こんにちは。いりこです。
8月27日(水)、日本時間午後6時から、イタリア・ボルツァーノでブゾーニ国際ピアノコンクールが開幕しました。
前回2023年大会は、筆者が初めてみたコンクールでした。そしてラティノフという推しピアニストを生んだ思い出深いコンクールです。
2025年は大コンクールイヤー!
こちらの記事でまとめた15のコンクールのうち7つが開催されます。そして10月には最高峰ショパン国際コンクールの本大会も控えます。
バッハ国際、ロン=ティボー国際、エリザベート王妃国際、クライバーン国際(特集なし)に続いて5つ目のコンクールです。28日からはクララ・ハスキル国際も開催!大忙し!!
ブゾーニ国際ピアノコンクール 概要
【公式HP】(イタリア語・ドイツ語・英語)
https://www.busoni-mahler.eu/competition/en/pagina-busoni-en/
【公式YouTube】
https://www.youtube.com/@BusoniInternational
※公式HP&YouTubeでライブ配信中、アーカイブはしばらく公式HPのみ!
イタリアの大ピアニスト・作曲家であるフェルッチョ・ブゾーニの名を冠したコンクール。
上位2名はショパン国際コンクールでビデオ予選&予備予選免除で本大会への出場権が与えられる、また2025年大会の審査員長ギャリック・オールソンを輩出するなど、レベルの高いコンクールとして認知されています。
前回2023年大会は、10月のショパンコンクールにも出場するアンソニー・ラティノフ(第2位)、山﨑 亮汰(第3位)が入賞しています。
- 概要
開催地:ボルツァーノ(イタリア)
開催間隔:予選・本選が隔年開催(前回:2023年8~9月、次回:2025年)
歴史:第1回1949年 - 主な優勝者・入賞者
優勝者:マルタ・アルゲリッチ(1957)、ギャリック・オールソン(1966)、ルイ・ロルティ(1984)、アルセニー・ムン(2023)
入賞者:フランソワ=ジョエル・ティオリエ(1964年第2位)、ベルント・グレムザー(1984年第3位)、ドミトリー・シシキン(2013年第3位)、桑原 志織(2019年第2位)、アンソニー・ラティノフ(2023年第2位)、山﨑 亮汰(2023年第3位)
スケジュール
セミファイナル(30名):2025年8月27日(水)~ 8月29日(金)8月27日(水)11:00(日本時間18:00)、16:00(23:00)、20:30(翌3:30)8月28日(木)10:00(日本時間17:00)、16:00(23:00)、20:30(翌3:30)
8月29日(金)10:00(日本時間17:00)、16:00(23:00)
ソロ・ファイナル(12名):2025年8月30日(土)~ 8月31日(日)
室内楽・ファイナル(6名):2025年9月2日(火)~ 9月4日(木)
グランドフィナーレ(3名):2025年9月7日(日)
プログラム
セミファイナル(30名)
演奏時間:25~30分
- One of the following compositions by F. Busoni:
/以下のブゾーニの作品から1つ:
– one Elegy from BV 249/エレジー BV249 から1曲
– Elegy No. 7 Berceuse BV 252/エレジー第7番 「子守歌」
– Sonatina No. 1 BV 257/ソナチネ第1番
– Sonatina Seconda BV 259/ソナチネ第2番
– Sonatina “In diem nativitatis Christi MCMXVII” BV 274/ソナチネ第4番 「キリスト生誕1917年の日に」
– Toccata (Prelude – Fantasy – Ciaccona) BV 287/トッカータ(前奏曲、幻想曲、シャコンヌ)
– Indianisches Tagebuch (I), either No’s 1, 2, 3 or 4 BV 267/インディアン日誌 第1巻 第1~4曲 から1曲
– Preludes Op. 37 BV 181: a choice of 3 preludes/24の前奏曲集 から3曲
– Fantasie nach Johann Sebastian Bach BV 253/J. S. バッハによる幻想曲
– 10 variations of Chopin Präludium (Klavierübungen Teil 5) BV 213a/ショパンの前奏曲に基づく10の変奏曲 - other published works selected by the candidate./自由選択の作品
8月29日(金)10:00(日本時間17:00)
Zixi Chen (Year of birth: 2002)
F. Chopin: Étude op. 25, n. 6
/ショパン:練習曲 Op.25-6
F. Chopin: Rondo op. 1
/ショパン:ロンド Op.1
F. Busoni: Elegien, BV 249: 3. Meine Seele bangt und hofft zu Dir, Choralvorspiel, BV 249
/ブゾーニ:エレジー BV 249 第3番 「私の魂は畏れつつ待ち望む(コラール前奏曲)」
F. Liszt: Réminiscences de Robert le diable, S. 413
/リスト:「悪魔ロベール」の回想 S.413
さて3日目、1曲目からショパンの超難曲Op.25-6というぶっ飛ばしプログラムでしたが鮮やかでした。そしてめったに聞かないロンドOp.1、ショパン多めだなと思ったら、ショパンコンクール本大会に出場するピアニストさんでした。
Yangrui Cai (Year of birth: 2000)
J.S. Bach: Toccata, BWV 912
/J. S. バッハ:トッカータ BWV 912
F. Liszt: Harmonies poétiques et religieuses: Bénédiction de Dieu dans la solitude
/リスト:詩的で宗教的な調べ「孤独の中の神の祝福」
F. Busoni: Elegien, BV 249: 4. Turandots Frauengemach, Intermezzo
/ブゾーニ:エレジー BV 249 第4番 「トゥーランドットの閨房(間奏曲)」
エレジーのなかでもこの第4曲はよく選択されていますし、とても聴いたことあるような?耳に残る独特なメロディーです。これが元ネタなのか他にあるのか、少し調べていたけど分かりませんでした、、、ご存じの方教えてください。
演奏はバッハ→晩年のリストと、なんとも身が引き締まるような演奏でした。
Elia Cecino (Year of birth: 2001) ソロ・ファイナル進出
D. Šostakovič: 24 Preludes und Fugues op. 87: n. 21
/ショスタコーヴィチ:24の前奏曲とフーガ Op.87-21
J.S. Bach: Toccata, BWV 915
/J. S. バッハ:トッカータ BWV 915
F. Busoni: Elegien: All’Italia! In modo napolitano, BV 249
/ブゾーニ:エレジー BV 249 第2番「イタリアへ!ナポリ風に」
F. Liszt: Valse de l’opera Faust, S. 407
/リスト:歌劇「ファウスト」のワルツ S.407
アヴデーエワの影響で爆ハマり中のショスタコーヴィチ。21番変ロ長調は明るいフーガに容赦ない混沌が織り交ぜられていて、特に好きな方の曲。バッハのトッカータも含めて明瞭な演奏。最後のリストもド派手にきまりました。
Kuan-Wei Chen (Year of birth: 2000)
C. Debussy: Images, 2e série: 1. Cloches à travers les feuilles
/ドビュッシー:映像 第2集「葉ずえを渡る鐘」
C. Debussy: Images, 2e série: 3. Poissons d’or
/ドビュッシー:映像 第2集「金色の魚」
F. Busoni: Indianisches Tagebuch I, BV 267: n. 1, 2
/ブゾーニ:インディアン日誌 第1巻 BV 267 第1・2曲
F. Liszt: Après une Lecture du Dante – Fantasia quasi Sonata
/リスト:ダンテを読んで – ソナタ風幻想曲
んーよかったですねえ。ドビュッシーが3日目にして初めて、ラヴェルもラ・ヴァルスと夜のガスパールのみでしたから、こういった小品がちょうど聴きたかった頃でした。「インディアン日誌」もよかったし、トリの大曲「ダンテソナタ」も十分なスケール感。
8月29日(金)16:00(日本時間23:00)
Christos Fountos (Year of birth: 1997) ソロ・ファイナル進出
F. Busoni: Preludi op. 37, BV 181: n. 17, 21, 22
/ブゾーニ:前奏曲 Op.37 BV 181 第17・21・22曲
D. Scarlatti: Sonata in sol minore, K. 35
/スカルラッティ:ソナタ ト短調 K.35
S. Rachmaninov: Variations sur un thème de Corelli, op. 42
/ラフマニノフ:コレッリの主題による変奏曲 Op.42
古典的なブゾーニからスカルラッティ、コロコロと雅な感じでよかったですね。そして「コレッリ変奏曲」ではガラっと大構造物が出てきました。幅の広いピアニストです。
Jun Hwi Cho (Year of birth: 1996)
F. Busoni: Fantasia nach J.S. Bach, BV 253
/ブゾーニ:J. S. バッハの主題による幻想曲 BV 253
S. Rachmaninov: Variations sur un thème de Corelli, op. 42
/ラフマニノフ:コレッリの主題による変奏曲 Op.42
とっても奇遇なことに「コレッリ変奏曲」が2人続きました。よかったですが比べて聴くと前の方の方がよく響いていました。
Shangru Du (Year of birth: 1997)
F. Busoni: Preludi op. 37, BV 181: n. 4, 24, 15
/ブゾーニ:前奏曲 Op.37 BV 181 第4・24・15曲
M. Ravel: Gaspard de la nuit
/ラヴェル:夜のガスパール
3日目/セミファイナルまとめ
3日間お疲れさまでしたm(_ _)m
同時期に開催しているクララハスキルの課題曲がガチガチな一方、こちらはブゾーニ選択1曲以外は自由なプログラムで、「いろんな曲を聴ける」という楽しみ方にはうってつけ。
そして、ブゾーニのことをどこか超絶技巧一辺倒の色物扱いしていた自分を戒めるいい機会、、、定番の「ショパンの前奏曲による変奏曲」はもちろんかっこいいですが、複雑な味がする「エレジー」や「インディアン日誌」、「前奏曲」など、彼の多様さを改めて知るいい機会となっています。
印象に残っているのは、、、
1日目:Jan Nikovich、それからYang Jack Gao、Yi-Teng Huang、Kang Tae Kim、Jaeyoung Lee、奥井紫麻
2日目:Axel Trolese、太田糸音、Julian Trevelyan、Ennian Bai、そしてIvan Petrović-Poljak、Zeyu Shen、Zhonghua Wei、Xuanxiang Wu、Raffaele Battiloro
3日目:Yangrui Cai、Elia Cecino、Kuan-Wei Chen、Christos Fountos
結果~セミファイナル~
ソロ・ファイナル進出者(12名)[演奏日]
Ennian Bai [8.28]
Elia Cecino [8.29]
Christos Fountos [8.29]
Yungyung Guo [8.27]
Dongyoung Kim [8.27]
Sandro Nebieridze [8.27]
Shion Ota [8.28]
Zeyu Shen [8.28]
Jakub Sládek [8.28]
Zhonghua Wei [8.28]
Yifan Wu (2005) [8.28]
Jialin Yao [8.28]
30人のうち19人を「印象に残った」として挙げる節操のないことをしてなお、ほとんど予想が当たっていないという体たらく笑。掴めていたのは、1、3日目からファイナルに進んだ方は少なく、2日目からのピアニストが多いという点くらい。
エリザベートでもセミファイナルに進出していた太田糸音さんがソロ・ファイナル進出!(室内楽・ファイナル→グランドフィナーレが残っています)。3月のバッハ国際、5月のエリザベートでも予選は正直印象に残らなかったのですが、今回は上位の出来だったんじゃなかろうかと思います。
パッと名前と演奏が一致するのがEnnian Bai [8.28]、Elia Cecino [8.29]、Christos Fountos [8.29]、Zhonghua Wei [8.28]さんあたり。
Jan Nikovich、[8.27]、Axel Trolese、Julian Trevelyan[8.28]さんらは特に好みだったので残念、またどこかで演奏が聴けたらいいなと思います。
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