こんにちは。いりこです。
5月5日、モントリオール国際ピアノコンクールが始まります。
日本時間で5月6日午前2時半からです。
昨年夏のブゾーニ・クララハスキル以来のコンクール鑑賞です。たまたまカナダに住んでおり時差もないので、頑張って付いていきたいと思います。YouTubeで配信されるとのことですので、日本からもぜひお楽しみください。※ライブ配信中は公式HPのみです。
3日目は、注目のピアニストヤクブ・クシュリク、そして日本人唯一の参加者小野田有紗さんが登場!
概要
公式HP(英語・フランス語):https://concoursmontreal.ca/en/piano-2024/
公式YouTube:https://www.youtube.com/@ConcoursMontreal
※ライブ配信は公式HPのみ
開催地 モントリオール(カナダ)
開催期間 2025年5月5日(日)~ 5月16日(木)
近年ますます活躍が目覚ましいのが、カナダ、特にケベック州ゆかりのピアニストたちです。過去にはマルカンドレ・アムラン、ルイ・ロルティ、近年ショパンコンクールで活躍したブルース・リウ(2021年優勝)、シャルル・リシャール=アムラン(2015年第2位)などが挙げられます。
そんな激アツの地、ケベック州はモントリオールで開催されるピアノコンクールです。筆者がたまたまカナダにいることもあり、ぜひ注目していきたいと思います。
スケジュール
第1ラウンド(24名):2024年5月5日(日)~ 7日(火)
5月5日(日)13:30(日本時間 翌2:30), 19:30(翌8:30)
5月6日(月)13:30(日本時間 翌2:30), 19:30(翌8:30)
5月7日(火)13:30(日本時間 翌2:30), 19:30(翌8:30)
セミファイナル(10名):2024年5月10日(金)~ 12日(日)
ファイナル(6名):2024年5月15日(水)~ 16日(木)
演奏順・プログラム
第1ラウンド(24名):
演奏時間30~35分(第1ラウンドまたはセミファイナルのプログラムに、古典派から少なくとも1曲、ロマン派から少なくとも1曲を含めなければならない。)
5月7日(火)13:30(日本時間 翌2:30)~
DEAWON KIM
Ludwig van Beethoven: Sonata in A-flat major, Op. 110
/ベートーヴェン:ピアノソナタ第31番 変イ長調
Maurice Ravel: Gaspard de la nuit – No. 1 Ondine • No. 3 Scarbo
/ラヴェル:夜のガスパール(第1曲「オンディーヌ」第3曲「スカルボ」)
子供のころはピアノが嫌いだった、そしてラフマニノフやプロコフィエフを聴いて「なんか音デカいし速くてかっこいい!」という理由でピアノにハマったというキムさん笑。親近感が湧きました。
大曲を2曲。31番にしては少し若い印象で、オンディーヌではやや苦労の跡が見られました。
JAKUB KUSZLIK(セミファイナル進出)
Claude Debussy: ‘Reflets dans l’eau’ (Images, première série)
/ドビュッシー:「水の反映」(映像 第1集)
Frédéric Chopin: Sonata No. 3 in B minor, Op. 58
/ショパン:ピアノソナタ第3番 ロ短調
ショパンのピアノソナタがやっぱり楽しみです。
水質のいい(?)ドビュッシーから、本家(?)のショパン。正直2021年のコンサートではあまり記憶に残ってなかったのですが、どちらかというとドビュッシー向きの演奏者のように感じました。艶やかでなめらかで、流れるような音楽でした。
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休憩
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SEUNGMIN SHIN
Wolfgang Amadeus Mozart: Sonata in B-flat major, K. 281
/モーツァルト:ピアノソナタ第3番 変ロ長調
Frédéric Chopin: Ballade No. 4 in F minor, Op. 52
/ショパン:バラード第4番 ヘ短調
Nikolai Medtner: ‘Sonata tragica’ (Forgotten Melodies, Op. 39: No. 5)
/メトネル:悲劇的ソナタ Op.39-5(忘れられた調べ 第2集 より)
華奢な体からは想像できないパリっとした音で心地よかったです。メトネルはコンクールで聴くようになりましたが、ラフマニノフの5個後輩、この時代にしてはロマン派の色が強くてエモいですね。少し勉強してみよう。
CARTER JOHNSON(セミファイナル進出)
Maurice Ravel: Valses nobles et sentimentales
/ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
Paul Hindemith: Sonata No. 3 in B-flat major
/ヒンデミット:ピアノソナタ第3番 変ロ調
ラヴェルはもちろん素晴らしかったのですが、ヒンデミットのソナタがおもしろかったです。近・現代的な響きもありながら、ポリフォニックで古典的、もっというと哲学のようなものを感じました。決して理解しやすい曲ではないと思いますが、理論的というか説得力があり、おもしろい時間でした。
5月7日(火)19:30(日本時間 翌8:30)~
ITAMAR PRAG
Claude Debussy: Estampes (Pagodes • La soirée dans Grenade • Jardins sous la pluie)
/ドビュッシー:版画(パゴダ、グラナダの夕べ、雨の庭)
Frédéric Chopin: Ballade No. 4 in F minor, Op. 52
/ショパン:バラード第4番 ヘ短調
Igor Stravinsky / Guido Agosti: L’Oiseau de feu (The Firebird) – Danse infernale • Berceuse • Finale
/ストラヴィンスキー – アゴスティ:組曲「火の鳥」(凶暴な踊り、子守歌、終曲)
Health reasons prevented TOM CARRÉ from participating in the CMIM after successfully qualifying for Piano 2024./TOM CARRÉが出場予定でしたが、健康上の理由で欠場となりました。
急遽繰り上げか?で出場になったピアニスト。緊張は感じさせない明瞭で聴きやすい演奏でした。バラード、火の鳥と、難曲では若干手入れが行き届いてない印象もありましたが、基本的には輪郭もしっかりした音でした。
ARISA ONODA(セミファイナル進出)
Johann Sebastian Bach / Ferruccio Busoni: Chaconne from Partita No. 2 for violon, BWV 1004
/J.S. バッハ – ブゾーニ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 より シャコンヌ
Frédéric Chopin: Barcarolle in F-sharp major, Op. 60
/ショパン:舟歌 嬰ヘ長調
Maurice Ravel: Miroirs – No. 1 Noctuelles • No. 4 Alborada del gracioso
/ラヴェル:「鏡」より 第1曲「蛾」、第4曲「道化師の朝の歌」
今大会唯一の日本人、小野田さん。ブルース・リウと同じくダン・タイ・ソンに師事しているそうです。全体的に熱量を感じる演奏で求心力があります。時折おもしろい鳴らし方でハッとさせられます。完全に好みの問題でドラマ性がやや強過ぎると感じるところ、後半の失速ももったいなかったですが、次のラウンドには期待できるのではないでしょうか!
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休憩
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XIAOXUAN LI
Wolfgang Amadeus Mozart: Allegro in D major, K. 626b/16
/モーツァルト:アレグロ ニ長調
George Frideric Handel: Suite No. 7 in B-flat major, HWV 440 – Sarabande
/ヘンデル:組曲第7番 変ロ長調 – サラバンド
Johannes Brahms: Variations and Fugue on a Theme by Handel, Op. 24
/ブラームス:ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ
古典派モーツァルト、ブラームスの変奏曲とそのもととなったバロックのヘンデル(ヘンデルで静かに終わりました)。軽快な音を中心としたプログラム構成はおもしろかったし、うまく演奏していたと思います。
ANTONIO CHEN GUANG(セミファイナル進出)
Frédéric Chopin: Études, Op. 10
/ショパン:練習曲
なんか見たことあるピアニストだなあと思っていたら、この方もブゾーニ国際で第4位に入賞していました笑。https://iriko-kombu-blog.com/9-3-2023_69th_busoni/
ショパンのエチュードOp.10、12曲のみとシンプルで強気のプログラム。最初の2曲が、Op.25含め曲集中トップ3に入るような難曲から始まる大変な曲集です。Op.10-2こそ1、2を争う屈指の難曲ですが、内声を鳴らすという遊び心はとても印象的でした。全体的に余裕が見える貫禄がありましたが、”普通”に弾いてくれないクドさを感じる場面も。
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3日間お疲れさまでしたm(_ _)m
しかしやはり全体的にレベルの高い演奏続きです。セミファイナルへは24名から10名に絞られるということで、どこらへんで線引きがされるのやら、、、
結果発表~第1ラウンド~
セミファイナルに進出したのは、以下の10名となりました。
セミファイナル進出者(10名)[演奏日]
Carter Johnson (Canada) [5.7]
Elias Ackerley (South Korea) [5.6]
Gabriele Strata (Italy) [5.5]
Derek Wang (United States) [5.5]
Michelle Candotti (Italy) [5.6]
Anthony Ratinov (United States) [5.6]
Jaeden Izik-Dzurko (Canada) [5.6]
Arisa Onoda (Japan) [5.7]
Jakub Kuszlik (Poland) [5.7]
Antonio Chen Guang (China) [5.7]
そして特別賞2つもこの時点で発表されました。
・ビタ・カテラン慈善活動賞($5,000):Élisabeth PION, Canada
・ジュニア審査員賞($1,000):Jakub KUSZLIK, Poland
いやはや、みなさんレベル高くてとても優劣を考える余裕はありませんでした。
筆者の推しAnthony Ratinovも無事にセミファイナルへ進出!印象に残ったGabriele Strata、Michelle Candotti、Jaeden Izik-Dzurkoも残ってくれました。日本人ピアニスト小野田さんも無事進出!
注目のコンテスタント、JJ Jun Li Buiの落選は驚きました。1次で落ちる演奏だとは思わなかったですが、、、半数以下に絞られる厳しいラウンドでした。Adrian Herpeさんの演奏も印象に残っていますが、残念でした。またどこかで出会えたらいいなと思います。
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