【2024.11.16】第12回浜松国際ピアノコンクール 第2次予選 2日目

12th hamamatsu international piano competition ピアノコンクール
https://www.hipic.jp/
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こんにちは。いりこです。

11月9日(土)から、世界的にも注目度がうなぎ上りの浜松国際ピアノコンクールが2大会ぶりに開催されています!

モントリオール国際音楽コンクールゲザ・アンダ国際ピアノコンクールリーズ国際ピアノコンクールに続いて、今年4つ目のコンクールを取り上げることになります。またリーズ国際同様、来年に控えるショパン国際コンクールの予選免除が与えられる重要な大会です。

遅ればせながらキャッチアップしていきたいと思いますので、6年ぶりの浜松国際を一緒に楽しんでいけたらと思っております!

87名の参加者による5日間に及んだ第1次予選も終わり、一気に24名まで絞られた第2次予選が始まります。日本勢からは5名(佐川 和冴小林 海都谷 昂登藤平 実来鈴木 愛美)が進出しています。

第2次予選2日目も注目ピアニストが多数、JJ ジュン・リ・ ブイライアン・ ジュウロマン・ フェディウルコヨナス・ アウミラーさんらが登場します!

浜松国際ピアノコンクール概要

公式HP(日本語・英語):https://www.hipic.jp/
公式YouTube:https://www.youtube.com/user/HIPICofficial

開催期:2024年11月9日(土)~ 11月24日(日)

我らがニッポンで行われている国際コンクール。こちらで紹介しているコンクールと比べると格段に歴史が浅いのですが、ブレハッチチョ・ソンジンと、ショパン国際コンクール覇者を輩出するなど、すでに優勝・入賞者たちの活躍が目覚ましい大注目のコンクールです。

恩田陸さんの小説「蜜蜂と遠雷」のモチーフにもなった大会であるほか、上位2名はショパン国際コンクール本大会へ直接駒を進めることができる(ビデオ審査・予備予選が免除される)ことからも、今大会が重要視されていることが分かります。

  • 概要
    開催地:浜松市(静岡県)
    開催間隔:3年に1度(前回:2018年(2021年中止)、次回:2024年11月)
    歴史:第1回1991年
  • 主な優勝者・入賞者
    優勝者:アレクサンダー・ガヴリリュク(2000)、アレクセイ・ゴルラッチ(2006)、チョ・ソンジン(2009)、アレクサンダー・ガジェヴ(2015)

    入賞者:上原 彩子(2000年第4位)、ラファウ・ブレハッチ/アレクサンダー・コブリン(2003年第2位)、牛田 智大(2018年第2位)

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スケジュール

第1次予選(87名):2024年11月9日(土)~ 13日(水)

第2次予選(24名):2024年11月15日(金)~ 17日(日)
11月15日(金)10:30, 12:20, 15:15, 17:05
11月16日(土)10:30, 12:20, 15:15, 17:05
11月17日(日)10:30, 12:20, 15:15, 17:05 結果発表: 19:00

第3次予選(12名):2024年11月19日(火)~ 20日(水)

本選(6名):2024年11月23日(土)~ 24日(日)

2週間に及ぶ長丁場です。

プログラム

第2次予選(24名)

(1) と (2) を演奏する。演奏時間は合計40分以内とし、演奏順は任意とする。

(1) 下記の古典派作品、ロマン派作品、近・現代作品より、2つ以上の異なる時代区分から、2作品以上(出版されている作品に限る)を選択し演奏する。ただし、第1次予選で演奏する曲は除外する。

古典派ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン
ロマン派シューベルト、メンデルスゾーン、ショパン、シューマン、リスト、フランク、ブラームス、サン=サーンス、チャイコフスキー、グリーグ
近・現代フォーレ、ドビュッシー、スクリャービン、ラフマニノフ、シェーンベルク、ラヴェル、バルトーク、プーランク、メシアン、ヴェーベルン、ベルク、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチ、シマノフスキ、武満徹、三善晃、間宮芳生、矢代秋雄

(2) 第12回浜松国際ピアノコンクールのために作曲された日本人作曲家(猿谷紀郎氏)による新作品(5~7分程度)。新作品の楽譜はコンクールの3ヶ月前に予備審査を通過した者に送付する。なお、コンクール前にこの新作品を公開演奏することを禁じる。

11月16日(土)10:30

JJ ジュン・リ・ ブイ/JJ Jun Li BUI(カナダ、2004) (第3次予選進出) ※第1次予選[11.10]
F. J. ハイドン:ピアノ・ソナタ ホ短調 Hob.XVI:34
/F. J. HAYDN: Piano Sonata in e minor Hob.XVI:34
S. ラフマニノフ:コレルリの主題による変奏曲 Op.42
/S. RACHMANINOV: Variations on a Theme of Corelli Op.42
猿谷紀郎:Division 28 for piano
/SARUYA Toshiro: Division 28 for Piano

ラフマニノフの変奏曲は初めて聴いたかな、ラフマニノフのハーモニーは本当に独特で、何とも言えない官能と哀愁が入り混じるようなエモさがあります。シンプルで短調の主題が長調で返り咲く後半の変奏での達成感は最高ですね。そしてラフマニノフらしく大変な技巧が求められそうな訳ですが、聴き込んでしまうほど素晴らしい演奏でした。

ライアン・ ジュウ/Ryan ZHU(カナダ、2003) (第3次予選進出) ※第1次予選[11.10]
A. スクリャービン:ワルツ 変イ長調 Op.38
/A. SCRIABIN: Valse in A flat major Op.38
F. メンデルスゾーン:厳格な変奏曲 ニ短調 Op.54
/F. MENDELSSOHN: Variations Serieuses in d minor Op.54
F. リスト:「詩的で宗教的な調べ」より 葬送 1849年10月 S.173-7
/F. LISZT: Funérailles Oct. 1849 from “Harmonies poétiques et religieuses” S.173-7
猿谷紀郎:Division 28 for piano
/SARUYA Toshiro: Division 28 for Piano

このスクリャービンのワルツ。記事を書き始めて初のコンサートでガルシアがアンコールで演奏した思い出の曲なのです。久々聴きましたが美しすぎて涙が。。。メンデルスゾーンとリストはリーズ国際でも披露していましたが、重たく難解な曲でも説得力があります。若くキラキラした演奏をよく覚えていましたが、こういう一面も思い出させてくれました。この人もまだ21歳。。。

11月16日(土)12:20

ロマン・ フェディウルコ/Roman FEDIURKO(ウクライナ、2004) ※第1次予選[11.10]
W. A. モーツァルト:ロンド イ短調 K.511
/W. A. MOZART: Rondo in a minor K.511
R. シューマン:ピアノ・ソナタ 第2番 ト短調 Op.22(オリジナル・フィナーレ付)
/R. SCHUMANN: Piano Sonata No.2 in g minor Op.22(original finale included)
猿谷紀郎:Division 28 for piano
/SARUYA Toshiro: Division 28 for Piano

短調で統一されたプログラム。モーツァルトのロンドは思ったより大規模でした。モーツァルトの短調っていいですよね、華やかな曲が多い裏の一面を覗いているようで、心に沁みます。そして「のだめカンタービレ」でコンクールで弾いていたので知ったこのシューマンのソナタ2番。1次予選で見せた圧倒的な水量というか技量を、このステージでも遺憾なく発揮しておりとてもかっこよかったです。このピアニストも20歳。。。

チェ・ イサク/CHOI Isak(韓国、2004) ※第1次予選[11.11]
L. v. ベートーヴェン:アンダンテ・ファヴォリ ヘ長調 WoO.57
/L. v. BEETHOVEN: Andante favori in F major WoO.57
S. ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 Op.36(1913)
/S. RACHMANINOV: Piano Sonata No.2 in b flat minor Op.36 (1913)
猿谷紀郎:Division 28 for piano
/SARUYA Toshiro: Division 28 for Piano

「かの有名なソナタ『ワルトシュタイン』op.53の第2楽章として作曲された曲。(中略)出版された際に現在の『アンダンテ・ファヴォリ(お気に入りのアンダンテ)』というタイトルに改められた。ベートーヴェン自身が好んで演奏したと伝えられる。」(ピティナ・ピアノ曲事典より)

なんとそんな逸話がある曲だったとは。それにしても素朴でいい曲でした。ラフマニノフも曲に飲まれることなく華麗に弾きこなす器の大きさ。。。これで20歳。。。いやはや、審査員泣かせの高レベルが続きますね。

11月16日(土)15:15

ヴァレール・ ビュルノン/Valère BURNON(ベルギー、1998) (第3次予選進出) ※第1次予選[11.11]
R. シューマン:暁の歌 ニ長調 Op.133-1
/R. SCHUMANN: Gesange der Fruhe in D major Op.133-1
S. プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第8番 変ロ長調 Op.84
/S. PROKOFIEV: Piano Sonata No.8 in B flat major Op.84
猿谷紀郎:Division 28 for piano
/SARUYA Toshiro: Division 28 for Piano

なかなか深遠なプログラムでした。特にシューマンは聴き馴染がなかったもので、今シューマンとプロコフィエフのどっちを聴いているのか分からない時間もありました笑。実際に穏やかに始まるプロコフィエフにもシームレスに移っていった印象です。第1次予選のリストやリゲティではやや技術的不安を感じた記憶があったのですが、このプロコフィエフでは気にならない、むしろ音楽的表現に集中でき好印象でした。

ヨナス・ アウミラー/Jonas AUMILLER(ドイツ、1998) (第3次予選進出) ※第1次予選[11.11]
F. ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
/F. CHOPIN: Barcarolle in F sharp major Op.60
R. シューマン:プレスト・パッショナート Op.22
/R. SCHUMANN: Presto Passionato Op.22
C. ドビュッシー:前奏曲 第2集 より「交代する3度」
/C. DEBUSSY: “Les tierces alternées” from Preludes Book II
C. ドビュッシー:前奏曲 第2集 より「花火」
/C. DEBUSSY: “Feux d’artifice” from Preludes Book II
A. スクリャービン:幻想曲 ロ短調 Op.28
/A. SCRIABIN: Fantasy in b minor Op.28
猿谷紀郎:Division 28 for piano
/SARUYA Toshiro: Division 28 for Piano

スクリャービン→3度→花火→舟歌→シューマンの演奏順。煽情的になりやすいスクリャービンも理知的で、興奮の熱というより優しいオトナの温かさを感じます。かと思えば、ドビュッシーはキレッキレ、花火は3人目で、前の演奏もよかったですが、この演奏は鳥肌が立ちました。花火の「パチパチ」「シュワシュワ」という音が浮かび上がるような鮮明さです。そして舟歌。。。。かなり好きな曲なのでハードル上げていましたが、温かい音色といい、どこか哲学的というか、成熟した印象です。そしてアンコールピース的にトリを飾ったシューマン、これはとても甘く情熱的、エロい。全体的に風格すら感じますし、細かい表情の引き出しの多さ、そして小品を集めたプログラム構成のセンス。レベルの高い演奏の中でもひときわ光っていたように思います。推し候補!!!

11月16日(土)17:05

ヨ・ ユンジ/YEO Yoonji(韓国、2004) ※第1次予選[11.12]
L. v. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第15番 ニ長調 Op.28「田園」
/L. v. BEETHOVEN: Piano Sonata No.15 in D major Op.28 “Pastorale”
D. ショスタコーヴィチ:前奏曲とフーガ イ短調 Op.87-2
/D. SHOSTAKOVICH: Prelude and Fugue in a minor Op.87-2
D. ショスタコーヴィチ:前奏曲とフーガ 変ニ長調 Op.87-15
/D. SHOSTAKOVICH: Prelude and Fugue in D flat major Op.87-15
猿谷紀郎:Division 28 for piano
/SARUYA Toshiro: Division 28 for Piano

教科書のように癖のないきれいな音色と音の粒。のどかなベートーヴェンから、高速のパッセージ、オクターブ、軽やかで皮肉の効いたスパイシーなタッチなど、引き分けていたというよりはいろんな場面にマッチする音色を持っているような印象でした。またまた20歳。。。

ソン・ ユトン/SUN Yutong(中国、1995) (第3次予選進出) ※第1次予選[11.12]
J. ブラームス:奇想曲 ニ短調 Op.116-1
/J. BRAHMS: Capriccio in d minor Op.116-1
S. プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第8番 変ロ長調 Op.84
/S. PROKOFIEV: Piano Sonata No.8 in B flat major Op.84
猿谷紀郎:Division 28 for piano
/SARUYA Toshiro: Division 28 for Piano

ブラームスの幻想曲集から第1曲:奇想曲、昨日佐川さんが演奏していましたが、そちらの方が好みだったなあと聴きながら思いました。プロコフィエフのソナタ8番も2人目。非常にレベルの高い演奏でしたが、このハイレベルな出場者の中でどうかという気も。

・・・

2日目。これまた全員良かったですね(審査員はどう捌いているのだろう)。。。そして20歳前後の若いピアニストの活躍も目立ちますね!未来は明るい。

本当に全員よかったです。注目のJJ ジュン・リ・ ブイライアン・ ジュウはもちろん、特にヨナス・ アウミラーさんらが一つ抜けていたかなという感じ、そして新しい推し。