こんにちは。いりこです。
5月4日にドイツで前半戦が終わってから、はや4か月。第18回アルトゥール・ルービンシュタイン国際ピアノコンクール、いよいよ9月3日(木)からファイナルです!
舞台はイスラエル・テルアビブ。第1・第2ステージのドイツ・クロンベルクから、大会の途中で国をまたぎます。この開催地の変更と、ファイナルが5月から9月に延期された経緯は、こちらの大会まとめ記事をご参照ください。
ファイナルに残ったのは、KORCHAGIN Stanislav、LYNOV Philipp、YUDIN Dmitry、KHANDOHI Uladzislau、FEDIURKO Roman、PARK Jinhyungの6名!
この記事では、6名のファイナリスト、いつどうやって観られるのか、そしてテルアビブのいまの状況までまとめました。
【この4か月】ドイツからテルアビブへ
2つの国にまたがった開催地
前半戦がドイツになったのも、ファイナルが5月から9月にずれたのも、理由は現地情勢です。
主催者が「安全上ファイナルが実施できない場合は、会場を移すのではなく延期する」という方針だったこと。前半をドイツに移してでも、ファイナルだけはテルアビブでの開催となりました。
ファイナルは予定どおり動いている
再延期や再移転の発表はありません。公式サイトは9月3日~9日・テルアビブのまま。
そして公式インスタグラムがファイナリスト6名を1人ずつ紹介しました(@rubinsteincompetitionの「#MeetTheFinalists」)。それぞれの投稿に、経歴とファイナルの選曲、チケット情報つき。
さらには公式YouTubeにも、全セッションの配信予定が並びました。止まっていた告知が、ここ1週間で一気に動いています。
現地の状況|外務省はレベル3のまま
外務省は、テルアビブを含むイスラエル全土に「レベル3:渡航中止勧告」を出しています(2026年2月28日に引き上げ、いまも継続中)。文面は「イスラエルへの渡航は止めてください」。
ということで現地で聴くという選択肢は難しく、配信で追いかけるのが現実的。
いっぽうで、演奏の現場は動いています。イスラエル軍ホームフロント司令部の行動制限は6月22日に全土で解除。ベン・グリオン空港も稼働中。
イスラエル・フィルも通常営業で、8月にはラハフ・シャニ指揮×庄司紗矢香の公演も組まれています。
情勢は動きます。渡航を考える場合は、外務省の海外安全ホームページと各航空会社の運航情報を、必ずご自身で最新のものをご確認ください。
前半戦のおさらい|ドイツで6名まで絞られる
さてコンクールの本題に戻りましょう。
第1ステージ40名、第2ステージ16名、そしてファイナルには6名が進出。4月28日から5月4日まで、7日間ぶっ通しでした。
40名から6名は、やっぱり厳しい。まとめ記事で「注目のコンテスタント」に挙げていた人も、予選で出会った新しい推しも、進出とならなかった方もいらっしゃいます。
詳細は各日の記事をぜひご覧ください。
ファイナリスト6名|予選の演奏と、ファイナルの演奏曲
公式の出演順で並べます。国籍はロシア3名・ベラルーシ1名・ウクライナ1名・韓国1名、全員男性。(全ラウンドの課題曲リストはまとめ記事)
1. KORCHAGIN Stanislav(ロシア・1993年生まれ)
今大会で推しになったピアニストです。
1993年生まれで、ファイナリストの中では最年長。第17回チャイコフスキー国際コンクール第3位(2023)の実力者でした。現在はグネーシン音楽アカデミーで教える側でもあるようです。
特に第2ステージでは、カステルヌオーヴォ=テデスコ「ダヴィデ王の踊り」、アルベニス「トリアーナ」、ベートーヴェン「ハンマークラヴィーア」。3曲とも拍手が起きていました。特にあの上品かつ複雑に絡み合うベートーヴェンの処理は鳥肌もの。
- 古典派協奏曲:Hummel: Concerto No. 5 in A-flat Major, Op. 113
/フンメル:ピアノ協奏曲第5番 変イ長調 Op.113 - 室内楽:Rachmaninov: Piano Trio élégiaque No. 2 in D Minor, Op. 9 (1917 revision)
/ラフマニノフ:ピアノ三重奏曲第2番(悲しみの三重奏曲) ニ短調 Op.9(1917年改訂版) - グランド協奏曲:Prokofiev: Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16
/プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ト短調 Op.16
古典派協奏曲ではひとりだけフンメル!コンクールで聴ける機会は、そう多くありません。
2. LYNOV Philipp(ロシア・1999年生まれ)
高松国際1位(2023)ほか、ショパン国際(2025)などコンクール常連のピアニスト、ですが、筆者が聴く大会はなかなかファイナルまで残ることがありませんでした。
今回はこれまで以上に期待できるのではと書いていたとおり、ようやくファイナルの演奏が聴けます。
- 古典派協奏曲:Beethoven: Concerto No. 2 in B-flat Major, Op. 19
/ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 Op.19 - 室内楽:Ravel: Piano Trio in A Minor
/ラヴェル:ピアノ三重奏曲 イ短調 - グランド協奏曲:Brahms: Piano Concerto No. 2 in B-flat Major, Op. 83
/ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 Op.83
6名で唯一のブラームス2番。4楽章で50分近い大曲です。さらに3曲とも曲がかぶっていないのは、この人だけ。
3. YUDIN Dmitry(ロシア・2001年生まれ)
ゲザ・アンダ国際(第2位)で出会って以来の推しピアニスト!大きな躯体からは想像できないくらい、純度が高くて粒の揃った音が飛んでくるのが魅力です。
彼の演奏で一番覚えてるのがモーツァルト。今回も協奏曲が聴けるようで楽しみ!!!そしてグランド協奏曲は、難曲揃いのピアノ協奏曲の中でも難曲として知られる「バルトーク2番」、今度こそ優勝する姿が見たいところです!
- 古典派協奏曲:Mozart: Concerto No. 22 in E-flat Major, K. 482
/モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番 変ホ長調 K.482 - 室内楽:Rachmaninov: Piano Trio élégiaque No. 2 in D Minor, Op. 9 (1917 revision)
/ラフマニノフ:ピアノ三重奏曲第2番(悲しみの三重奏曲) ニ短調 Op.9(1917年改訂版) - グランド協奏曲:Bartók: Concerto No. 2, Sz. 95
/バルトーク:ピアノ協奏曲第2番 Sz.95
4. KHANDOHI Uladzislau(ベラルーシ・2001年生まれ)
2022年のヴァン・クライバーン国際でファイナリスト。シドニー国際2位(2023)、マリア・カナルス2位(2024)、イトゥルビ国際2位(2025)と、こちらもコンクールの常連のようです。
ちょっとコンサート向きのピアニストかなという印象も残っています。
- 古典派協奏曲:Mozart: Concerto No. 24 in C Minor, K. 491
/モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491 - 室内楽:Tchaikovsky: Piano Trio in A Minor, Op. 50
/チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲 イ短調 Op.50 - グランド協奏曲:Prokofiev: Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16
/プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ト短調 Op.16
5. FEDIURKO Roman(ウクライナ・2004年生まれ)
2004年生まれ、ファイナリスト6名の最年少。ホロヴィッツ国際(キーウ=ジュネーヴ)金メダル(2023)、シューマン国際1位(2023)、ベーゼンドルファー国際1位(2025)。そして2026年3月には第6回高松国際ピアノコンクールでも優勝している実力者。
印象的だったのは第2ステージ、ホフマンの「万華鏡」は文字通りキラキラ、ショパンのソナタ3番もストレスなく、アンコールのラフマニノフ「W.R.のポルカ」で、会場から笑みがこぼれていました。
グランド協奏曲は「ラフマニノフ3番」。高松国際の決勝で弾いて優勝した曲で、こちらも難曲中の難曲として知られます。
- 古典派協奏曲:Mozart: Concerto No. 24 in C Minor, K. 491
/モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491 - 室内楽:Mendelssohn: Piano Trio No. 1 in D Minor, Op. 49
/メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調 Op.49 - グランド協奏曲:Rachmaninov: Concerto No. 3 in D Minor, Op. 30
/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 Op.30
6. PARK Jinhyung(韓国・1996年生まれ)
ファイナリスト6名のうち、唯一のアジア勢。
2016年のプラハの春国際コンクールで優勝したあとも、ハエン国際(2023)、チュルリョーニス国際(2023)、モロッコ・フィル国際(2025)と1位を重ねてきました。ヴァン・クライバーン国際(2022)はセミファイナルまで。
フランク「プレリュード、コラールとフーガ」をはじめ本格的なプログラムを裏切らないがっちりした演奏が印象的。
- 古典派協奏曲:Mozart: Concerto No. 20 in D Minor, K. 466
/モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K.466 - 室内楽:Dvořák: Piano Trio in E Minor, Op. 90 “Dumky”
/ドヴォルザーク:ピアノ三重奏曲第4番 ホ短調 Op.90 「ドゥムキー」 - グランド協奏曲:Prokofiev: Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16
/プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ト短調 Op.16
選曲を並べると見えてくること
ファイナルの3曲は、課題曲リストから1曲ずつ選ぶ形です。
グランド協奏曲は、プロコフィエフ2番に3人が集中しました。KORCHAGIN、KHANDOHI、PARK。第1楽章の半分を占める巨大なカデンツァが特徴的な、きらびやかというよりは内側への密度が濃い難曲、この曲がコンクールで集中することも珍しい気がしますね。
残る3人は、LYNOV がブラームス2番、YUDIN がバルトーク2番、FEDIURKO がラフマニノフ3番。古典派協奏曲も6名中4名がモーツァルトで、LYNOV のベートーヴェンとKORCHAGIN のフンメルがひとりずつ。
グランド協奏曲
- プロコフィエフ:第2番 ト短調 Op.16 / KORCHAGIN・KHANDOHI・PARK
- ブラームス:第2番 変ロ長調 Op.83 / LYNOV
- バルトーク:第2番 Sz.95 / YUDIN
- ラフマニノフ:第3番 ニ短調 Op.30 / FEDIURKO
古典派協奏曲
- モーツァルト:第24番 ハ短調 K.491 / KHANDOHI・FEDIURKO
- モーツァルト:第22番 変ホ長調 K.482 / YUDIN
- モーツァルト:第20番 ニ短調 K.466 / PARK
- ベートーヴェン:第2番 変ロ長調 Op.19 / LYNOV
- フンメル:第5番 変イ長調 Op.113 / KORCHAGIN
室内楽(ピアノ三重奏)
- ラフマニノフ:悲しみの三重奏曲第2番 ニ短調 Op.9 / KORCHAGIN・YUDIN
- チャイコフスキー:イ短調 Op.50 / KHANDOHI
- メンデルスゾーン:第1番 ニ短調 Op.49 / FEDIURKO
- ラヴェル:イ短調 / LYNOV
- ドヴォルザーク:第4番 ホ短調 Op.90「ドゥムキー」 / PARK
そして9月5日は、同じ曲が2回演奏されます。朝の室内楽で KORCHAGIN と YUDIN がそろってラフマニノフの「悲しみの三重奏曲」第2番、夜の古典派協奏曲では KHANDOHI と FEDIURKO がそろってモーツァルトのK.491。1日で弾き比べが2組です。
選択肢は課題曲リストにまとめて載せています。
視聴方法と会場
日程と組分け
6名は3名ずつ2組に分かれ、同じ順番で3ラウンドを回ります(大会全体の日程はまとめ記事に)。
- 9月3日(木)20:00(日本時間 翌2:00) 古典派協奏曲:KORCHAGIN/LYNOV/YUDIN
- 9月4日(金)14:00(日本時間20:00) 室内楽:KHANDOHI/FEDIURKO/PARK
- 9月5日(土)11:00(日本時間17:00) 室内楽:KORCHAGIN/LYNOV/YUDIN
- 9月5日(土)21:00(日本時間 翌3:00) 古典派協奏曲:KHANDOHI/FEDIURKO/PARK
- 9月7日(月)20:00(日本時間 翌2:00) グランド協奏曲:KORCHAGIN/LYNOV/YUDIN
- 9月8日(火)19:00(日本時間 翌1:00) グランド協奏曲:KHANDOHI/FEDIURKO/PARK
- 9月9日(水)19:00(日本時間 翌1:00) 授賞式&優勝者ガラコンサート
日本から起きて追いかけやすいのは、9月4日の20:00と9月5日の17:00。どちらも室内楽で、日本時間の夕方です。
視聴方法|公式YouTubeの無料ライブ配信
視聴は公式YouTubeチャンネル(@arthurrubinstein)にてライブ配信がされる予定です。前半戦も全セッション配信されました。
ファイナルは、上の全セッション分が配信予定として並んでいます。優勝者コンサート(9月9日)まで含めて7本。通知をオンにして、追いかけていきましょう!!
会場
9月3日~5日がテルアビブ美術館アッシア・ホール、9月7日以降がイスラエル・フィルの本拠地チャールズ・ブロンフマン・オーディトリアム。オーケストラを従えるグランド協奏曲だけ、大きい箱に移ります。
さいごに
開幕は日本時間9月4日の2:00、古典派協奏曲から。起きて追いかけやすいのは、同じ日の20:00に始まる室内楽です。
各日の記事は、前半戦と同じように1日ずつ書いていきたいと思います!
大会の日程・出場者・課題曲の全体像は、まとめ記事にあります。
よくある質問(FAQ)
Q. ファイナルはいつ、どこで行われますか?
A. 2026年9月3日(木)から9日(水)まで、イスラエル・テルアビブで行われます。9月3日〜5日の室内楽と古典派協奏曲がテルアビブ美術館アッシア・ホール、9月7日〜9日のグランド協奏曲と授賞式がチャールズ・ブロンフマン・オーディトリアムです。
Q. 日本から観ることはできますか?
A. 公式YouTubeチャンネル(@arthurrubinstein)で無料ライブ配信されます。第1・第2ステージは全セッションが配信されました。ファイナルも全セッションぶんの配信予定が並んでいます(優勝者コンサートまで7本)。
Q. ファイナリストの6名は誰ですか?
A. KORCHAGIN Stanislav(ロシア)、LYNOV Philipp(ロシア)、YUDIN Dmitry(ロシア)、KHANDOHI Uladzislau(ベラルーシ)、FEDIURKO Roman(ウクライナ)、PARK Jinhyung(韓国)の6名です。
Q. なぜ第1・第2ステージはドイツで行われたのですか?
A. 現地情勢を理由に、主催者が第1・第2ステージをドイツ・クロンベルクのカザルス・フォーラムで開催すると発表したためです。ファイナルについては会場を移さずに延期する方針が取られ、当初の5月から9月3日〜9日へずれ込みました。
Q. 現地で聴きに行くことはできますか?
A. 日本の外務省は、テルアビブを含むイスラエル全土に「レベル3:渡航中止勧告」を出しています(2026年2月28日に引き上げ、記事作成時点で継続中)。渡航を検討する場合は、外務省の海外安全ホームページと各航空会社の運航情報で最新の状況をご確認ください。
【参考】確認した出典
・大会公式「Finals Schedule 2026」(出演順・選曲・会場)
・大会公式「Rules & Repertoire 2026」(課題曲の条件)
※日程・会場・配信の最新情報は、必ず大会公式サイトをご確認ください。



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