こんにちは。いりこです。
6月2日(金)ザ・シンフォニーホール(大阪)にて行われた、マルティン・ガルシア・ガルシアのピアノソロ公演に行ってきました。
公演に行かれた方とも、行かれてない方とも、感動を共有できたら嬉しいです。
ショパンコンクール第3位 マルティン・ガルシア・ガルシア
スペイン出身のピアニスト、マルティン・ガルシア・ガルシア。
私が初めて知ったのは、2021年のショパンコンクールでした。
他の参加者とは一線を画す、
汗だくで楽しそうにピアノと向き合う姿に一目ぼれ。
見事3位入賞とコンチェルト賞を獲得されました。
▼公式HP
https://martingarciagarcia.com/
▼日本ツアー楽しみ投稿をしてくれています♪
↓実は昨年、協奏曲公演を聴きに行きました。
その時の興奮に任せて書いた感想はこちらです。よかったらぜひ!
プログラム/チケット情報
ザ・シンフォニーホールHP(チケット)
関西フィルハーモニー管弦楽団HP(主催)
2023年6月2日(金) 19:00開演 ザ・シンフォニーホール
プログラム
- ショパン:
4つのマズルカ Op.33
舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
華麗なる大円舞曲 変ホ長調 Op.18
ポロネーズ第5番 嬰ヘ短調 Op.44
ワルツ 変イ長調 Op.64-3
ワルツ 嬰ハ短調 Op.64-2
華麗なる円舞曲 Op.34 - シューマン:
3つの幻想小曲 Op.111
交響的練習曲 Op.13
ショパンとシューマン。奇しくも1810年生まれ(めちゃ当たり年)。
ショパンはマズルカ・ポロネーズ・ワルツ(円舞曲)と舞曲がほとんど。
2021年のコンペティションでも、躍動感とどこか胸をえぐる郷愁漂う、彼の舞曲には虜になりました。
実は、7月にもソロを見に行くんですが、プログラムが結構変わります。
今回(と北海道公演)のみの曲目は、「ポロネーズ5番嬰ヘ短調」「ワルツ」。
特に「ポロネーズ5番」は、大好きな曲なんですがあまり演奏機会が多くない曲ですので、しかもガルシアの演奏が聴けるなんてラッキーです。
そして個人的に1・2を争うほど好きな「舟歌」もあり、非常に筆者得なプログラムです。
そしてショパン以外も弾いてくれるのはうれしいですね。
ショパンコンクール入賞者はどうしてもショパンを求められるんだとは思いますが。
シューマンはあんまり詳しくないので勉強になります。
チケット
全席指定 5,000円
ショパン:4つのマズルカ Op.33
マズルカは、ショパンの故郷ポーランドの民族舞踊で、3拍子。
1拍目にアクセントが来るワルツと違って、2・3拍目にアクセントが置かれるため、より民族的・土着的といいますか、躍動的なダンスが目に浮かびます。
ショパンは生涯50曲以上書いていて、生前とうとう帰国が叶わなかった祖国の音楽を発信し続けると同時に、日記のような作品だと言われています。
ショパンコンクールでも課題曲に指定され、特別賞「マズルカ賞」が設置されていることから、ショパンの音楽を語るうえで不可欠なジャンルです。
このOp.33の4曲、ガルシアはコンクールで弾いておらず、2番以外はテンションが低かったりほの暗かったり。そのおかげで、ガルシアの鼻歌がよく聞こえました笑。
ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
舟歌(Barcarolle)は、ヴェネツィアのゴンドラの舟歌を模した性格の作品。
波ともゴンドラ漕ぎの様子とも取れる特徴的なリズムの上に、伸びやかな唄が歌われます。
一聴すると「伴奏+メロディ」というシンプルな作りに見えますが、中間部の大波+小波+旋律という3声が緻密に絡み合う構造など、技術的にも難しい曲です。
「3回失恋しないと弾けない」という(根拠のない?)言説を耳にするほど、
非常に内容が充実した最晩年の傑作で、「歌モノ」というより物語性がある作品。
が、彼はやはり朗らかな鼻歌を歌いながら船を進めてくれました。
失恋がなんだ。人生がなんだ。とりあえずオレと一緒に音楽しようぜ。
そんな感じの言葉が聞こえるようでした(感受性が乏しい)。
ほんとにすべてを包み込むような温かい舟歌です。
舟歌を聴いて思ったのですが、ガルシアは、
音楽の横の流れ(メロディーの歌心)に優れていることは容易に聴き取れるのですが、
音楽の縦の構築(ハーモニーの積み重ね)のバランスも非常にセンスがいいんだなと感じました。
複雑なこの曲を緻密にコントロールし、聴き手には最適化された音が届いている感じです。
ショパン:華麗なる大円舞曲 変ホ長調 Op.18
「子犬のワルツ」と並んで有名なワルツではないでしょうか。
ピアノ学習者にも人気な曲ですが、同音連打がクセあって難しいです。
最初に出版されたもので、躍動感があり小気味いいワルツです。
ガルちゃんの魅力は、こういう手垢のついた曲を、屈託なく、しかしガルシア色満載で新鮮な演奏をしてくれるところだと思います。
赤べこのように首を動かし、逆に弾きづらいのでは?と心配するほど笑。
非常にダンサブルな演奏でした。
ショパン:ポロネーズ第5番 嬰ヘ短調 Op.44
今回参加の最後の一押しになった、個人的な目玉。
ポロネーズは、ポーランド起源の舞曲でゆっくりめの堂々とした3拍子、
マズルカと並んでショパンにとって重要な作品群です。
7歳のショパン少年が初めて作曲したのがこのポロネーズだとか。
この曲は10分を超える大曲、そしてショパンの曲の中でもかなり激情的・男性的な部類です。いわゆる一般的な「ショパン像」とはかけ離れていますが、とてもかっこいいです。
もう一つの特徴として、3部形式の中間部では穏やかで夢見ごごちのマズルカが展開されます。「ポロネーズ」「マズルカ」という祖国ポーランドのエッセンスが詰め込まれています。激動のポロネーズ部分との対比も印象的。
ガルちゃんの演奏で印象的だったのは、この中間部のマズルカ。
ポロネーズ部分を剛力で引き倒してくれるピアニストは他にもいると感じますが、この哀愁を内包し、それでいて舞踏感のある演奏は独特の魅力があるなと感じました。
ショパン:ワルツ 変イ長調 Op.64-3/嬰ハ短調 Op.64-2
ここからワルツが続きます。
話は変わりますが、ガルシアは2021年のショパンコンクールの3次予選で、前奏曲から抜粋で数曲演奏して「前奏曲」とし、メインディッシュのピアノソナタにつなげていました。プログラムづくりにもこだわりを感じます。
質・量的に重たい舟歌、ポロネーズの後に、晩年のしっとりワルツを2曲。
初期の煌びやかなワルツとは対照的な質感のワルツを、作品番号を前後し、抜粋で演奏するというのがプログラムの流れとしておもしろいと感じました。
そして自然。そういう組曲なのかと思ってしまうほど。
ショパン:華麗なる円舞曲 Op.34
続いては初期の明るいワルツ。
この3曲のワルツは録音していますね。お好みなんでしょうか。
↓このアルバムの4~6曲目。てかもっと音源出してほしい!
そのぶん生演奏の機会が多くてうれしいですが。
Op.34-2 イ短調のワルツなんかはほぼのど自慢(過言)。
シューマン:3つの幻想小曲 Op.111
休憩を挟んで後半はシューマン。まずは小品が3つ。
あんまり録音がでてきませんでしたが、そこまで有名な曲ではないんでしょうかね?
流麗かつ激情的な1番。2番は規模が大きく、シューマンの本領発揮といったドラマティックな曲。重厚で勇猛な3番。
ここにきてギアが上がったというか、音もよく出ていたように感じました。
全体的な特徴でもありますが、比較的ゆっくりしっかりとした演奏です。
シューマン:交響的練習曲 Op.13
シューマンの最高傑作のひとつで、かなり難しそうな変奏曲です。
「ド#↘ソ#↘ミ↘ド#」と嬰ハ短調のアルペジオから始まり、独特の雰囲気で展開していく幻想的でスケールの大きい変奏曲です。
付点のリズムが印象的で、第4変奏あたりからスピード感が増す兆候がチラ見えし、最終12変奏の感動的なクライマックスに向かっていく感じがたまらなくドラマチックです。
この曲のバリエーションとなる遺作ですが、1番目のみ、テーマのあとすぐ、第1変奏の前に挿入されました。
(5曲目とかキラキラしてて好きなんですけどね。聴いてみたかった)
シューマンを聴いて再度、
この人は雰囲気で弾いてるんじゃないんだということを再確認しました。
和音の積み重ね方が繊細で、かつがっつり和音をつかんだ時の瞬間風速たるや、ひるんでしまうほどです。
こういう交響的で重厚な曲の演奏をもっと聴いてみたいなと感じました。圧巻のフィナーレです。
アンコール – 3曲も弾いてくれました♪
- モンポウ:「子供の情景」より 1.街路での叫び
- ラフマニノフ:「音の絵」(絵画的練習曲)第5番 Op.39-5
- ラフマニノフ:「楽興の時」第6曲 Op.16-6
モンポウは初めて聴きましたが、ガルシアと同郷スペイン出身の20世紀の作曲家。
特徴的な減三の音が響く楽しそうな曲。新しい曲との出会いはいいですね。
そしてラフマニノフを2曲。
静かに炎が燃える音の絵と、壮大なカノンが繰り広げられる楽興の時。
ラフマニノフの交響的な分厚い響きとロマンチシズムがガチっとハマっており、鳥肌が立ちました。
ショパンもいいですけど、こういう厚めの曲ももっと聴きたいですね!
↓公式Twitterなんですが、ゆるい情報。
「子供の情景」”より” 「何」なんだ、知らない曲だったから記憶だけを頼りに探しました。
音の絵は変ホ短調、書かなければよかったのに。
◆アンコール曲◆6月2日(金) 19:00開演
— ザ・シンフォニーホール 公式 (@thesymphonyhall) June 2, 2023
『マルティン・ガルシア・ガルシア ピアノ・リサイタル ”がんばれ関西フィル”コンサートⅣ 第2回ヨーロッパ公演成功を願って』
◎モンポウ:子供の情景より
◎ラフマニノフ:音の絵より 作品39-5 変ホ長調
◎ラフマニノフ:楽興の時 作品16-6
さいごに
大阪は、外出をいったん躊躇うほどの土砂降りで、写真を取り忘れました。。。
ガルシアは前回協奏曲を聴いて、もちろん素晴らしかったのですが、ソロ公演でより個性に触れることができました。そして席も近かったので、鼻歌、弾いているときの豊かな表情、タップする足音、演奏に関するものすべてを堪能することができました。外出してよかった☔
長々と書いてしまいましたが、お読みいただきありがとうございました。
ところで、みなさんは、どうやってクラシックのコンサート情報を集めてらっしゃいますか?
自分で調べてみて、情報集めるのに一苦労でした。お知恵があればお教えいただきたいです!
↓今年のツアー他公演の感想はこちら♪
↓実は昨年、協奏曲公演を聴きに行きました。
その時の興奮に任せて書いた感想はこちらです。よかったらぜひ!
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