【2024】第21回リーズ国際ピアノコンクール まとめ

ピアノコンクール
https://www.leedspiano.com/upcoming-competition/
この記事は約13分で読めます。
本サイトで紹介している商品等の外部リンクには、アフィリエイト広告を利用しているものがあります

こんにちは。いりこです。

9月11日(水)から、イギリスにてリーズ国際ピアノコンクールが開催されます。モントリオール国際音楽コンクールゲザ・アンダ国際ピアノコンクールに続いて、早くも今年3つ目のコンクール、目白押しです!来年に控えるショパン国際コンクールの予選免除が与えられる重要な大会です。

狭き門だった第2ラウンドには日本人も2名、牛田智大、丸山凪乃さんが進出しています。

リーズ国際ピアノコンクール概要

公式HP(英語):https://www.leedspiano.com/upcoming-competition/
公式YouTube:https://www.youtube.com/user/leedspiano

開催期間:2024年9月11日(水)~ 9月21日(土)

イングランド北部の都市リーズで開催される国際コンクール。第1回1963年の開催以降、優勝・受賞者にはラドゥ・ルプペライアアレクセイエフオフチニコフ内田光子シフロルティなど、錚々たる名ピアニストが並ぶ権威あるコンクールです。直近2021年には小林海都さんが第2位を獲得しています。

上位2名はショパン国際コンクール本大会へ直接駒を進めることができる(ビデオ審査・予備予選が免除される)ことからも、今大会が重要視されていることが分かります。

また今回から、人種・性別・衣装・立ち居振る舞いなどが審査に影響を及ぼすことを避けるため、同大会初の「ブラインド審査」が導入されています。

  • 概要
    開催地:リーズ(イギリス)
    開催間隔:3年に1度(前回:2021年9月、次回:2024年)
    歴史:第1回1963年
  • 主な優勝者・入賞者
    優勝者:ラドゥ・ルプ(1969)、マライ・ペライア(1972)、ドミトリー・アレクセイエフ(1975)、ウラディミール・オフチニコフ(1987)、エリック・ルー(2018)、アリム・ベイセムバイエフ(2021)

    入賞者:アルトゥール・モレイラ・リマ(1969年第3位)、アンネ・ケフェレック(1969年第5位)、内田 光子(1975年第2位)、アンドラーシュ・シフ(1975年第3位)、ルイ・ロルティ(1984年第4位)、北村 朋幹 (2015年第3位)、小林 海都(2021年第2位)

注目のコンテスタント

ジェイデン・イズィク=ジュルコ(Jaeden Izik-Dzurko, カナダ)

まずは、先の5月に開催されたモントリオール国際音楽コンクールにて地元優勝を果たしたジェイデン・イズィク=ジュルコ(Jaeden Izik-Dzurko, カナダ)

https://www.leedspiano.com/competitor/jaeden-izik-dzurko/

小細工なし・真っ向勝負という隙のない王道スタイルで、技術的にも堅く表現の幅も広い。特にファイナルのブラームス2番は絶品で、すっかりファンになりました!今大会も楽しみです。

(「イェーデン・イジク=ドズルコ」という日本語表記が多いようです。が、本人は英語読みで「ジェイドゥン・アイズィク・ズュルコ」みたいに発音されていました)

▼第1ラウンド動画
J.S. バッハ:トッカータ ハ短調 BWV 911
スクリャービン:ソナタ第5番 Op.53

バッハのトッカータ、比較的音数も少なくシンプルな曲ですが、硬派な音もマッチして威圧感すら覚える大きなスケールを感じました。スクリャービンのソナタ5番はモントリオール国際で覚えました。彼も演奏していましたが、相変わらず洒脱、しかしパッキリと立体感のある演奏。ぜひ今大会でもファイナルまで進んでほしい!たくさん演奏が聴きたい!!

牛田 智大(Tomoharu Ushida, 日本)

そして日本人優勝候補筆頭の牛田智大さん!

https://www.leedspiano.com/competitor/tomoharu-ushida/

国際コンクールはもちろん、すでに全国のコンサートに引っ張りだこの活躍ぶりです。今大会での順位はもちろん注目ですが、演奏を無料で聴けるありがたいチャンスです。

▼第1ラウンド動画
モーツァルト:ソナタ第4番 変ホ長調 K.282
ショパン:幻想曲 ヘ短調 Op.49

平均3,000~6,000回再生されている動画の中、牛田さんの動画は驚異の6.5万回再生!!(9.7時点)1万回以上再生されているのも牛田さんのみと、注目度の高さが伺えます。

演奏を聴いて改めて、シンプルを極上まで引き上げるタイプのピアニストなんだなと感じます。モーツァルトでは、1音1音にとにかく情報量が多く、フレーズごとに工夫が施されています。装飾音符なんかも違和感が全くなくとにかく心地いい!ショパンの幻想曲は、2021年ショパンコンクールでも聴き惚れた記憶がありますが、自然で心地いい、やはり素晴らししかったです。こちらも優勝候補!!

注目コンテスタントが多数登場!

https://www.leedspiano.com/competitor/carter-johnson/
https://www.leedspiano.com/competitor/philipp-lynov/

同じく今年5月のモントリオール国際で印象的だったカーター・ジョンソン(Carter Johnson, カナダ/記事:モントリオール国際、昨年のブゾーニ国際で印象的だったフィリップ・リノフ(Philipp Lynov, ロシア/記事:ブゾーニ国際も、また演奏が聴ける機会があって楽しみです。

スケジュール

第1ラウンド(複数会場開催、60名):2024年3月30日(土)~ 4月8日(月)

第2ラウンド(24名):2024年9月11日(水)~ 13日(金)

セミファイナル(10名):2024年9月15日(日)~ 17日(火)

ファイナル(5名):2024年9月20日(金)~ 21日(土)

2024年3~4月、世界6都市(パリ、ウィーン、北京、ベルリン、ニューヨーク、ソウル)で第1ラウンドが開催されました(イギリスでは開催されてない不思議)。今回はリーズで行われる第2ラウンドから取り上げていきたいと思います。

各日の個別記事

リーズ国際ピアノコンクール要項抜粋

出場資格:1994年9月22日~2004年4月2日生まれ(20~29歳)

レパートリー:
参加者は、原文に忠実な楽譜を選択すること。
編曲作品は、コンクールのレパートリールールに従う限り許可される。たとえば、バッハ/ブゾーニ編曲作品は前古典派の作品として認められないが、リスト編曲作品はロマン派の作品として認められる。
すべての楽曲は暗譜で演奏すること。ただし、20/21世紀の作品および室内楽作品はこの限りではない。反復部分は演奏者の裁量で選択できる。

レパートリー

公式サイト(PDF)

第1ラウンド(60名)

  • 25分以内のリサイタル
  • バロックまたは古典派(1800年以前)の作品ならびに、ロマン派または/および20世紀前半の作品から対照的な作品を含めること
  • 編曲作品は、元の作曲者自身によるものでない限り許可されない

第2ラウンド(24名)

  • 40分の対照的なプログラムを2つ準備すること
  • 各プログラムには、主要な作曲家による重要な作品/作品群を含めること
  • 第1ラウンドで演奏した曲は、第2ラウンドで選択することはできない

セミファイナル(10名)

  • 75分以内の対照的な2つのプログラム(プログラムAとプログラムB)を準備すること
  • これらのプログラムは、ソロピアノ曲と、2つのグループ(以下参照)から選ばれた室内楽で構成する。各プログラムは全体としての構成に十分考慮して組み立てること。審査員は、参加者が演奏するプログラムを2つのうちから選択し、第2ラウンド終了時、セミファイナリストが発表された際に参加者へ通知する。
  • プログラムAではグループ1(ピアノ三重奏、四重奏、五重奏)から1曲の室内楽を含める
    プログラムBではグループ2(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ)から1曲の室内楽を含める
  • 各プログラムの室内楽以外は、ソロピアノ曲で構成され、指定の20/21世紀の作品リストからを1曲含める必要がある。選択されたソロピアノ曲は、20/21世紀作品を除き、プログラムA/Bで異なるものでなければならない。20/21世紀の作品は、プログラムA/Bで同じ作品を選択することができる。

ソロピアノ
セミファイナルでは、第1/第2ラウンドで演奏した楽曲は選択できない

  • 各プログラムのソロピアノは、30分以上45分以内でなければならない。最終的な演奏時間は、選択した室内楽作品の時間に応じて参加者の裁量に委ねられる。
  • 各プログラムの総演奏時間は、休憩を含めて75分を超えてはならない。
  • レパートリーには、20/21世紀の作品が含め(楽譜の使用は許可される)、両プログラムで同じ作品を選択することができる。以下のリストから選択すること。

Thomas Ades: Three Mazurkas (9’)
/トーマス・アデス:3つのマズルカ
George Benjamin: Meditation and Relativity Rag (7’)
/ジョージ・ベンジャミン:瞑想と相対性ラグ
Luciano Berio: Sequenza (11’)
/ルチアーノ・ベリオ:セクエンツァ
Unsuk Chin: Etudes (selection up to approx 10’)
/チン・ウンスク:エチュード(抜粋、約10分以内)
Brett Dean: Hommage a Brahms (3 pieces – 8’)
/ブレット・ディーン:ブラームスへのオマージュ
György Ligeti: Selection of Etudes (up to approx. 10’)
/リゲティ・ジョルジュ:エチュード(抜粋、約10分以内)
Sofia Gubaidulina: Chaconne (10’)
/ソフィア・グバイドゥーリナ:シャコンヌ
György Kurtág: Selection of Játékok (up to approx. 10’)
/クルターク・ジョルジュ:遊び(抜粋、約10分以内)
Kate Whitley: Five Piano Pieces (8’)
/ケイト・ホイットリー:5つのピアノ曲

室内楽
グループ1(ピアノ三重奏、四重奏、五重奏)
Johannes Brahms: Piano Quartet in C minor, Op.60 (33′)
/ブラームス:ピアノ四重奏曲第3番 ハ短調
Amy Beach: Piano Quintet in F sharp minor, Op.67 (29’)
/ビーチ:ピアノ五重奏曲 嬰へ短調
Dmitri Shostakovich: Piano Quintet in G minor, Op.57 (35′)
/ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲 ト短調
Ludwig van Beethoven: Piano Trio in D major, Op.70 No.1 ‘The Ghost’ (22′)
/ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第5番 ニ長調 「幽霊」
Fanny Mendelssohn: Piano Trio in D minor, Op.11 (23’)
/ファニー・メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲 ニ短調
Maurice Ravel: Piano Trio (27′)
/ラヴェル:ピアノ三重奏曲 イ短調

グループ2(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ)
Ludwig van Beethoven: Violin Sonata in G major, Op.30 No.3
/ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第8番 ト長調
Gabriel Faure: Violin Sonata No.1 in A major, Op.13 (26′)
/フォーレ:ヴァイオリンソナタ第1番 イ長調
Felix Mendelssohn: Cello Sonata in D Major, Op.58 No.2
/フェリックス・メンデルスゾーン:チェロソナタ第2番 ニ長調
Johannes Brahms: Cello Sonata in E minor, Op.38
/ブラームス:チェロソナタ第1番 ホ短調

ファイナル(5名)

指揮:ドミンゴ・インドヤン
オーケストラ:ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団

参加者はグループ1およびグループ2から1曲ずつ選択し、審査員がいずれか1曲を選択し、ファイナリストが発表される際に通知される。

グループ1
J.S. Bach
Concerto in D minor, BWV1052
/J.S. バッハ:協奏曲第1番 ニ短調

Ludwig van Beethoven/ベートーヴェン
Concerto No.1 in C major, Op.15
/ピアノ協奏曲第1番 ハ長調
Concerto No.3 in C minor, Op.37
/ピアノ協奏曲第2番 ハ短調
Concerto No.4 in G major, Op.58
/ピアノ協奏曲第4番 ト長調

Felix Mendelssohn
Concerto No.2 in D minor, Op.40
/メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲第2番 ニ短調

W.A. Mozart/モーツァルト
Concerto in E flat major, K271
/ピアノ協奏曲第9番 変ホ長調 「ジュナミ」
Concerto in B flat major, K450
/ピアノ協奏曲第15番 変ロ長調
Concerto in D minor, K466
/ピアノ協奏曲第20番 ニ短調
Concerto in E flat major, K482
/ピアノ協奏曲第22番 変ホ長調

グループ2
Béla Bartók
Concerto No.3, Sz.119
/バルトーク:ピアノ協奏曲第3番

Johannes Brahms
Concerto No.2 in B flat major, Op.83
/ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調

Frédéric Chopin
Concerto No.2 in F minor, Op.21
/ショパン:ピアノ協奏曲 ヘ短調

Franz Liszt
Concerto No.2 in A major, S125
/リスト:ピアノ協奏曲第2番 イ長調

Sergei Prokofiev/プロコフィエフ
Concerto No.2 in G minor, Op.16
/ピアノ協奏曲第2番 ト短調
Concerto No.3 in C major, Op.26
/ピアノ協奏曲第3番 ハ長調

Sergei Rachmaninov/ラフマニノフ
Concerto No.4 in G minor, Op.40
/ピアノ協奏曲第4番 ト短調
Rhapsody on a Theme of Paganini in A minor, Op.43
/パガニーニの主題による狂詩曲 イ短調

Maurice Ravel
Concerto in G major
/ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調

Robert Schumann
Concerto in A minor, Op.54
/シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調

Clara Schumann-Wieck
Concerto in A minor, Op.7
/(クララ)シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調

賞金・特別賞

賞金
1位:£ 30,000(約580万円)金メダル
2位:£ 18,000(約348万円)銀メダル
3位:£ 12,000(約230万円)銅メダル
4位:£ 6,000(約115万円)
5位:£ 6,000(約115万円)

特別賞
・アレクサンドラ・ダリエスク賞:£3,000
(女性作曲家による作品の優れた演奏者に贈られる)
・ヤルタ・メニューイン賞:£3,000
(室内楽の優れた演奏者に贈られる)
・ロイヤル・リバプール・フィルハーモニック協会賞
(現代音楽の優れた表現者に贈られる)
・Medici.TV聴衆賞
(Medici.tvを通じたオンライン投票)

コメント

タイトルとURLをコピーしました