【2024.9.15】第21回リーズ国際ピアノコンクール セミファイナル 1日目

ピアノコンクール
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こんにちは。いりこです。

9月11日(水)から、イギリスにてリーズ国際ピアノコンクールが開催されます。モントリオール国際音楽コンクールゲザ・アンダ国際ピアノコンクールに続いて、早くも今年3つ目のコンクール、目白押しです!来年に控えるショパン国際コンクールの予選免除が与えられる重要な大会です。

24名となった第2ラウンドから、さらに10名に絞られたセミファイナル。ピアノソロ+室内楽を演奏することとなります。

日本からは牛田智大、そして筆者イチオシのジェイデン・イズィク=ジュルコ(2日目)が無事進出!1日目は夜の部のみで、牛田智大が登場します!

リーズ国際ピアノコンクール概要

公式HP(英語):https://www.leedspiano.com/upcoming-competition/
公式YouTube:https://www.youtube.com/user/leedspiano

開催期間:2024年9月11日(水)~ 9月21日(土)

イングランド北部の都市リーズで開催される国際コンクール。第1回1963年の開催以降、優勝・受賞者にはラドゥ・ルプペライアアレクセイエフオフチニコフ内田光子シフロルティなど、錚々たる名ピアニストが並ぶ権威あるコンクールです。直近2021年には小林海都さんが第2位を獲得しています。

上位2名はショパン国際コンクール本大会へ直接駒を進めることができる(ビデオ審査・予備予選が免除される)ことからも、今大会が重要視されていることが分かります。

また今回から、人種・性別・衣装・立ち居振る舞いなどが審査に影響を及ぼすことを避けるため、同大会初の「ブラインド審査」が導入されています。

  • 概要
    開催地:リーズ(イギリス)
    開催間隔:3年に1度(前回:2021年9月、次回:2024年)
    歴史:第1回1963年
  • 主な優勝者・入賞者
    優勝者:ラドゥ・ルプ(1969)、マライ・ペライア(1972)、ドミトリー・アレクセイエフ(1975)、ウラディミール・オフチニコフ(1987)、エリック・ルー(2018)、アリム・ベイセムバイエフ(2021)

    入賞者:アルトゥール・モレイラ・リマ(1969年第3位)、アンネ・ケフェレック(1969年第5位)、内田 光子(1975年第2位)、アンドラーシュ・シフ(1975年第3位)、ルイ・ロルティ(1984年第4位)、北村 朋幹 (2015年第3位)、小林 海都(2021年第2位)

スケジュール

第1ラウンド(複数会場開催、60名):2024年3月30日(土)~ 4月8日(月)

第2ラウンド(24名):2024年9月11日(水)~ 13日(金)

セミファイナル(10名):2024年9月15日(日)~ 17日(火)
9月15日(日)19:00(日本時間 翌3:00)
9月16日(月)14:00(日本時間 22:00), 19:00(翌3:00)
9月17日(火)14:00(日本時間 22:00), 19:00(翌3:00)

ファイナル(5名):2024年9月20日(金)~ 21日(土)

2024年3~4月、世界6都市(パリ、ウィーン、北京、ベルリン、ニューヨーク、ソウル)で第1ラウンドが開催されました。今回はリーズで行われる第2ラウンドから取り上げていきたいと思います。

プログラム

第2ラウンド(24名)

公式サイト(PDF)

  • 75分以内の対照的な2つのプログラム(プログラムAとプログラムB)を準備すること
  • これらのプログラムは、ソロピアノ曲と、2つのグループ(以下参照)から選ばれた室内楽で構成する。各プログラムは全体としての構成に十分考慮して組み立てること。審査員は、参加者が演奏するプログラムを2つのうちから選択し、第2ラウンド終了時、セミファイナリストが発表された際に参加者へ通知する。
  • プログラムAではグループ1(ピアノ三重奏、四重奏、五重奏)から1曲の室内楽を含める
    プログラムBではグループ2(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ)から1曲の室内楽を含める
  • 各プログラムの室内楽以外は、ソロピアノ曲で構成され、指定の20/21世紀の作品リストからを1曲含める必要がある。選択されたソロピアノ曲は、20/21世紀作品を除き、プログラムA/Bで異なるものでなければならない。20/21世紀の作品は、プログラムA/Bで同じ作品を選択することができる。

ソロピアノ
セミファイナルでは、第1/第2ラウンドで演奏した楽曲は選択できない

  • 各プログラムのソロピアノは、30分以上45分以内でなければならない。最終的な演奏時間は、選択した室内楽作品の時間に応じて参加者の裁量に委ねられる。
  • 各プログラムの総演奏時間は、休憩を含めて75分を超えてはならない。
  • レパートリーには、20/21世紀の作品が含め(楽譜の使用は許可される)、両プログラムで同じ作品を選択することができる。以下のリストから選択すること。

Thomas Ades: Three Mazurkas (9’)
/トーマス・アデス:3つのマズルカ
George Benjamin: Meditation and Relativity Rag (7’)
/ジョージ・ベンジャミン:瞑想と相対性ラグ
Luciano Berio: Sequenza (11’)
/ルチアーノ・ベリオ:セクエンツァ
Unsuk Chin: Etudes (selection up to approx 10’)
/チン・ウンスク:エチュード(抜粋、約10分以内)
Brett Dean: Hommage a Brahms (3 pieces – 8’)
/ブレット・ディーン:ブラームスへのオマージュ
György Ligeti: Selection of Etudes (up to approx. 10’)
/リゲティ・ジョルジュ:エチュード(抜粋、約10分以内)
Sofia Gubaidulina: Chaconne (10’)
/ソフィア・グバイドゥーリナ:シャコンヌ
György Kurtág: Selection of Játékok (up to approx. 10’)
/クルターク・ジョルジュ:遊び(抜粋、約10分以内)
Kate Whitley: Five Piano Pieces (8’)
/ケイト・ホイットリー:5つのピアノ曲

室内楽
グループ1(ピアノ三重奏、四重奏、五重奏)
Johannes Brahms: Piano Quartet in C minor, Op.60 (33′)
/ブラームス:ピアノ四重奏曲第3番 ハ短調
Amy Beach: Piano Quintet in F sharp minor, Op.67 (29’)
/ビーチ:ピアノ五重奏曲 嬰へ短調
Dmitri Shostakovich: Piano Quintet in G minor, Op.57 (35′)
/ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲 ト短調
Ludwig van Beethoven: Piano Trio in D major, Op.70 No.1 ‘The Ghost’ (22′)
/ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第5番 ニ長調 「幽霊」
Fanny Mendelssohn: Piano Trio in D minor, Op.11 (23’)
/ファニー・メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲 ニ短調
Maurice Ravel: Piano Trio (27′)
/ラヴェル:ピアノ三重奏曲 イ短調

グループ2(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ)
Ludwig van Beethoven: Violin Sonata in G major, Op.30 No.3
/ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第8番 ト長調
Gabriel Faure: Violin Sonata No.1 in A major, Op.13 (26′)
/フォーレ:ヴァイオリンソナタ第1番 イ長調
Felix Mendelssohn: Cello Sonata in D Major, Op.58 No.2
/フェリックス・メンデルスゾーン:チェロソナタ第2番 ニ長調
Johannes Brahms: Cello Sonata in E minor, Op.38
/ブラームス:チェロソナタ第1番 ホ短調

9月15日(日)19:00(日本時間 翌3:00)

Khanh Nhi Luong (Vietnam, 27) ※第2ラウンド
PROGRAMME B
Ludwig van Beethoven: Sonata No.31 in A-flat major, Op.110 /ベートーヴェン:ソナタ第31番 変イ長調
Kate Whitley: Five Piano Pieces /ホイットリー:5つのピアノ曲
Gabriel Fauré: Violin Sonata No.1 in A major, Op.13 /フォーレ:ヴァイオリンソナタ第1番 イ長調

実は、第2ラウンドはなじみのないレパートリーだったのでコメントできていませんでしたが、音が良かったことは覚えています。
温かいベートーヴェン。この曲は後期ソナタの中でも好きなので、単純にいい演奏が聴けてうれしいです。
そしてこのラウンドの醍醐味:室内楽は、フォーレのヴァイオリンソナタ。フォーレも弦楽四重奏くらいしか知らなかったのですが、まあなんと美しいこと。特に第2・4楽章の温かみというか、この人は非常に心地いい音色を届けてくれます。3楽章のスケルツォは茶目っ気たっぷりながら気品を失わず、3楽章終了時には会場から笑みがこぼれるほど(笑)あんなに温かい雰囲気はなかなかお目にかかれません!

Tomoharu Ushida (Japan, 23) ※第1ラウンド ※第2ラウンド
PROGRAMME A

Kate Whitley: Five Piano Pieces /ホイットリー:5つのピアノ曲
Franz Schubert: Sonata No.21 in B-flat major, D.960 /シューベルト:ソナタ第21番 変ロ長調
Amy Beach: Piano Quintet in F-sharp minor, Op.67 /ビーチ:ピアノ五重奏曲 嬰へ短調

牛田さん。シューベルト生涯最後のピアノソナタ。いい曲ですね。筆者ご贔屓のツィマーマンが録音しているのは知っていたのですが、なかなか手が伸びず。瞑想的で信心深い主題から始まり、息をするのも忘れるくらい引き込まれます。その後も陰陽入り混じりながら、第3・4楽章にかけては軽快に、光に満ちたエンディング。会場の拍手も一際大きかったです。本当に、単純に、演奏を楽しめました。
そしてビーチのクインテット。ビーチは19~20世紀に活躍したアメリカ人女性作曲家。彼女の名前すら初めてしったのですが、展開が読めないワクワク感と、しかし突飛すぎない安定感は魅力的なメロディーからくるものでしょう。そして和声もおもしろい(時代的にか)ラヴェルやドビュッシーのカルテットのような、幻想的で独特なハーモニー。牛田さんは方向性的にも室内楽が得意そうですよね。拍手が鳴りやまずに呼び戻されていました笑。このまま協奏曲まで聴きたい!!!

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