【曲・CD紹介】ショパン:ピアノ協奏曲(第1番) ホ短調 Op.11【定番・初心者におすすめ】

作品・CD紹介
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こんにちは。いりこです。

小学生のときからクラシック厨で、友達がバンドやアイドルのCDを買っているのをよそに、お小遣いをはたいてクラシックのCDばかり買っていました。

そんな中から好きな曲、好きな録音を紹介します。
これからクラシックを聴き始めたいという初心者の方々にもおすすめできるものばかりです。

筆者はただの愛好家で、楽曲の細かい説明は苦手ですので、感想以外の大部分をネット情報から拝借しています。

曲の概要 ショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調 Op.11

キーワード:重厚・格調・絢爛

「ピアノ協奏曲“1番”」として出版されていますが、2番より後に書かれています。ショパンは当時20歳。

「ウィーンへ出発する直前に行われたワルシャワでの告別演奏会においてショパン自身のピアノ独奏により初演された。(中略)この曲を第1番として最初に出版したのはショパンがこの曲を自信作だとみなしていたからだと考えられる。」
「この作品は彼の故郷ワルシャワへの告別と、飛翔の意味が込められているといわれる。協奏曲としては処女作で、ロマンティックな情念と創意にあふれる第2番と比較して、前作の経験を基に書かれたこの第1番は構成を重視した作りで規模も大きい。」(Wikipedia)

へー、そんな曲だったんですねえ。
言われてみれば、ヘ短調(2番)に比べ外向きで、覚悟のようなものを感じます。

ショパンは39年の人生のうち、前半20歳を祖国ポーランドで、後半をフランスで過ごします。
その最後のワルシャワでの演奏だったとのことですかね。

第1楽章

まずオーケストラにより、第1・第2主題が提示されます。約5分。ちょっと長い割にはややダサい。。。
その効果もあって、ピアノの登場は衝撃的な演出になります。並んで待って食べるラーメンがおいしいのと同じように。重々しい和音で始まり、続く美しい第1主題に生命を吹き込みます。作曲者ショパンは根っからの「ピアニスト」なんでしょうね。こんなに美しい旋律だったとは、、、と、ピアノで弾くためのメロディーだったのだと気付かされます。ここからはピアノの独壇場。とにかく聴いてて美しい。

要所で技巧的かつ華やかなパッセージを含みつつ、展開部へ。
第1主題がハ長調になって登場。爽やかなんだけど、どこか雲行きが怪しい、、、案の定すぐにイ短調へ落ち着き、この曲最大の山場へ突入。ここがめちゃくちゃかっこいいです。かっこいいだけでなく、心をえぐるエモいメロディーが隠されており、この曲の抒情性を失しないかたちで、技術的にも感情的にも最高潮に達します。天才。最高。
最高潮の盛り上がりからピアノが半音階で駆け下り、間髪入れずにオーケストラの再現部へ。あれだけダサかった主題も、かっこよく、不可欠なもののように聴こえてくるのが不思議です。

再現部では、ピアノが早めに合流します。よりシンプルなト長調で第2主題が再現されたあと(ここもステキ)、ホ短調コーダへ突入。展開部に並ぶ盛り上がりを見せます。
ここ、技術的にはどうなんでしょう。右手も左手もトリッキーなことしてます。ショパンって割と難しいけど理不尽じゃない、みたいな音型が多いイメージですが、ショパンの他の作品には見ない音型のような気がします。
自分で弾くと崩壊するだろうなと思っていつも聴いています。憧れ。

最後に4度の不思議な響きで駆け下りてきて、第1主題のモチーフそして鳴らしてピアノは1楽章が終了します。

第2楽章

ロマンス・ラルゲット。
ヘ短調の2楽章が恋煩いに支配されているのに比べ、こちちは終始夢見心地、天上の音楽といった透明度です。美しい以外の形容が見つかりません。

第3楽章

ロンド。「クラコヴィアク」というポーランドの民族舞踊が基になっているそうで、非常に華やかで軽快、推進力のある楽章。
短い序奏の後に提示される主題が、様々な装飾にお着換えしながら繰り返されます。そして一聴してわかる、ピアニストの高度な技術が楽しめるスリリングな曲でもあります。時折流れる牧歌的なユニゾンで曲を落ち着かせたあと、曲中一番の盛り上がりを持つコーダへなだれ込みます。民族舞踊的な独特なリズムに乗って、ピアノが楽しそうに駆け回り、華やかに曲を締めくくります。

こうしてみると、各楽章で全く異なるキャラクターを持ち、満足度が高いです。外面的な派手さがありながら、随所に見えるショパン独特の抒情性も楽しめる、40分があっという間に溶けてなくなるような、初期の傑作だと思います。
私がピアノ協奏曲にハマったきっかけになった曲でもあります。

ショパンはこれ以降、オーケストラ音楽をほとんど書いていません。そういった点でも貴重な曲です。

おすすめCD

この曲を初めて聴くという方にもおすすめできる、定番のCDを紹介します。

ツィマーマン×ジュリーニ(指揮)×ロサンゼルスフィルハーモニック(1979年録音)

ツィマーマンの演奏を初めて聴いたのが、このショパンの協奏曲でした。

彼の演奏を一言で形容すると「作り込み」。
一音一音、機械で微調整したかのような完成度です。

ショパンコンクールを18歳で優勝してからわずか3年後の録音、圧倒的完成度に若さがノッた奇跡的な演奏だと思います。
一番のおすすめは、と聞かれたら迷わずこのCDを挙げます。

彼の弾き振り盤もあり、こちらも素晴らしい決定盤ですが色気がムンムンで、若さを感じるこちらの音源が個人的には好みです。

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ルービンシュタイン×オーマンディ(指揮)×フィラデルフィア管弦楽団(1968年録音)

私がこの曲を初めて聴いたのが、このルービンシュタインの演奏です。
調べて分かったのですが、御年80歳越えの演奏!
苦悩する若者ショパンを老成したルービンシュタインが抱擁するような、渋い語り口です。

ルービンシュタインは、1958年の録音も残っていますが、こちらは打って変わって刺激的な演奏です。一聴の価値あり。

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ブレハッチ×セムコフ(指揮)×コンセルトヘボウ管弦楽団(2009年録音)

ポーランド出身のピアニストが3人続いてしまいました笑。
ショパンは、あまり甘ったるくても胃もたれするし、かといってロマンティックが売りみたいなところがあるので、バランス感覚が難しいんだと思います。
その点、同郷の理解なり、東欧の冷たさみたいなものがキーになるのでしょう、妄想ですけど。

その点、最も「ショパン弾き」っぽいのがブレハッチでしょうか。「ショパンの生まれ変わり」と称されているとかいないとか。細身で繊細なお顔立ちもショパンを彷彿とさせると言われれば、そうかもしれません。

そして虚弱そうな見た目とは裏腹に(失礼(ショパンは虚弱だっだそう))、演奏の完成度はすさまじいです。個人的にはツィマーマンと双璧です。ツィマーマンが「陽」だとすると、ブレハッチは「陰」代表みたいな。そこがまたショパンとマッチします。

圧倒的な技術、甘ったるいロマンチックでごまかさない、それでいて若き日の苦悩や爽やかさを兼ね備える、そんなバランス感がとれた演奏です。一言で言うとセンスがいい。

Amazon – ブレハッチ/ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番

トリフォノフ× ヴィト(指揮)×ワルシャワフィルハーモニー管弦楽団(2010年ショパンコンクール本選)

この記事を書いていたときに聞いた演奏。

コンクール本選という緊張感をモノともせず、若いエネルギーに牽引され、どこまでも高みに昇っていくピアニズムを目の当たりにできる記録的な録音です。

とにかくキラキラした極上の音色と、それを支える超絶技巧はすでに健在。やや荒削りな面も(普段は好みじゃありませんが)、これだけ圧倒的な演奏でねじ伏せられると「スリリング」として受け入れられます。

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