【2024.11.15】第12回浜松国際ピアノコンクール 第2次予選 1日目

12th hamamatsu international piano competition ピアノコンクール
https://www.hipic.jp/
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こんにちは。いりこです。

11月9日(土)から、世界的にも注目度がうなぎ上りの浜松国際ピアノコンクールが2大会ぶりに開催されています!

モントリオール国際音楽コンクールゲザ・アンダ国際ピアノコンクールリーズ国際ピアノコンクールに続いて、今年4つ目のコンクールを取り上げることになります。またリーズ国際同様、来年に控えるショパン国際コンクールの予選免除が与えられる重要な大会です。

遅ればせながらキャッチアップしていきたいと思いますので、6年ぶりの浜松国際を一緒に楽しんでいけたらと思っております!

87名の参加者による5日間に及んだ第1次予選も終わり、一気に24名まで絞られた第2次予選が始まります。日本勢からは5名(佐川 和冴小林 海都谷 昂登藤平 実来鈴木 愛美)が進出!

第2次予選1日目、マクシミリアン・ クロマー佐川 和冴ヤン・ ヴィドラシュデイヴィッド・ チョエ小林 海都さんらが登場します!

浜松国際ピアノコンクール概要

公式HP(日本語・英語):https://www.hipic.jp/
公式YouTube:https://www.youtube.com/user/HIPICofficial

開催期:2024年11月9日(土)~ 11月24日(日)

我らがニッポンで行われている国際コンクール。こちらで紹介しているコンクールと比べると格段に歴史が浅いのですが、ブレハッチチョ・ソンジンと、ショパン国際コンクール覇者を輩出するなど、すでに優勝・入賞者たちの活躍が目覚ましい大注目のコンクールです。

恩田陸さんの小説「蜜蜂と遠雷」のモチーフにもなった大会であるほか、上位2名はショパン国際コンクール本大会へ直接駒を進めることができる(ビデオ審査・予備予選が免除される)ことからも、今大会が重要視されていることが分かります。

  • 概要
    開催地:浜松市(静岡県)
    開催間隔:3年に1度(前回:2018年(2021年中止)、次回:2024年11月)
    歴史:第1回1991年
  • 主な優勝者・入賞者
    優勝者:アレクサンダー・ガヴリリュク(2000)、アレクセイ・ゴルラッチ(2006)、チョ・ソンジン(2009)、アレクサンダー・ガジェヴ(2015)

    入賞者:上原 彩子(2000年第4位)、ラファウ・ブレハッチ/アレクサンダー・コブリン(2003年第2位)、牛田 智大(2018年第2位)

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スケジュール

第1次予選(87名):2024年11月9日(土)~ 13日(水)

第2次予選(24名):2024年11月15日(金)~ 17日(日)
11月15日(金)10:30, 12:20, 15:15, 17:05
11月16日(土)10:30, 12:20, 15:15, 17:05
11月17日(日)10:30, 12:20, 15:15, 17:05 結果発表: 19:00

第3次予選(12名):2024年11月19日(火)~ 20日(水)

本選(6名):2024年11月23日(土)~ 24日(日)

2週間に及ぶ長丁場です。

プログラム

第2次予選(24名)

(1) と (2) を演奏する。演奏時間は合計40分以内とし、演奏順は任意とする。

(1) 下記の古典派作品、ロマン派作品、近・現代作品より、2つ以上の異なる時代区分から、2作品以上(出版されている作品に限る)を選択し演奏する。ただし、第1次予選で演奏する曲は除外する。

古典派ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン
ロマン派シューベルト、メンデルスゾーン、ショパン、シューマン、リスト、フランク、ブラームス、サン=サーンス、チャイコフスキー、グリーグ
近・現代フォーレ、ドビュッシー、スクリャービン、ラフマニノフ、シェーンベルク、ラヴェル、バルトーク、プーランク、メシアン、ヴェーベルン、ベルク、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチ、シマノフスキ、武満徹、三善晃、間宮芳生、矢代秋雄

(2) 第12回浜松国際ピアノコンクールのために作曲された日本人作曲家(猿谷紀郎氏)による新作品(5~7分程度)。新作品の楽譜はコンクールの3ヶ月前に予備審査を通過した者に送付する。なお、コンクール前にこの新作品を公開演奏することを禁じる。

※ライブのアーカイブがないため、個別の動画でお楽しみください!

11月15日(金)10:30

チャ・ ジュンホ/CHA Junho(韓国、2005) ※第1次予選[11.9]
A. スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第4番 嬰ヘ長調 Op.30
/A. SCRIABIN: Piano Sonata No.4 in F sharp major Op.30
L. v. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第28番 イ長調 Op.101
/L. v. BEETHOVEN: Piano Sonata No.28 in A major Op.101
猿谷紀郎:Division 28 for piano
/SARUYA Toshiro: Division 28 for Piano

1次予選、初のタイムオーバーとなった人でドキッとさせられたピアニストでしたが、無事進出してたんですね!今大会聴く機会の少なかったベートーヴェンソナタ、後期1発目の28番。というかこのピアニストも19歳!?落ち着いて上品なソナタでしたし、スクリャービンも流麗で上品。やはり40分のリサイタルは持ち味がグッと出ます。

マクシミリアン・ クロマー/Maximilian KROMER(オーストリア、1996) (第3次予選進出) ※第1次予選[11.9]
L. v. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第1番 ヘ短調 Op.2-1
/L. v. BEETHOVEN: Piano Sonata No.1 in f minor Op.2-1
C. フランク:前奏曲、コラールとフーガ M.21
/C. FRANCK: Prélude, Choral et Fugue M.21
猿谷紀郎:Division 28 for piano
/SARUYA Toshiro: Division 28 for Piano

またもベートーヴェンソナタ、こちらは古典的な響きが残る1番。堅固・堅実な音がすごくマッチしていましたし、ほどよく熱も感じます。そしてフランクは1次予選から3人目でしたが、こちらも重厚で巨大建築のような曲にマッチしていました。40分の舞台でさすがにノーミスというわけにはいきませんが、全体的な雰囲気というか、統一感もあり、やはり印象的なピアニストの1人です。

11月15日(金)12:20

佐川 和冴/SAGAWA Kazusa(日本、1998) (第3次予選進出) ※第1次予選[11.9]
F. J. ハイドン:ピアノ・ソナタ ロ短調 Hob.XVI:32
/F. J. HAYDN: Piano Sonata in b minor Hob.XVI:32
J. ブラームス:幻想曲集 Op.116
/J. BRAHMS: Fantasies Op.116
猿谷紀郎:Division 28 for piano
/SARUYA Toshiro: Division 28 for Piano

さて佐川さん。1次予選に続きブラームスを持ってきていますが、これまたよかったです!ブラームスの重厚さ、抒情性、その他もろもろの複雑なニュアンスをバッチリ表現していました。このラウンドも素晴らしかったのでは!

ルン・ シェリー・ホイチン/LUN Sherri Hoi-Ching(香港、2003) ※第1次予選[11.10]
L. v. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第24番 嬰へ長調 Op.78「テレーゼ」
/L. v. BEETHOVEN: Piano Sonata No.24 in F sharp major Op.78
C. ドビュッシー:前奏曲 第2集 より「花火」
/C. DEBUSSY: “Feux d’artifice” from Preludes Book II
C. フランク:前奏曲、コラールとフーガ M.21
/C. FRANCK: Prélude, Choral et Fugue M.21
猿谷紀郎:Division 28 for piano
/SARUYA Toshiro: Division 28 for Piano

ベートーヴェンのソナタがたくさん聴けてうれしい。そしてこのベートーヴェンの演奏がまた素晴らしい。花火での弱音の処理、フランクの構造的な表現、1次予選以上に印象に残りました。

11月15日(金)15:15

ヤン・ ヴィドラシュ/Jan WIDLARZ(ポーランド、2002) ※第1次予選[11.10]
F. ショパン:バラード 第4番 ヘ短調 Op.52
/F. CHOPIN: Ballade No.4 in f minor Op.52
M. ラヴェル:夜のガスパール
/M. RAVEL: Gaspard de la nuit
猿谷紀郎:Division 28 for piano
/SARUYA Toshiro: Division 28 for Piano

なんでしょうね、柔らかい音色で、細部にも配慮が行き届いた丁寧な演奏なんですが、冷たさを感じます。バラード4番もより理知的で無関心さみたいなものを感じる演奏で、逆に心を揺さぶられました。そして「夜のガスパール」1曲目「オンディーヌ」でもうシビれました。細かい重音を“ppp”で処理するというそれこそ人間離れしたパッセージ、単純に美しい演奏でしたし、「水の精」「夜」というイメージにもピッタリでした。いやはや。。。これは本選での協奏曲まで聴きたい!

デイヴィッド・ チョエ/David CHOI(アメリカ/韓国、2007) ※第1次予選[11.10]
F. J. ハイドン:ピアノ・ソナタ ヘ長調 Hob.XVI:23
/F. J. HAYDN: Piano Sonata in F major Hob.XVI:23
F. メンデルスゾーン:無言歌集 第1巻 ホ長調 Op.19-1
/F. MENDELSSOHN: Songs without Words Book 1 in E major Op.19-1
S. ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 Op.36(1931)
/S. RACHMANINOV: Piano Sonata No.2 in b flat minor Op.36 (1931)
猿谷紀郎:Division 28 for piano
/SARUYA Toshiro: Division 28 for Piano

このステージでも、ハイドンの粒ぞろいな感じ、無言歌での伸びやかさ、ラフマニノフの大伽藍のソナタでの超絶技巧にロマンチックと、いろんな表情を見せてくれましたし、どれもハイレベルでした。そして、え!?まだ17歳??!うそやん。現時点でこの完成度とスケール感です、伸びしろまだまだありそうで末恐ろしいピアニストです。

11月15日(金)17:05

ロバート・ ビリー/Robert BILY(チェコ、1997) (第3次予選進出) ※第1次予選[11.10]
L. v. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 Op.110
/L. v. BEETHOVEN: Piano Sonata No.31 in A flat major Op.110
C. ドビュッシー:ピアノのために
/C. DEBUSSY: Pour le piano
猿谷紀郎:Division 28 for piano
/SARUYA Toshiro: Division 28 for Piano

言ってしまえば結構めちゃくちゃで、特にベートーヴェン1・2楽章やドビュッシーの第3曲トッカータでのもたつき感は個人的には引っかかりました。ただそれ以上の色気というか艶やかさというか。ベートーヴェン3楽章の悲哀さはよく表現されていました。またドビュッシーの「ピアノのために」ですが、誰がコンクールにこんな曲持ってくるでしょう(笑)個人的には好きな曲ですが、かなり抽象的で取り上げられる機会も少ないと思います。ただ、その抽象性がマッチしていて、いったい今何が起こっているのか、どこに連れていかれるか分からないまま終始振り回された感じ。それが新鮮で心地いい、興味深いピアニストでした。

小林 海都/KOBAYASHI Kaito(日本、1995) (第3次予選進出) ※第1次予選[11.10]
A. スクリャービン:前奏曲 嬰ト短調 Op.11-12
/A. SCRIABIN: Prelude in g sharp minor Op.11-12
F. ショパン:ポロネーズ 第7番 変イ長調 Op.61「幻想」
/F. CHOPIN: Polonaise No.7 in A flat major Op.61 “Polonaise-fantaisie”
M. ラヴェル:優雅で感傷的なワルツ
/M. RAVEL: Valses nobles et sentimentales
猿谷紀郎:Division 28 for piano
/SARUYA Toshiro: Division 28 for Piano

優しそうな方ですが、きっとダメなことははっきりダメだと言ってくれるタイプの優しさの持ち主ですね(妄想です)そして仕事のときは仕事、遊ぶときは真剣に遊んでくれるタイプの人です(妄想です)。安定感がありメリハリもあるいい演奏でした。日本勢エース筆頭候補です。

・・・

いやあ、全員良かったですね笑。

安定感のあるオールラウンドな佐川 和冴ルン・ シェリー・ホイチン小林 海都、その中でも若いチャ・ ジュンホデイヴィッド・ チョエ、硬派なマクシミリアン・ クロマー、色彩感のあるヤン・ ヴィドラシュロバート・ ビリー。。。全員良かったです。選べません。。