こんにちは。いりこです。
英語を続けていると、「知ってるつもりの単語」に足をすくわれることがあります。筆者にも、いまだに忘れられない場面が。。。
ひとつは、友達との何気ない会話でのこと。相手のちょっとした一言に、軽い「ツッコミ」のつもりで、筆者はこう返しました。
“That’s not nice.”
冗談のつもりでした。なのに——相手の顔が、思っていたよりずっと悲しそうに、すっと曇ったんです。
「あれ、そんなに強い意味だった?」慌てたのは、こっちのほうでした。。。
もうひとつは、映画を観ていたとき。あるセリフの “That’s wrong.” に、字幕で「卑怯だぞ」と当てられていて、「え、 “wrong” って「それは間違ってる」と学校で習ったけど!?」と驚きました。
この2つ、実は同じ落とし穴でつながっています。どちらも、字面(直訳)と、実際のニュアンスがびみょうにズレる言葉。“not nice” は「ナイスじゃない」より「意地悪だね」と刺さり、“wrong” は「間違ってる」より「卑怯だ」と強く響く。字面のまま受け取ると、相手の本音を読み違えてしまうんです。
しかも厄介なのが、 “nice” も “wrong” も、簡単でよく使う単語だということ。難しい単語なら辞書を引くのに、こういう知ってる(つもり)の常連ワードほど、字面のままスルーしてしまう。簡単でよく使う単語ほど、実は落とし穴なんですね。
今日は、この2つ── “not nice” と “wrong” ──を1つずつ、「直訳のまま受け取ると危ないよ」という注意点として見ていきます。
※ちなみに!
もちろん、いつも必ずこう響くわけではありません。あくまで文脈しだいです。でも、「そういう意味にもなり得る」と頭の片隅に置いておくだけで、いざというときの受け取り方や使い方はずいぶん変わります。
“not nice” と “wrong”|直訳と、本当の意味
まずは、字面(直訳)と、実際に使われるときのニュアンスのズレを表にしてみます。
| 英語フレーズ | △ 字面どおり | ◯ 実際の本音(ここに注意) |
|---|---|---|
| “That’s not nice” | それはナイスじゃない | 意地悪だね・感じ悪い(柔らかく、でも刺す) |
| “That’s wrong” | それは間違っている | ずるい・卑怯だ(正しさを盾に強く責める) |
| (参考) “Not bad” | 悪くない | なかなかいいね(実はほめ言葉) |
いちばん下の “Not bad” は、直訳「悪くない」なのに実際はけっこういい意味。この「字面よりズレる」感覚を掴む入り口として一緒にご紹介します。
例① “not nice” は △「ナイスじゃない」◯「感じ悪いよ」
冒頭の筆者の失敗が、まさにこれ。“That’s not nice” を字面どおり「『ナイスじゃない』だけでしょ?」と軽く受け取ってしまうと、相手が静かに傷ついているサインを見逃します。
実際のニュアンスは、「意地悪だね」「今の、感じ悪いよ」。柔らかい言葉づかいのまま、しっかり「やめて」という抗議や、ちくりと刺す響きが込められています。だからこそ、言われた相手はしゅんとしてしまうんですね。
そもそも “That’s not nice.” は、英語圏の親が子どもを叱るときの定番フレーズ。妹を泣かせた子に、お母さんがひとこと “That’s not nice.”──日本語なら「意地悪しないの!」です。この「たしなめ」の感覚が、そのまま大人の会話にも生きています。
たとえば、友達の失敗を人前でネタにされたとき。相手は笑顔のまま、こう言うかもしれません。
“Hey, that’s not nice.”
やわらかい声のトーン。でも中身は「今の、感じ悪いよ」という静かな抗議です。ここで字面どおり「ナイスじゃないだけでしょ」と軽く流すと、相手が引いたことに気づけません。
「nice(優しい・親切・感じがいい)」という、これまたど定番の簡単ワード。それを “not” で打ち消しただけ。なのに、表向きはやんわり、中身はしっかり刺す。やさしい単語だからこそ、字面の温度で油断してしまうわけです。筆者も、友達を悲しませてしまう前に知っておきたかった……。
例② “wrong” は △「間違ってる」◯「卑怯だぞ」
もうひとつが “That’s wrong”。こちらも字面のまま受け取ると読み違えます。
もちろん、事実がちがうときは、字面どおりの「間違ってるよ」でOKです。
「オーストラリアの首都はシドニーでしょ?」
“That’s wrong. It’s Canberra.”(ちがうよ、首都はキャンベラだよ)
──こっちは学校で習ったまんま。事実やデータの訂正なら、安心して受け取れる “wrong” です。
ズレるのは、ルールや倫理に反する行いに向けられたとき。列に割り込む、試験でカンニングする——そんなズルやフェアじゃない行為に “That’s wrong.” と言うと、日本語では「間違ってる」より「それはずるい」「卑怯だぞ」と訳したくなるほど、強く響きます。冒頭の映画の字幕「卑怯だぞ」も、まさにこの使い方。辞書の「間違っている」だけでは、たどり着けない訳ですよね。
ポイントは、 “wrong” が責めているのは「行為・内容」であって、相手の人格ではないこと。「あなたはひどい人だ」ではなく「その行いが正しくない」と対象を切り分けたうえで、正しさを盾に、正面から強く出る言葉なんです。字面の「間違ってるよ」くらいの軽さで受け取っていると、実はけっこう強めに非難されている、ということが起きます。
なぜ、簡単な単語ほど本音がズレる?
ズレが生まれる背景は、大きく2つあります。
- 控えめ表現(understatement)の文化:あえて弱く言って、かえって本気を伝える。さっきの “Not bad”(悪くない→なかなかいい)が好例で、“not nice” はその逆回転。字面は控えめでも、中身はしっかり動いています。
- 文脈で強さが伸び縮みする:“wrong” のように、同じ単語でも「事実の誤り」から「倫理的な糾弾」まで、場面によって重さが変わります。
そして、ここがいちばんの落とし穴。ズレる言葉ほど、なぜか簡単でよく使う単語なんです。難しい単語なら「念のため辞書」と手が止まります。でも “nice” や “wrong” は、知ってるつもりで素通り。
つまり——「調べよう」とすら思わないから、ズレに気づくきっかけが、そもそもやってこない。単語帳を何冊こなしても、ここだけはきれいにすり抜けてしまうんですね。知らないことにすら、気づけない。いちばん怖いのは、これです。
じゃあ、どうすれば気づけるのか。答えはシンプルで、実際の会話で、相手の反応とセットで浴びるしかありません。筆者が “Not nice.” で友達をしゅんとさせて、はじめて肌で学んだように。やさしい常連ワードほど、机の上ではなく「会話の中」で身につく——これが、今日いちばん伝えたいことです。
よくある質問(Q&A)
Q. “That’s not nice” ってどういう意味?
字面どおりなら「ナイスじゃない」ですが、実際は「意地悪だね/感じ悪いよ」と、柔らかい言い方で相手の態度をとがめるひと言です。字面のまま軽く受け取らないのがコツです。
Q. “That’s wrong” は「間違ってる」だけ?
いいえ。事実の誤りにも使いますが、ルール違反やアンフェアな行いに向けると「ずるい/卑怯だ」と強く響きます。文脈で重さが変わります。
Q. なぜ簡単な単語ほど、直訳とニュアンスがズレるの?
understatement(控えめ表現)の文化と、文脈で強さが伸び縮みする性質のためです。しかも簡単でよく使う単語ほど「知ってるつもり」で辞書を引かず、ズレに気づけません。
Q. “That’s not nice” は失礼な言葉? きつい?
言葉自体はとても柔らかいです。でも中身はしっかり「やめて」という抗議。強い非難ではないぶん、大人同士でも角を立てずに使えます。
Q. 子どもに言う “That’s not nice” は?
「意地悪しちゃダメだよ」というたしなめです。英語圏の親が日常的に使う、定番のしつけフレーズでもあります。
まとめ|やさしい英語ほど、字面のまま受け取らない
- 英語は、辞書どおりの直訳と、実際のニュアンスがびみょうにズレることがある
- いちばんの落とし穴は、ズレる言葉ほど簡単でよく使うこと。「知ってるつもり」で見過ごしやすい
- “That’s not nice”:字面「ナイスじゃない」→ 実際は「意地悪・感じ悪い」と静かに刺す(筆者の実体験…)
- “That’s wrong”:直訳「間違ってる」→ 文脈しだいで「ずるい・卑怯だ」の強さ
- 背景は understatement(控えめ表現)と、文脈で伸び縮みする英語の性質
- もちろん文脈しだい。でも「そういう意味にもなり得る」と知っておくだけで、読み違いはぐっと減る
こういう「字面と本音のズレ」は、単語帳を暗記しても、なかなか身につきません。筆者が友達を悲しませてしまったように、実際にやりとりして、相手の表情や反応とセットで「あ、今のはそういう意味だったのか」と体感して、はじめて自分のものになっていきます。
海外アーティストのインタビューを字幕なしで楽しみたい、と英語を続けているいりこにとっても、この「言葉の温度を聞き分ける力」は、いちばん面白くて、いちばん奥が深いところです。
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