こんにちは。いりこです。
3月14日(金)から、ドイツのライプツィヒでバッハ国際コンクールが開催されます。
2025年は大コンクールイヤー!
こちらの記事でまとめた15のコンクールのうち7つが開催されます。そして10月には最高峰ショパン国際コンクールも控えます。
当サイトで口火を切るのは音楽の父;バッハの名を冠したコンクール。あまり注目度は高くないかもしれませんが、大人になってからはまったバッハの音楽を存分に堪能するいい機会になると思い、追いかけていきたいと思います。
いよいよファイナル!24名でスタートした第1ラウンドから、ファイナルに進んだのは3名。
紅一点のMariamna Sherlingさんは愛が溢れるシューマン、筆者注目のJan Čmejlaさんはカチッとかっこいいメンデルスゾーン1番、堅実で安定した演奏をしてくれているMarek Kozákさんはグリーグを演奏!全員ぴったりそうな選曲で楽しみです!
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ国際コンクール 概要
【公式HP】(ドイツ語・英語)https://www.bachwettbewerbleipzig.de/en/bach-wettbewerb
【公式YouTube】https://www.youtube.com/@BachArchivLeipzig/streams
音楽の父「大バッハ」の名を冠したコンクール。2年に1度開催されていましたが、2025年から毎年開催に変更されます。時期も7月から3月に変更、バッハの誕生日である3月21日に本選が行われます。これからますます盛り上がっていく予感!
- 概要
開催地:ライプツィヒ(ドイツ)
開催間隔:毎年1部門開催(前回:2022年、次回:2025年)
歴史:第1回1950年
- 主な優勝者・入賞者
優勝者:タチアナ・ニコラーエワ(1950)、ヴァレリー・アファナシエフ(1968)、工藤 奈帆美 レイチェル(2018)、オルガ・ダフニス(2022)
入賞者:伊藤 恵(1980年2位)、ニコライ・ルガンスキー(1988年2位)
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使用ピアノはブリュートナー(Blüthner、筆記体で ü が ii に見えて検索に苦労しました、、、)
初めて聞いたメーカーですが、今大会の開催地ライプツィヒで創業された歴史的なメーカーだそうです。味のある音色で今大会を支えています。
スケジュール
第1ラウンド(24名):2025年3月14日(金)~ 3月15日(土)
第2ラウンド(9名):2025年3月17日(月)~ 3月18日(火)
ファイナル(3名)& 結果発表・授賞式:2025年3月21日(金)
3月21日(金)18:00(日本時間 翌2:00)
プログラム
ファイナル(3名)
a) Johann Sebastian Bach
Chromatische Fantasie und Fuge d-Moll, BWV 903
/J. S. バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV 903
b) Eines der folgenden Konzerte // one of the following concertos
/以下の協奏曲から1つ
Ludwig van Beethoven (1770–1827)
/ベートーヴェン
Klavierkonzert Nr. 3 c-Moll, op. 37/ピアノ協奏曲第3番 ハ短調
Klavierkonzert Nr. 4 G-Dur, op. 58/ピアノ協奏曲第4番 ト長調
Klavierkonzert Nr. 5 Es-Dur, op. 73/ピアノ協奏曲第3番 変ホ長調 「皇帝」
Felix Mendelssohn Bartholdy
/メンデルスゾーン
Klavierkonzert Nr. 1 g-Moll op. 25/ピアノ協奏曲第1番 ト短調
Klavierkonzert Nr. 2 d-Moll, op. 40/ピアノ協奏曲第2番 ニ短調
Robert Schumann (1810–1856)
/R. シューマン
Klavierkonzert a-Moll, op. 54/ピアノ協奏曲 イ短調
Clara Schumann (1819–1896)
/C. シューマン
Klavierkonzert a-Moll, op. 7/ピアノ協奏曲 イ短調
Edvard Grieg (1843–1907)
/グリーグ
Klavierkonzert a-Moll op. 16/ピアノ協奏曲 イ短調
ファイナルは「指定ソロ曲+協奏曲」、2025年大会からショパン国際コンクールが採用している形ですね。
「半音階的幻想曲とフーガ」は、その名のとおり前半も後半も半音階が印象的で12分に及ぶ大曲。
続く協奏曲群には、バッハの協奏曲はなし、、、残念。ベートーヴェンの後半3つ、メンデルスゾーン、シューマン夫妻のドイツもの+グリーグから1曲を演奏します。
ファイナルを伴走するのは、1743年創立の名門ゲヴァントハウス管弦楽団と、ライプツィヒ歌劇場の常任指揮者であるクリストフ・ゲートショルト。ファイナリストが安心して身を委ねられる体制が整っています。
【課題曲に大幅変更!】第19回(2025年)ショパン国際コンクール募集要項発表
3月21日(金)18:00(日本時間 翌2:00)
Mariamna Sherling 23 Jahre / Israel(23歳、イスラエル) ※第1ラウンド[3.14] ※第2ラウンド[3.17]
Johann Sebastian Bach: Chromatische Fantasie und Fuge d-Moll, BWV 903
/J. S. バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV 903
Robert Schumann: Konzert a-Moll, op.54
/シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54
ファイナリスト3人の中では、正直上がってくるとは思っていなかったピアニストでしたが、ソロのバッハはずいぶん印象が変わり、しっかりした演奏、シューマンの協奏曲も柔らかい音色がとてもよかったです。
どちらかというとロマン派とかが合う印象で、シューマンがお好きなのかな、第2ラウンドでもダヴィッド同盟曲集というニッチな曲弾いていました。
ただミスタッチは多めで、音楽の流れはきれいなだけに、大会通してそこだけ気になりました。
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シューマンのピアノ協奏曲、、、久々に聴きましたが、いいですね。愛にあふれている優しい曲、体がじんわり温かくなります。
そしてバックのゲートショルト×ゲヴァントハウスが素晴らしい。オケのことは(ピアノ以上に)わかりませんが、シューマンの協奏曲は結構いろんな音源聴いた中で、とてもいい演奏だと感じました。ピアニストにとってはとても貴重な経験ですね。
Jan Čmejla 21 Jahre / Tschechische Republik(21歳、チェコ共和国) ※第1ラウンド[3.14] ※第2ラウンド[3.17]
Johann Sebastian Bach: Chromatische Fantasie und Fuge d-Moll, BWV 903
/J. S. バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV 903
Felix Mendelssohn Bartholdy: Konzert g-Moll, op.25, MWV O 7
/メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲 第1番 ト短調 Op.25 MWV O 7
今大会で一番応援しているピアニスト。
まずバッハ、やはり落ち着いていて、老成といってもいいくらい、「多少のことでは心は乱されないゾ」、といった芯を感じます。
一転してメンデルスゾーンの協奏曲。いやー鮮やかでした!!!2楽章のシンプルかつメランコリックな表現、そして細かいパッセージが怒涛のように押し寄せる超絶技巧の3楽章。とても軽やかなタッチで見事に弾きこなしていました。
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30分休憩
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幕間では、今大会を支えるピアノ、ブリュートナー(Blüthner)が紹介されました。
バッハコンクールが行われているライプツィヒで1853年に創業された歴史あるピアノメーカー。同年に創業したスタインウェイ・アンド・サンズ、1823年に創業したベーゼンドルファーと並んで世界三大名器として古くから知られています。
動画内では、おもちゃのオルゴールを、ピアノの骨格にあたる木材に当てるだけで、どれほど響きが豊かになるかを見せてくれるなど、とても興味深いものでした。
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Marek Kozák 31 Jahre / Tschechische Republik(31歳、チェコ共和国) ※第1ラウンド[3.15] ※第2ラウンド[3.18]
Johann Sebastian Bach: Chromatische Fantasie und Fuge d-Moll, BWV 903
/J. S. バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV 903
Edvard Grieg: Konzert a-Moll, op.16
/グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16
さてもう一人の推し。最年長の参加者で親近感。
まったく同じ曲が連続で演奏されるのはおもしろい機会です。やはり「こんなに違うか」と感じるくらい違いが分かります。
彼の演奏は一番バロックっぽいというか、一音一音粒が立っていて、雅・アンティークな雰囲気。
そして圧巻のグリーグ。そもそもこの曲、冒頭からかっこよ過ぎますよね。ところどころドヴォルザークみがあるというか、ドイツ・フランスものとは違った趣があります。都会の真ん中から故郷を想う郷愁のようなものを感じます。
と、曲をまるまる楽しめるほど、ストレスフリーで非常に安定した演奏をお届けしてくれました!強いて言えばもう少しクセ・鋭さがあってもおもしろいかもな、くらい。
ファイナル まとめ
1週間に及んだバッハコンクールも無事終了!これくらいの規模だと少し追いつきやすいです笑。
今日の協奏曲は3人ともよかったですね!
ファイナルの協奏曲で印象がずいぶん変わる方もいらっしゃいますから、当たり前ですがソロとは違う難しさがあるのだと思います。
本命はチェコのお二人。
特にJan Čmejlaさんは第1ラウンドからずっと良かったですし、メンデルスゾーン1番は鮮やかで、会場の反応も一番大きかったです。21歳とは思えない円熟ぶりです。
まろやかな音色のMarek Kozákさん、第1ラウンドのショパンもよかったし、ファイナルのバッハは彼が一番よかったですね。
Mariamna Sherlingさんのシューマンも熱がこもっていて心地よかったです。
最終結果
最終順位
第1位:Jan Čmejla / 21 Jahre / Tschechische Republik
第2位:Marek Kozák / 31 Jahre / Tschechische Republik
第3位:Mariamna Sherling / 23 Jahre / Israel
賞金
1位:€ 20,000(約324万円)
2位:€ 10,000
3位:€ 5,000
特別賞
・舞台衣装特別賞:Jan Čmejla
(Wagler Leipzig GmbH 提供、優勝者に2,500ユーロ相当のオーダーメイド舞台衣装を贈呈)
・マスタークラス奨学金:Marie Wurtz
(Christa Bach-Marschall財団 提供、参加者1名に、マスタークラス参加のための奨学金1,000ユーロ)
・CD制作賞:Jan Čmejla
(Genuin Classics 提供、優勝者にCD制作の機会を提供)
・聴衆賞:Jan Čmejla
(バッハ・アーカイブ協会 提供、ファイナリストの中から、観客投票により選出された1名に2,000ユーロ)
・ベーレンライター原典版賞:Jan Čmejla
(Bärenreiter Verlag 提供、ファイナリストの中から1名に、ベーレンライター社の原典版500ユーロ分の楽譜購入券)
これはこれは、納得の順位です。
見事優勝したのはJan Čmejlaさん。まだ21歳、チェコ出身のピアニストです。併せて聴衆賞や、ベーレンライター原典版の楽譜がたくさん買える特別賞なども受賞!
全ラウンド通して、彼の演奏が一番印象に残るほど素晴らしかったですね。
受賞式ではインタビューも行われ、おそらくドイツ語でお話しされていました。なんとその場で「なんか弾いて」という流れになり(笑)、第2ラウンドで披露した「パルティータ第4番」から「サラバンド」を披露!長丁場を終えた会場に染み渡るような優しい時間でした。
第2位は同じくチェコ出身のMarek Kozákさん、第1ラウンドのショパンのスケルツォ4番もよかったし、ファイナルのバッハは彼が一番よかったです、理性的ながら器の大きさも感じる演奏でした。これからどこかでまた演奏が聴けたらうれしいです。
第3位はMariamna Sherling、イスラエル出身でファイナルは紅一点。シューマンの協奏曲は聴いているこちらの体温がじんわり上がっていくような素敵な演奏でした。
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