫がたくさん施されているようですが、私の理解力では追いつけていませんので、他の方の解説とかでお楽しみいただければと思います。

↓ONTOMO 大井駿氏著 特集「ラフマニノフ」より
https://ontomo-mag.com/article/column/rachmaninov-symphony2/

アンコール(オーケストラ)

  • エルガー:夜の歌

さいごに

長々と書いてしまいましたが、お読みいただきありがとうございました。

ヤマカズさんが、冒頭でお話しされていましたが、
今回はポーランド(ショパン)とロシア(ラフマニノフ)の作品が並びました。

件の2カ国は隣国同士、
今もなお、我々の想像を超えた緊張状態にあるようで、
ポーランドではロシアン作品の上演が控えられているとのこと。

本日のラフマニノフしかり、先日のチャイコフスキーしかり、
クラシック音楽を語る上でロシアの存在は欠かせません。

日本ではロシア音楽のボイコットが行われていないことに感謝しつつ、
様々な人々の状況も理解するよう努めなければなりませんね。

ところで、みなさんは、どうやってクラシックのコンサート情報を集めてらっしゃいますか?
自分で調べてみて、情報集めるのに一苦労でした。お知恵があればお教えいただきたいです!

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