【2024.5.11】モントリオール国際音楽コンクール ピアノ2024 セミファイナル2日目

ピアノコンクール
https://concoursmontreal.ca/en/piano-2024/competitors/
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こんにちは。いりこです。

5月5日からモントリオール国際ピアノコンクールが開催されています。5日~7日にかけて行われていた第1ラウンドで、24名の参加者から10名に絞られました。

https://concoursmontreal.ca/en/piano-2024/program/

セミファイナルでは、室内楽とソロリサイタルが課されます。1日目は室内楽、2・3日目にソロリサイタルです。

昨年夏のブゾーニ・クララハスキル以来のコンクール鑑賞です。たまたまカナダに住んでおり時差もないので、頑張って付いていきたいと思います。YouTubeで配信されるとのことですので、日本からもぜひお楽しみください。※ライブ配信中は公式HPのみです。

概要

公式HP(英語・フランス語):https://concoursmontreal.ca/en/piano-2024/
公式YouTube:https://www.youtube.com/@ConcoursMontreal
※ライブ配信は公式HPのみ

開催地 モントリオール(カナダ)

開催期間 2025年5月5日(日)~ 5月16日(木)

近年ますます活躍が目覚ましいのが、カナダ、特にケベック州ゆかりのピアニストたちです。過去にはマルカンドレ・アムランルイ・ロルティ、近年ショパンコンクールで活躍したブルース・リウ(2021年優勝)、シャルル・リシャール=アムラン(2015年第2位)などが挙げられます。

そんな激アツの地、ケベック州はモントリオールで開催されるピアノコンクールです。筆者がたまたまカナダにいることもあり、ぜひ注目していきたいと思います。

スケジュール

第1ラウンド(24名):2024年5月5日(日)~ 7日(火)

セミファイナル(10名):2024年5月10日(金)~ 12日(日)
室内楽:
 5月10日(金)19:30(翌8:30)
リサイタル(ソロ):
 5月11日(土)13:30(翌2:30)
 5月11日(土)19:30(翌8:30)
 5月12日(日)13:30(翌2:30)

ファイナル(6名):2024年5月15日(水)~ 16日(木)

演奏順・プログラム

セミファイナル(10名):
第1部:リサイタル(ソロ)
演奏時間45~50分(第1ラウンドまたはセミファイナルのプログラムに、古典派から少なくとも1曲、ロマン派から少なくとも1曲を含めなければならない。)

下記の3作品を含めなければならない。
・ソナタ全楽章
カナダ人作曲家による課題曲:バーバラ・アッシギナーク作曲「Mzizaakok Miiniwaa Mzizaakoonsak(ウマバエとシカバエ)」
・候補者が選択する作品(上2曲だけで終わったらダメってことかな??)

5月11日(土)13:30(日本時間 翌2:30)~

CARTER JOHNSON ※第1ラウンド[5.7] ※セミファイナル・室内楽[5.10]
Muzio Clementi: Sonata in F-sharp minor, Op. 25 No. 5
/クレメンティ:ソナタ 嬰ヘ短調
Barbara Assiginaak: Mzizaakok Miiniwaa Mzizaakoonsak (Horseflies and Deerflies)
/アシギナーク:ウマバエとシカバエ
Robert Schumann: Davidsbündlertänze, Op.6
/シューマン:ダヴィッド同盟舞曲集

クレメンティ、もっぱら子供のときに弾いていたソナチネのイメージが強かったですが、このコンクールではたびたび登場しました。モーツァルトとベートーヴェンの架け橋のような作風でおもしろいですね。ジョンソンは今大会ドイツ作品を多く演奏しています。シューマンも、舞踏的性格のものから瞑想的なものまでステキでしたし、小品をまとめる求心力、静かにハ長調で終わる引き算のセンス笑。ファイナルに行ってほしいピアニストです。

ELIAS ACKERLEY(ファイナル進出) ※第1ラウンド[5.6] ※セミファイナル・室内楽[5.10]
Ludwig van Beethoven: Sonata in A-flat major, Op. 110
/ベートーヴェン:ピアノソナタ第31番 変イ長調
Sergei Rachmaninov: Variations on a Theme by Corelli, Op. 42
/ラフマニノフ:コレルリの主題による変奏曲
Barbara Assiginaak: Mzizaakok Miiniwaa Mzizaakoonsak (Horseflies and Deerflies)
/アシギナーク:ウマバエとシカバエ
Alexander Scriabin: Sonata No. 4 in F-sharp major, Op. 30
/スクリャ―ビン:ピアノソナタ第4番 嬰ヘ長調

第1ラウンドでも初期のベートーヴェンをステキに弾いていました。今度は後期ソナタ。重心低めで安定したオトナな演奏でした。オトナです。スクリャービンの艶っぽさといい、無骨な音色といい。すばらしい。

GABRIELE STRATA(ファイナル進出) ※第1ラウンド[5.5] ※セミファイナル・室内楽[5.10]
Olivier Messiaen: Vingt Regards sur l’Enfant-Jésus
/メシアン:幼子イエスに注ぐ20のまなざし
Barbara Assiginaak: Mzizaakok Miiniwaa Mzizaakoonsak (Horseflies and Deerflies)
/アシギナーク:ウマバエとシカバエ
Johannes Brahms: Sonata No. 3 in F minor, Op. 5
/ブラームス:ピアノソナタ第3番 ヘ短調

現代音楽の独特な時間で焦らされたあと(筆者個人の見解です)、満を持してブラームスの3番。1楽章は丁寧で熱量控えめ、2楽章でロマンチック爆発、筆者の涙腺も爆発(笑)。なんとしっとりとした甘い音色なんでしょう。両端楽章、個人的にはエネルギッシュな方が好きですが、抑えめで成熟した印象。

5月11日(土)19:30(日本時間 翌8:30)~

DEREK WANG(ファイナル進出) ※第1ラウンド[5.5] ※セミファイナル・室内楽[5.10]
Francis Poulenc: Improvisation No. 1 in B minor • Nocturne No. 4 in C minor (Bal fantôme) • Improvisation No. 6 in B-flat major
/プーランク:即興曲第1番 ロ短調、ノクターン第4番 ハ短調 「幻の舞踏会」、即興曲第6番 変ロ長調
Barbara Assiginaak: Mzizaakok Miiniwaa Mzizaakoonsak (Horseflies and Deerflies)
/アシギナーク:ウマバエとシカバエ
Ludwig van Beethoven: Sonata in B-flat major, Op. 106 (Hammerklavier)
/ベートーヴェン:ピアノソナタ第29番 変ロ長調「ハンマークラヴィーア」

久々にハンマークラヴィーアを聴きました。改めてすごい曲です。第3楽章はすでに後期ソナタで見ていた次元の世界が見える気がします。そして圧巻の1・4楽章。少し苦労の跡が見えましたが、よく弾いています。

MICHELLE CANDOTTI ※第1ラウンド[5.6] ※セミファイナル・室内楽[5.10]
Barbara Assiginaak: Mzizaakok Miiniwaa Mzizaakoonsak (Horseflies and Deerflies)
/アシギナーク:ウマバエとシカバエ
Franz Liszt: ‘Après une lecture du Dante, fantasia quasi sonata’ (Années de pèlerinage, deuxième année, S. 161 : No. 7)
/リスト:「ダンテを読んで – ソナタ風幻想曲」(巡礼の年 第2年「イタリア」 第7曲)
George Enescu: Suite No. 2 in D major, Op. 10 Pavane
/エネクス:ピアノ組曲第2番 ニ長調 パヴァーヌ
Hélène de Montgeroult: Études No. 111 in G minor
/モンジュルー:エチュード第111番 ト短調
Sergei Prokofiev: Sonata No. 7 in B-flat major, Op. 83
/プロコフィエフ:ピアノソナタ第7番 変ロ長調

鍵盤を念入りに拭いてスタート笑。
ダンテソナタや戦争ソナタなどの難曲もエネルギーの乗った音で、小品や緩徐部分では統制が効いていて品がある。特にプロコフィエフ7番の第3楽章は大好きなのですが、暴走したり散漫だったりすることが多いです。そんな中よく健闘していたと思います。

ANTHONY RATINOV(ファイナル進出) ※第1ラウンド[5.6] ※セミファイナル・室内楽[5.10]
Joseph Haydn: Sonata in B minor, Hob. XVI:32
/ハイドン:ソナタ ロ長調
Barbara Assiginaak: Mzizaakok Miiniwaa Mzizaakoonsak (Horseflies and Deerflies)
/アシギナーク:ウマバエとシカバエ
Johann Sebastian Bach / Ferruccio Busoni: Nun freut euch, lieben Christen, BWV 734 • Ich ruf’ zu dir, Herr Jesu Christ, BWV 639
/J. S. バッハ – ブゾーニ:「今ぞ喜べ、愛するキリストのともがらよ」、「われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ」
Sergei Prokofiev: Sonata No. 8 in B-flat major, Op. 84
/プロコフィエフ:ピアノソナタ第8番 変ロ長調

ブゾーニ国際のときと似たプログラムです。ごひいきの気持ちが多分に入っているとは思いますが笑、本当によく手入れが行き届いたハイドン。粒立ちから和音の積み重ねから音の抜き方まで。バッハ/ブゾーニのコラールもまた聴けてよかった。そして圧巻のプロコフィエフ。なめらかなパッセージから歯切れのいいスタッカートから、何しても完璧です。技術的なキャパシティに余裕が見えるのも末恐ろしいところ。

・・・

CARTER JOHNSONELIAS ACKERLEYMICHELLE CANDOTTIGABRIELE STRATAさんは次に行ってほしいなあ、相変わらず誰が行っても納得するレベルですけれども。単純に音楽鑑賞を楽しんでいます。

ANTHONY RATINOVはもちろん応援したいです。ちょっと話は逸れますが、ラティノフは2025年のショパンコンクール本大会への出場権をお持ちなんですよね。出場してショパンもいっぱい弾いてほしいな。

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