【2025.9.2~4】第65回ブゾーニ国際ピアノコンクール 室内楽・ファイナル/結果

ブゾーニ国際ピアノコンクール
この記事は約9分で読めます。
本サイトで紹介している商品等の外部リンクには、アフィリエイト広告を利用しているものがあります

こんにちは。いりこです。

8月27日(水)、日本時間午後6時から、イタリア・ボルツァーノでブゾーニ国際ピアノコンクールが開幕しました。

前回2023年大会は、筆者が初めてみたコンクールでした。そしてラティノフという推しピアニストを生んだ思い出深いコンクールです。

30名でスタートした今大会も、6名による室内楽ファイナルまで絞られました。
個人的注目ピアニストはZeyu ShenZhonghua WeiChristos Fountosさん。

2025年は大コンクールイヤー!
こちらの記事でまとめた15のコンクールのうち7つが開催されます。そして10月には最高峰ショパン国際コンクールの本大会も控えます。

バッハ国際ロン=ティボー国際エリザベート王妃国際クライバーン国際(特集なし)に続いて5つ目のコンクールです。28日からはクララ・ハスキル国際も開催!大忙し!!

ブログと連携したXアカウントを開設しました!

記事の更新情報などを、よりタイムリーに発信

フォローで最新情報をゲット!👉 @iriko_music

ブゾーニ国際ピアノコンクール 概要

【公式HP】(イタリア語・ドイツ語・英語)
https://www.busoni-mahler.eu/competition/en/pagina-busoni-en/
【公式YouTube】
https://www.youtube.com/@BusoniInternational
※公式HP&YouTubeでライブ配信中、アーカイブはしばらく公式HPのみ!YouTubeでも公開中!

イタリアの大ピアニスト・作曲家であるフェルッチョ・ブゾーニの名を冠したコンクール。

上位2名はショパン国際コンクールでビデオ予選&予備予選免除で本大会への出場権が与えられる、また2025年大会の審査員長ギャリック・オールソンを輩出するなど、レベルの高いコンクールとして認知されています。

前回2023年大会は、10月のショパンコンクールにも出場するアンソニー・ラティノフ(第2位)、山﨑 亮汰(第3位)が入賞しています。

  • 概要
    開催地:ボルツァーノ(イタリア)
    開催間隔:予選・本選が隔年開催(前回:2023年8~9月、次回:2025年)
    歴史:第1回1949年
  • 主な優勝者・入賞者
    優勝者:マルタ・アルゲリッチ(1957)、ギャリック・オールソン(1966)、ルイ・ロルティ(1984)、アルセニー・ムン(2023)

    入賞者:フランソワ=ジョエル・ティオリエ(1964年第2位)、ベルント・グレムザー(1984年第3位)、ドミトリー・シシキン(2013年第3位)、桑原 志織(2019年第2位)、アンソニー・ラティノフ(2023年第2位)、山﨑 亮汰(2023年第3位)

スケジュール

セミファイナル(30名):2025年8月27日(水)~ 8月29日(金)

ソロ・ファイナル(12名):2025年8月30日(土)~ 8月31日(日)

室内楽・ファイナル(6名):2025年9月2日(火)~ 9月4日(木)
9月2日(火)20:00(日本時間 翌3:00)
9月3日(水)20:00(日本時間 翌3:00)
9月4日(木)20:00(日本時間 翌3:00)

グランドフィナーレ(3名):2025年9月7日(日)

プログラム

室内楽・ファイナル(6名)

※演奏順は
1人目(ソロ)→2人目(室内楽)→1人目(室内楽)→2人目(ソロ)

  • Chamber Music Section – one of the following quintets:
    室内楽セクション – 下記の五重奏曲から1つ
    – R. Schumann: Quintet for piano and strings Op. 44/シューマン:ピアノ五重奏曲
    – J. Brahms: Quintet for piano and strings Op. 34/ブラームス:ピアノ五重奏曲
    – C. Franck: Quintet for piano and strings/フランク:ピアノ五重奏曲
    – A. Dvořak: Piano Quintet No. 1 Op. 5/ドヴォルジャーク:ピアノ五重奏曲第1番
    – A. Dvořak: Piano Quintet No. 2 Op. 81/ドヴォルジャーク:ピアノ五重奏曲第2番
    – D. Shostakovich: Quintet for piano and strings Op. 57/ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲
  • Solo Programme:/ソロセクション
    A work of the candidate’s own choice lasting not more than 30 minutes.
    /30分以内の自由選択プログラム

9月2日(火)20:00(日本時間 翌3:00)

Sandro Nebieridze (Year of birth: 2001) グランドフィナーレ進出 ※セミファイナル [8.27] ※ソロ・ファイナル [8.30]
Solo program:
Camille Saint-Saëns / Franz Liszt / Vladimir Horowitz: Danse Macabre
Sergej Prokof’ev: Visions fugitives, op. 22

With Simply Quartet:
Dmítrij Šostakóvič: Piano Quintet in G minor, op. 57

ショスタコーヴィチ、運命的で諦めのこもった冒頭は印象的ですね。特に3楽章のスケルツォ、明るさの中に皮肉たっぷりの3拍子、ショスタコーヴィチが濃いです。4楽章の何とも切ないメロディ、ヴァイオリン最高音域で痛切な嘆きも印象的。

Zeyu Shen (Year of birth: 2000) ※セミファイナル [8.28] ※ソロ・ファイナル [8.30]
With Simply Quartet:
César Franck: Piano Quintet in F minor

Solo program:
Franz Liszt: Sonata in B minor, S. 178

今日の最後がロ短調ソナタだったわけですが、冒頭からキレがすごいというか、ツィメルマン盤のような風速を感じました。全体としては、やや行間が寸詰まりな感じはしましたが、この巨大な構造物を隅々まで描写できていました。

9月3日(水)20:00(日本時間 翌3:00)

Zhonghua Wei (Year of birth: 2008) ※セミファイナル [8.28] ※ソロ・ファイナル [8.31]
Solo program:
Franz Liszt: Sonata in B minor, S. 178

With Simply Quartet:
Johannes Brahms: Piano Quintet in F minor, op. 34

ロ短調ソナタはどうしても前日のZeyu Shenと比べてしまいます。
ブラームスのクインテットもおもしろい!重々しい1楽章はさすが、そして3楽章、単体でも何が起こっているかわからない複雑なリズムをアンサンブルで合わせるという至難の業、それと勝利感に満ちた主題が交互に楽しめます。

Yifan Wu (Year of birth: 2005) グランドフィナーレ進出 ※セミファイナル [8.28] ※ソロ・ファイナル [8.31]
With Simply Quartet:
Dmítrij Šostakóvič: Piano Quintet in G minor, op. 57

Solo program:
Domenico Scarlatti: Sonata, K. 9 (arr. Carl Tausig in e minor)
Domenico Scarlatti: Sonata in e minor, K.233
Federico Mompou: from Paisajes: 1. La fuente y la campana; 2. El lago
Robert Schumann: Arabeske in C major, op. 18

なんといってもソロのプログラム、ここまでハイレベルな曲・演奏が続く中で終始“チル”なプログラムでした、尖ってますね笑。しかしまあまろやかな音色で癒されました。

9月4日(木)20:00(日本時間 翌3:00)

Elia Cecino (Year of birth: 2001) ※セミファイナル [8.29] ※ソロ・ファイナル [8.31]
Solo program:
Robert Schumann: Sonata n. 1, in F-sharp minor, op. 11

With Simply Quartet:
Antonín Dvořak: Piano Quintet No. 2 in A major, op. 81

ドヴォルジャークの曲はなんでしょうね、エモい以外に適切な表現が思いつきません。随所に輝くメロディはロマンチックで切なくて、でもやっぱり美しい。爽やかな朝や夢見午後地の夜ではない、夕焼けのような情景が目に浮かびます。

Christos Fountos (Year of birth: 1997) グランドフィナーレ進出 ※セミファイナル [8.29] ※ソロ・ファイナル [8.31]
With Simply Quartet:
César Franck: Piano Quintet in F minor

Solo program:
Maurice Ravel: Gaspard de la nuit: 1. Ondine; 2. Le gibet; 3. Scarbo
Olivier Messiaen: from Vingt Regards sur l’Enfant Jésus: 13. Noël

これまでバロック、古典にブラームスのソナタなどがっちりしたプログラムでしたが、ここにきて近代的な曲。超難曲「夜のガスパール」は今大会多くのピアニストがチャレンジしていましたが、その中でも鮮やかな演奏でした、全く幅が広いです。

室内楽・ファイナルまとめ

3日間お疲れさまでした。
室内楽はまだ曲を楽しむ段階で好みも何もないのですが、この6名はほんとに僅差でレベルが高いなと思います。

室内楽のほうはショスタコービチとフランクが2人ずつ、ブラームスとドヴォルジャーク2番が一人、全曲作曲家の特徴も反映されていて名曲ぞろいですね、いい勉強の機会になりました。

強いてあげるとZeyu Shenのロ短調ソナタ、それからYifan Wuは思わず聴き入ってしまう強烈なプログラムでした。Christos Fountosさんも大会通して安定している印象です。

結果~室内楽・ファイナル~

グランドフィナーレ進出者(3名)[演奏日]
Christos Fountos [9.4]
Sandro Nebieridze [9.2]
Yifan Wu (2005) [9.3]

グランドフィナーレ進出はこの3名となりました!

個人的にはZeyu Shenさんが最推しでしたので残念でしたが、Christos Fountosさんはじめ、それぞれ協奏曲が楽しみな3名です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました