こんにちは。いりこです。
12月11日(日)ザ・シンフォニーホール(大阪)にて行われたシャルル・リシャール=アムランのピアノソロ公演に行ってきました。
公演に行かれた方とも、行かれてない方とも、この感動を共有できたら嬉しいです。
ショパンコンクール第2位 シャルル・リシャール=アムラン
今日初めて生でご本人を見た感想一言目は「え、こんなにふくよかだったっけ」でした笑。数年前の写真ではもう少しシュッとした好青年の印象でしたが、目の前のご本人はクマさんみたい。かわいさアップ。幸せ太りならいいのですが!
2015年、第17回ショパン国際コンクールで第2位、ソナタ賞を受賞したカナダ人ピアニスト。
お名前からしてフランスの方かと思いましたが、ケベックの出身とのこと。
▼公式HP
http://www.charlesrichardhamelin.com/
▼公式FB
https://www.facebook.com/charlesrhamelin/
投稿はフランス語が多いですね。
コンクール当時は26歳。「遅咲き」という枕詞をよく見かけるほど、2014年までは主だったコンクール受賞歴はなさそうです。ちなみに1位のチョ・ソンジン、3位のケイト・リウが当時21歳。
しかし、そんな着実なキャリアも彼の魅力を形成しているのか、年齢以上に達観されているような印象を受けます。ふくよかな体躯ともじゃもじゃしたお顔の印象も大きいとは思いますが笑。
アムランは本選でヘ短調の協奏曲を演奏しました。「1番よりも自分に合っている」ということだったそうですが、本当にその通りだと思います(余計なお世話)。素晴らしかったです。
同大会で1位を受賞したチョ・ソンジンがなるべくして1位になったピアニストだとすると、アムランはなるべくして2位になった、という感じです。もちろんいい意味です。スーパースターが備える華やかさとは別の、親近感、素朴といった形容が合う気がします。
プログラム/チケット情報
▼ザ・シンフォニーホール 公式HP
https://www.symphonyhall.jp/?post_type=schedule&p=30407
2022年12月11日(日) 14:00 開演 ザ・シンフォニーホール
プログラム
- ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22
- ショパン:ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35 「葬送」
- ショパン:24の前奏曲 Op.28
オールショパンプログラムですと。
好きな曲ばかりです。大ポロネーズは個人的に思い入れがあり、アムランのソナタ2番も初めて聴くので楽しみ。
前奏曲は最近ハマっています。少しは大人になったのでしょうか。
チケット
全席指定:5,000円
ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35 「葬送」
始まってみると、いきなり「レ♭ーミ♭ミ♭ー」の低音が鳴り響く、、、1曲目ソナタやん!
アンダンテスピアナートを優雅に構えていましたが、一気に緊張感が生まれました。これも聴衆を惹きつける作戦でしょうか(多分違う)。
コンペティションのときは3番を弾いてソナタ賞でしたが、2番は初めて聴きました。
アムランの演奏は、和音の重なり、特に低音の重みみたいなものが魅力なんだと感じました。イケイケの2番もよく似合います。
3楽章は素敵でしたね。主部の不穏な葬送も、中間部の天上の調べも、アムランの音がよく映えていたと思います。
それにしても不思議なソナタです、4楽章は何してるか分かりません。お葬式の後、みんな帰った後の墓に吹く風みたいな曲。
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22
この曲は中学校のときにドハマりし、英雄ポロネーズと並んで、「この曲を弾くまでピアノはやめない」という目標になった、思い入れの曲です。若かりしショパンのキラキラ感あふれる、かなり技巧派な曲です。
もちろん素晴らしかったです。ただ、コンクールのときも少し思いましたが、技巧的なところやテンションが上がるところで、弾き飛ばしてしまう癖があるように感じます。一音一音の色彩が豊かなだけに、すこし「うーん」という感情が生まれてしまいます。アンダンテスピアナートなんかは絶品ですけどね!
24の前奏曲 Op.28
最近ハマっている前奏曲集。曲に関しては、まず「前奏曲」「集」という概念についていけなかったりします笑。
ショパンコンクールの3次予選では、ソナタ2番・3番・24の前奏曲(全曲)のうち一つは選択する必要があるようです。「24曲で1まとまり」という見方がされているということですね。
調性は極めて規則正しく並んでいるとはいえ、1曲1曲調性は異なる、曲の長さも異なる、曲想も全く異なる24曲を、1つのメインディッシュとしてまとめるのは、とても大変なんだろうなと想像します。実際、選択するコンテスタントも少ないです。
まず1番ハ短調。個人的に大好きな曲です。30秒足らずの曲ですが、演奏者により随分印象が変わります。この曲が好みに合わないと、このあと聴くのやめることもあります、40分長いし。。。
同棲前に一回はお泊りした方がいいのと同じですね(違う)。
2番イ短調。2曲目にしてこの曲が気持ち悪い(笑)。しかもアムランは、伴奏の不協和音を遠慮なく鳴らしてきました。クセになっちゃう。。。
透き通る弱音を基調としながらも、動きのある曲は機敏に弾き進めます。9番ホ長調の堂々とした音も印象に残っています。アムランの和音好きかも!
そして15番変ニ長調「雨だれ」。これだけ有名曲、いろんな演奏が耳に入ってくる中で、アムランの演奏はなお絶品でした。17番変イ長調も歌心は抜群でしたが、伴奏の和音の処理が少し、、、弱音×重音はやっぱり難しいんだろうな。。。
こういった小品の集まりは、アムランの引き出しの多さや非凡な歌心とマッチして、ものすごい相乗効果だなあと思いました。また締めるところはきちんと締めて、24曲40分を聴かせる構成力もさすがだなと感じます。さすがソナタ賞!前奏曲はアッという間に終わってしまいました。
それにしても変わった曲ばかりではないでしょうか、前奏曲集。「どういう発想なん」と言いたくなる曲、ショパンの他の曲では見られない音型が随所にある気がします。それでいて24曲捨て曲がない訳ですから、ショパンの才能も改めて感じました。
アンコール曲
- ショパン:ノクターン変ニ長調 Op.27-2
- ギャニオン:めぐり逢い
- ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
- ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」より 第5曲「妖精の園」
アンコールは贅沢に4曲も弾いてくれました!ショパン以外も聴けて嬉しい。
アンコールを聴いた感想は「いや、ピアノうますぎだろ!」でした。いい加減にしてくれよと笑。
抒情性ベースの選曲でしたが、アムランはこういう曲がお好きなんでしょうか。とてもマッチしていました。気負わない小品みたいなのが、アムランの真骨頂なのかもしれません。
1曲目のノクターン。Op.27-2は甘々な曲想で好きなんです、ノクターンって感じで。そしてアムランの「歌」も存分に楽しめました。やばい、目頭が。。。他の公演では本プログラムに入れてるところもあったみたいです。
2曲目の「めぐり逢い」の前には、ご自身でMCをしてくれました。「ありがとうございました」と日本語であいさつしてくれたあと、「私(アムラン)と同じケベック出身の作曲家ギャニオンの曲で、日本でも有名だから多分知ってるよ~」と(ちょっとよく聞こえませんでしたが、たぶんこのようなことを)紹介してくれました。
そして曲を聴いたらエモすぎる。。。こんな曲も似合うんですねと。。。しかも同郷の先輩の曲を。。。とかいろいろ考えちゃって涙腺の負け。。。
なんで有名なんでしょうか。ジブリ感はありますよね。日本人は好きそう。千と千尋の曲って言われても納得してます。家に帰ったら練習しよう。
そしてフランスもの、ラヴェルを2曲。アムランの演奏を聴くと、原曲の良さを再認識できます。
非常に心も体もジーンと温まりました。。。
さいごに
久々のピアノソロリサイタルを聴きましたが、やはりピアノはいいなあと思いました(薄い)。
前奏曲集の録音を聴くこと、「めぐり逢い」を練習すること、たくさん宿題ができてうれしい悲鳴です。アムランの小品とか室内楽とかもっと聴いてみたいなあと思いました。室内楽も勉強しなければ。
長々と書いてしまいましたが、お読みいただきありがとうございました。
ところで、みなさんは、どうやってクラシックのコンサート情報を集めてらっしゃいますか?
自分で調べてみて、情報集めるのに一苦労でした。お知恵があればお教えいただきたいです!
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