こんにちは。いりこです。
あっという間に2024年も最後の1日となりました。みなさんにとってどのような1年でしたでしょうか?
2024年は、能登半島地震、羽田空港での事故と衝撃のニュースで年を明け、日本では新首相誕生、アメリカでも大統領選挙が行われた激動の1年でした。一方、大谷選手の活躍やパリオリンピックの盛り上がりなどもありました。
もちろん、クラシック界でも大きなイベント、ニュースが飛び込んできた一年でしたので、本日はクラシック目線で1年を振り返り、来年に向けた楽しみ情報をまとめてみたいと思います。
▼大晦日/元日の注目テレビ番組については、こちらをご覧ください!
クラシック音楽の新譜?モーツァルトとショパンの未発表曲!!
まず驚きだったのが、「モーツァルト」「ショパン」という超メジャー作曲家の“新譜”が発表されたこと!こんな歴史的な出来事が、1年に2回も、しかも超メジャーどころの作曲家ですから、とても衝撃的なニュースでした。
モーツァルト:セレナード ハ長調 K.648《ガンツ・クライネ・ナハトムジーク》
2024年9月、オーストリアのザルツブルクにあるモーツァルテウム財団で、新たなモーツァルトの楽曲が発見されました。この作品は『Ganz Kleine Nachtmusik(とても小さな夜の歌)』K.648と新たに目録に掲載され、10歳から13歳の間に作曲されたと推定されています。短いながらも特徴的なモーツァルトらしい旋律が込められています。この曲は2024年9月19日に初演されました。
ドイツ・グラモフォンから、3つのバージョンでリリースされる気合の入りよう!
- 初演を務めたヴァイオリン×2、チェロ、チェンバロの編成(日本人の篠山春菜さんが参加)
- 楽譜に最も忠実とされるヴァイオリン×2、コントラバス、チェンバロの編成
- オーケストラ版
▼世界初演のようす(ヴァイオリン×2、チェロ、チェンバロ)
▼ヴァイオリン×2、コントラバス、チェンバロのバージョンから
ショパン:ワルツ イ短調
2024年10月、衝撃のニュースから1か月経たずして、今度はニューヨークのモルガン・ライブラリーでショパンの未発表ワルツが発見されました。このワルツはイ短調で、1830年代初頭に作曲されたと推定されています。激情的な幕開けに続く短調のメランコリックなワルツは実に“ショパン”で、知られざる一面を垣間見る貴重な作品として注目を集めています。
▼New York Times(記事)
ラン・ランによる世界初演の映像が公開された記事です(なぜ彼が選ばれたのか、、)。
▼BBC News(動画)
48小節と短い曲ですので、友人への贈り物だったのではとのことです。
音楽家の逝去
2024年、クラシック音楽界に多大な功績を残した著名な音楽家たちの訃報が相次ぎました。
小澤征爾 (1935–2024)
世界的な指揮者である小澤征爾氏が、2024年2月6日に心不全のため逝去しました。ボストン交響楽団の音楽監督やサイトウ・キネン・フェスティバルの創設など、音楽界に数多くの功績を残しました。個人的には、筆者が最も傾倒するクリスティアン・ツィマーマン(ピアノ)との親交も深いようで、リストやラフマニノフのピアノ協奏曲での二人の共演が印象的です。
▼小沢征爾さんが生み出す音楽「極めて明快で、すべてが自明の理であるかのよう」…世界的ピアニスト・ツィメルマンさんが語る思い出(読売新聞)
小沢さん、ツィマーマンはもちろん、カラヤンやらバーンスタインやら、出てくる名前がビッグでそれだけで読み応えある記事でした。全文濃い内容でしたので、ぜひご一読ください。
マウリツィオ・ポリーニ (1942–2024)
イタリアを、いや、世界を代表する名ピアニストであったポリーニ氏が2024年3月23日に82歳で逝去しました。ショパン国際コンクールを弱冠18歳で優勝し、その後もショパンを中心に幅広いレパートリーで高く評価されていました。
ヤノシュ・オレイニチャク (1952–2024)
ポーランドの名ピアニストであり、ショパン国際ピアノコンクールでも輝かしい実績を残したオレイニチャク氏が2024年10月20日に急逝しました。映画「戦場のピアニスト」ではサウンドトラック全編&主人公の手の演技を務め、ショパン国際ピアノコンクールの審査員など後進の育成にも尽力、2025年大会にも審査員として名を連ねていたところでした。
フジコ・ヘミング (1932–2024)
2024年4月21日に逝去されたフジコ・ヘミングさん、日本のクラシック音楽界にて独自の存在感を持つピアニストでした。彼女の情感豊かな演奏と独特の生き様は、映画化されるほど多くのファンを魅了していました。
国際ピアノコンクール~2024&2025~
2024年、当ブログでは4つ「モントリオール」「ゲザ・アンダ」「リーズ」「浜松」とコンクールを特集(?)してきました。どれもレベルが高く、お気に入りの若手ピアニストの演奏に出会うことができ、とても有意義なものでした。
そして2025年は何といっても5年に1度のショパン国際ピアノコンクールが開催!(前回大会はコロナの影響で2020→2021年に開催)
他にも、世界三大ピアノコンクールの1つ「エリザベート王妃国際音楽コンクール(ベルギー)」、それから「ブゾーニ(イタリア)」「クララ・ハスキル(スイス)」「ヴァン・クライバーン(アメリカ)」と目白押し!大忙し!!
2024年 主要なピアノコンクール
特に印象的なピアニストは、モントリオール国際・リーズ国際で立て続けに優勝したジェイデン・イズィク=ジュルコ(Jaeden Izik-Dzurko、カナダ)、ブゾーニ国際(2023年)で第2位・モントリオール国際で第3位となったアンソニー・ラティノフ(Anthony Ratinov、アメリカ)
二人とも安定した技術と豊かな音楽性で、王道を突っ走るポテンシャルを秘めていると思っています。そして主要コンクールで入賞したことで、2025年ショパン国際ピアノコンクールへの切符(ビデオ審査・予備予選免除で本選に出場可能)を持っていますので、ファンとしてはぜひ期待したいところ(ラティノフさんはトロントでコンサートを聴くことができました!記事はそのうち更新したいと。。。)。
▼ジェイデン・イズィク=ジュルコのリーズ国際でのライブ音源。この中では特にラヴェル「鏡」が鮮やか!超絶技巧に支えられた表現・音色の幅の広さは目を見張るものがあります。
▼アンソニー・ラティノフ初リリースの音源。統制の効いたバッハから、コンクールで披露したスクリャービン、さらにはコンサートで披露したアルベニス「イベリア」まで、全部好き笑。
日本人の活躍も目立ちました!
リーズ国際で活躍した牛田智大さん。ファイナルには進めなかったものの、やはり第3次予選で披露したシューベルト最後のソナタ第21番が印象的。YouTubeのコメント欄でも「なぜUshidaがファイナルへ進んでいないんだ!?」という世界中のファンからのコメントで溢れており、堂々の聴衆賞を受賞しました。
そして先日の浜松国際で日本人初、そして女性初優勝を果たした鈴木愛美さん。派手さはないもののブラームスで魅せた深い音楽性、ベートーヴェンの協奏曲第3番ではスケール感も披露しました。鈴木さんも2025年ショパン国際ピアノコンクールへの切符を手にしたことになります。
2025年 主要なピアノコンクール
2025年アニバーサリー作曲家
生誕200年:
- ヨハン・シュトラウス2世 (1825–1899): 「ワルツ王」として知られ、『美しく青きドナウ』や『皇帝円舞曲』など、多くの名作を残しました。元旦のニューイヤーズコンサートをはじめ、2025年には彼のワルツが世界中で演奏されることが予想されます。
生誕150年:
- モーリス・ラヴェル (1875–1937): 『ボレロ』や『亡き王女のためのパヴァーヌ』で知られるフランスの作曲家。ラヴェルの音楽はその色彩感覚、古典×近代的な独特の響きと精巧な作曲技術が魅力。ピアノ曲も多くありますが、どちらかというとオーケストラに隠れがちなので、今年はたくさんピアノ曲が演奏されることを望みます!
没後150年:
- ジョルジュ・ビゼー (1838–1875): オペラ『カルメン』のフランス人作曲者。彼の音楽はドラマチックで情熱的な表現が特徴です。
没後100年:
- エリック・サティ (1866–1925): フランスの作曲家で、前衛的な音楽スタイルと『ジムノペディ』などの詩的な作品で知られます。
おわりに
2024年も当ブログをご愛顧いただき誠にありがとうございました。
更新が止まってしまった部分もありますが、来年に向けて、コンサート情報などの更新頻度も元に戻していきたい、さらに皆さまのクラシック心をくすぐるサイトにしていきたいと考えておりますので、引き続きお付き合いいただければと思っております。
それではよいお年をお迎えください!!
いりこ
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