こんにちは。いりこです。
2024年10月に配信限定でリリースされた、ジェイデン・イズィク=ズュルコ(アイジク=ズルコ)のコンクールでのライブ演奏が収録されたCDをご紹介します。
イズィク=ズュルコは、2024年9月に開催された第21回リーズ国際ピアノコンクールの優勝者!その記念で配信されているCDです。
2024年のリーズ国際といえば、牛田智大さんの名演でも記憶に新しいですね。
ジェイデン・イズィク=ズュルコ(アイジク=ズルコ)(ピアノ)
カナダ、ブリティッシュ・コロンビア出身、優勝当時24歳のピアニスト。ジュリアード音楽院ブリティッシュ・コロンビア大学を卒業し、現在はドイツとイタリアを拠点に学んでいます。
(お名前の日本語表記問題がありますね。。。
本人の発音を聞くと「ジェイドゥン・アイズィク・ズュゥコ」みたいな感じ。ネット上では「ジェイデン・アイジク=ズルコ/イジク=ジュルコ」から「イェーデン・イズク=ドズルコ」まで)
2022年にはマリア・カナルス国際音楽コンクールをはじめ複数のコンクールで優勝。そして2024年5月にモントリオール国際音楽コンクールで優勝、そして9月のリーズ国際ピアノコンクールで優勝と、着実にタイトルを積み上げています。
コンクールを見始めて、どんなに実力があるピアニストでも複数のコンクールで結果を出し続ける、しかも同年に2つ優勝を続けるというのはとてつもない偉業だと学びました。たとえば最高峰ショパン国際コンクールの入賞者が、他コンクールの本選に残れないことも珍しくないからです。
筆者がはじめてお見かけしたのがモントリオール国際音楽コンクールでした。バッハ、ショパンにスクリャービン、ラフマニノフ「ソナタ1番」にファイナルでのブラームス「ピアノ協奏曲2番」といった大曲まですべてハイレベル。
同大会には別のご贔屓ピアニスト:ラティノフさんも出場していたのですが、そんな色眼鏡込みでもイズィク=ズュルコの優勝に文句なしといったところでした。
繊細から重厚感まで兼ね備えた、王道を突っ走るポテンシャルがあると思います。理知的で統制が効いていながら、「ここぞ」というところでフォルテが飛んできて疾走感も損なわないので、とにかく心地がいいです。
▼リーズ国際ピアノコンクール
【2024】第21回リーズ国際ピアノコンクール まとめ
【2024.9.20~21】第21回リーズ国際ピアノコンクール ファイナル/結果
▼モントリオール国際音楽コンクール
【2024】モントリオール国際音楽コンクール ピアノ2024 まとめ
【2024.5.15~16】モントリオール国際音楽コンクール ピアノ2024 ファイナル/最終結果
リーズ国際コンクール
公式HP(英語):https://www.leedspiano.com/upcoming-competition/
公式YouTube:https://www.youtube.com/user/leedspiano
開催期間:2024年9月11日(水)~ 9月21日(土)
イングランド北部の都市リーズで開催される国際コンクール。第1回1963年の開催以降、優勝・受賞者にはラドゥ・ルプ、ペライア、アレクセイエフ、オフチニコフ、内田光子、シフ、ロルティなど、錚々たる名ピアニストが並ぶ権威あるコンクールです。
上位2名はショパン国際コンクール本大会へ直接駒を進めることができる(ビデオ審査・予備予選が免除される)ことからも、今大会が重要視されていることが分かります。
- 主な優勝者:ラドゥ・ルプ(1969)、マライ・ペライア(1972)、ドミトリー・アレクセイエフ(1975)、ウラディミール・オフチニコフ(1987)、エリック・ルー(2018)、アリム・ベイセムバイエフ(2021)
- 主な入賞者:アルトゥール・モレイラ・リマ(1969年第3位)、アンネ・ケフェレック(1969年第5位)、内田 光子(1975年第2位)、アンドラーシュ・シフ(1975年第3位)、ルイ・ロルティ(1984年第4位)、北村 朋幹 (2015年第3位)、小林 海都(2021年第2位)
▼国際ピアノコンクールについてはこちら
【最高峰】国際ピアノコンクール15選 まとめ
【2025】第19回ショパン国際ピアノコンクール まとめ
収録曲/感想
ショパン:スケルツォ第1番 ロ短調 Op.20
ラヴェル:鏡(1.「蛾」2.「悲しい鳥たち」3.「海原の小舟」4.「道化師の朝の歌」5.「鐘の谷」)
リゲティ:エチュード第1巻 ~ 第5&6番
【録音】2024年9月 リーズ大学大ホールでのライヴ
たまーにミスタッチが聴こえて、「あ、これライブ音源だった」と気づくレベル。しかもコンクールという緊張感のある舞台です。とても完成度が高い演奏です。
実際の第2ラウンドでは、ラヴェル「鏡」→ショパン「スケルツォ1番」というプログラムで登場したイズィク=ズュルコ。
【2024.9.11】第21回リーズ国際ピアノコンクール 第2ラウンド 1日目
同じく2024年5月に開催されたモントリオール国際コンクールで優勝していたのですが、ファイナルで演奏したブラームスのピアノ協奏曲2番が印象に残っていましたので、「かっちり」「硬派」な印象がありました。
【2024.5.15~16】モントリオール国際音楽コンクール ピアノ2024 ファイナル/最終結果
そんな期待をもって聴きはじめて、衝撃的だったのがこの「鏡」!
色彩感、色気も守備範囲なのかと驚きました。
危うい雰囲気の「蛾」、ズーンと重たい「悲しい鳥」、絶え間なく波に揺られる「海原の小舟」、一転して歯切れよくスペイン色が華やかな「道化師の朝の歌」、そしてスコンと空虚な「鐘の谷」。
ラヴェルのピアノソロ曲は好きでいろんなピアニストを聴き比べていた時期がありましたが、難曲を華麗に操る技術はもちろん、性格が異なる5曲を弾きこなす表現の引き出しの多さは圧巻でした。
そして実際のコンクールでは、「鏡」の後、プログラム最後に「スケルツォ1番」で駆け抜けました。これがまたかっこよかったです。切れ味鋭い硬派な音が存分に生きる選曲で、中間部もロマンチック。この時点で優勝も十分にチラついた演奏でした。
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