【2024.11.20】第12回浜松国際ピアノコンクール 第3次予選 2日目/結果

12th hamamatsu international piano competition ピアノコンクール
https://www.hipic.jp/
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こんにちは。いりこです。

11月9日(土)から、世界的にも注目度がうなぎ上りの浜松国際ピアノコンクールが2大会ぶりに開催されています!

モントリオール国際音楽コンクールゲザ・アンダ国際ピアノコンクールリーズ国際ピアノコンクールに続いて、今年4つ目のコンクールを取り上げることになります。またリーズ国際同様、来年に控えるショパン国際コンクールの予選免除が与えられる重要な大会です。

遅ればせながらキャッチアップしていきたいと思いますので、6年ぶりの浜松国際を一緒に楽しんでいけたらと思っております!

87名で始まった第1次予選から、12名にまで絞られた第3次予選。日本勢からは3名(佐川 和冴小林 海都鈴木 愛美)が進出しています。

第3次予選2日目は6名、筆者大注目のヨナス・ アウミラー、筆者的に注目度爆上がり中の鈴木 愛美ヴァレール・ ビュルノンコルクマズ・ジャン・ サーラムらが登場!

浜松国際ピアノコンクール概要

公式HP(日本語・英語):https://www.hipic.jp/
公式YouTube:https://www.youtube.com/user/HIPICofficial

開催期:2024年11月9日(土)~ 11月24日(日)

我らがニッポンで行われている国際コンクール。こちらで紹介しているコンクールと比べると格段に歴史が浅いのですが、ブレハッチチョ・ソンジンと、ショパン国際コンクール覇者を輩出するなど、すでに優勝・入賞者たちの活躍が目覚ましい大注目のコンクールです。

恩田陸さんの小説「蜜蜂と遠雷」のモチーフにもなった大会であるほか、上位2名はショパン国際コンクール本大会へ直接駒を進めることができる(ビデオ審査・予備予選が免除される)ことからも、今大会が重要視されていることが分かります。

  • 概要
    開催地:浜松市(静岡県)
    開催間隔:3年に1度(前回:2018年(2021年中止)、次回:2024年11月)
    歴史:第1回1991年
  • 主な優勝者・入賞者
    優勝者:アレクサンダー・ガヴリリュク(2000)、アレクセイ・ゴルラッチ(2006)、チョ・ソンジン(2009)、アレクサンダー・ガジェヴ(2015)

    入賞者:上原 彩子(2000年第4位)、ラファウ・ブレハッチ/アレクサンダー・コブリン(2003年第2位)、牛田 智大(2018年第2位)

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スケジュール

第1次予選(87名):2024年11月9日(土)~ 13日(水)

第2次予選(24名):2024年11月15日(金)~ 17日(日)

第3次予選(12名):2024年11月19日(火)~ 20日(水)
11月19日(火)12:30, 19:10
11月20日(水)10:00, 13:40 結果発表:20:00

本選(6名):2024年11月23日(土)~ 24日(日)

2週間に及ぶ長丁場です。

プログラム

第3次予選(12名)

(1) と (2) を演奏する。演奏時間は合計70分以内とし、(1)(2)の演奏順は任意とする。なお、第2次予選の結果発表後に、楽譜の提出を求めることがある

(1) 室内楽
下記のa.かb.のいずれか1曲を選択し、事務局が指定する弦楽器奏者と協演する。楽譜はベーレンライター版を使用し、繰り返しは省略する。

モーツァルトa.ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 K.478
b.ピアノ四重奏曲 第2番 変ホ長調 K.493

(2) 自由な選択によるソロリサイタル
ただし、第1次予選、第2次予選で演奏する曲は除外する。

11月20日(水)10:00

ヴァレール・ ビュルノン/Valère BURNON(ベルギー、1998) ※第1次予選[11.11] ※第2次予選[11.16]
W. A. モーツァルト:ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 K.478
/W. A. MOZART: Piano Quartet No.1 in g minor K.478
C. ドビュッシー:前奏曲 第2集 より「月の光がそそぐテラス」
/C. DEBUSSY: “La terrasse des audiences du clair de lune” from Preludes Book II
C. ドビュッシー:前奏曲 第1集 より「西風の見たもの」
/C. DEBUSSY: “Ce qu’a vu le vent d’ouest” from Preludes Book I
C. ドビュッシー:前奏曲 第2集 より「花火」
/C. DEBUSSY: “Feux d’artifice” from Preludes Book II
R. シューマン:幻想曲 ハ長調 Op.17
/R. SCHUMANN: Fantasie in C major Op.17

相変わらずミスタッチが多めで気になりはしますが、やはりこの人の持ち味は音楽性そのものにあります。ドビュッシーからシューマンと、強みを生かしたロマンチックで色彩豊かなプログラム。柔らかい音色で心地よく包んでくれました。協奏曲もどういう演奏をするのか気になりますね。

ヨナス・ アウミラー/Jonas AUMILLER(ドイツ、1998) (本選進出) ※第1次予選[11.11] ※第2次予選[11.16]
W. A. モーツァルト:ピアノ四重奏曲 第2番 変ホ長調 K.493
/W. A. MOZART: Piano Quartet No.2 in E flat major K.493
J. S. バッハ:トッカータ ト短調 BWV915
/J. S. BACH: Toccata in g minor BWV915
F. リスト:「伝説」より 波を渉るパオラの聖フランチェスコ S.175-2
/F. LISZT: St. François de Paule marchant sur les flots from “Légendes” S.175-2
L. v. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 Op.111
/L. v. BEETHOVEN: Piano Sonata No.32 in c minor Op.111

さて、筆者が推しているアウミラーさん。予選通して安定した演奏を聴かせてくれています。なんと表現すべきかこのキラキラ感、電飾のような輝きではなく、後光が差しているような威厳とか神秘性を備えた輝き。そしてプログラム構成がなにより素晴らしい。リスト→バッハ→ベートーヴェンの順でしたが、宗教色の強い晩年の「伝説」、重厚なフーガを伴うバッハ、そしてベートーヴェン最後のソナタ。モーツァルトで聴かせてくれたまろやかな音色もかなり良かったですし、本格的で難曲揃いの中でも技術的な余裕を感じる、曲それ自体を楽しめるかなり濃密な時間でした。重層的な表現力で構造美のようなものを兼ね備えています。そしてカーテンコールも起こっており、人気も上々のようです。

11月20日(水)13:40

ソン・ ユトン/SUN Yutong(中国、1995) ※第1次予選[11.12] ※第2次予選[11.16]
W. A. モーツァルト:ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 K.478
/W. A. MOZART: Piano Quartet No.1 in g minor K.478
L. v. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第29番 変ロ長調 Op.106「ハンマークラヴィーア」
/L. v. BEETHOVEN: Piano Sonata No.29 in B flat major Op.106 “Hammerklavier”

正直いまのところ筆者にはハマっていないピアニストではあります。モーツァルトとベートーヴェンという古典派のレパートリーで、特にハンマークラヴィーアというガッチリ対位法が絡み合う構造的な曲で、やや恣意的な解釈が目立つ印象。パーンと飛んでくる音にスピード感があり、切れ味もいいのですが、ぶつぶつ聞こえる箇所もあったり。ほんとによく弾けてはいるのですが、曲に振り回されている印象も若干。

ユ・ ソンホ/YOO Sung Ho(韓国、1996) ※第1次予選[11.12] ※第2次予選[11.17]
W. A. モーツァルト:ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 K.478
/W. A. MOZART: Piano Quartet No.1 in g minor K.478
R. シューマン:クライスレリアーナ Op.16
/R. SCHUMANN: Kreisleriana Op.16
D. ショスタコーヴィチ:前奏曲とフーガ 変ニ長調 Op.87-15
/D. SHOSTAKOVICH: Prelude and Fugue in D flat major Op.87-15

ロマンチックなシューマンも、ショスタコーヴィチの軽快な前奏曲から複雑なフーガまで、淀みなく演奏しており素敵でした。

コルクマズ・ジャン・ サーラム/Korkmaz Can SAĞLAM(トルコ、1999) (本選進出) ※第1次予選[11.13] ※第2次予選[11.17]
W. A. モーツァルト:ピアノ四重奏曲 第2番 変ホ長調 K.493
/W. A. MOZART: Piano Quartet No.2 in E flat major K.493
G. ヘンデル:組曲 第3番(第1巻)ニ短調 HWV428
/G. HANDEL: Suite No.3 (Set I) in d minor HWV428
S. ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ 第1番 ニ短調 Op.28
/S. RACHMANINOV: Piano Sonata No.1 in d minor Op.28

1次は記憶に残っていますが、2次があまり惹かれなかったのがどうしてか、と思うくらい素晴らしかったです!
「歌声」が印象的なピアニストでしたが、モーツァルト、ヘンデルと、古典的な曲もこんな演奏ができるのですね!彼の音は(もちろん録音の関係もあるでしょうけども)弱音でもよく響く、遠くまで到達する感じ。特にモーツァルトの四重奏はよかったです。そしてヘンデル、決して大袈裟では無いですが、どこか訴求力があります。そしてラフマニノフのソナタ1番。イズィク=ジュルコの演奏で知った難曲ですが、超絶技巧を涼しい顔で捌きながら、持ち前の歌心と響く音色を発揮してくれる、バランスのとれたレベルの高い演奏でした。

鈴木 愛美/SUZUKI Manami(日本、2002) (本選進出) ※第1次予選[11.13] ※第2次予選[11.17]
W. A. モーツァルト:ピアノ四重奏曲 第2番 変ホ長調 K.493
/W. A. MOZART: Piano Quartet No.2 in E flat major K.493
J. S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2巻 変ロ短調 BWV891
/J. S. BACH: Prelude and Fugue from WTC Ⅱ in b flat minor BWV891
K. シマノフスキ:メトープ Op.29 第1曲 セイレーンの島
/K. SZYMANOWSKI: Metopy Op.29No.1 Wyspa syren
F. シューベルト:ピアノ・ソナタ 第18番 ト長調 D894
/F. SCHUBERT: Piano Sonata No.18 in G major D894

シマノフスキは、しかもこの「メトープ」から2曲目。こちらはセイレーンという女型の怪物をモチーフにしたより印象派の色が強い曲で、細かい超絶技巧をいかんなく発揮しておりました、が、他はバッハ・シューベルトと深淵なプログラム構成。全体通して大御所のようなレパートリー。可憐な見た目と裏腹に威厳を感じさせられる演奏です。最近ハマっているシューベルトのソナタが聴けたのは個人的に嬉しかったです。ほんとに少ない音で聴き手を魅了する不思議なパワーがあります。

・・・

3次予選2日目、お疲れさまでしたm(_ _)m

四重奏曲は、1番ト短調が7名、2番変ホ長調が5名でしたが、2番は印象的な演奏が多かったイメージ(ロバート・ ビリー小林 海都ヨナス・ アウミラーコルクマズ・ジャン・ サーラム鈴木 愛美)。

やはり1日目の方がまとまっているかなあという印象ですが、注目ピアニストのレベルが一際高いのは2日目という気もします。ヨナス・ アウミラーさんは王道で安心感があり、コルクマズ・ジャン・ サーラムはワクワクするピアニスト、鈴木 愛美さんも大巨匠のような貫禄がありました。ヴァレール・ ビュルノンも協奏曲聴いてみたい!全員ファイナル行ってほしい!笑

結果発表~第3次予選~

https://ebravo.jp/archives/178233

本選進出者(6名)[演奏日]
ロバート・ ビリー/Robert BILY(チェコ、1997) [11.19]
小林 海都/KOBAYASHI Kaito(日本、1995) [11.19]
JJ ジュン・リ・ ブイ/JJ Jun Li BUI(カナダ、2004) [11.19]
ヨナス・ アウミラー/Jonas AUMILLER(ドイツ、1998) [11.20]
コルクマズ・ジャン・ サーラム/Korkmaz Can SAĞLAM(トルコ、1999) [11.20]
鈴木 愛美/SUZUKI Manami(日本、2002) [11.20]
※本選ではJJ ジュン・リ・ ブイ [11.19]とヨナス・ アウミラー[11.20]の演奏順が入れ替わるそうです

小林 海都鈴木 愛美の2名が本選進出!異論なし!!特に鈴木さんの日本のエース感が急上昇しているのが楽しみです。佐川 和冴さんも大変すばらしい演奏で大健闘でしたが、今回は周りのレベルも高かったと思います。

ヨナス・ アウミラーさんの通過は当然だと思う一方、協奏曲を聴けるチャンスとなりホッとしています!ぜひとも聴きたかった!!引き続き優勝候補大筆頭!!!コルクマズ・ジャン・ サーラムロバート・ ビリーも上位に食い込んでほしい期待のピアニスト!

JJ ジュン・リ・ ブイさんは余裕とは言えないかなと思っていましたが、無事通過。
マクシミリアン・ クロマーヴァレール・ ビュルノンライアン・ ジュウさんあたり、JJさんとの枠争いになるかなと思っていましたが、残念でした。。。それくらい誰が通過してもおかしくない演奏ばかりでした。このご縁で日本公演にたくさん来てほしいです!