【2023.8.27】第64回ブゾーニ国際ピアノコンクール ソロ・ファイナル2日目/結果

ブゾーニ
https://www.busoni-mahler.eu/competition/en/pagina-busoni-en/
この記事は約10分で読めます。
本サイトで紹介している商品等の外部リンクには、アフィリエイト広告を利用しているものがあります

こんにちは。いりこです。

8月23日から開催されているブゾーニ国際ピアノコンクール。

25日まで行われていたセミ・ファイナルから一夜、
ソロ・ファイナルは現地時間8月26日から27日の2日間で行われます。
タフな日程ですね。12名進出予定でしたが、13名が選ばれました。

コンクールを見るのは2021年ショパンコンクール以来2度目、笑。
完全なにわかですが、間に合うコンクールがあってよかったです。

クララ・ハスキル国際コンクールとマル被り、、、
というタイトなスケジュールですが、可能な限り楽しみたいと思います。

概要

・公式HP(英語・イタリア語・ドイツ語)
 https://www.busoni-mahler.eu/competition/en/pagina-busoni-en/
 公式YouTube
 https://youtube.com/@BusoniInternational?si=Jh65mDLbOCCK2Ikw

※ライブ配信は公式HPのみ
https://competition.busoni-mahler.eu/

・開催地 ボルツァーノ(イタリア)

・開催期間 2023年8月23日(水)~ 9月3日(日)

スケジュール

(予選は昨年実施され、100名→33名が選出)

セミファイナル(33名):2023年8月23日(水)~ 25日(金)

ソロ・ファイナル(12名→13名):2023年8月26日(土)~ 27日(日)
 8月26日(土)15:00 (日本時間22:00), 20:00 (翌3:00)
 8月27日(日)10:00 (日本時間17:00), 15:00 (22:00)

室内楽・ファイナル(6名):2023年8月29日(火)~ 31日(木)

グランドフィナーレ(3名):2023年9月3日(日)

演奏順・プログラム

ソロ・ファイナル(13名):
 ソロ演奏、50~55分、以下の作品を含む
 ・J.S.バッハ – ブゾーニの作品から1つ
 ・ベートーヴェン、クレメンティ、ハイドン、モーツァルトのソナタから1つ
 ・指定された現代曲から1つ以上

8月27日(日)15:00 (日本時間22:00) ~

Ryota Yamazaki ※セミファイナル [8.24] (Chamber Music Finalist)
J.S. Bach / F. Busoni: Choralvorspiel Nun komm, der Heiden Heiland, BWV 659 – BV B 27 n. 3
/J.S.バッハ – ブゾーニ:コラール前奏曲 「来たれ、異教徒の救い主よ」 BWV 659 – BV B 27 No. 3
W.A. Mozart: Sonate n. 18, K 576
/モーツァルト:ソナタ第18番 K 576
T. Hosokawa: Etude I – 2 Lines for piano
/細川 敏夫:エチュードⅠ―2つの線
F. Chopin: 12 Études, op. 25
/ショパン:12の練習曲 op. 25

モーツァルトの18番は好きな曲なので、
前日のコンテスタントの演奏を覚えていたのですが、
山﨑さんの演奏が始まった瞬間、
全ての感覚が研ぎ澄まされたような感覚になりました。
「そう!これこれ!」
完璧です。
前のコンテスタントも素敵だと思ったのですが、比じゃなかったです。
音の質というか。独立していながらもまとまりがある。
パラパラなのにしっとりしているチャーハンみたいな(怒られろ)。
ショパンのエチュードも圧巻でした。
Op.25-6はどうしても苦労が見えましたが、
唯一神;ポリーニ信者だった私が、ロルティ盤を聴いたときのような感動。
この曲の美しさを全面に魅せてくれた演奏でした。
会場の拍手も一際大きかったように聞こえます!

Arsenii Mun ※セミファイナル [8.24] (Chamber Music Finalist)
J.S. Bach / F. Busoni: Choralvorspiel Nun komm, der Heiden Heiland, BWV 659 – BV B 27 n. 3
/J.S.バッハ – ブゾーニ:コラール前奏曲 「来たれ、異教徒の救い主よ」 BWV 659 – BV B 27 No. 3
W.A. Mozart: Sonate n. 12, KV 332
/モーツァルト:ソナタ第12番 KV 332
F. Chopin: Tre Mazurke: op. 6 n. 1; op. 17 n. 2 e n. 4
/ショパン:マズルカ op. 6 No. 1, op. 17 No. 2 & No. 4
T. Hosokawa: Etude I – 2 Lines for piano (ed. 2011)
/細川 敏夫:エチュードⅠ―2つの線
M. Ravel: Gaspard de la nuit
/ラヴェル:夜のガスパール

期待でハードルが上がっていたこともあり、
セミファイナルでの暴走に草を禁じ得なかったわけですが、
このステージも非常にスリリングで煽情的でした。
モーツァルトは正直趣味じゃないですが、
煽情の権化ともいえる「夜のガスパール」はマッチしていたとも感じます。
スカルボはスカッとしました。音源化されていたらたまに聴きたくなるとも思います。
音色と演奏スタイルとがミスマッチしているように感じられていたのですが、
彼の演奏の楽しみ方が分かったような気がします。

Mikhaïl Bouzine ※セミファイナル [8.25]
L.v. Beethoven: Sonate n. 22, op. 54
/ベートーヴェン:ソナタ第22番 op. 54
C.-V. Alkan: from Études op. 39: n. 2, En rythme molossique
/アルカン:練習曲 op. 39 より No. 2 モロッスのリズムで
F. Filidei: Berceuse
/フィリデーイ:子守歌
J.S. Bach / F. Busoni: Choralvorspiel Herr Gott, nun schleuß den Himmel auf, BWV 617 – BV 27 n. 6
/J.S.バッハ – ブゾーニ:コラール前奏曲 「主なる神よ、いざ天の御門を開かせたまえ」 BWV 617 – BV B 27 No. 6
R. Schumann: Études symphoniques, op. 13
/シューマン:交響的練習曲 op. 13

独壇場だったセミファイナル。
このステージも、選曲がすべて重複なし(筆者調べ)という個性的プログラム。
1曲目は比較的おとなしいベートーヴェンのソナタ。のはずが、
「あれ、これもブゾーニ編曲か?」と聴き紛うばかりの突風が吹きます。
その後のアルカンにしても、強音がやや一辺倒な気もしなくもありませんが、
迫力は満点ですし、基本的な音はやはりきれいで技術も安定しているので
ヒステリックにはならない安心感はあります。
交響的練習曲では遺作をいろいろとちりばめながら、
第1変奏をフィナーレの前に持ってきたりしながら(これはOKなんですか?)
4変奏のスフォルツァンドなんてスカッとしました。

Mikhaïlの特徴で曲間に拍手をする隙がありません。
現代曲は楽譜を見るコンテスタントもいて、譜めくりしてくれる人が横に座ってたりしますが、
彼は自分で譜めくりしてました。
譜めくりする人の入退場で間を開けたくなかったんだと思います。
ブレイクらしいブレイクを入れずに1時間近く演奏し、
最後は電池切れ感はありましたが、
自分でハードルを上げ、それを超えていこうとする姿勢が
単純にかっこいいと思います。
とにかくこだわりが強そう、接しずらそう、、て感じですが、
挨拶の様子とかは好青年っぽい感じで、会場からはアンコールも起こっていました。

8月27日(日)20:00 (日本時間 翌3:00) ~

Antonio Chen Guang ※セミファイナル [8.25] (Chamber Music Finalist)
J.S. Bach: Concerto in stile italiano, BWV 971
/J.S.バッハ:イタリア協奏曲 BWV 971
L.v. Beethoven: Sonate n. 18, op. 31 n. 3
/ベートーヴェン:ソナタ第18番 op. 31 No. 3
M. Urquiza: Contrapluma
/ウルキーサ:コントラプルマ
J.S. Bach / F. Busoni: Choralvorspiel Ich ruf zu dir, Herr Jesu Christ, BWV 639 – BV B 27 n. 5
/J.S.バッハ – ブゾーニ:コラール前奏曲 「われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ」 BWV 639 – BV B 27 No. 5
C. Debussy: L’isle joyeuse
/ドビュッシー:喜びの島

イタリア協奏曲は最近のマイブーム。
ベートーヴェンともども、力の抜けたいい演奏でした。

Yubo Deng ※セミファイナル [8.25]
C. Wuorinen: Etude for Chords and Dynamic Balance
/ウォーリネン:コードとダイナミックバランスのための練習曲
F.J. Haydn: Sonate in D-Dur, Hob. XVI: 42
/ハイドン:ソナタ ニ長調 XVI: 42
J.S. Bach / F. Busoni: Choralvorspiel Nun komm, der Heiden Heiland, BWV 659 – BV B 27 n. 3
/J.S.バッハ – ブゾーニ:コラール前奏曲 「来たれ、異教徒の救い主よ」 BWV 659 – BV B 27 No. 3
S. Prokof’ev: Sonata n. 6, op. 82
/プロコフィエフ:ソナタ第6番 op. 82

ハイドンはキラキラしていて特によかったです。
今回でかなりプロコフィエフのソナタを聴けましたが
どれもかっこいいですね。初見では全容把握しづらいですが。

Samuel Glicklich ※セミファイナル [8.25]
L.v. Beethoven: Sonate n. 32, op. 111
/ベートーヴェン:ソナタ第32番 op. 111
T. Adès: Mazurkas for piano, op. 27
/アデス:ピアノのためのマズルカ op. 27
J.S. Bach / F. Busoni: Chaconne, BWV 1004
/J.S.バッハ – ブゾーニ:シャコンヌ BWV 1004

すっきりしつつ大曲が並ぶプログラム。
32番はいつ聴いても素晴らしいです。
そして彼はセミファイナルで圧巻の水量だったと記憶していますが
ベートーヴェンではより柔らかく深い、
しかしくっきりした輪郭で驚きました。
シャコンヌも荘厳で温かみがありました。

Ron Maxim Huang ※セミファイナル [8.25] (Chamber Music Finalist)
T. Hosokawa: Etude I – 2 Lines for piano
/細川 敏夫:エチュードⅠ―2つの線
L.v. Beethoven: Sonate n. 27, op. 90
/ベートーヴェン:ソナタ第27番 op. 90
J.S. Bach / F. Busoni: Choralvorspiel Ich ruf zu dir, Herr Jesu Christ, BWV 639 – BV B 27 n. 5
/J.S.バッハ – ブゾーニ:コラール前奏曲 「われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ」 BWV 639 – BV B 27 No. 5
J. Brahms: Sonata n. 3, op. 5
/ブラームス:ソナタ第3番 op. 5

比較的控えめなプログラムから、
ブラームスのソナタで劇的なフィナーレ。
すごくよかったですが、ブラームスソナタはやっぱり難しい曲なんだなという感じ。
全体的にはすごくよかったです。

結果発表

次の室内楽・ファイナルに進出したのは、以下6名となりました。
なんと山﨑さんも無事に進出!ずんずん頑張っていただきたい!
だいぶ絞られてきました。

室内楽・ファイナル進出者(6名)[演奏日]
Antonio Chen Guang [8.25][8.27]
Ron Maxim Huang [8.25][8.27]
Arsenii Mun [8.24][8.27]
Anthony Ratinov [8.23][8.26]
Zitong Wang [8.24][8.26]
Ryota Yamazaki [8.24][8.27]

もうレベル高すぎて、優劣を忘れて聞き入っていました笑。
落選したSong Hyeon KimPhilipp LynovMikhail TroshkinMikhaïl BouzineSamuel Glicklichさんなんかは機会があればこれからも聴いてみたいです。
特にMikhaïl Bouzineさんは、Arsenii MunさんがOKならOKじゃないの?とか思ったり思わなかったり。いい勉強になります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました