こんにちは。いりこです。
世界で最も権威のあるコンクールの一つ、ショパン国際ピアノコンクール。コロナで1年延期になった2021年大会からはや4年、2025年10月の本選開催迫ってまいりました!
3月4日、ショパン研究所による記者会見が行われ、ビデオ審査通過 or 免除で予備予選に進出したコンテスタントが発表されました。
今回は、24名の日本人進出者、海外の注目コンテスタント、予備予選が免除されているピアニストをご紹介します。
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【新情報まとめ】第19回(2025年)ショパン国際コンクール
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【2025】第19回ショパン国際ピアノコンクール まとめ
ショパン国際コンクールとは
知名度も権威も世界一と言っていい超名門ピアノコンクール。
大作曲家ショパンの名を冠し、祖国ポーランドが国を挙げて開催しているコンクールです。
演奏されるのはショパンの曲のみ!もちろんピアノ部門のみ!という独特なコンクールでもあります。5年に1度と開催間隔もかなり長く、歴史も長いです。
2020年はコロナで延期、満を持して開催された2021年大会は、反田と小林が入賞して話題になりました。優勝者のブルース・リウ、ガジェヴやガルシアなど、タレント揃いで見ごたえのある大会でした。
- 概要
開催地:ワルシャワ(ポーランド)
開催間隔:5年に1度(第18回:2021年10月(2020年から延期)、次回:2025年)
歴史:第1回1927年
- 第19回ショパン国際ピアノコンクール(2025)日程
▶予備予選 4/23(水)〜5/4(日)
開会コンサート 10/2(木)
第1次予選 10/3(金)〜10/7(火)
第2次予選 10/9(木)〜10/12(日)
第3次予選 10/14(火)〜10/16(木)
本選 10/18(土)〜10/20(月)
- 入賞者(2021年 第18回)
第1位:ブルース・リウ(24歳、カナダ)
第2位:アレクサンダー・ガジェヴ(26歳、イタリア・スロベニア)
反田 恭平(27歳、日本)
第3位:マルティン・ガルシア・ガルシア(24歳、スペイン)
第4位:小林 愛実(26歳、日本)
ヤクブ・クシュリック(24歳、ポーランド)
第5位:レオノーラ・アルメリーニ(29歳、イタリア)
第6位:J・J・ジュン・リ・ブイ(17歳、カナダ)
▼2021年覇者ブルース・リウの3次予選から
ちなみに過去の優勝者・入賞者は、クラシック界をけん引する錚々たるメンツ。名前を眺めるだけで鳥肌が立ちます!(笑)
- 主な優勝者・入賞者
優勝者:マウリツィオ・ポリーニ(1960)、マルタ・アルゲリッチ(1965)、ギャリック・オールソン(1970)、クリスティアン・ツィメルマン(1975)、ダン・タイ・ソン(1980)、スタニスラフ・ブーニン(1985)、ユンディ・リ(2000)、ラファウ・ブレハッチ(2005)、ユリアンナ・アヴデーエワ(2010)、チョ・ソンジン(2015)
入賞者:ウラディミール・アシュケナージ(1955年第2位)、アルトゥール・モレイラ・リマ(1965年第2位)、内田 光子(1970年第2位)、横山 幸雄(1990年第3位)、ダニール・トリフォノフ(2010年第3位)
応募総数642名、ビデオ審査を経て171名へ & 記者会見のようす
なんと、今回の応募総数は642名!
前回大会500名、その前は452名でしたから、その注目度の高さには目を見張ります。
その中から予備予選に進んだのは171名。規定では160名のところ、参加者のレベルが非常に高いことに鑑みて多めに通過させたそうです。
最も多いのは中国の67名、次いで日本の24名、韓国23名と続きます。相変わらず東アジアの勢いがすごいですが、東南アジア、中東からの参加者がいるのも特筆です。
記者会見では以下のようなお話がありました。
- 第1回ショパンコンクールは1927年、2027年に100周年を迎える。2025年大会はその重要なステップとなる。
- 100周記念ビデオがYouTubeチャンネルに公開される。会場では短縮版が公開された、以下ビデオのポイント。
・2010年大会覇者のユリアンナ・アヴデーエワが初審査員
・2021年大会は最多視聴者を記録、現地のチケットも3時間で完売した。ピアニストのレベルが高く、本来10人のところ12人をファイナルへ進めた。
・ショパンコンクールの人気はうなぎ上り、2025年大会のチケットはわずか数分で完売!
- ショパンは大阪万博の目玉になり、大阪でパフォーマンスを行う。
- 2021年大会のドキュメンタリー映画「Pianoforte」があるから、まだ見てない人は必ず見ておくこと!笑
- ワルシャワ市長から、音楽文化友好交流協定を結ぶ浜松のお話が。強いつながりがあるのですね。
日本からは24名が予備予選に進出!
中川優芽花(2021年クララ・ハスキル国際ピアノコンクール優勝)
亀井聖矢(2022年ロン=ティボー国際音楽コンクール優勝)
山﨑亮汰(2023年ブゾーニ国際ピアノコンクール第3位)
など主要コンクールの覇者・入賞者から、前回大会に引き続き挑戦する進藤実優、京増修史、岩井亜咲、今井理子さんらに注目です。特に進藤さんは前回大会で3次予選まで進出し、得点では小林・反田に次ぐ日本人3番手を走っていました。
山﨑さんは、当ブログで初めてみたコンクールで3位入賞した、個人的にも思い出深いピアニスト、日本人らしい整った演奏が魅力的でした。
稲積陽菜さんは浜松で演奏を聴きましたが、いい演奏だったような印象があります。
Yuki Amako 尼子裕貴
Riko Imai 今井理子(2024浜松)
Hina Inazumi 稲積陽菜(2024年浜松)
Seika Ishida 石田成香
Asaki Iwai 岩井亜咲
Masaharu Kambara 神原雅治
Masaya Kamei 亀井聖矢(2022年ロン=ティボー優勝)
Sakurako Kita 北桜子
Shushi Kyomasu 京増修史(2024年浜松)
Megumi Maekawa 前川愛実
Yumeka Nakagawa 中川優芽花(2021年クララ・ハスキル優勝)
Yulia Nakashima 中島結里愛
Yuya Nishimoto 西本裕矢
Anna Ojiro 尾城杏奈
Shio Okui 奥井紫麻
Arisa Onoda 小野田有紗(2024年モントリオール、2024年浜松)
Kotaro Shigemori 重森光太郎
Jun Shimada 島田隼
Miyu Shindo 進藤実優(2024年ゲザ・アンダ)
Mana Shoji 東海林茉奈
Rikako Tsujimoto 辻本莉果子
Miki Yamagata 山縣美季
Ryota Yamazaki 山﨑亮汰(2023年ブゾーニ国際3位)
Yuki Yoshimi 吉見友貴
海外の注目コンテスタント
ラオ・ハオ(Hao Rao、中国)2021年ショパン国際ピアノコンクールファイナリスト
ガブリエレ・ストラータ(Gabriele Strata、イタリア)2024年モントリオール国際音楽コンクール第2位
カイミン・チャン(Kai-Min Chang、台湾)2024年リーズ国際ピアノコンクール第4位
ジュリアン・トレヴェリアン(Julian Trevelyan、イギリス)2024年リーズ国際ピアノコンクール第5位
エリック・グオ(Eric Guo、カナダ)2023年第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール優勝)
なんといっても前回、17歳でファイナリストとなったラオ・ハオ(Hao Rao、中国)!入賞はなりませんでしたが、若さがいい形で放出され、音使いも印象的でした。と同時に、前回ファイナリストでも予備予選から参加とは、、、タフな道のりですね。
ガブリエレ・ストラータさんは、(後述しますが)アイジク=ズルコが優勝、ラティノフが3位となった2024年モントリオール国際で2位に輝いたピアニスト。個人的にはこの大会の上位3名は特にレベルが高かったと思います。ストラータは甘く温かい、成熟した演奏でした。
牛田智大が聴衆賞を獲得し話題となった2024年リーズ国際コンクールの入賞者カイミン・チャンとジュリアン・トレヴェリアン。この大会はジェンダーなんちゃらで(真偽は分からずとも)ノイズが入りましたが、特にカイミン・チャンさんはもっと上位でもおかしくなかったです。
他にも、下記のピアニストも応援したいです。
ヤン・ヴィドラシュはもっと演奏が聴きたいと思っていました。
ヤン・ヴィドラシュ(Jan Widlarz、ポーランド)2024年浜松国際ピアノコンクール
ニコラ・ブルドンクル(Nicolas Bourdoncle、フランス)2024年浜松国際ピアノコンクール
ミケーレ・カンドッティ(Michelle Candotti、イタリア)2024年モントリオール国際音楽コンクール
エリザヴェータ・クリュチェレワ(Elizaveta Kliuchereva)2024年リーズ国際ピアノコンクール
予備予選免除の主なピアニスト
下記の指定されたコンクールでの上位入賞者には、「ビデオ審査+予備審査免除」の権利が付与されます。※詳細はこちらのページにまとめています。
- 王妃エリザベート国際音楽コンクール、ブリュッセル(ピアノ部門)
- パデレフスキ国際ピアノコンクール、ブィドゴシュチ
- ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール、フォートワース
- 浜松国際ピアノコンクール
- リーズ国際ピアノコンクール
- アルトゥール・ルービンシュタイン国際ピアノコンクール、テルアビブ
- フェルーチョ・ブゾーニ国際ピアノコンクール、ボルツァーノ
- 全米ショパン・ピアノコンクール in マイアミ
- ポーランド全国ショパンコンクール in ワルシャワ(2015年、2020年、2025年)
ということで、本選出場権をお持ちのピアニストのうち、当ブログで応援しているピアニストはこちら、ぜひみなさん出場してほしい!!
- ジェイデン・アイジク=ズルコ(イズィク=ズュルコ)(Jaedan Izik-Dzurk、カナダ)
2024年リーズ国際で優勝、その4か月前にはモントリオール国際でも優勝していたツワモノです。本当に”端正”で”王道”、そして両ファイナルでは50分にも及ぶブラームスのピアノ協奏曲2番を弾き切る胆力の持ち主です。
ショパンの演奏が多くないのですが、モントリオールとリーズで「スケルツォ1番」を演奏しています。これがまたかっこいい!もっと聴きたい!!!
◆【新譜CD】ジェイデン・イズィク=ズュルコ(アイジク=ズルコ) リーズ国際ピアノコンクール 2024ゴールド・メダル・ウィナー - アンソニー・ラティノフ(Anthony Ratinov、アメリカ)
2023年ブゾーニ国際、2025年の全米ショパン・ピアノコンクール in マイアミで2位を獲得、また2024年モントリオール国際でも第3位と安定して好成績を残しています。特に当ブログで初めて鑑賞したブゾーニ国際でファンになりました。
トロントでショパンを中心としたコンサートにもお邪魔したのですが、その時にショパンへの想いを語っており、さらに出場権的には不必要な全米ショパンコンクールにも出場しているので、本大会への出場も期待できると思います。
◆【2024.11.19】アンソニー・ラティノフ(ピアノ)トロントデビューコンサートに行ってきました♪ ~CHOPIN & HIS FANS~ - 鈴木 愛美(日本)
2024年浜松国際にて、日本人初優勝を成し遂げた鈴木さん。最初から最後まで安定した演奏で、正直、ファイナルでの協奏曲は一人勝ちだったように思います。
特に2次予選でのブラームスの小品集は鳥肌ものでした。。。ショパンの演奏も素敵なんじゃないかと妄想しています。 - ヨナス・アウミラー(Jonas AUMILLER、ドイツ)
2024年浜松国際で第2位。ファイナルの協奏曲で少しこけちゃったのかなあという印象でしたが、それまでは優勝候補だと感じていたピアニストです。
威厳とか神秘性を持った柔らかい輝き、重層的な表現力で構造美のようなものを兼ね備えていた印象です。
あとは、リーズ国際でシューベルトのソナタが印象強く聴衆賞も受賞した牛田 智大、コンサートも盛況のケヴィン・チェン、イム・ユンチャンなんかも対象ですね!
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