2026年8月28日時点での中東エアライン主要各社の運航状況、および日本〜中東を結ぶ路線・ツアーの最新状況を整理しました。4月版からの大きな変化は3つ。エミレーツ・カタール航空・エティハドの便数がほぼ紛争前の水準に戻ったこと、大手旅行会社のドバイ・ドーハ経由ツアーが8月に相次いで再開したこと、そしてJALの羽田⇔ドーハ線が2027年3月28日までの運休を決めたことです。便数・スケジュールは引き続き変動しているため、実際の渡航・予約にあたっては、記事末の一次ソースおよび各社公式での最新確認をお願いします。
▶ 前回の記事:中東エアライン運航状況まとめ(2026年4月)はこちら
主要中東エアラインの運航状況
| 航空会社 | 概況(2026年8月時点) |
|---|---|
| エミレーツ航空(ドバイ) | 日本線は成田・羽田・関空とも毎日1往復の計1日3往復で運航中(10月26日から成田が1日2往復になり計4往復へ)、イラクのバスラ線は9月2日・バグダッド線は10月1日に再開予定でテヘラン線は再開日未定 |
| カタール航空(ドーハ) | 羽田線を7月15日に再開し8月4日からデイリー化、東京〜ドーハは成田便とあわせ1日3往復に(関空線も6月16日から週5便で再開済み) |
| エティハド航空(アブダビ) | 成田⇔アブダビは6月18日からA380で毎日運航、アブダビ発着の中東域内には一部欠航が残る |
| エルアル・イスラエル航空 | 成田⇔テルアビブは運航中で、8月後半の実績は週4便ペース(787-9) |
FlightRadar24が公開する湾岸エアラインの便数データ(Gulf Airline Recovery Index)では、7月15日時点でエミレーツ・カタール航空・エティハドの1日あたり運航便数は紛争前とほぼ同水準まで戻っています。同ページの更新は7月中旬で止まっているため、それ以降は各社の発表と運航実績が頼りです。エルアルの成田線については、筆者がFlightAwareの運航実績を確認したところ、8月16日〜27日も日・火・水・木曜のパターンで実際に飛んでいました。
なおドーハ発着便は当局指定の飛行ルートを通る関係で、路線によって所要時間が30分〜数時間延びています。
日本〜中東のアクセス(2026年8月28日時点)
JALの羽田⇔ドーハ線は2027年3月28日まで運休
JALは2026年8月発表の下期路線便数計画で、羽田⇔ドーハ線(JL59/JL50)を2026年10月24日〜2027年3月28日の期間運休とすると明らかにしました。中東情勢が不透明で運航再開の見通しが立たないため、この間の中東・アフリカ方面の移動はカタール航空運航のコードシェア便で対応するとしています。自社運航の再開目標は2027年度。欠航が始まった2026年2月28日から数えると、運休は1年以上に及ぶことになります。対象期間に予約がある人には、旅程変更・払い戻しの案内が順次届く予定です。
なおANAは中東発着の路線を持っておらず、今回の情勢による運休はありません。
日本発着の中東直行便
- 羽田発:エミレーツ(ドバイ・毎日)、カタール航空(ドーハ・毎日)
- 成田発:エミレーツ(ドバイ・毎日/10月26日から1日2往復)、エティハド(アブダビ・毎日)、カタール航空(ドーハ・1日2往復)、エルアル(テルアビブ・週4便ペース)
- 関空発:エミレーツ(ドバイ・毎日)、カタール航空(ドーハ・週5便)
中東ツアーは再開した?大手4社の現在地
旅行会社の対応は「経由」と「目的地」ではっきり分かれてきました。ドバイ・ドーハ・アブダビを乗り継ぐだけの旅行はHISと阪急交通社が8月中に全面再開し、JTBも一部ブランドが再開しています。一方、中東の国そのものを目的地とするツアーは、いちばん早いHISでも9月20日出発分まで催行中止が続きます。
| 旅行会社 | ドバイ・ドーハ・アブダビ経由 | 中東が目的地のツアー |
|---|---|---|
| HIS | 8月7日出発分から再開済み | UAE・カタール・バーレーン・オマーン・ヨルダン行きは9月20日出発分まで催行中止 |
| JTB | 「旅物語」「ルックJTB添乗員同行ツアー」などの6ブランドは8月20日出発分から再開、それ以外は10月6日出発分まで催行中止 | 危険情報レベル2・3の国行きは10月16日出発分まで催行中止 |
| 阪急交通社 | 8月17日出発分から再開 | UAE・カタールなど7か国行きは10月31日出発分まで催行中止 |
| クラブツーリズム | 10月20日出発分まで催行中止 | 10月31日出発分まで催行中止(再開は危険情報レベル1への引き下げが前提) |
同じ「中東ツアー」でも、会社によって中止期限が9月20日から10月31日まで1か月以上違います。予約前に各社公式のお知らせページで最新の対象国・対象日を確認してください。
イラン情勢はどうなっている?(2026年8月末時点)
軍事衝突は小休止に入り、主戦場は経済へ移っています。ルビオ米国務長官は8月下旬、同盟国に「当面、イランへの新たな攻撃は行わない」と伝えたと報じられました(Axios)。一方で米国は8月24日、対イラン制裁「Operation Economic Outcast」を発表しました。ベッセント財務長官が「史上最も厳しい」制裁と述べたもので、デジタル資産・技術・金・航空・海運の5分野にまたがり、約60の法人・船舶・個人が対象です。軍事の手は緩んでも、経済面の圧力はむしろ強まっています。
海運の要衝ホルムズ海峡は依然として実質閉鎖に近い状態です。通航量は紛争前の1割以下まで落ち込んでいます(IMF PortWatchおよびLloyd’s List Intelligenceの集計・8月下旬時点)。8月25日にはイランとオマーンの外相がテヘランで会談し、暫定航路の設置と機雷除去を共同で進める案を提示。翌26日には暫定航路について両国が合意したと報じられました。正常化へ向けた動きが、ようやく出始めた段階です。
空の便に効いてくるのは空域の制約です。クウェート上空の通過は10月2日まで閉鎖されており、延長もありえます。イラン領空は公式には再開したものの、上空通過は高度およそ8,700メートル以上の指定ルートに限られ、大半の外国航空会社が回避を続けています(運航情報サービスOPSGROUP・8月25日時点)。湾岸系3社の便がほぼ戻った一方で、フィンエアーのドバイ・ドーハ線が2027年3月27日まで運休となるなど、欧州系・アジア系には長期運休を選んだ会社も少なくありません。
影響は空港の側にも出ています。国際空港評議会(ACI)の集計では、ロンドンのヒースロー空港の7月の利用者数は前年同月比1.5%減の786万人にとどまり、イスタンブール空港を下回りました。中東方面の落ち込みが響き、欧州のハブとしての地位が揺らいでいます(日本経済新聞 2026年8月25日「英ヒースロー、揺らぐ欧州のハブ空港 中東混乱でイスタンブール伸長」)。中東の空が戻りきらない影響は、湾岸から遠い場所にも及んでいます。
外務省の危険情報レベル(2026年8月28日時点)
| 国・地域 | 危険情報レベル |
|---|---|
| UAE | 全土レベル2「不要不急の渡航は止めてください」(6月25日に引き下げ) |
| カタール | 全土レベル2(同じく6月25日に引き下げ) |
| イスラエル | ほぼ全土レベル3「渡航中止勧告」(ガザ地区周辺などはレベル4「退避勧告」) |
| イラン | 全土レベル4「退避勧告」 |
UAE・カタールのレベル2は、6月25日の引き下げ以降そのまま据え置かれています。危険情報は現地の動きから遅れて更新されることもあるので、レベルの数字だけでなく、発出日と直近のニュースをあわせて見るのが安全です。
ルービンシュタイン国際ピアノコンクール、ファイナルは9月3日からイスラエルで
ドイツ・クロンベルクに移して行われた予選(4月28日〜5月4日)を経て、ファイナルは9月3日〜9日にイスラエルで開催予定です。公式サイトにはタイムテーブルが公開済みで、6人のファイナリストがテルアビブ美術館とチャールズ・ブロンフマン・オーディトリアムで、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団などと協奏曲を演奏します。前述のとおりイスラエルはほぼ全土に渡航中止勧告が出ている状況ですから、現地観戦ではなく配信での視聴が現実的です。
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渡航前のチェックリスト
- 外務省 海外安全ホームページで渡航先の危険情報レベル(1〜4)を確認
- 各航空会社公式の運航スケジュール(都度更新)を確認
- 外務省「たびレジ」への登録(出発前)
- 海外旅行保険の補償範囲(戦争・テロ免責の有無)を事前に確認
よくある質問
ドバイやドーハ経由の乗り継ぎは利用できる?
エミレーツ・カタール航空・エティハドはほぼ紛争前の水準で運航しており、HISと阪急交通社の経由ツアーも8月に再開済みです(JTBは一部ブランドのみ再開)。ドーハ発着は飛行ルートの制約で所要時間が延びる便があるので、乗り継ぎには余裕を持たせてください。
JALの羽田⇔ドーハ線はいつ再開する?
2027年3月28日までの運休が発表済みで、自社運航の再開は2027年度の見込みです。当面はカタール航空運航のコードシェア便での移動になります。
UAEやカタールを目的地とする旅行はできる?
個人手配は可能ですが、外務省の危険情報はレベル2「不要不急の渡航は止めてください」です。大手のパッケージツアーは9月20日〜10月31日出発分まで催行中止が続いています(期限は会社によって異なります)。
イスラエルへの渡航は?
エルアルの成田⇔テルアビブ線は週4便ペースで運航していますが、イスラエルはほぼ全土がレベル3「渡航中止勧告」の対象です。9月のルービンシュタイン・コンクールのファイナルも、配信での視聴が現実的です。
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まとめ
中東の空はこの4か月で大きく戻りました。エミレーツ・カタール航空・エティハドはほぼ通常運航、エルアルの成田線も飛んでおり、「ドバイやドーハで乗り継いで欧州・アフリカへ」という選択肢が復活しています。一方でJALの運休は2027年3月まで延び、ホルムズ海峡の緊張も解けていません。情勢次第でまた動く可能性はあるので、予定を確定させたい旅行ほど、中東経由以外のルートとの比較も含めて検討してみてください。発券前・搭乗前の各社公式チェックは、4月版のときと変わらず必須です。
おまけ|日経新聞は無料で読めます
最後にひとつ。今回のヒースロー空港の話も、筆者は日本経済新聞 2026年8月25日の記事で知りました。運航状況や危険情報は公式サイトで確認できますが、「中東の混乱が遠くヨーロッパの空港勢力図まで動かしている」という視点は、新聞を読んでいないとなかなか出てきません。
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